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【2026年度・令和8年度版】保育園のICT補助金と新設「保育ICT推進加算」年30万円の要件を徹底解説

公開日:2023/12/13 更新日:2026/8/7
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保育士・保育教諭が事務系業務に割いている時間は、月平均63時間。東京都内の保育事業者を対象とした調査では、これが業務時間全体の33%を占めることが分かっています。こどもと向き合う時間を確保するには、この事務負担をどう減らすかが避けて通れない課題です。

そこでこども家庭庁が進めてきたのが、保育のICT化です。2026年度(令和8年度)からは、従来の「保育所等におけるICT化推進等事業(ICT補助金)」に加え、新たに「保育ICT推進加算」が創設され、要件を満たす施設には年30万円(地域型保育は18万円)が公定価格に加算されます。2026年7月28日には、先進事例づくりを担う「保育ICTラボ事業」の令和8年度採択事業者14件も公表され、現場のICT活用は新しい段階に入りました。

ただし、ICT補助金は実際に公募を実施するかどうかが自治体ごとに異なります。自園の自治体が実施しているかは、自治体のホームページを確認するか、保育担当課に直接問い合わせてください。

本記事では、こども家庭庁の最新公式資料をもとに、保育園・幼稚園が使えるICT補助金と保育ICT推進加算の違い、金額、4つの算定要件、そして令和8年度ならではの経過措置までを整理して解説します。

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この記事の目次

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保育のICT支援は2026年度から「補助金」と「加算」の二本立てに

2026年度(令和8年度)から、保育のICT支援は「初期費用を補助するICT補助金」と「継続的な活用を評価するICT推進加算」の二本立てになりました。両者は財源も法的根拠も別の制度です。まずは違いを整理しましょう。

比較項目ICT補助金(保育所等におけるICT化推進等事業)保育ICT推進加算(令和8年度新設)
支援のタイプ初期費用の補助(単発)公定価格への上乗せ(継続)
金額の目安1機能20万円〜4機能130万円ほか施設型30万円/年・地域型18万円/年
支払いの仕組みシステム導入費用の一部を補助在籍児童1人当たりに加算し施設に給付
法的根拠予算補助(保育対策総合支援事業費補助金)公定価格の加算(子ども・子育て支援法)
実施主体都道府県・市区町村市区町村(公定価格の支払い)
継続性単年度(毎年公募)要件を満たす限り毎年継続
対象施設認可保育所・認定こども園・地域型保育・認可外保育施設・幼稚園など幼稚園・保育所・認定こども園・地域型保育事業(居宅訪問型を含む)

なぜ補助金と加算は別物なのか

イメージで言えば、ICT補助金は「設備投資の補助金」、ICT推進加算は「ITを活用している会社に取引単価を上乗せする仕組み」です。

・ICT補助金:システムを「買う/導入する」ときに国・自治体が費用の一部を補助
・ICT推進加算:システムを「活用している」状態に対して、毎月の運営費(公定価格)を上乗せ

そのため、財源も支払いルートも別です。一方で、同一年度に補助金を使った施設はその年は加算対象外という併用制限があります。

自園はどちらを使うべき?状況別の早見表

ICT補助金と保育ICT推進加算のどちらを狙うべきかは、自園のICT導入状況で決まります。以下のチャートを参考にしてください。

自園の状況おすすめの活用方法
まだICTシステムを導入していないまずICT補助金で導入し、翌年度からICT推進加算を取得
すでに自費・地方単独補助でICT導入済み4要件を満たせば令和8年度から加算対象
過去に補助金を使ったが、キャッシュレス決済機能はない特例で再度補助金が使える
過去に補助金を使ったが、政府プラットフォーム連携用の登降園管理機能がない特例で再度補助金が使える
4機能はそろっているが自治体が政府システム未申請令和8年度はアカウント発行を受ければ算定可能(経過措置)

保育所等におけるICT化推進等事業(ICT補助金)とは?

