保育の現場では、人手不足と事務負担の重さが長年の課題です。東京都内の調査では、保育士・保育教諭が事務系業務に割いている時間は月平均63時間(業務時間全体の33%)にものぼります。
この負担を軽減するため、こども家庭庁は保育のICT化を強力に推進してきました。2026年度(令和8年度)からは、従来の「保育所等におけるICT化推進等事業(ICT補助金)」に加え、新たに「保育ICT推進加算」が創設され、要件を満たす施設には毎年30万円(地域型は18万円)の加算が支払われます。
ただし、本制度は実際に公募を実施するかどうかが自治体ごとに異なります。自園の自治体が実施しているかを確認したい場合、自治体のホームページや、保育担当課に直接電話などで確認してみてください。
本記事では、こども家庭庁の最新公式資料をもとに、保育園が使えるICT補助金と保育ICT推進加算について解説します。
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この記事の目次
【2026年度の最重要ポイント】保育のICT支援は「2つの仕組み」に進化した
2026年度(令和8年度)から、保育のICT支援は「初期費用を補助するICT補助金」と「継続的な活用を評価するICT推進加算」の二本立てになりました。両者は財源も法的根拠も別の制度ですので、まず違いを整理しましょう。
| 比較項目 | ICT補助金 (保育所等におけるICT化推進等事業) | 保育ICT推進加算 (令和8年度新設) |
|---|---|---|
| 支援のタイプ | 初期費用の補助(単発) | 毎月の公定価格に上乗せ(継続) |
| 金額の目安 | 1機能20万円〜4機能130万円ほか | 施設型30万円/年・地域型18万円/年 |
| 支払いの仕組み | システム導入費用の一部を補助 | 在籍児童1人当たりに加算→施設に給付 |
| 法的根拠 | 予算補助 (保育対策総合支援事業費補助金) | 公定価格の加算 (子ども・子育て支援法) |
| 実施主体 | 都道府県・市区町村 | 市区町村(公定価格の支払い) |
| 継続性 | 単年度(毎年公募) | 要件を満たす限り毎年継続 |
| 対象施設 | 認可保育所・認定こども園・地域型保育・認可外保育施設・幼稚園など | 認可保育所・認定こども園・幼稚園・地域型保育事業 |
なぜ別物なのか
イメージで言うと、ICT補助金は「設備投資の補助金」、ICT推進加算は「ITを活用している会社に取引単価をアップする仕組み」です。
・ICT推進加算:システムを「活用している」状態に対して、毎月の運営費(公定価格)を上乗せ
そのため、両者は財源も支払いルートも別です。一方で、同一年度に補助金を使った施設は、その年は加算対象外という併用制限があります(詳細は後述)。
どちらを使うべき?早見チャート
ICT補助金と保育ICT推進加算のどちらが使えるかわからない場合、以下のチャートを参考にしてください。
| 自園の状況 | おすすめの活用方法 |
|---|---|
| まだICTシステムを導入していない | まずICT補助金で導入 → 翌年度からICT推進加算を取得 |
| すでに自費・地方単独補助でICT導入済み | 4要件を満たせば令和8年度から加算対象 |
| 過去に補助金を使ったが、キャッシュレス決済機能はない | 特例で再度補助金が使える(次セクション参照) |
| 過去に補助金を使ったが、政府プラットフォーム連携用の登降園管理機能がない | 特例で再度補助金が使える(次セクション参照) |
保育所等におけるICT化推進等事業(ICT補助金)とは
「保育所等におけるICT化推進等事業」は、保育の周辺業務や補助業務に係るICT等を活用した業務システムの導入費用の一部を補助することにより、保育士等の業務負担の軽減を図る制度です。最終的には、保育人材の勤続年数の上昇傾向の維持を目指しています。
正式名称は「保育所等業務効率化推進事業(保育所等におけるICT化推進等事業)」ですが、実務上、業界・自治体・記事では「ICT補助金」と呼ばれることが多くなっています。
予算規模としては、以下のとおりです。
・財源は「保育対策総合支援事業費補助金」
・所管:こども家庭庁 成育局保育政策課
対象施設
ICT補助金の対象施設は以下のとおりです(事業ごとに詳細は異なります)。
