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65歳以上の定年引上げなど高年齢者の雇用整備でもらえる「65歳超継続雇用促進助成金」とは

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先日の記事で、中高年齢者(40歳以上)の方が、開業・起業を行う場合、または開業・起業を開始して間もない場合のいずれかに当てはまるとき、従業員の採用や募集活動・就業規則の策定などにかかる費用の一部が助成される「生涯現役起業支援助成金」をご紹介しました。
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40歳以上で起業するともらえる助成金!「生涯現役起業支援助成金」とは?

わが国では高齢化が進み、2015年には全人口に占める65歳以上の人口割合が26.7%に達しています。さらに2060年には39.9%と4割に届く見込みがあることや、少子化の進行による中長期的な労働人口の減少も考えられます。
そのため生涯現役社会の実現に向けて、高年齢者が社会の担い手として活躍していくことが重要であり、意欲と能力があれば65歳までに限らず、65歳を超えても働ける社会の実現にむけた取り組みが求められています。

今回は、生涯現役社会の実現に向けて、高年齢者が年齢に関わりなく働ける職場づくりに取り組む事業主の方が受給できる助成金をご紹介します。

この記事の目次

1.65歳超雇用推進助成金とは


「65歳超雇用推進助成金」とは、生涯現役社会の実現に向けて、65歳以上への定年引き上げ等や高年齢者の雇用環境整備、高年齢の有期契約労働者を無期雇用に転換した事業主に対して助成するもので、高年齢者の長年培った知識・経験を活かした雇用促進を図ることを目的としています。

また、この助成金は次の3コースに分けて申請手続きを行うことが可能です。
①65歳超継続雇用促進コース
②高年齢者雇用環境整備支援コース
③高年齢者無期雇用転換コース
※1事業主1回限りの支給

2.65歳超継続雇用促進コース


(1)支給要件

次のA~Cのうち、いずれかを導入した事業主に対して助成を行うコースです。

A)65歳以上への定年引上げ
B)定年の定めの廃止
C)希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入

(2)支給額

「対象被保険者数」および「定年の引上げ年数」に応じて、次に定める額が支給されます。

(3)支給対象者

65歳超継続雇用促進コースの支給対象となるのは、次に該当する被保険者です。

①制度を規定した際に、1年以上雇用されている60歳以上の雇用保険加入者がいること
②「期間の定めのない労働契約を締結する労働者」または「期間の定めのない労働契約の定年後に継続雇用制度により引き続き雇用されている者」であること
③職種別(事務職、専門職)に就業規則等を定めている場合は、定年の引上げ等の制度を規定した就業規則等の対象職種の者であること

(4)注意点

①専門家等への依頼、または相談をすること

制度導入にあたり経費を要していなければ助成対象にはならないため、以下のような相談や委託が必要です。
・専門家等(社会保険労務士、弁護士など)への依頼を行い就業規則の改定等の委託を行う
・労働協約により定年引き上げ等の制度を締結するため、コンサルタントに相談し経費を支出する

②制度規定後には、改定後の就業規則を管轄労働基準監督署へ届出すること

今回の助成事業では、従業員が10人未満の会社でも改定後就業規則を労働基準監督署へ届け出が必要です。

③制度を規定した際に、1年以上雇用されている60歳以上の雇用保険加入者がいること

短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除き、期間の定めのない労働契約を締結する労働者、または定年後に継続雇用制度により引き続き雇用されているものに限ります。

④高年齢者雇用安定法8条または第9条第1項の規定に違反していないこと

⑤高年齢者雇用環境整備措置の実施に必要な許認可等を受けていること

(5)申請方法

制度の実施日の翌日から起算して2カ月以内に、事業所の主たる雇用保険適用事業所の所在する都道府県の支部高齢・障害者業務課に書面を提出してください。

申請先:都道府県別 支部高齢・障害者業務課一覧

3.高年齢者雇用環境整備支援コース


(1)支給要件

高年齢者向けの機械設備の導入や雇用管理制度の整備等について、対象となる以下措置を実施し、高年齢者を積極的に活用する事業主に対して助成を行うコースです。(実施期間:2年以内)