「保育所等におけるICT化推進等事業」は、保育の周辺業務や補助業務に係るICT等を活用した業務システムの導入費用の一部を補助する制度です。保育士等の業務負担を軽減し、保育人材の勤続年数の上昇傾向を維持することを目的としています。

正式名称は「保育所等業務効率化推進事業(保育所等におけるICT化推進等事業)」ですが、実務上は業界・自治体・記事のいずれでも「ICT補助金」と呼ばれることが多くなっています。

・令和7年度補正予算:13億円
・財源は「保育対策総合支援事業費補助金」
・所管:こども家庭庁 成育局保育政策課
・令和8年度も補正予算により継続(補助基準額は前年度と同額)

ICT補助金の対象施設は?

ICT補助金の対象施設は以下のとおりです(事業ごとに対象範囲は異なります)。

・認可保育所
・幼保連携型認定こども園
・認定こども園(保育所型・幼稚園型・地方裁量型)
・地域型保育事業(小規模保育・家庭的保育・事業所内保育・居宅訪問型保育)
・認可外保育施設
・病児保育事業所
・児童館
・こども誰でも通園事業所(乳児等通園支援事業)
・幼稚園(事業内容による)

ICT補助金の補助対象となる8つの事業

令和7年度補正予算におけるICT補助金の補助対象事業は、次の8つです。

事業内容
①業務のICT化システム導入と翻訳機購入保育に関する計画・記録、保護者との連絡、こどもの登降園管理等の業務、実費徴収等のキャッシュレス決済に係る業務システムの導入。外国人のこどもの保護者とのやりとりに使う通訳・翻訳機器の購入も対象
②こども誰でも通園事業所におけるICT化乳児等通園支援事業を実施する事業所の、空き枠登録等を行うICT機器・インターネット環境の整備、入退室管理用タブレット、キャッシュレス決済機器の導入
③病児保育事業等のICT化(拡充)空き状況の見える化や予約・キャンセル等のICT化を行うシステム導入。令和7年度から都道府県主導の広域連携推進のため都道府県を実施主体に追加
④医療的ケア児を受け入れる保育所のICT機器医療的ケア児とのコミュニケーションツールとなるICT機器の導入
⑤認可外保育施設における機器の導入保育記録の入力支援など、保育従事者の業務負担軽減と事故防止につながる機器の導入
⑥研修のオンライン化事業都道府県等が実施する研修を在宅等で受講できるようにするシステム基盤の整備、教材作成経費等
⑦保育士資格取得等に係るシステム改修都道府県において、保育士資格の登録申請の届出等を自治体等の保有情報と連携させるためのシステム改修
⑧児童館のICT化児童館の入退館管理、こどもの記録管理、研修のオンライン化、利用者同士の交流・相談支援のオンライン化など

ICT補助金の補助額はいくら?1機能20万円から4機能130万円

2026年度実施分(令和7年度補正予算分)の補助基準額は以下のとおりです。導入する機能数と端末購入の有無で金額が変わります。

事業補助基準額
①(ア)業務のICT化システム導入1機能20万円(端末併設70万円)/2機能40万円(同90万円)/3機能60万円(同110万円)/4機能80万円(同130万円)
①(イ)翻訳機等の購入1施設当たり15万円
②こども誰でも通園制度ICT機器導入1施設当たり20万円
③(ア)病児保育(市区町村単位)1市区町村当たり500万円
③(イ)病児保育(施設単位)1施設当たり100万円
③(ウ)病児保育(都道府県単位・広域連携)1都道府県当たり1,000万円
④医療的ケア児ICT機器導入1施設当たり20万円
⑤認可外保育施設の機器導入1施設当たり20万円
⑥研修のオンライン化1自治体当たり400万円
⑦保育士資格取得等システム改修総額9,964万円のうち各都道府県の受験者数の割合等に応じて設定
⑧児童館のICT化1施設当たり50万円(1施設1回限り)

補助率と協議会による嵩上げの仕組み

ICT補助金は、事業ごとに国・自治体・事業者の負担割合が定められています。たとえば事業①でシステム導入費用が80万円だった場合、通常の補助率「国1/2、市区町村1/4、事業者1/4」が適用されると、園の自己負担は20万円で済みます。

さらに、自治体が「協議会」を設置して保育のICT化を組織的に推進している場合は、国の負担割合が引き上げられ(嵩上げ)、自治体や事業者の負担が軽くなります。協議会とは、自治体・ICT関連事業者・保育事業者などで構成される連携組織のことで、システム導入費用の補助以外に導入支援や活用ノウハウの共有などの取組を行っていることが要件です。