・幼保連携型認定こども園
・認定こども園(保育所型・幼稚園型・地方裁量型)
・地域型保育事業(小規模保育・家庭的保育・事業所内保育・居宅訪問型保育)
・認可外保育施設
・病児保育事業所
・児童館
・こども誰でも通園事業所
・幼稚園(事業内容による)
ICT補助金の補助対象となる8つの事業
保育所等におけるICT化推進等事業(ICT補助金)の、令和7年度補正予算における補助対象事業は以下のとおりです。
| 事業 | 内容 |
|---|---|
| ①業務のICT化システム導入+翻訳機購入 | 保育に関する計画・記録、保護者との連絡、こどもの登降園管理等の業務、実費徴収等のキャッシュレス決済に係るICT等を活用した業務システムの導入。外国人のこどもの保護者とのやりとりに係る通訳や翻訳のための機器購入も対象。 |
| ②こども誰でも通園事業所におけるICT化(新規) | 乳児等通園支援事業を実施する事業所が、空き枠の登録等を行うためのICT機器・インターネット環境の整備、入退室管理を行うためのタブレット型端末、キャッシュレス決済機器の導入。 |
| ③病児保育事業等のICT化(拡充) | 病児保育事業等において、空き状況の見える化や予約・キャンセル等のICT化を行うためのシステム導入。令和7年度から、都道府県主導による広域連携推進のため、新たに都道府県を実施主体に追加。 |
| ④医療的ケア児を受入れる保育所のICT機器 | 医療的ケア児とのコミュニケーションツールとなるICT機器の導入。 |
| ⑤認可外保育施設における機器の導入 | 保育記録の入力支援など、保育従事者の業務負担軽減につながる機器の導入。事故防止にもつなげる。 |
| ⑥研修のオンライン化事業 | 都道府県等が実施する研修を在宅等で受講できるよう、オンライン研修に必要なシステム基盤の整備、教材作成経費等の補助。 |
| ⑦保育士資格取得等に係るシステム改修 | 都道府県において、保育士資格の登録申請の届出等、自治体等の保有する情報との連携を可能とするためのシステム改修。 |
| ⑧児童館のICT化 | 児童館における入退館管理、こどもの記録管理、研修のオンライン化、利用者同士の交流・相談支援のオンライン化など。 |
補助金額一覧(2026年度実施分)
2026年度実施分(令和7年度補正予算分)の補助額は、以下のとおりです。
| 事業 | 補助基準額 |
|---|---|
| ①(ア)業務のICT化システム導入 | 1機能:20万円(端末併設70万円) 2機能:40万円(端末併設90万円) 3機能:60万円(端末併設110万円) 4機能:80万円(端末併設130万円) |
| ①(イ)翻訳機等の購入 | 1施設当たり15万円 |
| ② こども誰でも通園制度ICT機器導入 | 1施設当たり20万円 |
| ③(ア)病児保育(市区町村単位) | 1市区町村当たり500万円 |
| ③(イ)病児保育(施設単位) | 1施設当たり100万円 |
| ③(ウ)病児保育(都道府県単位・広域連携) | 1都道府県当たり1,000万円 |
| ④ 医療的ケア児ICT機器導入 | 1施設当たり20万円 |
| ⑤ 認可外保育施設の機器導入 | 1施設当たり20万円 |
| ⑥ 研修のオンライン化 | 1自治体当たり400万円 |
| ⑦ 保育士資格取得等システム改修 | 総額9,964万円のうち各都道府県の受験者数の割合等に応じて設定 |
| ⑧ 児童館のICT化 | 1施設当たり50万円(1施設1回限り) |
補助率と協議会による嵩上げ
本制度では、事業ごとに国・市町村・事業者でがそれぞれ何割を負担するか定められています。たとえば事業①でシステム導入費用が80万円だった場合、通常補助率「国1/2、市区町村1/4、事業者1/4」が適用されると、事業者(園)の自己負担は4分の1の20万円で済むことになります。
さらに、自治体が「協議会」を設置して保育のICT化を組織的に推進している場合、国の負担割合が引き上げられ(嵩上げ)、その分、自治体や事業者の負担が軽くなります。協議会とは、自治体・ICT関連事業者・保育事業者などで構成される連携組織のことで、システム導入の補助以外にも、導入支援や活用ノウハウの共有などの取組を行っていることが要件です。
各事業の補助率は以下のとおりです。