A)高年齢者向けの機械設備、作業方法、作業環境の導入・改善を行い高年齢者の雇用機会の拡大を行うこと

高年齢者の職業能力を十分に発揮できるようにする作業手順書の作成、身体的機能の低下を補完し、負担の軽減を図り、安全に働ける作業環境の改善を行う

B)高年齢者の雇用管理制度の整備を行うこと

高年齢者の意欲および能力に応じた適正な配置および処遇を行うため次の処遇が対象です。
・適正な配置、および処遇を行うための賃金制度・能力評価制度の導入
・負担を軽減するための在宅勤務制度の導入
・法定の健康診断以外の健康管理制度(人間ドックまたは生活習慣病予防検診)の導入

(2)支給額

助成上限額1,000万円
以下のA・Bのいずれか低い額が支給されます。
なお、生産性要件を満たしている場合は、<>の割合または額が支給金額です。

(A)支給対象経費の60%<75%>(中小企業事業主以外は45%<60%>)
(B)高年齢者雇用環境整備措置の対象となる、1年以上雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者1人につき28万5千円<36万円>を乗じた額

(3)申請方法

雇用環境整備計画の開始日から起算して6カ月前の日から3か月前の日までに、事業所の主たる雇用保険適用事業所の所在する都道府県の支部高齢・障害者業務課に書面を提出してください。

申請先:都道府県別 支部高齢・障害者業務課一覧

4.活用事例

事例①情報サービス業/賃金・人事処遇制度の導入


1.現状・問題点

定年60歳、希望者全員65歳までの継続雇用制度を実施していますが、該当者が少なかったため定年後の再雇用規定が整備されておらず、賃金も体系化されていません。
→定年後の高齢従業員の処遇を明確にするため、再雇用規定の整備が必要。

2.取組内容

定年後の高年齢従業員を適正に処遇するための制度設計を専門家に委託し、就業規則の改定、再雇用に関する規定を整備しました。

3.取組の効果

再雇用規定が整備されたことにより、定年後の高齢従業員の処遇が明確になり、定年後も高齢従業員が意欲を持って働ける環境を整えることができました。

4.支給金額モデル

≪支給額のおさらい≫
「高年齢者雇用環境整備支援コース」の助成上限額は1,000万円、次のA・Bのいずれか低い額が支給されます。
(A)支給対象経費の60%<75%>(中小企業事業主以外は45%<60%>)
(B)高年齢者雇用環境整備措置の対象となる、1年以上雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者1人につき28万5千円<36万円>を乗じた額

上記計算式を今回のモデルケースで計算すると、
(A)助成金の対象となる経費
a専門家委託費(健康管理制度導入)・・・10万円
bみなし費用※         ・・・30万円
※雇用管理制度の導入での申請1回目は委託費の実費に関わらず30万円、2回目以降は実費が支給対象です。
対象経費の合計(a+b)=30万円
★30万円×60%(生産性を満たさない中小企業の場合)=18万円・・①
※「生産性要件を満たす中小企業の場合、(A)は支給対象経費の75%の額で計算
(B)措置の対象となる被保険者
・導入した制度に基づき、雇用管理を実施した、1年以上雇用される60歳以上の被保険者数=1人
★1人×28.5万円=28.5万円・・②
※「生産性要件を満たす中小企業の場合、(B)は1人当たり36万円の額で計算
(c)支給額
①と②のうち、少ない方の金額=①
支給額:18万円

事例②情報サービス業/短時間勤務制度の導入


1.現状・問題点

定年60歳から65歳へ引上げを検討していますが、体力やライフスタイルに応じた勤務を希望する高齢従業員の声もあがっているため、定年引き上げとあわせて柔軟な労働時間制度の導入を検討したい。

