キャリアアップ助成金とは?わかりやすく解説【全コース支給額比較表付き】

キャリアアップ助成金とは、有期契約労働者や短時間労働者、派遣労働者などの正社員ではない労働者の労働意欲や能力を向上させ、優秀な人材確保を目的とした厚生労働省の助成金になります。

コースが複数に分かれておりそれぞれの申請方法や助成額、事前に必要な手続き等などを今回まとめてご紹介してまいります。

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは、一言でいうと「非正規労働者」の正社員化、人材育成、処遇改善などの取組に対して助成される制度です。

最近は人手不足というこで、求人市場などでは求職者は売り手市場ともいわれていますが、実際採用する企業側としては、転職が徐々に当たり前になりつつある日本において、採用リスクを最低限にしながら優秀な人材を育成、確保していくためにこの助成金制度を利用していきたいとものです。

また雇用されている非正規労働者である、有期契約労働者(契約社員)、短時間労働者(パートタイマ―)、派遣労働者(派遣社員)なども働きなれている企業でのキャリアアップを目指すためにも企業に活用してもらいたい助成金でもあります。

キャリアアップ助成金の7つのコース

通年で利用できるキャリアアップ助成金は毎年4月に内容が変更されコースが追加されていたり、適用範囲が拡充されたりなどしていますが、現在2019年11月時点では7つのコースに分かれています。

  1. 正社員化コース
  2. 賃金規定等改定コース
  3. 健康診断制度コース
  4. 賃金規定等共通化コース
  5. 諸手当制度共通化コース
  6. 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  7. 短時間労働者労働時間延長コース

以上の7つがあります。それぞれの詳しい内容についてはポイントについてはリンク先にて紹介しておりますのでご確認ください。

コースごとにおける助成金の目的は以下のようになっています。

コース名 目的
正社員化コース 非正規雇用者の正規雇用への転換
賃金規定等改定コース 非正規雇用者等の賃金改定
健康診断制度コース 非正規雇用者に対して健康診断以外の一定の健康診断制度を新たに規定
賃金規定等共通化コース 非正規雇用者・正規雇用者の職務等に応じた賃金規定の共通化
諸手当制度共通化コース 非正規雇用者・正規雇用者と諸手当の制度の共通化
選択的適用拡大導入時処遇改善コース 非正規雇用者の社会保険の適用拡大や基本給の増額
短時間労働者労働時間延長コース 非正規雇用者における労働時間の延長と社会保険適用

キャリアアップ助成金の受給要件

キャリアアップ助成金の受給要件については、まずいかの中小企業事業主であることとなっています。

資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 または 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

資本金もしくは常時雇用している従業員の数により判定しています。またこの常時雇用されている従業員、労働者の数は2か月以上雇用されている人数になります。

その他に支給要件として全コース共通の要件がこちらです。

  • 雇用保険適用事業所の事業主
  • 雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている事業主
  • 雇用保険適用事業所ごとに対象労働者に対してキャリアアップ計画を作成し管轄労働局庁の受給資格の認定をうけた事業主であること
  • 対象労働者に対する賃金の支払い状況を明らかする書類を整備していること
  • キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

雇用保険適用の事業所であるということが一番のポイントですが、どうじにキャリアアップ管理者の設置とそれに対しての計画および計画の実行の有無が大切になってきます。

キャリアアップ助成金の支給額および上限

キャリアアップ助成金のそれぞれのコースにおける支給額は以下のようになっていますのでご確認ください。

※1.すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
※2.一部の賃金規定等を2%以上増額改定した場合

選択的適用拡大導入時処遇改善コースにおいては、令和2年の3月までの暫定措置となっている状況です。また短時間労働者労働時間延長コースにおいても令和2年の3月まで上限人数が緩和されている状況です。

詳細は各コースの記事をご確認ください。

  1. 正社員化コース
  2. 賃金規定等改定コース
  3. 健康診断制度コース
  4. 賃金規定等共通化コース
  5. 諸手当制度共通化コース
  6. 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  7. 短時間労働者労働時間延長コース

キャリアアップ助成金の支給までの流れ

キャリアアップ助成金の支給までの大まかな流れは、キャリアアップ計画の作成を行い担当労働局もしくはハローワークへに計画を提出します。

その後、正社員化コースかそれ以外でフローが多少ことなりますが、正社員化コースの場合は就業規則等の改定を転換規定がない場合に行います。その後、就業規則等に基づき正規雇用へと転換し、半年の賃金を支払います。(※正社員化後に5%以上の賃金増額がある必要があります。)

半年後に支給申請を労働局に行い審査され支給が行われます。

処遇等の改善関連の他コースは、規定の取組を行い半年間の賃金の支払いが行われた後に支給申請が行われます。

  1. キャリアアップ計画の作成
  2. 労働局・ハローワークへの提出・許可をもらう
  3. 就業規則等の変更および周知
  4. 転換後半年間の賃金の支払い(5%要件)
  5. 支給申請

キャリアアップ助成金における注意点

それぞれのコースにおいて、さまざまな要件がありますが、以下の点に注意しなければ不支給となるので注意しておきましょう。

  • 実地調査等への協力:支給決定後に帳簿等の確認を求める場合があります。
  • 提出書類の差し替えや訂正はできません
  • 申請書類に疑義がある場合に該当地区労働局長が指定した期日までに書類の追加提出・補正
  • 不正受給があった事業者は5年以内は助成金は受給できません
  • 不正が発覚した場合には助成金を返還、なお受給日の翌日から返還終了までの期間の延滞金および返還額の20%が違約金として課せられます
  • 審査に時間がかかる場合があります
  • 支給決定後5年間保存している必要があります。
  • 2つのコースの要件を満たしていたとしても1つしか支給されないことがあります

といった注意事項がございますので注意してください。特に不正受給に関しての罰則は厳しく、延滞料金や違約金だけでなく、申請代理人にもその変換の連帯責務が科せられます。

キャリアアップ助成金の支給に必要な計画とは?

申請に重要なキャリアアップ計画を作成するにあたり重要になってきるのが、「有期契約者等のキャリアアップに関するガイドライン」に沿って計画を作成する必要があります

キャリアアップ計画を作成するにあたって重要な点として

  • 3年以上5年以内の計画期間の設定
  • キャリアアップ管理者の設置
  • 計画対象者、目標、期間、目標達成のための取組
  • すべての労働者の代表者の意見

以上の5つがあります。

キャリアアップ計画書の作成例として、6つの項目は作成しておきましょう。

  1. 計画期間
  2. 計画期間中に講じる措置の項目(申請する対象コース)
  3. 対象者(申請コースごとに記載)
  4. 目標(申請コースごとに記載)
  5. 目標を達成するための具体的な取組(申請コースごとに記載)
  6. 計画全体の流れ・フロー(申請コースごとに記載)

以上がキャリアアップ助成金の大まかな計画の制作方法になります。

キャリアアップ助成金と人材開発支援助成金の違いについて

キャリアアップ助成金という名前のため、対象者のキャリアアップを助成するためのものとして人材開発支援助成金とも混同されることがありますが、大きく違う点は対象者の雇用形態が異なる点です。

  • キャリアアップ助成金 → 非雇用労働者
  • 人材開発支援助成金 → 正規雇用労働者

となります。会社全体でキャリアアップを図る事業計画をすすめるのであれば、両方の助成金を利用して効率的に生産性を高め、事業の活性化に活かせるのではないでしょうか。