企業側支援は全国初!治療と仕事の両立支援「東京都難病・がん患者就業支援奨励金」とは

1.“がん”について考えたことありますか?

―まさか自分が“がん”になるわけない―

大抵の方はそんな風に思っているのではないでしょうか。“がん”で死亡する確率を調べてみると、男性25%(4人に1人)、女性16%(6人に1人)という調査結果がでていて、“がん”が決して他人事ではない病気だということが分かります。

―もし、あなたが突然“がん宣告”を受けたらどうでしょうかー

ショックを受けない人はいませんよね。経済的な問題や生活のこと、治療方法など、不安と戸惑いでいっぱいになってしまうと思います。
そんな中で、働く世代が“がん”にかかったときに必ず直面することの一つは、

―これから仕事をどうするか―

という就労の問題ではないでしょうか。
がんというと、命を脅かす深刻な病気というイメージから、以前と同じように仕事を続けるのは無理なのではと思う方も少なくないと思います。我が国では、がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要があるため、働き続けることができる環境であるとはいいにくいのが現状です。

厚生労働省の調査では、働きながらがん治療を受けている人は全国で約32万人にのぼりますが、がんと診断された後、勤務者の34%が依願退職もしくは解雇されています。

医療の進歩等を背景に、がんは昔と違って必ずしも亡くなる病気ではなく、早期発見や適切な治療により治るケースや、仕事と治療を両立できるケースも増えてきています。
今回は、がんや難病を抱える人の就労問題の見直し対策が進められているなかで、治療と仕事の両立のために利用できる、東京都独自の助成金をご紹介します。

参考:厚生労働省 がん患者の就労や就労支援に関する現状

2.「東京都難病・がん患者就業支援奨励金」とは?


「東京都難病・がん患者就業支援奨励金」とは、難病やがん患者の方が職場で安心して活躍できるような環境整備を目的としてできたものです。
難病やがん患者の方が、新規雇入れ、雇入れから職場定着、発症時や再発時における求職~職場復帰、復職~就業継続といった各場面において、治療と仕事の両立を積極的に行った事業者に対して支給される奨励金です。

参考:東京都産業労働局 平成29年難病・がん患者就業支援奨励金申請の手引き

3.支給対象疾病患者

この奨励金の支給対象者は、次の(1)(2)のうち、いずれかの該当が必要です。

(1)難病患者

次のいずれかに該当し、医師から疾患やその治療により就業時の配慮を求められている者。

①難病の患者に対する医療等に関する法律(第5条第1項)に規定する指定難病にかかっている者

②東京都難病患者等に係る医療費等の助成に関する規則(別表第1医療費等の助成に関する規則の一部を改正する規則附則第3項)に規定する疾病にかかっている者

③障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律(第4条第1項)に規定する治療方法が未確立またはその他の特殊な疾病にかかっていて、障害の程度が厚生労働大臣の定める程度である者

(2)がん患者

医師から悪性新生物にかかっていると判断された者であり、次のいずれかに該当するもの。

がん患者であって、医師から疾患やその治療により就業時の配慮を求められている者

15歳以下の小児期にがん患者であり、医師からそのがん疾患が原因で生じた合併症や後遺症とその治療により就業時の配慮を求められている者

4.採用奨励金

(1)概要

「採用奨励金」とは、難病やがん患者を、治療と仕事の両立に配慮して新たに雇入れ、継続就業に必要な支援を行う事業主対して支給される奨励金です。※企業規模は問いません。

(2)対象事業主

「採用奨励金」の支給対象となる、主な事業主要件は次の①~④です。

平成29年6月1日以降に、都内ハローワークに登録があり、求人申込により求人の募集を行っていること

② ①の求人募集から都内ハローワークの紹介で、週所定労働時間が10時間以上の労働者として新たに雇入れたこと

③ ②により雇入れた労働者を、雇入れ日および支給申請日において東京都内の事業所に勤務させていること

④治療と仕事の両立に向けて、就業時に必要な配慮事項を定めた支援計画を策定し、6カ月以上雇用を継続すること

在宅勤務制度利用の労働者も利用可能!

