女性活躍推進法に関わる助成金について調べてみた。

日本をとりまく雇用の問題

日本の雇用は今後どうなっていくのでしょうか?

1~3%を推移してきた完全失業率も、1991年からのバブル崩壊後から、2002年には最高で5.4%までのぼる程になりました。
2005年ほどには一旦3.9%程まで回復するも、リーマンショックの影響から2009~10年には再度5.1%まで上昇。
ただその後は、政府の緊急雇用対策の効果もあり徐々に低下し、2016年時点では3.1%まで回復するに至っています。(総務省統計局「労働力調査」年平均の推移より)

徐々に低下してはいますが、実際の求人倍率を見ると、非正規雇用の求人が多いのも事実です。
そして、実際の雇用形態においても、約4割は非正規雇用者になります。(総務省統計局「就業構造基本調査」より)
非正規雇用であることは、少なからず不安定な雇用である為、中々消費も伸びず、本格的な景気回復に繋がりません。
その状況に対し、政策の一環として行っているのが、前にも取り上げたキャリアアップ助成金です。
◆参考記事:キャリアアップ助成金について調べてみた

※完全失業率
労働力人口(就業者と完全失業者の和)に占める完全失業者(仕事を探している無業者)の割合のことです。

また、人手不足も大きな問題の一つです。
人口ピラミッドからも分かる通り、2007年、2012年問題でも話題になっていた団塊世代の退職や、少子高齢化による労働力の減少にも、何かしら手を打っていかなければなりません。
その上で、“高齢者に対する雇用”や、“女性の活躍出来る社会”を創っていく事が、今後の日本においてとても重要な課題になります。

雇用の補助金
出典:「平成27年(2015年)国勢調査(抽出速報集計)」(総務省統計局

高齢者雇用に関しては、2013年4月から高齢者雇用安定法が改正され、65歳雇用義務化が施行されました。
ただ、全ての企業が希望者全員を65歳まで雇用し続けるのは、経営体力も必要になってきます。
その課題に対する助成として、「高齢者雇用安定助成金」や「65歳超雇用推進助成金」等があります。

それでは、女性が活躍出来る社会作りに対しては、どういう助成があるのでしょうか。

女性活躍推進法ってなに?

女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)が2015年8月28日に国会で成立しました。
女性が職業生活で希望に応じて、十分に能力を発揮し、活躍できる環境を整備するために制定されました。

これにより、従業員301人以上の企業は
(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
(2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ行動計画の策定・届出・周知・公表
(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表
を行わなければなりません(300人以下の中小企業は努力義務)。

成立の背景としては、1985年に男女雇用機会均等法、1991年に育児休業法(1995年に育児介護休業法)、2003年に次世代育成支援対策推進法が制定され、男女の「雇用機会均等推進」や、家庭と仕事の「両立支援」が推し進められてきました。
安倍内閣も、2013年、「日本再興戦略」を掲げ、女性の活躍推進を最重要課題の1 つとして取り組みを進めています。

「社会のあらゆる分野において、2020 年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」といった「2020年30%目標」が男女共同参画推進本部により掲げられましたが、2014年に総務省が行った労働力調査の「就業者及び管理的職業従事者に占める女性割合によると、日本は11.3%と、世界に比べるとまだまだ低いことが分かります。

助成金の申請の仕方
出典:(内閣府男女共同参画局

“両立”支援にだけ比重を置くと、定着は図れても女性の育成やキャリア形成支援については進みにくく、
“均等”支援にだけ比重を置いた場合は、男性並みに働ける一部の女性のみに昇進が限定されてしまったり、ということもある為、
「両立支援」と「均等支援」をバランスよく導入できる取り組みが必要であると考えられ、女性活躍推進法が成立したという背景です。

ただ、この女性活躍推進法は、「女性全員をバリバリのキャリアウーマンにしましょう!」といった目的で制定されたものではありません。
基本原則にもある通り、“女性の活躍=出世”ではなく、“男性も含めたワークライフバランスの見直し”や、“女性本人の意思に基づいた働き方のできる、幅広い取り組み”が求められています。

【女性活躍推進法基本原則(第1条・第2条)】
(1)女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供・活用と、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行の影響への配慮が行われること
(2)必要な環境整備により、職業生活と家庭生活の円滑かつ継続的な両立を可能にすること
(3)本人の意思が尊重されること

