外国人観光客の増加に加え、子育て世代や高齢者、障害者など多様な宿泊ニーズが高まる中、宿泊施設には誰もが快適に過ごせる環境づくりが一層求められています。こうした状況を受け、東京都では宿泊施設のバリアフリー化を支援する「宿泊施設バリアフリー化支援補助金」を実施しています。
この制度は、高齢者や障害者、子育て世代など、さまざまな利用者が安心して滞在できる環境整備を支援するものです。今回は宿泊施設バリアフリー化支援補助金の概要や申請方法をまとめました。
すでにバリアフリー化を取り入れた施設の活用事例も、あわせて紹介します。
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この記事の目次
宿泊施設バリアフリー化支援補助金とは
本補助金は、都内宿泊施設のバリアフリー化を目的とした制度です。高齢者・障害者等の観光客やビジネス客、赤ちゃん連れの方など、誰もが円滑かつ安全・安心に過ごせる環境整備を促進します。
まずは制度の概要をみていきましょう。
対象施設
補助の対象となるのは、以下のいずれかです。
| ■旅館・ホテル営業 ■簡易宿所営業 |
以下にあてはまる施設は、補助を受けることができません。
- 風俗営業者など
- 国は地方公共団体からの運営委託・指定管理を受けている施設
- 建築物バリアフリー条例等で義務化された基準で建てられた施設
ただし、義務化された基準を超える整備を行う場合は、補助対象となります。
対象事業者
補助の対象となる事業者は、営業許可書の許可を受けているか否かを問わず、補助対象施設を経営・所有している者を指します。ただし以下の場合は対象外です。
- 暴力団関係者
- 補助事業の交付決定取消し等を受けたもの、または法令違反等不正の事故を起したもの
- 刑事法令による罰則の適用を受けているもの
- 事業の継続性について不確実な状況が存在しているもの
- 休眠会社として解散したものとみなされているもの
- 都税その他租税の未申告・滞納があるもの
- 東京都および東京都政策連携団体に対する賃料・使用料等の債務支払が滞っているもの
- 営業に関して必要な許認可等を取得していないもの
- 宗教活動や政治活動を主たる目的とする団体等
- その他
なお、宗教団体等であっても、宿泊事業が宗教活動と明確に切り離されている場合は対象となります。
対象事業
対象となる事業は、以下の3つです。
| (1) コンサルティング ・現地調査 ・図面確認 ・その他必要とされる事項 (2) バリアフリー化整備 ・施設整備 ・客室整備 ・備品購入 (3) バリアフリー化整備に係る実施設計 |
また、主な要件は以下のとおりです。
| 要件区分 | 内容 |
| (1)アクセス経路の整備 (※備品購入事業を除く) | 【一般客室以外の整備】 以下いずれか1つ以上の経路整備が必要 ・敷地に接する道から整備対象箇所までの経路 ・居室から車椅子用便房または駐車場への経路 【一般客室の整備】 「宿泊者特定経路」と出入口の整備が必要(段差のない導線) |
| (2) 審査基準の遵守 | 整備内容は以下いずれかに準拠 ・「東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアル(令和5年改訂)」 ・「高齢者・障害者等に配慮した建築設計標準(追補版)」 |
| (3) バリアフリー情報の発信 | ・自社ホームページ等での公開が必要 ・東京観光財団や東京観光産業ワンストップ支援センターでも情報掲載あり |
対象経費
バリアフリー化を推進するための、以下の経費が対象です。
| カテゴリ | 対象経費の内容 |
| (1) コンサルティング | ・報告書作成費 ・旅費 ・その他、調査・検討に必要な費用 |
| (2) バリアフリー化整備事業 (施設・客室・備品) | 【施設整備】 (例:スロープや手すりの設置など) 【客室整備】 ・施設改修工事費 ・電気工事費・設備工事費 ・附帯設備および工事費 ・施工管理委託経費 ・運搬費・機器購入費 ・その他、必要と認められる費用 【備品購入】 ・備品の購入費 ・運搬・設置費 |
| (3) 実施設計 | 実施設計図面作成に係る経費 |