各事業の補助率は次のとおりです。

事業通常の補助率嵩上げ時の補助率
①業務のICT化システム導入国1/2、市区町村1/4、事業者1/4国2/3、市区町村1/12、事業者1/4
②こども誰でも通園ICT国1/2、市区町村1/4、事業者1/4国2/3、市区町村1/12、事業者1/4
③(ア)病児保育(市区町村)国1/2、市区町村1/2管内の病児保育施設の70%以上に予約システムを導入した場合、国2/3、市区町村1/3
③(イ)病児保育(施設)国1/2、都道府県・市区町村1/4、事業者1/4設定なし
③(ウ)病児保育(都道府県)国1/2、都道府県1/2都道府県内の病児保育施設の70%以上に広域連携ICTを整備した場合、国2/3、都道府県1/3
④医療的ケア児国1/2、市区町村1/2設定なし
⑤認可外保育施設国1/2、都道府県・市区町村1/4、事業者1/4国2/3、都道府県・市区町村1/12、事業者1/4
⑥研修オンライン化国1/2、都道府県・市区町村1/2設定なし
⑦保育士資格システム国1/2、都道府県1/2設定なし
⑧児童館国1/2、都道府県・市区町村1/2設定なし

公立保育所と財政力指数1.0以上の自治体には特例がある

公立保育所(地方自治体が運営する施設)を対象にする場合、補助率は「国1/2、自治体1/2」(嵩上げ時は国2/3、自治体1/3)に変わります。

このとき、事業①・②・⑤については、財政力指数が1.0未満の地方自治体が対象です。

財政力指数とは、自治体の財政力を示す指標です。1.0以上は自前の税収で行政サービスをまかなえる「財政力が強い自治体」、1.0未満は地方交付税交付金を受け取っている「財政力が弱い自治体」を意味します。全国の市町村のうち約95%は1.0未満です。

参考:地方公共団体の主要財政指標一覧

ただし事業①・⑤は、園児の登園および降園の管理に関する機能を導入する場合に限り、特別区(東京23区)および財政力指数1.0以上の地方自治体も対象になります。

なお、民間運営の保育所・認定こども園・幼稚園・地域型保育・認可外保育施設には、この財政力指数による制限は適用されません。東京23区や横浜市など財政力指数1.0以上の自治体でも、民間施設は通常どおりICT補助金を活用できます。

過去に補助金を使った園でも再度使える2つの特例

ICT補助金は原則「1施設1回限り」ですが、令和7年度補正予算では2つの例外規定が設けられています。過去に導入済みの園ほど見落としやすいポイントです。

特例① キャッシュレス決済機能の新規追加

過去に本補助金を活用して他のシステムを導入している施設でも、新たに「キャッシュレス決済」に係る機能を導入する場合は再び補助対象となります。キャッシュレス決済は保育ICT推進加算の4要件にも含まれるため、加算取得を目指す園にとっては一石二鳥の特例です。

特例② 政府プラットフォーム連携のための登降園管理機能追加

保育業務施設管理プラットフォームを導入している施設が、新たに「登降園管理等の業務」に係る機能を導入する場合も、過去に本補助金を活用していれば対象となります。プラットフォームは保育ICTシステムと登降園情報のAPI連携を進めており、この特例はその接続を後押しするものです。

ICT化に使える補助金まとめ

【令和8年度新設】保育ICT推進加算とは?加算額と4つの要件

「保育ICT推進加算」は、令和8年度(2026年4月)から新設された公定価格の加算です。加算額は幼稚園・保育所・認定こども園が年30万円、地域型保育事業が年18万円で、ICT活用責任者の配置・4機能の活用・ここdeサーチでの情報公表・政府システムの活用という4要件をすべて満たす施設が対象です。

公定価格とは、認可保育所・認定こども園・幼稚園などが、こどもを預かることで市町村から受け取る運営費の単価のことです。基本分単価に、処遇改善等加算や障害児加算など各種加算が上乗せされます。保育ICT推進加算はその一員として加わりました。