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※男女雇用機会均等法とは
職場における男女の均等取扱い等を規定した法律です。
厚生労働省:男女雇用機会均等法のあらまし

※育児介護休業法とは
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律です。
育児や介護をする労働者に対して支援措置を講ずる事により、雇用の継続を図ることや、再就職の促進を図る事を目的としています。厚生労働省:育児・介護休業法のあらまし

※次世代育成支援対策推進法とは
次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成されるようにするため、事業主として取組を行い、具体的な計画として「一般事業主行動計画」を厚生労働省へ届出するように義務付けられた法律です。

厚生労働省より認定を受けた事業主には、「くるみん」のロゴマークの使用が認められます。

女性が活用できる助成金

出典http://www.mhlw.go.jp/

※日本再興戦略とは
安倍内閣が掲げる「戦後最大の名目GDP600兆円」の実現を目指し、
①新たな「有望成長市場」の戦略的創出
②人口減少に伴う供給制約や人手不足を克服する「生産性革命」
③新たな産業構造を支える「人材強化」
の3つの課題に向けて取り組む成長戦略。首相官邸HP
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この法律が成立したことにより、国や地方公共団体や企業において、いくつかやるべきことがあります。

【国や地方公共団体がやること】
・基本原則にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれの実施をすること。

【企業がやること】
・基本原則にのっとり、女性労働者に対する職業生活に関する機会の積極的な提供をすること。
・雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備をすること。
・職業生活における活躍の推進に関する取組を自ら実施するよう努めること。
・国又は地方公共団体が実施する女性の職業生活における活躍の推進に関する施策への協力をすること。
その“国や地方公共団体がやること”として、女性活躍推進法に関わる助成金があります。

女性活躍推進法に関わる助成金とは?

「女性活躍加速化助成金(両立支援等助成金)」という助成金について説明します。
女性活躍推進法に沿って、一般事業主行動計画の策定・公表等を行った上で、
行動計画に盛り込んだ取組内容を実施し、数値目標を達成した事業主に助成金が支給されるものになります。

【 助成金の種類と支給金額 】
・加速化Aコース
行動計画に盛り込んだ 取組内容を実施(=「取組目標」を達成)した場合に支給
支給額:30万円(1事業主1回限り)
対象事業主: 中小企業事業主(常時雇用する労働者が 300 人以下の事業主 )
・加速化 N コース
行動計画に盛り込んだ取組内容を実施し、行動計画に盛り込んだ数値目標を達成した場合に支給
支給額: 30 万円(1事業主1回限り)
対象事業主:すべての事業主
※ただし、常時雇用する労働者が301人以上の大企業は、数値目標達成に加えて、“女性活躍推進法第9条の認定取得”、または“女性管理職比率を業界平均以上に上昇”させることが必要です。

厚生労働省:女性活躍推進法特集ページ
厚生労働省:「見える化支援ツール」業界平均値

公共調達に有利な「えるぼし」ってなに?

「えるぼし」は、女性活躍推進法に基づく認定制度です。
行動計画の策定・届出を行った企業のうち、女性の活躍に関する取組の実施状況が優良な企業については、申請により厚生労働大臣の認定を受けることができます。
上記でいうところの“女性活躍推進法第9条の認定取得”のことを指します。

女性が申請する女性金

出典http://www.mhlw.go.jp/

認定には、「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」に関して、それぞれ基準が設けられています。
女性活躍推進法に基づく認定制度
認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マークを商品などに付することができ、
公共調達を実施する際にも、加点評価の対象となるため、有利になります。

また、この認定マークを活用することにより、女性の活躍が進んでいる企業として、企業イメージの向上や優秀な人材の確保につながるなどといったメリットがあります。
※2017年2月29日時点で既に、269社の企業様が認定獲得をされています。厚生労働省:「えるぼし」認定企業一覧

まとめ

女性活躍助成金

このように、女性が活躍できる社会をつくる上で、企業として出来ることが沢山あるということが分かりますね。
また、それに伴う支援があることも分かります。
CSR(企業の社会的責任)を踏まえ制度を上手く活用し、win-win-winの関係になるように、企業として出来ることから取り組んでいきましょう!

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