在宅勤務・サテライトオフィス勤務等のテレワーク制度利用の労働者の場合は、雇用管理の行われている所属の事務所又は事業所に勤務させていること。

その他の詳しい要件は、申請の手引きからご確認ください。

(3)支給額

①週所定労働時間20時間以上勤務     ・・・60万円/人
②週所定労働時間10時間以上20時間未満勤務・・・40万円/人

5.雇用継続助成金

(1)概要

①雇用継続助成金(復職支援)

難病・がんの発症等により1ヵ月以上の休職をした労働者を、治療と仕事の両立に配慮して復職させ、継続就業に必要な支援を行う中小企業事業主に支給される助成金です。

②雇用継続助成金(制度導入加算)

上記①の復職時に併せて、治療と仕事の両立に配慮した勤務・休暇制度などを新たに導入する事業主に助成金が加算されます。

(2)事業主要件(復職支援)

「雇用継続助成金(復職支援)」の支給対象となる、主な事業主要件は次の①~③です。

①下表に該当する中小企業事業主であること

平成29年6月1日以降に、復職した労働者であること

週の所定労働時間20時間以上で継続して雇用している労働者を、医師の診断・意見に基づき、難病・がんの発症や再発による治療のため、1カ月以上途中で離職させることなく、休職(休ませた)後、原則として、週所定労働時間10時間以上、6カ月以上継続雇用させること

④職場復帰させた労働者を、職場復帰から就業を継続するにあたり、医師の診断・意見と労働者の同意を得た上で、復職支援計画書を策定すること

⑤復職した労働者が東京都内の事業所に勤務していること

(3)事業主要件(制度導入加算)

雇用継続助成金(制度導入加算)の対象事業主は、(2)事業主要件(復職支援)要件を満たしている必要があります。
支給対象労働者の職場復帰に併せて、仕事と治療の両立に向けて、次の①~②措置を新たに導入し、労働協約または就業規則に明記し、運用することが必要です。

①就業に関する制度

ア:フレックスタイム制度
イ:通勤緩和制度
ウ:在宅勤務、サテライトオフィス等のテレワーク制度

②休暇に関する制度

ア:病気有給休暇制度
イ:通院有給休暇制度
ウ:時間単位での年次有給休暇制度

その他の詳しい要件は、申請の手引き からご確認ください。

(4)支給額(①+②:最大60万円)

①雇用継続助成金(復職支援)   ・・・30万円
②雇用継続助成金(制度導入加算) ・・・上記①に加算して、1制度導入で10万円 最大30万円

6.手続きの流れ

(1)採用奨励金の場合

(2)雇用継続助成金の場合

7.申請先

東京都産業労働局 雇用就業部 就業促進課 障害者雇用促進担当 が受付窓口です。
〒163‐8001
東京都新宿区西新宿2‐8‐1 東京都庁第一本庁舎31階北側
電話:03‐5321‐1111
受付時間:平日9時~12時、13時~17時まで

提出方法は、郵送または持参です。
郵送の場合、記録の残る簡易書留等の方法で送付してください。

8.まとめ


いかがでしたか?
近年は、がんの早期発見や治療法の進歩により、働く意欲や能力のある患者・経験者も多く、仕事と治療を両立できるケースも増えてきていますが、受入体制が整備されていないために、仕事の継続や再就職が困難というのが現状です。
医療の進歩に伴い、がんは「不治の病」から「長く付き合う病」へと変化していることから、仕事を続けられる環境さえ整えることができれば、離職を余儀なくされるケースも防ぐことができます。
高齢化の影響もあり、何らかの病気を持ちながら働く人が増えてきています。
仕事と治療の両立支援をすすめるためにも、安心して働ける就労環境の整備を検討してみませんか?

参考:東京都産業労働局「東京都難病・がん患者就業支援奨励金」