従来のICT補助金が初期費用の補助だったのに対し、本加算はICTを継続的に活用している施設に毎年度支払われる点が最大の違いです。

保育ICT推進加算の加算額と対象施設

対象施設加算額
幼稚園・保育所・認定こども園30万円/年
地域型保育事業(家庭的保育・小規模保育・事業所内保育・居宅訪問型保育)18万円/年

支払いは一括ではありません。加算額を「3月初日の利用子ども数」で割って単価化し、3月初日の利用子どもの単価に加算する仕組みです。定員が小さい園ほど1人当たりの単価は高くなりますが、園が受け取る総額は施設型なら30万円が目安になります。

要件① ICT活用責任者を配置する

園内に「ICTの窓口になる人」を1人決めることが要件です。こども家庭庁の資料では、この責任者はICTの導入・活用について施設内で中心となって取り組み、他の職員の相談に対応する役割と定義されています。

専任である必要はなく、資格も不要です。保育士、副主任保育士、事務担当者、副園長などが兼任でき、小規模施設では園長自身が兼ねるケースも想定されています。また、ICTの導入・活用は組織全体の体制整備で実現されるものであることから、責任者一人だけでなく複数人でチームを組んで取り組むことが前提とされています。

加算申請時には、責任者1名の氏名とその業務内容の記載が求められる見込みです。

要件② 4つの機能をICTで運用する

以下の4機能をすべてICTで運用していることが要件です。1つでも欠けると加算は算定できません。

機能具体例
保育に関する計画・記録指導計画・保育日誌のデジタル作成
保護者との連絡アプリでの連絡帳・お知らせ配信
こどもの登降園管理等の業務タブレットでの登降園記録・打刻
実費徴収等のキャッシュレス決済口座振替・カード決済・QR決済での集金

キャッシュレス決済は、他の3機能と別のシステムでも要件を満たします。ただしICTを活用した口座振替・カード決済・QR決済のいずれかが必要で、保護者が銀行アプリで直接振り込む方法や、通常の銀行引き落としは要件を満たしません。

こども家庭庁は、4機能いずれも導入している施設の割合を令和8年度に20%以上とする目標を掲げています。保育所等のICT導入率自体は令和6年度実績で99.0%に達している一方、4機能をそろえている園はまだ少数派です。加算の取りこぼしが起きやすいのは、この「キャッシュレス決済だけ未導入」というパターンです。

【2026年】キャッシュレス決済端末の導入に使える補助金まとめ|中小企業向け

要件③ 「ここdeサーチ」の情報を9月末までに更新する

こども家庭庁が運営する保育施設情報の公表サイト「ここdeサーチ」で、施設の運営状況に関する情報を最新化していることが要件です。

例年5月に最新化の依頼が行われ、これに9月末までに対応して「更新」または「更新なし」の処理を行う必要があります。変更がない場合も「更新なし」の操作を忘れないでください。

最新化がなされていない、または情報に誤りがあって市町村から指摘があった際に適切に対応しない場合、当該年度の加算は算定できません。

要件④ 政府システム(プラットフォーム・保活情報連携基盤)を活用する

こども家庭庁が整備した2つの政府システムを使っていることが要件です。いずれも令和8年4月から稼働しています。

・保育業務施設管理プラットフォーム:給付・監査のオンライン化を担う全国基盤
・保活情報連携基盤:施設情報検索・見学予約・就労証明書発行などの保活ワンストップを担う全国基盤

ここで重要なのが、自治体が先に利用申請をしていないと施設は使えないという点です。こども家庭庁の資料によると、保育業務施設管理プラットフォームは40都道府県・416市区町村、保活情報連携基盤は31都道府県・167市区町村が令和8年度からの利用開始を予定しています(それぞれ2026年2月時点)。まだ全国一律ではありません。

そこで令和8年度には経過措置が設けられています。令和8年度は、施設がアカウントの発行を受けていて、令和9年度以降に活用する予定であれば算定可能です。実際の活用の具体的な内容については、令和8年度中の早期にこども家庭庁から示される予定とされています。

ICT補助金と保育ICT推進加算は併用できる?

同一年度の併用はできません。「保育所等業務効率化推進事業(保育所等におけるICT化推進等事業)」や「教育支援体制整備事業費交付金(幼児教育の質の向上のためのICT化支援)」などの国庫補助金を利用してシステムを導入した年度は、加算の対象外となります。

補助金活用年度加算開始年度
令和7年度中に補助金を活用してシステム導入令和8年度から加算対象
令和8年度に補助金を活用してシステム導入令和9年度から加算対象

なお、都道府県・市区町村の地方単独事業による補助でシステムを導入した場合は加算対象になります。国庫補助か地方単独補助かで扱いが変わるため、自園がどちらの補助を受けたのかを確認しておきましょう。

加算の確認ではどんな書類が必要になる?

