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環境省の採択状況まとめ!主な省エネ補助金の採択内容を調べてみた【2019年度】

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主だった補助金の申請は6月までにその多くが締め切りを迎え、今後、続々と採択結果が発表されるシーズンに移ってきました。

今回は省エネ関連の補助金でも真っ先に採択結果が公表された環境省の主な省エネ補助金について採択結果を紐解き、各補助金でどのような事業者が採択に至っているのかをまとめてみました。

この記事の目次

2019年度環境省_省エネ補助金の採択事業の傾向

省エネ関連の補助金は経産省や国交省などでも実施されていますが、中でも環境省は”地球温暖化対策”をキーワードに”CO2排出量削減”を目的に様々な視点での補助金が実施されています。

『ZEB』や『L2-Tech』といった最先端技術の普及促進から、『テナントビル』や『国立公園』内施設など様々な要因で省エネの普及が遅れがちなところをターゲットにしたものなどが今年度実施されました。

また”CO2排出量削減”に重きが置かれているため、熱源機器への施策が多かったり、企業規模に関わらず採択されているのも特徴といえるかと思います。

今年度の具体的な採択事例としては、空調設備に関する改修や燃料転換の為の設備更新などが多く採択されておりました。省エネ設備改修の大部分を占める照明のLED化については、各補助金の要件によりLED照明化単独での事業は無く、他設備の更新と合わせて実施されているようです。

採択されている業種としては、熱利用の多い医療機関や福祉施設が他の省エネ補助金に比べると多めに採択されている印象です。また大きな”CO2排出量削減”効果が見込める大企業の工場施設や複数拠点での事業も採択されていました。

採択事業所の所在地を見てみると比較的、東京、大阪、愛知といった都心部は少なく、地方での採択が目立つのも環境省の補助金の特徴と言えるかもしれません。『ZEB』などで太陽光発電システムを導入する場合には広い土地が必要になったり、エネルギー源(燃料)の転換は比較的地方部の方が実施しやすいことなどが要因として挙げられるかと思います。

それでは、各補助金の採択状況について下記をご覧ください。

参考
1.ASSET事業採択結果
https://www.asset.go.jp/info/index

2~5.二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金採択結果(SERA実施分※静岡県環境資源協会)
http://www.siz-kankyou.jp/2019co2_201904031320596.html

6~8二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金採択結果(GAJ実施分※温室効果ガス審査協会)
https://www.gaj.or.jp/eie/rule/entry.html

 

1.ASSET事業(先進対策の効率的実施によるCO2排出量大幅削減事業)

本年度で8回目を迎えたASETT事業では、平成26年の114件に次いで過去2番目の多さとなる100件が採択されました。


事業全体で掲げたCO2排出削減目標の達成に向け、参加者による排出枠の調整と確実な排出削減を目的とするL2-Tech認証製品等の低炭素機器の導入を支援する制度で、企業の単独参加と、複数企業でのグループ参加が可能です。

採択件数:100件
単独参加(事業場):44件
単独参加(工場) :44件
グループ(事業場):5件
グループ(工場) :7件

採択者の傾向:
CO2排出枠への登録が必要だったりと仕組みが複雑な制度でもあることから、採択者の過半数が大企業またはそのグループとなっています。

業種としては製造業(工場)が最も多く、療法人や福祉法人、大規模な宿泊施設等も一定の割合となっています。

この補助金では環境省の省エネ技術指針「L2-Tech」の認証を受けた製品の導入が必要で、採択案件では、工場はボイラーやヒートポンプ、コージェネレーションなどの燃料転換に伴う設備の入れ替えが多く、その他の事業では”省エネ化事業”として施設全体での施策となっており、恐らく空調設備や給湯設備のの更新、LED照明の導入が実施されているものと思われます。

ASSET事業HP(環境省特設サイト)
https://www.asset.go.jp/outline


2.ZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業

中小規模業務用ビルのZEB実現に向けて、エネルギー削減率50%以上となる事業に対し省エネ・省CO2性の高いシステムや設備等の導入に係る費用を補助する制度です。

①『ZEB』・Nearly ZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業
採択件数:
ZEB:6件 Nearly ZEB:17件
採択者の傾向:
ZEB(Net Zero Energy Building)というのは建物全体で年間に消費するエネルギー収支を0にすることを目指すビルのことで、この事業では「ZEB(エネルギー収支を0%以下まで削減)」「Nearly ZEB(エネルギー収支を25%以下まで削減する)」が補助対象です。
エネルギー収支0%は、太陽光発電をはじめとした大規模な創エネシステムや高度な省エネ設備がなければ到底達成できない高い目標設定でもある為、採択を受けた企業は経済的な省エネ効果はもちろん、CSR(企業の社会的責任)への取り組みや、BCP対策(災害時の事業継続計画)を重視する大企業の割合が高くなっています。
自治体や病院、福祉施設なども一定数の採択を受けています。

