わかりやすく人材開発支援助成金とは?支給申請するために知っておきたい基本情報【2019年変更点 追記しました。】

最低労働賃金の引上げが全国的に行われていく中、人材不足といった様々な問題に対峙している企業は、採用活動と同時に新入社員研修や雇用に対応できる補助金や助成金を申請したいと関東しているのではないでしょうか。今回は、研修をして助成金がもらえる「人材開発支援助成金」をご紹介したいと思います。

1.人材開発支援助成金とは?

机上研修(OFF-JT)や実施研修(OJT)等を通して人材育成に励む事業主などへ、研修における経費や研修期間中の賃金の一部を助成することにより人材育成を支援する制度です。
大きく7つのコースに分けられています。

1.特定訓練コース
2.一般訓練コース
3.教育訓練休暇付与コース
4.特別育成訓練コース
5.建設労働者認定訓練コース
6.建設労働者技能実習コース
7.障害者職業能力開発コース

2018年4月1日より、キャリアアップ助成金や建設労働者確保育成助成金、障害者職業能力開発助成金などにわかれていた研修系の助成金が、この人材開発支援助成金へ整理統合されました。また厚生労働省の発表によりますと、平成31年4月1日からの主な変更は以下の通りです。

【平成31年4月1日からの主な改正内容】

  1. 教育訓練休暇付与コースに、長期の教育訓練休暇制度を導入しました。
  2. 一般訓練コース、特別育成訓練コースにおける生産性要件の適用について、実績主義から成果主義に変更しました。また、教育訓練休暇付与コースのうち新設の長期教育訓練休暇制度の当該要件についても、成果主義が適用されます。
  3. eラーニングを含む通信制の訓練(一般教育訓練給付指定講座に限る。)について、一般訓練コース、特別育成訓練コース(一般職業訓練)における経費助成の対象訓練に追加しました。
  4. 一般訓練コース、教育訓練休暇付与コースの助成対象事業主に中小企業以外の事業主を追加しました。
  5. 東日本大震災にかかる暫定措置について、適用対象地域が福島県のみとなります。
  6. 特定訓練コースのOJT訓練を行う際に提出するカリキュラムの項目を明確化しました。
  7. 訓練を行う者が不正受給に関与した場合についても雇用関係助成金の不支給措置の対象となることに伴い、当該不支給措置を受けること等について訓練を行う者が承諾する旨の書類(支給申請承諾書)を支給申請時に提出することとなりました。

大きな変更点は、社員が自発的に訓練を受けるために数日間以上の休暇制度を導入する際に活用できる「教育訓練休暇付与コース」に、数ヶ月以上の長期休暇を対象とする「長期教育訓練休暇制度」が新設されました。最低でも120日以上の休暇を付与する制度であることが必要というものです。

また、特定訓練コース・一般訓練コースに関し、訓練実施機関が不正に関与していないとする書類として「訓練様式第13号(支給申請承諾書)」が増えました。こちらは訓練実施者に記入してもらう必要があります。

1.特定訓練コース

OJT(実地研修)とOFF-JT(机上研修)が組み合わさった研修コースです。
OJTとOFF-JT、OFF-JTにかかった経費のそれぞれに助成金が出ます。
OJTによる実施が要件となっている訓練を行う際に提出するカリキュラムの項目が明確化されました。(訓練参考様式第1号)実施時期、職務名、職務の内容、時間、実施場所、訓練担当者などエクセルシートに記入します。

対象

・中小企業以外
・中小企業
・事業主団体等

助成内容

・労働生産性の向上に直結する訓練
・若年労働者への訓練
・技能承継等の訓練
・グローバル人材育成の訓練
・雇用型訓練

助成率・助成額

・OFF-JT
経費助成:45(30)%
賃金助成:760(380)円/時・人
・OJT<雇用型訓練に限る>
実施助成:665(380)円/時・人

※生産性要件を満たす場合
・OFF-JT
経費助成:60(45)%
賃金助成:960(480)円/時・人
・OJT<雇用型訓練に限る>
実施助成:840(480)円/時・人

2.一般訓練コース

特定訓練コース以外が対象となる研修コースです。
一般訓練コースは、OFF-JT(机上研修)のみに助成金が出ます。

対象

・中小企業
・事業主団体等
・大企業(※追加)

助成内容

・他の訓練コース以外の訓練
通信制等(e-ラーニングを含む)により実施される訓練(一般教育訓練
給付指定講座に限る)が助成対象(経費助成のみ)に追加されました。

助成率・助成額

・OFF-JT
経費助成:30%
賃金助成:380円/時・人

※生産性要件を満たす場合
・OFF-JT
経費助成:45%
賃金助成:480円/時・人
生産性要件の適用について実績主義から成果主義に変更になりました。訓練開始年度の前年度とその3年後の生産性を比較します。
例: 訓練開始が2019年度の場合 → 2018年度の生産性と2021年度の生産性を比較します。

3.教育訓練休暇付与コース

有給教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得して訓練を受けた場合に助成金が出ます。
これは定額での支給で、生産性要件(※)を満たした場合は36万円、満たさなかった場合は30万円になります。
2019年4月1日から教育訓練休暇付与コース内に「長期教育訓練休暇制度」が新設されました。この制度は3年間の制度導入・適用計画期間内に、教育訓練休暇取得開始日より1年の間に、所定労働日において120日以上の当該休暇を付与した事業主に対して助成を行う制度です。

対象

・中小企業
助成対象に中小企業以外(大企業)が追加されました。

助成内容

・有給教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得して訓練を受けた場合に助成

助成率・助成額

定額助成:30万円

※生産性要件を満たす場合
定額助成:36万円

新設の「長期教育訓練休暇制度」は定額の導入助成と、有給による休暇取得に対する1人1日あたりの賃金助成があります。生産性要件は成果主義(訓練開始年度の前年度とその3年後の生産性を比較)です。