| 事業 | 通常の補助率 | 嵩上げ時の補助率 |
|---|---|---|
| ①業務のICT化システム導入 | 国1/2、市区町村1/4、事業者1/4 | 国2/3、市区町村1/12、事業者1/4 |
| ②こども誰でも通園ICT | 国1/2、市区町村1/4、事業者1/4 | 国2/3、市区町村1/12、事業者1/4 |
| ③(ア)病児保育(市区町村) | 国1/2、市区町村1/2 | 管内の病児保育施設の70%以上に予約システムを導入:国2/3、市区町村1/3 |
| ③(イ)病児保育(施設) | 国1/2、都道府県・市区町村1/4、事業者1/4 | ― |
| ③(ウ)病児保育(都道府県) | 国1/2、都道府県1/2 | 都道府県内の病児保育施設の70%以上に広域連携ICTを整備:国2/3、都道府県1/3 |
| ④医療的ケア児 | 国1/2、市区町村1/2 | ― |
| ⑤認可外保育施設 | 国1/2、都道府県・市区町村1/4、事業者1/4 | 国2/3、都道府県・市区町村1/12、事業者1/4 |
| ⑥研修オンライン化 | 国1/2、都道府県・市区町村1/2 | ― |
| ⑦保育士資格システム | 国1/2、都道府県1/2 | ― |
| ⑧児童館 | 国1/2、都道府県・市区町村1/2 | ― |
公立保育所と財政力指数1.0以上の自治体の特例
公立保育所(地方自治体が運営する施設)を対象にする場合は、補助率が「国1/2、自治体1/2」(嵩上げ時は国2/3、自治体1/3)に変わります。
このとき、事業①、②、⑤については、財政力指数が1.0未満の地方自治体が対象になります。
参考:地方公共団体の主要財政指標一覧
ただし事業①、⑤は、園児の登園及び降園の管理に関する機能を導入する場合のみ、特別区(東京23区)および財政力指数1.0以上の地方自治体も対象となります。
なお、民間運営の保育所・認定こども園・幼稚園・地域型保育・認可外保育施設には、この財政力指数による制限は適用されません。東京23区や横浜市など財政力指数1.0以上の自治体でも、民間施設は通常どおりICT補助金を活用できます。
過去に補助金を使った施設も再利用できる2つの特例
ICT補助金は原則「1施設1回限り」ですが、令和7年度補正予算では以下の重要な例外規定が設けられています。
特例① キャッシュレス決済機能の新規追加
過去に本補助金を活用して他のシステムを導入している施設でも、新たに「キャッシュレス決済」に係る機能を導入する場合は再び対象となります。
特例② 保育業務施設管理プラットフォーム連携のための登降園管理機能追加
保育業務施設管理プラットフォームを導入している施設において、新たに「登降園管理等の業務」に係る機能を導入する場合、過去に本補助金を活用して他のシステムを導入している場合でも対象となります。
これらの特例は、過去にICT導入済みでも、キャッシュレス決済や政府プラットフォーム連携のために補助金を再度活用できることを意味します。該当する園は要チェックです。
【令和8年度新設】保育ICT推進加算とは
「保育ICT推進加算」は、令和8年度(2026年4月)から新設された公定価格の加算です。
公定価格とは、認可保育所・認定こども園・幼稚園などが、子どもを預かることで市町村から受け取る運営費の単価のことです。基本分単価に加え、処遇改善等加算・障害児加算など各種加算が乗ってきます。「保育ICT推進加算」はその一員として加わります。
従来の「ICT補助金」が初期費用の補助だったのに対し、本加算はICTを継続的に活用している施設に毎年度支払われる仕組みです。具体的な加算額は、以下の表をご確認ください。
| 対象施設 | 加算額 |
|---|---|
| 幼稚園・保育所・認定こども園 | 30万円/年 |
| 地域型保育事業 (家庭的保育・小規模保育・事業所内保育・居宅訪問型保育) | 18万円/年 |
具体的には、加算額は「3月初日の利用子ども数」で割って単価化され、3月初日の利用子どもの単価に加算される仕組みです。
算定の4要件
加算を取得するためには、以下の4要件すべてを満たす必要があります。
要件① ICT活用責任者の配置
園内に「ICTの窓口になる人」を1人決めること。専門家である必要はなく、ICTの導入や活用に向けた職員からの相談に対応する役割を担う人を立てるイメージです。