市町村による加算確認の際には、次の資料の提出が想定されています。

・システム名・製品名と、運用保守契約の相手先事業者名
・当該年度に発生した費用(ライセンス料・購入額等)
・ICT活用責任者の氏名と業務内容

注意したいのが、買い切り型の製品を使っている園です。この場合も当該年度に運用に係る何らかの費用が発生していることが必要と想定されています。保守契約やライセンス更新の有無を、ベンダーに確認しておくと安心です。

加算を受けるための準備チェックリスト

令和8年度から加算を取得したい園は、以下を確認してください。

・ICT活用責任者を園内で決めているか(兼任可・資格不要)
・4機能(計画記録・保護者連絡・登降園管理・キャッシュレス決済)すべてを実運用しているか
・「ここdeサーチ」の運営状況情報を9月末までに更新・確認したか
・所在自治体が政府システムの利用申請を行っているか、自園がアカウント発行を受けているか
・直近で国庫補助金を活用していないか(地方単独補助は可)
・運用保守契約や当該年度の費用発生を証明できる資料がそろっているか

ICT補助金・加算の対象になるシステム・機能の具体例

補助金・加算の対象となる代表的なICT機能を、業務ごとに紹介します。

登降園管理システム

タブレット端末などで園児の登降園時刻を記録・管理するシステムです。延長保育料の自動計算や保護者への通知も連動できます。保育業務施設管理プラットフォームは保育ICTシステムとの登降園情報のAPI連携を予定しており、連携対応システムの重要性は今後さらに高まります。

保護者連絡アプリ(連絡帳・お知らせ・写真共有)

紙の連絡帳に代わり、スマートフォンアプリで連絡帳のやり取り、園からのお知らせ配信、写真・動画共有、欠席連絡などを行うシステムです。保護者側の負担軽減効果も大きい機能です。

保育計画・記録システム

指導計画、保育日誌、児童票、発達記録などをデジタル化するシステムです。一度入力した情報を再利用することで、事務作業を大幅に削減できます。

キャッシュレス決済(口座振替・カード決済・QR決済・POSレジ)

保育料、延長保育料、給食費、用品代などの実費徴収をキャッシュレス化するシステムです。POSレジを保育園に導入し、保護者がカードやQR決済で支払えるようにする例も増えています。保育ICT推進加算の4要件のひとつであり、ICT補助金の再活用特例の対象にもなっている機能です。

翻訳機・通訳サービス(外国籍児童対応)

外国籍の保護者とのやりとりを支援する翻訳機やオンライン通訳サービスも、ICT補助金の対象です(1施設15万円)。

病児保育の予約システム

病児保育施設の空き状況を見える化し、保護者がオンラインで予約・キャンセルできるシステムです。市区町村単位(500万円)または施設単位(100万円)で補助が受けられ、都道府県主導の広域連携なら1,000万円が上限となります。

こども誰でも通園制度向けICT機器

令和8年度から全国実施となったこども誰でも通園制度(乳児等通園支援事業)向けのICT機器も対象です。空き枠登録機器、入退室管理タブレット、キャッシュレス決済機器などが該当し、1施設20万円が補助されます。

ICTの「導入」と「活用」はどう違う?

システムを導入しただけでは、保育ICT推進加算の要件は満たしません。求められるのは継続的に「活用」している実態です。職員全員が日常的に使用して業務フローに組み込まれていること、4機能をフル活用できていることが判断のポイントになります。

幼稚園・認定こども園もICT補助金と加算を使える?

