日本は国土面積の約70%を森林が占めており、先進国の中では有数の森林大国と呼ばれています。
豊かな自然や、木材の安定的な供給を基盤に洗練された木造建築の技術は、現在の日本においても重要な観光資源の一つとして非常に重要な役割を担っています。
そこで、今回は自然環境の保全や、林業の発展などに向けて活動を行う「林野庁」の令和2年度第3次補正予算について紹介します。
【林野庁とは】
農林水産省の外局である林野庁は「森林の保続培養、林産物の安定供給の確保、林業の発展、林業者の福祉の増進及び国有林野事業の適切な運営を図ることを任務とする(農林水産省設置法)」行政機関です。
林野庁
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この記事の目次
令和2年度 林野関係第3次補正予算
令和2年度第3次補正による林野関係の追加予算は合計で1555億円となっています。
令和2年7月豪雨関連の復旧、災害防止のための治山事業、林業の国際競争力向上に向けたTPP関連の事業などに大きな予算が計上されています。
森林整備による防災・減災対策 338.0億円
森林の防災・保水機能の発揮のため、令和2年7月豪雨災害等による荒廃森林の整備を実施するとともに、重要なインフラ施設の周辺や氾濫した河川の上流域等での間伐等のほか、林道の整備・改良等の対策を推進します。
1.豪雨により被災した森林の整備
令和2年7月豪雨により被災した森林において、今後の豪雨による被害木の流出等の新たな災害の未然防止を図るため、被害状況の確認に必要な森林作業道の復旧を実施します。
2.激甚化する災害を踏まえた防災・減災対策
森林の防災・保水機能を発揮させるため、流域治水の取組等とも連携しつつ、山地災害危険地区や重要インフラ施設の周辺、氾濫した河川上流域等を対象に間伐等の森林整備を実施するとともに、防災機能の強化に向けた林道の整備・改良等を実施します。
総合的なTPP等関連政策大綱に基づく森林整備 158.0億
政府のTPP等総合対策本部によって策定された「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づいて実施する「合板・製材・集成材国際競争力強化・輸出促進対策」等の基盤となる森林整備への予算です。
「総合的なTPP等関連政策大綱」については下記のリンクをご覧ください。
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/tpp/
治山事業 461.0億
森林の防災・保水機能の発揮のため、令和2年7月豪雨災害等による荒廃山地の復旧整備を実施するとともに、山地災害危険地区や氾濫した河川の上流域等において、治山施設の整備等による防災・減災対策を推進します。
1.荒廃山地の緊急的な復旧整備
令和2年7月豪雨等による荒廃山地の緊急的な復旧整備を実施します。
2.激甚化する災害を踏まえた防災・減災対策
山地災害危険地区や重要なインフラ周辺、氾濫した河川上流域等を対象に、森林の有する土砂流出防止機能や水源涵養機能等の適切な発揮に向け、流域治水の取組等とも連携しつつ、流木、土石流、山腹崩壊の発生を抑制する治山施設の整備や保安林整備を実施します。
山林施設災害復旧等事業 385.7億
令和2年7月豪雨等により被災した治山・林道施設や荒廃山地等を早期に復旧し、国土の保全や生産活動の維持、地域の安全・安心の確保を推進します。
1.山林施設災害復旧事業 21.7億円
災害により被災した治山・林道施設等の復旧整備を実施します。
2.山林施設災害関連事業 16.7億円
災害により新たに発生し、又は拡大した荒廃山地等において、再度災害を防止するため、緊急的な復旧整備を実施します。
合板・製材・集成材国際競争力強化・輸出促進対策 362.6億
「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づいて実施される事業で国内林業の競争力強化・進化のために下記の取組を実施します。
1.木材産業国際競争力強化対策 14.7億円
①木材産業の輸出促進・体質強化対策
合板・製材・集成材工場等が行う輸出拡大に資する高付加価値化、大規模化・高効率化(省人化・省力化等コロナ対策に資する施設導入を含む)、他品目転換等を支援します。
②原木の低コスト供給対策
大径材を含む原木を低コストで安定的に供給するため、路網の整備・機能強化、高性能林業機械の導入や間伐材生産等を支援します。
2.森林整備事業<公共> 15.8億円
幹線となる林道の整備と搬出間伐等を実施し、原木を低コストで安定的に供給します。
3.木材製品等の輸出支援対策 等 8.7億円
輸出拡大にも資する販売力強化に向けた人材育成や労働安全衛生対策の強化の取組を支援します。また、輸出先国のニーズ・規格等に対応した製品開発や性能検査・実証、輸出先国への重点プロモーション活動、きのこ等の生産施設整備等を支援します。
このほか、輸出する木材の合法性確認システム構築のための調査等を実施します。
4.木材製品の消費拡大対策 等 4.9億円
非住宅分野等の外構部も含めた木造化・木質化等を推進します。伐採・造林作業の自動化・遠隔操作技術の導入・実証、木質燃料の品質向上に資する施設整備等を支援します。
「緑の雇用」新規就業者育成推進事業 2.35億
コロナの影響により都市部を中心に失業者の増加がみられる中、林業をはじめとする農林水産業の分野では外国人技能実習生の来日が減少したことで人手不足が深刻な状況となっています。
この事業では、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理を担う林業従事者の確保・育成に向けて、就職氷河期世代を含む幅広い世代を対象に就業ガイダンスの開催やトライアル雇用(短期研修)の実施、多技能化に対応した人材育成、新たな研修手法の開発・実証を支援し、林業新規就業者1200人の確保を目指しています。
林業経営体能力向上支援対策 5.0億
新型コロナウイルス感染症拡大等に伴う木材需要の停滞を踏まえ、木材需要に応じた生産活動に取り組む意欲と能力のある林業経営体等の能力向上を図るとともに、林業としての雇用を維持するため、現下の森林・林業の課題解決にも寄与する造林、下刈り、保育間伐等の取組を緊急的に支援します。
1.木材生産を伴わない森林施業等
林業経営体による造林、下刈り、除伐、保育間伐、森林作業道整備等の取組を支援します。
2.関連条件整備活動
上記1の実施に必要な取組(鳥獣害防止対策等)を支援します。
まとめ
今回は令和2年度の補正予算で実施される林野庁の事業について紹介しました。
政府が更なる加速を進めている減災・防災、国土強靭化関連の事業として森林整備や治山事業には大きな予算が計上されており、TPP関連や人材育成等の前向きな投資も計画されています。
コロナ禍で進む地方回帰の動きを、担い手が不足する地域の産業に結びつけていくことは政府の重要な役割となっていますので、ポストコロナ時代に向け政府の今後の施策には要注目です。
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