要件② 4機能の活用
以下の4機能をICTで運用していること。
| 機能 | 具体例 |
|---|---|
| 保育に関する計画・記録 | 指導計画・保育日誌のデジタル作成 |
| 保護者との連絡 | アプリで連絡帳・お知らせ配信 |
| こどもの登降園管理等の業務 | タブレットでの登降園記録・打刻 |
| 実費徴収等のキャッシュレス決済 | 口座振替・カード・QR決済での集金 |
なお、キャッシュレス決済は他の3機能と別のシステムでも要件を満たしま)。ただし、ICTを活用した口座振替・カード決済・QR決済のいずれかが必要で、保護者が銀行アプリで直接振り込む方法や通常の銀行引き落としは要件を満たさない点に注意が必要です。
要件③ 「ここdeサーチ」での情報公表
こども家庭庁が運営する保育施設情報の公表サイト「ここdeサーチ」に、自園の情報を登録・公表していること。
要件④ 政府システムの活用
こども家庭庁が整備した以下2つの政府システムを使っていること。
・保活情報連携基盤(保活ワンストップ)
ただし、要件④については自治体が先に利用申請をしていないと施設は使えない点に注意。自治体の対応状況次第で加算取得の可否が決まる仕組みです。令和8年度については移行措置が設けられる見込みです。
補助金との併用ルール
ICT補助金と保育ICT推進加算は、同一年度には併用できません。
「保育所等業務効率化推進事業(保育所等におけるICT化推進等事業)」または「教育支援体制整備事業費交付金(幼児教育の質の向上のためのICT化支援)」などの国庫補助金を利用して導入した場合は、当該年度は加算対象外となります。
具体例は以下のとおりです。
| 補助金活用年度 | 加算開始年度 |
|---|---|
| 令和7年度中に補助金を活用してシステム導入 | 令和8年度から加算対象 |
| 令和8年度に補助金を活用してシステム導入 | 令和9年度から加算対象 |
なお、都道府県・市区町村の地方単独事業による補助でシステムを導入した場合は加算対象となります。
加算を受けるための準備チェックリスト
令和8年度から加算を取得したい園は、以下を確認してください。
・4機能(登降園管理・保護者連絡・計画記録・キャッシュレス決済)すべてを実運用しているか
・「ここdeサーチ」に自園情報を登録・公表しているか
・所在自治体が政府システム(プラットフォーム・連携基盤)の利用申請を行っているか
・直近で国庫補助金を活用していないか(地方単独補助は可)
対象となるICTシステム・機能の具体例
ここでは、補助金・加算の対象となる代表的なICT機能を具体的に紹介します。
登降園管理システム
タブレット端末などで園児の登降園時刻を記録・管理。延長保育料の自動計算や、保護者への通知も連動できます。保育業務施設管理プラットフォームとの連携機能を持つシステムは、令和8年度以降の活用がさらに広がる見込みです。
保護者連絡アプリ(連絡帳・お知らせ・写真共有)
紙の連絡帳に代わり、スマホアプリで連絡帳のやり取り、園からのお知らせ配信、写真・動画共有、欠席連絡などを行うシステム。
保育計画・記録システム
指導計画、保育日誌、児童票、発達記録などをデジタル化するシステム。一度入力した情報を再利用することで事務作業を大幅に削減できます。
キャッシュレス決済(POSレジ・口座振替・カード決済・QR決済)
保育料の徴収、延長保育料、給食費、用品代などをキャッシュレス化するシステム。POSレジを保育園に導入し、保護者がカードやQR決済で支払えるようにする例も増えています。保育ICT推進加算の4要件の一つでもあります。
翻訳機・通訳サービス(外国籍児童対応)
外国籍の保護者とのやりとりを支援する翻訳機やオンライン通訳サービスは、ICT補助金(1施設15万円)で対象となります。
病児保育の予約システム
病児保育施設の空き状況を見える化し、保護者がオンラインで予約・キャンセルできるシステム。市区町村単位(500万円)または施設単位(100万円)で補助が受けられます。
こども誰でも通園制度向けICT機器
令和7年度から新たに補助対象となった、こども誰でも通園事業所向けICT機器(空き枠登録機器・入退室管理タブレット・キャッシュレス決済機器など)の導入も支援対象です(1施設20万円)。
ICT「導入」と「活用」の違い