2.取組内容

60歳以上の高齢従業員を対象にした、短時間勤務制度を導入し、就業規則の改定を社会保険労務士に委託した。

3.取組の効果

高齢従業員が希望する労働時間で働ける制度が整備されたことにより、定年の引上げ後も高齢従業員が安心して働ける環境を整えることができた。

4.対象外の制度例

・法令上で事業主の義務づけられた制度(介護休暇等)の導入
・労働協約または就業規則に規定されていない制度の導入、または改善(社内規定のみに定められた制度)
・高年齢者以外の従業員にも適用され、高齢従業員に対して拡充して適用される規定のない制度(短時間勤務が同じ条件で全従業員に認められる場合など)

参考:65歳超雇用推進助成金活用事例集

5.高年齢者無期雇用転換コース


(1)支給要件

50歳以上、かつ、定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用に転換させた事業主に対して助成を行うコースです。

A)無期雇用転換計画の認定

「無期雇用転換計画」を計画開始の3か月前の日までに作成し、(独)高齢・生涯・求職者雇用支援機構理事長に提出してその認定をうけること

B)無期雇用転換措置の実施

A)の無期雇用転換計画に基づき、計画の実施期間中に、高年齢の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換すること

(2)高年齢者の雇用管理に関する措置とは

高年齢者無期雇用転換コースでは、有期契約労働者を無期雇用労働者に転換する制度を労働協約、または就業規則などに規定している事業主が対象です。
そのため、高年齢者雇用推進者の選任および次のa~gまでの高年齢者雇用管理に関する措置を1つ以上実施している事業主であることが必要です。

a)職業能力の開発および工場のための教育訓練の実施等
b)作業施設・方法の改善
c)健康管理・安全衛生の配慮
d)職域の拡大
e)知識、経験等を活用できる配置、処遇の改善
f)賃金体系の見直し
g)勤務時間制度の弾力化

(3)支給額

対象労働者1人につき48万円(中小企業事業主以外は38万円)
※生産性要件を満たす場合には、対象労働者1人につき60万円(中小企業事業主以外は48万円)

(4) 支給対象者

高年齢者無期雇用転換コースの支給対象となるのは、支給対象事業主に雇用される期間が転換日において通産して6カ月以上で50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者です。

また、次のいずれにも該当する者であることが必要です。
①労働契約法第18条に基づき、労働者からの申込により無期雇用労働者に転換した者でないこと
②無期雇用労働者として雇用することや約束して雇い入れられた有期契約労働者でないこと
③当該転換日から過去3年以内に、申請する事業主の事業所において無期雇用労働者として雇用されたことがないこと
④支給申請日において離職していないこと

(5)注意点

①制度を規定した際に、1年以上雇用されている60歳以上の雇用保険加入者がいること
②高年齢者雇用安定法8条または第9条第1項の規定に違反していないこと
③無期雇用転換計画認定通知書の交付を受けていること
④転換した無期雇用労働者を65歳以上まで雇用する見込みがある事業主であること

(6)申請方法

無期雇用転換計画の開始日から起算して6カ月前の日から2カ月前の日までに、主たる事務所または転換の実施に係る事業所の所在する都道府県の支部高齢・障害者業務課に提出してください。

申請先:都道府県別 支部高齢・障害者業務課一覧

6.まとめ


いかがでしたか?
高齢化社会が進む現在、元気なうちは定年後も働きたいという人も多く存在しているのではないでしょうか。助成金を活用して雇用の年齢幅を広げ、労働環境を整備することで現在働いている定年が近い従業員の方や、求職中の高年齢者の方が安心して働くことができる雇用環境を整えることができます。

現在定年を設けている企業の方も、この助成金を活用して、高年齢の従業員の雇用や働き方についての制度整備を検討してみませんか?

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