使えます。「保育所等におけるICT化推進等事業」という名称から保育所だけが対象と誤解されがちですが、保育ICT推進加算の対象施設には幼稚園が明記されています。

保育ICT推進加算の対象は次のとおりです。

・幼稚園
・保育所
・認定こども園
・家庭的保育事業所
・小規模保育事業所
・事業所内保育事業所
・居宅訪問型保育事業所

「教育支援体制整備事業費交付金」との違い

幼稚園・認定こども園のICT化を支援する制度として、「教育支援体制整備事業費交付金(幼児教育の質の向上のためのICT化支援)」もあります。こちらは新制度未移行園が利用できる場合があるため、自園の状況に合わせた使い分けが必要です。なお、この交付金を活用してシステムを導入した年度も、保育ICT推進加算の対象外となります。

参考:幼児教育の質の向上のためのICT化支援事業補助(東京都の場合)

私立幼稚園が使える支援メニュー

新制度未移行の私立幼稚園は、上記の「教育支援体制整備事業費交付金」が主な選択肢です。新制度移行済みの幼稚園は公定価格の対象施設となるため、認定こども園と同様に保育ICT推進加算を算定できます。自園がどちらに該当するかで使える制度が変わる点に注意してください。

ICT補助金の申請の流れと公募時期は?

ICT補助金の実施主体は都道府県・市区町村です。国(こども家庭庁)は予算編成と国庫補助の交付までを担当し、実際の公募・申請受付・補助金支払いは各自治体が行います。

国の事業であり全国どこでも使える制度ですが、実際に公募を実施するかどうかは各自治体の判断に委ねられています。

こども家庭庁の委託調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、令和6年9〜10月、16,709施設回答)では、ICT補助金を活用しなかった理由として次の回答が挙がりました。

・「補助金が始まるよりも以前に導入した」35.6%
・「導入したいタイミングと手続きが間に合わなかった」22.5%
・「所在する市区町村で補助事業を実施していなかった」14.4%

約7施設に1施設は、自分の自治体が事業を実施していないために使えなかったことが分かります。

自分の自治体が実施しているか確認する方法

以下の方法で確認してください。公募開始が夏以降になる自治体もあるため、年度前半に情報がなくても諦めるのは早計です。

・市区町村の保育担当部局のWebサイトを確認(「保育」「子育て」関連の課)
・都道府県のこども・福祉部局のWebサイトを確認
・こども家庭庁の「保育提供体制の確保のための実施計画」採択市区町村一覧を確認
・自治体の保育担当課に直接電話で確認

主要自治体の実施例

参考として、主要自治体の実施例を紹介します。名称や内容は年度によって変わるため、最新の公募要領を必ず確認してください。

自治体制度名
東京都保育所等におけるデジタル化推進事業費補助金
横浜市保育所等における業務効率化推進事業
大阪市大阪市保育所等におけるICT化推進のための補助金
名古屋市同等の補助制度あり
札幌市同等の補助制度あり
福岡市同等の補助制度あり

ICT補助金の申請の基本フロー

申請から補助金交付までの流れは次のとおりです。交付決定前に発注・支払いを済ませてしまうと対象外になるため、順序を守ることが重要です。

・自治体の公募開始を確認(自治体WebサイトやFAX・メール案内)
・対象システム・機能の選定(機能数の組み合わせで補助額が変わる)
・実施計画書・見積書を作成
・自治体に申請書を提出(電子申請が主流)
・交付決定通知を受領
・システム導入・支払い完了(自治体指定の期間内)
・実績報告書の提出
・補助金の交付

自治体ごとに異なる項目

同じ国の事業でも、実施している自治体の間で以下の内容が異なります。

項目バリエーション例
公募時期4月開始の自治体もあれば、夏以降の自治体もある
実施期間「年度内」「導入・支払い完了期限が11月末」など
補助対象施設公立を含むか、認可外を含むかなど
上乗せ補助国の補助に自治体独自の上乗せをする例もある
申請方式電子申請のみ/紙申請のみ/併用

加算だけでなく減算にも注意|令和8年度に新設された2つの減算

令和8年度は、保育ICT推進加算の創設と同時に2つの減算制度も新設されました。加算を取りにいく一方で減算を受けてしまえば効果は相殺されます。あわせて確認しておきましょう。

減算の種類内容減算額
経営情報等の報告を行っていない場合(令和8年7月適用開始)子ども・子育て支援法第58条第2項に基づく経営情報の報告を、期限から3か月以上経過しても行っていない場合等に適用基本分単価の5%
安全計画の策定等をしていない場合(令和8年7月適用開始)安全計画の未策定、または計画に定める研修・訓練・周知・見直しが1年間実施されていない場合に適用1,350円/月