ここまで紹介してきたシステムを単に導入するだけでは、保育ICT推進加算の要件を満たしません。重要なのは継続的に「活用」している実態です。具体的には、職員全員が日常的に使用し、業務フローに組み込まれていること、4機能をフル活用できていることが求められます。
幼稚園・認定こども園での活用
「保育所等におけるICT化推進等事業」という名称から保育所だけが対象と誤解されがちですが、幼稚園・認定こども園も加算の対象施設です(事業の内容により異なります)。
保育ICT推進加算については、以下が対象になります。
・保育所
・認定こども園
・家庭的保育事業所
・小規模保育事業所
・事業所内保育事業所
・居宅訪問型保育事業所
「教育支援体制整備事業費交付金」との違い
幼稚園・認定こども園のICT化を支援する制度として、こども家庭庁の「教育支援体制整備事業費交付金(幼児教育の質の向上のためのICT化支援)」もあります。こちらは新制度未移行園が利用できる場合がありますので、自園の状況に合わせて使い分けが必要です。
参考:幼児教育の質の向上のためのICT化支援事業補助(東京都の場合)
私立幼稚園が使える支援メニュー
私立幼稚園で新制度未移行の園は、上記の「教育支援体制整備事業費交付金」が主な選択肢となります。新制度移行済みの幼稚園は、認定こども園と同様に保育ICT推進加算の対象となります。
申請の流れと公募時期
ICT補助金の実施主体は都道府県・市区町村です。国(こども家庭庁)は予算編成と国庫補助の交付までを担当し、実際の公募・申請受付・補助金支払いは各自治体が行います。
国の事業であり全国どこでも使える制度ですが、実際に公募を実施するかどうかは各自治体の判断に委ねられています。
こども家庭庁の委託調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、令和6年9-10月、16,709施設回答)では、ICT補助金を活用しなかった理由として以下が挙げられました。
・「導入したいタイミングと手続きが間に合わなかった」22.5%
・「所在する市区町村で補助事業を実施していなかった」14.4%
約7施設に1施設は、自分の自治体が事業を実施していないために使えなかったことが分かります。
自分の自治体が実施しているか確認する方法
以下の方法で確認してください。
・市区町村の保育担当部局のWebサイトを確認(「保育」「子育て」関連の課)
・都道府県のこども・福祉部局のWebサイトを確認
・こども家庭庁の「保育提供体制の確保のための実施計画」採択市区町村一覧を確認
・自治体の保育担当課に直接電話で確認
主要自治体の実施例
ここでは参考として、主要自治体の実施例を紹介します。
| 自治体 | 制度名 |
|---|---|
| 東京都 | 保育所等におけるデジタル化推進事業費補助金 |
| 横浜市 | 保育所等における業務効率化推進事業 |
| 大阪市 | 大阪市保育所等におけるICT化推進のための補助金 |
| 名古屋市 | 同等の補助制度あり |
| 札幌市 | 同等の補助制度あり |
| 福岡市 | 同等の補助制度あり |
申請の基本フロー
申請から補助金交付までの大まかな流れは以下のとおりです。
・自治体の公募開始を確認(自治体WebサイトやFAX・メール案内)
・対象システム・機能の選定(複数機能の組み合わせで補助額が変わる)
・実施計画書・見積書を作成
・自治体に申請書を提出(自治体指定の方法。電子申請が多い)
・交付決定通知を受領
・システム導入・支払い完了(自治体指定の期間内)
・実績報告書の提出
・補助金の交付
自治体ごとに異なる項目
実施している自治体間でも、以下がの内容が異なります。
| 項目 | バリエーション例 |
|---|---|
| 公募時期 | 4月開始の自治体もあれば、夏以降の自治体も |
| 実施期間 | 「年度内」「導入・支払い完了期限が11月末」など |
| 補助対象施設 | 公立を含むか、認可外を含むかなど |
| 上乗せ補助 | 国の補助に自治体独自の上乗せをする例もある |
| 申請方式 | 電子申請のみ/紙申請のみ/併用 |
保育所のデジタル化が社会にもたらす影響
保育士の事務系業務は月63時間
