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人事評価の見直しで助成金がもらえる?「人事評価等改善助成金」について調べてみた

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この記事の目次

1.「年功序列」「成果主義」軍配をあげたのは?

“年功序列での昇格を望む割合が過去最高42.3%を記録“

この数字に対して、あなたはどのように感じますか?
この調査は、(公団)日本生産性本部が新入社員プログラム等への参加者に行っているアンケート
結果の一部を抜粋したものです。
筆者の完全なる独断ですが、これから社会に出る若者たるもの「会社で一旗あげるぞ!」と、
先輩をなぎ倒すくらい鼻息荒いフレッシュマンが多数を占めているのかと思っていたので、
この結果に衝撃を覚えました。
参考:(公団)日本生産性本部 2016年度 新入社員春の意識調査


「年功序列制度」とは、勤続年数や年数に応じて賃金・役職が上昇する人事制度です。
そのため、勤続年数が浅かったり年齢の若い人たちにとって、どれほど実力があり成果を上げても給料はなかなか上がりません。年齢を重ねるほど給与があがるということは、将来設計も立てやすく安心ではありますよね。でも、少し考えてみてください。
毎日一生懸命仕事をしている中で、隣席の年配社員が一日とくになんの成果もあげずに過ごしているのを、あなたが毎日見ているとしたらどのように感じますか?モチベーション下がりますね。
仕事ってこんなもんでいいんだ、というやっつけ感も生まれてきそうです。

年功序列制度と相対する「成果主義」とは、能力や会社の貢献度によって賃金や役職がきまる人事制度です。若い人であっても十分にレベルの高い仕事に従事している場合は、きちんと評価され、賃金の支払いがされるべきだと思いませんか?

今回は、人事評価制度と賃金制度整備を行う事業主が受け取ることができる助成金を紹介します。
少子化の加速にともない、若者の数が少なく、年長者が増えてくると考えられています。
助成金が活用できる今、会社全体の人件費の見直しのためにも導入を検討してみませんか?

2.「人事評価等改善助成金」とは?

「人事評価改善助成金」とは、正規労働者の生産性向上のために人事評価制度と賃金制度の整備を通じて、生産性の向上、賃金アップおよび離職率の低下を目的とした助成金です。

参考:厚生労働省 人事評価改善助成金

3.助成額と支給要件


申請するためには、次の(1)(2)コースの実施が必要です。

(1)制度整備助成・・・50万円

①人事評価制度を年1回以上行う
②賃金アップを含む賃金制度の整備を行い、就業規則等に規定する

(2)目標達成助成・・・80万円

(1)制度整備助成の実施項目に加えて、次の①~③の実施が必要です。
①生産性の向上
②賃金の2%アップの見込み
③離職率低下目標の達成

(2)目標達成助成については、「生産性向上を満たすこと」「離職率低下の目標達成」が支給必須要件です。今回は比較的取組みやすい、(1)制度整備助成についてご紹介していきます。

4.事業主要件、人事評価制度について


「制度整備助成」の主な事業主要件・人事評価制度は、以下を満たす事業者が対象です。

(1)事業主要件

・雇用保険の適用事業主であること

(2)事業主が整備すべき人事評価制度とは?

①すべての正規労働者等を対象とする制度であること

正規労働者等は、次のすべてに該当する労働者を言います。
・事業主に直接雇用される者
・雇用保険の被保険者であること
・事業主の事業所における正規労働者と位置づけられている者
・社会保険適用事業所に雇用の場合は、社会保険の被保険者であること

②賃金規定、賃金表を定めていること

③人事評価制度に基づく評定と、賃金(諸手当、賞与を含む)との関係が明確であること

④評価対象と基準(資格・成果・業績など)が明確で、労働者へ開示していること

労働者個人の意思によって向上させることができることが可能な項目を対象としています。
年齢・勤続年数のみで評価が決定されるような、年功序列制度ではないことが必要です。