補助率・上限額
補助率や上限額は、延床面積によって異なります。延床面積1,000㎡未満の施設の場合、主な補助額は以下のとおりです。
| 対象区分 | 補助率 | 上限額 | 備考 |
| コンサルティング | 2/3 | 100万円 | 延床面積1,000㎡未満の施設 |
| 施設整備 | 4/5 | 3,000万円 | 整備項目1種類の場合 |
| 4/5 | 6,000万円 | 下記のうち2種類以上の整備を実施する場合 ・敷地内の通路 ・出入口 ・廊下等 ・階段 ・傾斜路 ・エレベーター ・特殊昇降機 ・駐車場 | |
| 客室整備(15㎡未満) | 3/4 | 4,000万円 (6室以上整備で8,000万円) | 条例に定める一般客室 |
| 客室整備(15㎡以上 or 車椅子対応) | 4/5 | 4,200万円 (6室以上整備で8,400万円) | 条例に定める客室・車椅子使用者用客室 |
| 客室整備(出入口幅90cm以上) | 9/10 | 4,800万円 (6室以上整備で9,600万円) | 車椅子使用者用客室で要件を満たす場合 |
| 備品購入 | 4/5 | 320万円 | |
| 実施設計 | 4/5 等 | 100万円 | コンサルティングまたは施設整備と同時申請が条件 |
補助額の詳細は、以下の図も参照してください。

出典:公益財団法人 東京観光財団
宿泊施設バリアフリー化支援補助金の活用事例
宿泊施設バリアフリー化支援補助金は、すでに多くの宿泊施設で活用されています。ここでは本制度を活用した施設の事例を、いくつか見ていきましょう。■帝国ホテル
・外構部主要出入口の段差解消(スロープ設置)
・パブリックエリアに多目的トイレ(だれでもトイレ)を設置
・ショップ階への宿泊者用通路を新設
・各所階段に補助
■ホテルニューオータニ
・多目的トイレ(だれでもトイレ)12箇所目を新設
・各所階段に補助手摺を順次新設
・ベビーチェアのあるトイレも7箇所あり
■八王子セミナーハウス
・講堂に多目的トイレ(だれでもトイレ)を設置
・周囲の建物からの傾斜路に手すり・車止め等を設置
・食堂の出入口階段
利用者の需要にあわせ、さまざまな取組が実施されています。
宿泊施設バリアフリー化支援補助金の申請について
申請は、郵送または電子システムを利用します。電子システムで申請する場合、事前にアカウント(gBizIDプライム)を取得してください。
また申請では、現状や予定されている工事の内容について、事前調査が行われます。事業全体の流れは、以下のとおりです。

出典:申請の手引き
必要な書類や、募集期間をみていきましょう。
必要な書類
申請に必要な主な書類は、以下のとおりです。
■申請書
■補助事業計画書
■誓約書
■同意書
■印鑑証明書
■登記簿謄本等
■社歴書・経歴書
■宿泊者向けパンフレット等、施設の概要がわかるもの
■直近2期分の財務諸表
■納税証明書
■仕様書
■経費の積算明細書または見積書
■工事工程表
■整備後の主要経路(動線)の図面
■旅館業営業許可書(写し)
■整備前後の平面図、展開図
■建物の登記事項証明書
■建築確認済証(写し)
■建築検査済証(写し)
■建物建築図面
そのほか、必要に応じて書類の提出が求められます。
募集期間
募集期間は、以下のとおりです。
令和7(2025)年4月1日(火)から令和8(2026)年3月31日(火)まで
郵送は当日消印有効、Jグランツは17時締切となります。
まとめ
東京都の「宿泊施設バリアフリー化支援補助金」は、高齢者・障害者・子育て世代など全ての人が安心して利用できる宿泊環境の整備を支援する制度です。旅館・ホテル営業や簡易宿所が対象で、施設整備や客室改修、備品購入などに対し最大9,600万円の補助が受けられます。
スロープ設置や多目的トイレの整備などのバリアフリー化は、施設にとっても、多様な顧客層を取り入れる強みとなり得ます。宿泊施設バリアフリー化支援補助金をはじめとする支援を上手に活用し、持続可能な施設への転換を図りましょう。
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