東京都内の保育事業者を対象とした令和2年の調査では、保育士・保育教諭が事務系業務に割いている業務時間は平均63時間/月であり、業務時間全体の33%を占めています(出典:こども家庭庁公表資料、原典:デジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプ TYPES 制度概要)。
この時間をICTで効率化できれば、こどもと向き合う時間を確保し、保育の質の向上につながります。
配置基準の見直しとデジタル化の関係
保育士の配置基準は、令和6年度から1歳児(6対1→5対1)・4-5歳児(30対1→25対1)の見直しが進行中ですが、保育士不足が深刻ななかで配置基準の改善だけでは十分な対応が困難です。
そのため、デジタル機器を活用した業務改善で生まれた時間を、子どもや保護者への対応にあてることが期待されています。
デジタル化が保育の質と社会全体に与える効果
保育所の環境が改善されれば、以下のような効果が期待できます。
・保育士の離職率が下がる
・保育の質が向上する
・子育てしやすい社会につながる
保育所の環境整備は、保育の現場だけでなく社会全体にとって大きなメリットをもたらす投資といえます。
よくある質問
ICT補助金と保育ICT推進加算は併用できる?
同一年度の併用はできません。たとえば令和7年度に補助金を活用した場合、加算は令和8年度から対象になります。なお、都道府県・市区町村の地方単独補助で導入した場合は加算対象になります。
東京23区でも使える?
民間運営の保育園・認定こども園・幼稚園・地域型保育・認可外は問題なく利用できます。東京都が「保育所等におけるデジタル化推進事業費補助金」として公募を実施中です。財政力指数1.0以上による制限は公立保育所のみが対象です。
過去に補助金を使った園でも再度使える?
2つのケースで再活用できます。キャッシュレス決済機能を新たに導入する場合、または保育業務施設管理プラットフォーム導入施設が登降園管理機能を新たに追加する場合は、過去に補助金を使っていても対象です。
認可外保育施設も対象になる?
対象です。「⑤ 認可外保育施設における機器の導入」として1施設20万円の補助が受けられます。
幼稚園でも申請できる?
申請できます。ICT補助金・保育ICT推進加算とも、新制度移行済みの幼稚園は対象です。新制度未移行の幼稚園は「教育支援体制整備事業費交付金」が別途用意されています。
POSレジは補助対象になる?
キャッシュレス決済機能の一部として対象になる場合があります。詳細な対象範囲は自治体の交付要綱で確認してください。
システムのリース料は対象になる?
自治体により取扱いが異なります。多くの場合は初期導入費用が主な対象で、リース料は一定期間分のみ対象になることがあります。
申請窓口はどこ?
所在地の市区町村(場合によっては都道府県)の保育担当部局です。国(こども家庭庁)に直接申請するものではありません。
令和8年度の公募はいつ始まる?
自治体によって異なります。4月以降に公募開始する自治体が多いですが、夏以降に公募する自治体もあります。所在地の自治体Webサイトで確認してください。
4機能の一部だけでも加算は取れる?
取れません。保育ICT推進加算は、登降園管理・保護者連絡・計画記録・キャッシュレス決済の4機能すべての活用が要件です。
こども誰でも通園制度でも使える?
使えます。令和7年度補正予算から、こども誰でも通園事業所向けのICT機器導入が新たに補助対象になりました。1施設20万円の補助が受けられます。
まとめ
2026年度(令和8年度)から、保育のICT支援は「補助金」と「加算」の2区分となります。ICT補助金はシステム導入時の初期費用を補助する制度(1機能20万円〜4機能130万円ほか)で、保育ICT推進加算はICTを継続的に活用する園に毎年30万円(地域型は18万円)が公定価格に加算される新制度です。
同一年度の併用はできませんが、補助金で導入→翌年度から加算開始という流れで、初期費用と継続収入の両方を受け取る設計が可能です。
まずは自園の所在自治体が令和8年度にICT補助金の公募を実施しているか、また保育ICT推進加算の4要件(ICT活用責任者・4機能の活用・ここdeサーチ登録・政府システム活用)を満たしているかを確認することから始めましょう。
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