⑤毎月決まって支払われる賃金の額が1年後に2%以上増加する見込みであること

“1年後に2%以上増加する見込み”の場合については、具体的な数字を用いて説明していきます。

ある新入社員の初任給が20万円だったとします。20万円の2%は4,000円ですね。
2017年10月時点で20万円の給与は、1年後2018年10月と比較したとき2%以上増加している必要があるので、1年後には20万4,000円へアップしていることが必要です。
ちなみに、この規定は基本給および諸手当(時間外手当、休日手当を除く)が対象です。

⑥人事評価制度について、労働組合または労働者の過半数を代表するものと合意していること

⑦新設または改定された制度であること

このほか細かい要件については、リーフレットの支給要件をご確認ください。

5.人事評価制度等はいつから実施したらいいの?


まずは、人事評価等制度等整備の進め方から順番に説明したいと思います。

(1)労働協約または就業規則を変更する

雇用する正規労働者等に適用される、生産性向上に資する人事評価制度等の新設または改定が必要です。生産性向上に資する人事評価制度等とは、2(2)事業主が整備すべき人事評価制度の部分を確認してください。

(2)人事評価制度等の整備日はいつ?

人事評価制度等を整備した、労働協約または就業規則の施行年月日が整備日です。
施行年月日が定められていない場合、労働協約の場合は締結日、就業規則の場合は労働基準監督署への届出日となります。
また、常時10人未満の労働者を使用する事業者は、就業規則の労働基準監督署への届出は不要ですが、従業員全員に対して書面での周知を行いましょう。

(3)人事評価制度等の実施日はいつ?

人事評価制度等を整備した後に、整備後の人事評価制度等に適用される賃金表での最初の賃金支払日を実施日と言います。

(4)こんな場合は支給されません

認定を受けた計画どおりに人事評価制度等が整備・実施されたと言えない以下のようなケースは、助成金の支給対象外になるので、注意が必要です。

■計画にある人事評価制度等の一部またはすべてが整備・実施されなかった場合
■計画にて対象となっている正規労働者等の一部または全員に実施されなかった場合
→ただし、対象労働者が離職した場合は、正規労働者等でなくなった場合等は除きます。
■計画にて対象となっている事業所の一部または全部に整備・実施されなかった場合
→ただし、対象労働者が存在しなくなった場合や、事業所が廃止された場合等は除きます。

6.手続きの流れ


人事評価等改善助成金(制度整備コース)の申請の流れは以下の手順で行います。

Step①人事評価制度等計画整備の作成・提出
人事評価制度等の整備月の初日から遡って、6カ月前~1ヵ月前の日の前日までに提出

Step②認定を受けた計画に基づき、人事評価制度等の整備
労働協約または就業規則への改定を明文化

Step③人事評価制度等の実施
雇用するすべての正規労働者への実施が必須

Step④制度整備助成の支給申請
人事評価制度等の実施日翌日から起算して2カ月以内に労働局へ提出

Step⑤助成金支給

7.まとめ


いかがでしたか?
冒頭でも触れましたが、個人の能力・成果によって賃金規定を定める評価制度を取り入れ、成果主義賃金制度などを確立することで従業員のモチベーションを大きくあげることが期待できます。
また、人事評価制度を従業員に対して開示することで従業員のやる気を引き出すこともできます。そのためには、成果をあげた従業員をきちんと評価して役職や能力に沿った昇給に結び付けることも大切です。

頑張らずともお金が入り、自分の将来が描けてしまう職業生活ほど楽しくないものはないですよね。社員が頑張らず成果があがらない会社は、やがて会社の利益も落ちていくでしょう。
少子化の加速にともない、若者の数は少なくなると考えられます。年功序列制度を継続していると、年長者の人件費が高騰し資金繰りにも影響を及ぼしかねません。
会社全体の人件費の見直しのためにも、助成金を活用して、賃金制度導入を検討してみませんか?

参考:厚生労働省 平成29年度人事評価改善等助成金のご案内

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