いずれも幼稚園・保育所・認定こども園・地域型保育事業所が対象です。経営情報の報告漏れによる減算は基本分単価の5%と影響が大きいため、令和7年度分の報告状況を早めに確認してください。

保育ICTラボ事業とは?令和8年度は14件が採択

保育ICTラボ事業は、保育ICTのロールモデルとなる事例を創出し、全国に横展開するためのこども家庭庁の事業です。令和6年度補正予算から始まり、令和7年度補正予算では2億円が計上されました。

2026年7月28日、こども家庭庁は令和8年度保育ICTラボ事業の採択事業者・事業一覧(14件)を公表しました。取組は大きく2つに分かれます。

・(ア)先端的な保育ICTのショーケース化:保活情報連携基盤・保育業務施設管理プラットフォームの活用、ICTを活用した安全の確保、保育の実践を支えるICT活用、ICTを活用した保育体制の在り方など
・(イ)ICTに関する相談窓口・人材育成:保育ICT検定や往還型研修、巡回支援、中核人材の養成など

採択事業者には、一般社団法人保育ICT推進協会、ユニファ株式会社、株式会社コドモン、学校法人OCC、キッズコネクト株式会社、株式会社とりんく、株式会社最中屋が名を連ねています。AIによる記録・計画の下支えやタイムスタディ調査など、次の政策設計につながるテーマが並んでいる点が特徴です。

自園でのICT活用に悩んでいる園にとっては、ラボ事業の公開事例や相談窓口が実務的なヒントになります。

保育所のICT化が進むと現場と社会はどう変わる?

保育士の事務系業務は月63時間

東京都内の保育事業者を対象とした令和2年の調査では、保育士・保育教諭が事務系業務に割いている時間は平均63時間/月であり、業務時間全体の33%を占めています(出典:こども家庭庁公表資料、原典:デジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプTYPES制度概要)。

この時間をICTで効率化できれば、こどもと向き合う時間を確保し、保育の質の向上につながります。

配置基準の見直しとデジタル化の関係

保育士の配置基準は、令和6年度から1歳児(6対1から5対1)・4〜5歳児(30対1から25対1)の見直しが進んでいます。3歳児についても20対1から15対1への改正が行われ、15対1以上としている施設の割合は令和6年3月の94.3%から令和7年7月には97.2%まで上昇しました。経過措置期間は令和9年度末までと設定されています。

とはいえ、保育士不足が深刻ななかで配置基準の改善だけでは十分な対応が困難です。そのため、デジタル機器を活用した業務改善で生まれた時間を、こどもや保護者への対応にあてることが期待されています。

保護者の「保活」負担も軽くなる

ICT化のメリットは園の中だけにとどまりません。こどもDX推進協会の保護者アンケートでは、保活で大変だったこととして、施設見学予約の手段が電話や訪問しかなかったこと(696人中423人)、入所申請書類を手書きで作成する必要があったこと(同403人)が挙がっています。

保活情報連携基盤が全国展開すれば、施設情報の検索・見学予約・就労証明書の発行がスマートフォンから完結します。園側にとっても、見学予約の電話対応や書類のやり取りが減ることになります。

デジタル化が保育の質と社会全体に与える効果

保育所の環境が改善されれば、以下のような効果が期待できます。

・親世代が働きやすくなる
・保育士の離職率が下がる
・保育の質が向上する
・子育てしやすい社会につながる

保育所の環境整備は、保育の現場だけでなく社会全体にとって大きなメリットをもたらす投資といえます。

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保育ICT補助金・保育ICT推進加算に関するよくある質問

ICT補助金と保育ICT推進加算は併用できる?

同一年度の併用はできません。令和7年度に補助金を活用した場合、加算は令和8年度から対象になります。令和8年度に補助金を活用した場合は令和9年度からです。なお、都道府県・市区町村の地方単独補助で導入した場合は加算対象になります。

保育ICT推進加算はいくらもらえる?

幼稚園・保育所・認定こども園は年30万円、地域型保育事業(家庭的保育・小規模保育・事業所内保育・居宅訪問型保育)は年18万円です。加算額を3月初日の利用子ども数で割って単価化し、3月初日の利用子どもの単価に加算する仕組みで支払われます。

4機能の一部だけでも加算は取れる?