②ZEB Ready普及に向けた先進的省エネルギー建築物⽀援事業
採択件数:11
この事業ではZEB,NearyZEBよりも申請のハードルが低い「ZEB Ready(エネルギー収支を50%まで削減)」が補助対象となっています。
採択を受けたのは自治体とホテルがそれぞれ3件ずつ、その他、病院や学校などが採択されています。今年度より新たに設けられた枠組みであり、中小企業では申請しにくく大企業ではより高度な『ZEB』を狙った為か、有名企業の申請は少なくなっています。

3.既存建築物に置ける省CO2改修支援事業

CO2の排出量を30%以上削減できる既存建築物の省エネ化事業に対し、省エネ・省CO2性の高いシステムや設備等の導入費用を補助する制度です。

①⺠間建築物等における省CO2改修⽀援事業
採択件数:32件
こちらは民間建築物を対象とした省CO2改修を補助対象とする制度ですが、去年までは補助対象が「福祉施設」又は「駅舎、地方公共団体の所有施設等」に限定されていたことから、本年度も採択者のうち約7割ほどが老人福祉施設や学校法人に偏り、一般法人の採択は公募概要の発表などでいち早く情報を掴んでいたと思われる僅か3件のみとなっています。
また埼玉県や大阪府では採択事例があるものの東京都では0件となっており、都心から比較的離れた地域での採択事例が多いのも特徴と言えるかもしれません。

②テナントビルの省CO2改修⽀援事業
採択件数:4件
テナントビルの所有者と利用者がグリーンリース契約などを結び、協働してCO2削減に取り組む設備投資に対し補助金が交付されます。ビルオーナーが入居している各テナントと契約を結ぶ必要があるなど実務的なハードルが高いことから、銀行の参加している2グループを含む大手4社のみ採択を受けています。

4.国立公園宿舎事業に置ける省CO2改修支援事業

採択件数:11件
国立公園の宿泊施設のみが申請対象です。一般社団法人が2件、株式会社/有限会社が9件の内訳となっています。
全国が対象ですが静岡県の伊豆市の宿泊施設が11件中4件採択されています。

5.上下水道施設の省CO2改修支援事業

採択件数:11
自治体を対象とした補助金となっており、全国の自治体で計11ヶ所の浄水場や中継ポンプ場などが採択されています。
自治体の内訳は県が1件、市が7件、町が2件、自治体またぎの共同事業が1件となっています。

【②~⑤までの窓口機関】
SERA(一般社団法人静岡県環境資源協会)
http://www.siz-kankyou.jp/2019co2.html

6.設備の高効率化改修による省CO2促進事業

採択件数:66件
既存設備の部品を交換したり、追加したりする事で省エネ化を図る事業です。
採択者は福祉施設とアミューズメント施設でそれぞれ10件程度、次いでホテル、病院などが多くなっています。
採択された事業は空調に使用しているヒートポンプなどの改修が8割を超え、その他には変圧器の交換やEMSの導入なども採択されています。
省エネに関する設備の改修工事といえば蛍光灯照明器具のバイパス工事(LEDランプを使用できるようにする工事)もございますが、こちらの補助金では補助対象外となっています。

7.熱利用設備の低炭素・脱炭素化による省CO2促進事業 (熱利用事業)

採択件数:9件
工場が5件と宿泊施設が4件採択されています。
採択された事業内容を見てみると、工場の5件は全てがボイラー等の追加、更新などの熱源に関する事業となっており、その他宿泊施設では電気式ヒートポンプの導入による熱利用の効率化が3件、エコキュートの導入が1件となっております。

8.温泉供給設備高効率化改修による省CO2促進事業 (温泉事業)

採択件数:9件
温泉を利用する為の配管やポンプなどの更新が対象で、温泉事業に携わる自治体や協同組合、株式会社でも採択されています。

JEA(公益財団法人日本環境協会)
https://www.jeas.or.jp/saiene/outline/2019/01/

まとめ

今回は環境省の省エネ関連の補助金の採択状況について紹介いたしました。

環境省では申請件数が非公開となっており採択率、競争率がどれくらいかは不明ですが、他省庁に比べると予算規模もそれほど大きくないことから採択件数自体は比較的少なくなっております。

その代わり企業規模や業種に関わらず、先端技術などを積極的に取り入れた大規模な省エネ改修事業などが優遇されやすい制度となっておりますので、SDGsなどの取り組みをご検討中の方には取り組みやすい内容といえるかもしれません。

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