4.特別育成訓練コース(旧キャリアアップ助成金人材育成コース)

昨年度までキャリアアップ助成金の人材育成コースとして実施されていたコースです。
今年度から人材開発支援助成金と整理統合されています。
OJT、OFF-JTともに助成の対象になります。

対象

・中小企業以外
・中小企業

助成内容

・一般職業訓練
・有期実習型訓練
・中小企業等担い手育成訓練
eラーニングを含む通信制の訓練(一般教育訓練給付指定講座に限る。)が助成対象(経費助成のみ)に追加されました。

助成率・助成額

・OFF-JT
経費助成:実費(※4)
賃金助成:760(475)円/時・人

・OJT<一般職業訓練を除く>
実施助成:760(665)円/時・人

※生産性要件を満たす場合
・OFF-JT
経費助成:実費
賃金助成:960(600)円/時・人

・OJT<一般職業訓練を除く>
実施助成:960(840)円/時・人
生産性要件の適用について実績主義から成果主義に変更になりました。

5.建設労働者認定訓練コース(旧建設労働者確保育成助成金)

昨年度まで建設労働者確保育成助成金として実施されていたコースです。
訓練にかかった経費と賃金の一部が助成されます。

対象

・中小建設事業主
・中小建設事業主団体(経費助成のみ)

助成内容

・能開法による認定職業訓練または指導員訓練のうち、建設関連の訓練を実施した場合について助成

助成率・助成額

経費助成(訓練を実施した場合):補助対象経費の16.7%
賃金助成(雇用する建設労働者に訓練を受講させた場合):4,750円/日・人

※生産性要件を満たす場合
賃金助成(雇用する建設労働者に訓練を受講させた場合):6,000円/日・人

6.建設労働者技能実習コース(旧建設労働者確保育成助成金)

こちらも、昨年度まで建設労働者確保育成助成金として実施されていたコースです。
中小建設事業主とそれ以外とで、助成内容が異なります。

対象

・中小建設事業主、中小建設事業主団体(※支給対象:男性・女性労働者)
・中小以外の建設事業主、中小以外の建設事業主団体(※支給対象:女性労働者のみ)

助成内容

・安衛法による教習、技能講習、特別教育
・能開法による技能検定試験のための事前講習
・建設業法による登録基幹技能者講習

助成率・助成額

  1. 中小建設事業主
    20人以下:
    経費助成 75%
    賃金助成 7,600円/日・人
    21人以上:
    経費助成 35歳未満 70% 35歳以上 45%
    賃金助成 6650円/日・人
  2. 中小以外の建設事業主
    経費助成 60%
  3. 中小建設事業主団体
    経費助成 80%
  4. 中小以外の建設事業主団体
    経費助成 66.6%

※生産性要件を満たす場合

  1. 中小建設事業主
    20人以下:
    経費助成 90%
    賃金助成 9,600円/日・人
    21人以上:
    経費助成 35歳未満 85% 35歳以上 60%
    賃金助成 8,400円/日・人
  2. 中小以外の建設事業主:経費助成 75%

7.障害者職業能力開発コース

前年度、障害者職業能力開発助成金として実施されていたコースです。
施設や運営費に対して助成が出ます。

対象

・事業主又は事業主団体

助成内容

・障害者職業能力開発訓練施設等の設置等
・障害者職業能力開発訓練運営費(人件費、教材費等)

助成率・助成額

・施設等
3/4(上限額:5,000万円、更新の場合は1,000万円)

・運営費
4/5(上限額:1人当たり17万円)

2.生産性要件とは

「生産性=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課/雇用保険被保険者数」で計算されます。
コースによって、生産性要件が異なります。

1.特定訓練コース・一般訓練コース・教育訓練休暇付与コースのうち、長期教育訓練休暇制度・特別育成訓練コース

訓練開始日が属する会計年度の前年度の生産性とその3年度後の会計年度の生産性を比べて6%以上伸びていること

2.教育訓練休暇付与コースのうち、教育訓練休暇制度

助成金の支給申請を行う直近の年度における「生産性」が下記のいずれかに当てはまる場合。
①その3年度前に比べて6%以上伸びていること
②その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること

参考:厚生労働省 人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース)ページ

3. まとめ

人材開発支援助成金は、人材育成に励む事業主などへ、研修における経費や研修期間中の賃金の一部を助成することにより人材育成を支援する制度です。
今年度より他の助成金で運営されていた研修系の助成金が、人材開発支援助成金へ整理統合されました。

また、今年の4月より、生産性要件がコース毎に一部定義が異なっています。

雇用保険に加入していることや、正規労働者(有期労働者ではない)であることが条件など申請する際には幾つか注意点もあるため、不明点があれば確認の上、申請をするようにしてください。
是非制度を上手く活用し、個人の成長、会社の成長にも繋げてみてくださいね。

今年は、生産性要件の適用について、成果主義への変更が多くみられました。またe-ラーニングなどの通信制の訓練が助成対象に追加された点は、近年時間や場所を限らずに学べる機会が増えてきたこともあり、ニーズに沿った変更といえるでしょう。「長期教育訓練休暇制度」の新設や、対象となる企業が増えたコースもありますので、さまざまな成長のチャンスを得られるよう、人材開発支援助成金をうまく活用してみてはいかがでしょうか。

>助成金・補助金でお困りなら、まずは無料診断!

その他、補助金ポータルでも、ご相談等受け付けております。
不明点など何でもお気軽にご連絡ください。
https://hojyokin-portal.jp/inquiry/