取れません。保育ICT推進加算は、保育に関する計画・記録、保護者との連絡、こどもの登降園管理等の業務、実費徴収等のキャッシュレス決済の4機能すべての活用が要件です。キャッシュレス決済のみ他システムでも構いませんが、銀行アプリでの直接振込や通常の銀行引き落としは要件を満たしません。

自治体が政府システムに未対応でも加算は取れる?

令和8年度には経過措置があります。施設がアカウントの発行を受けていて、令和9年度以降に活用する予定であることをもって算定可能とされています。ただしアカウント発行には所在自治体の利用申請が前提となるため、市区町村の保育担当課に対応状況を確認してください。

ICT活用責任者は専任の職員が必要?

専任は不要で、資格も求められません。保育士、副主任保育士、事務担当者、副園長などが兼任でき、小規模施設では園長が兼ねることも想定されています。むしろ責任者一人だけでなく、複数人でチームを組んで取り組むことが前提とされています。

「ここdeサーチ」の更新はいつまでにすればいい?

例年5月に最新化の依頼が行われ、9月末までに「更新」または「更新なし」の処理を行う必要があります。変更がない場合も「更新なし」の操作が必要です。最新化がなされていない場合や、市町村からの修正指摘に適切に対応しない場合は、当該年度の加算を算定できません。

過去に補助金を使った園でも再度使える?

2つのケースで再活用できます。新たにキャッシュレス決済機能を導入する場合、または保育業務施設管理プラットフォーム導入施設が新たに登降園管理等の機能を追加する場合は、過去に本補助金を使っていても対象です。

東京23区でも使える?

民間運営の保育園・認定こども園・幼稚園・地域型保育・認可外は問題なく利用できます。財政力指数1.0以上による制限が関係するのは公立保育所を対象にする場合のみです。東京都は「保育所等におけるデジタル化推進事業費補助金」として公募を実施しています。

幼稚園でも申請できる?

申請できます。保育ICT推進加算の対象施設には幼稚園が明記されています。新制度未移行の私立幼稚園は「教育支援体制整備事業費交付金(幼児教育の質の向上のためのICT化支援)」が主な選択肢となります。

認可外保育施設も対象になる?

ICT補助金の対象です。「⑤認可外保育施設における機器の導入」として1施設20万円の補助が受けられます。ただし保育ICT推進加算は公定価格の加算のため、認可外保育施設は対象外です。

POSレジやリース料は補助対象になる?

POSレジはキャッシュレス決済機能の一部として対象になる場合があります。リース料は自治体により取扱いが異なり、初期導入費用が主な対象で、リース料は一定期間分のみ対象になることがあります。詳細は自治体の交付要綱で確認してください。

買い切り型のシステムでも加算は取れる?

市町村の加算確認では、システム名・運用保守契約の相手先事業者名と、当該年度に発生した費用の提出が想定されています。買い切り製品の場合も、当該年度に運用に係る何らかの費用が発生していることが必要とされているため、保守契約やライセンス更新の状況をベンダーに確認しておきましょう。

令和8年度のICT補助金の公募はいつ始まる?

自治体によって異なります。4月以降に公募を開始する自治体が多い一方、夏以降に公募する自治体もあります。申請窓口は所在地の市区町村(場合によっては都道府県)の保育担当部局で、国(こども家庭庁)に直接申請するものではありません。


まとめ

2026年度(令和8年度)から、保育のICT支援は「補助金」と「加算」の2本立てになりました。ICT補助金はシステム導入時の初期費用を補助する制度(1機能20万円から4機能130万円ほか)、保育ICT推進加算はICTを継続的に活用する園に毎年30万円(地域型は18万円)が公定価格に加算される新制度です。

同一年度の併用はできませんが、補助金で導入して翌年度から加算を開始すれば、初期費用と継続収入の両方を受け取る設計が可能です。

まずは自園の所在自治体が令和8年度にICT補助金の公募を実施しているかを確認し、あわせて保育ICT推進加算の4要件(ICT活用責任者・4機能の活用・ここdeサーチ更新・政府システム活用)を点検しましょう。特にここdeサーチの運営状況情報の更新期限は9月末です。加算を狙う園は、まずここから手をつけてください。

参考:保育DXの推進による業務改善(こども家庭庁)

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