2020年度から通年で公募が行われている「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(以下:ものづくり補助金」の第6次公募(令和3年5月13日締切分)が2月22日からスタートしました。
ものづくり補助金は中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する補助金制度で、申請区分は基本となる「一般型」と、海外展開への支援を目的とした「グローバル展開型」という2種類が用意されています。
今回紹介する「一般型」の申請区分には、現在、新型コロナへの対応として「低感染リスク型ビジネス枠」という特別枠が設けられており、要件を満たす場合には通常の申請枠よりも優遇された支援を受ける事が可能です。
特別枠の適用を受ける事ができれば、事業に係る広告宣伝・販売促進費なども補助の対象となりますので、新製品の開発などを通し事業の拡大を図る事業者の方は是非活用をご検討ください。
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この記事の目次
ものづくり補助金一般型(通常枠・新特別枠)
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する「働き方改革」や「被用者保険の適用拡大」、「賃上げ」、「インボイス導入」等の制度変更に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的なサービスの開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する補助金制度です。
上記の基本的な制度の目的に加え、現在は新型コロナウイルスの感染拡大の影響による社会経済の変化に対応したビジネスモデルへの転換に向け前向きな投資を行う事業者に対し、通常枠とは別に、補助率を引き上げ、営業経費を補助対象とした「新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)」が新たに設けられています。
補助対象となる事業者
日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者および特定非営利活動法人(それぞれ定められた要件を満たす者)
補助対象となる事業
個々の中小企業者にとって下記の4種類のいずれかに該当する「新たな事業活動」であれば、既に他社において採用されている技術・方式を活用する場合でも原則として一般型の補助対象となります。
ただし、業種毎の同業中小企業の当該技術等の導入状況、地域性の高いものについては、同一地域における同業他社における当該技術等の導入状況などから判断し、それぞれについて既に相当程度普及している技術・方式等の導入については、対象外となります。
1.新商品(試作品)の開発
下記のような新商品の開発事例があります。
- 建設業者が、産業廃棄物である下水汚泥などを甘味料としても知られる植物を用いて処理し、新たに肥料を生産し販売する。
- 木製品製造業者が、これまで建具の材料として利用が困難とされていた間伐材を、加工するための切削用刃物を開発。更に開発した天然の塗料で仕上げることで、防腐、防かび効果が高められ、環境と健康にやさしい建具を生産、販売をする。
- 業務用の大型で強力な空気清浄機を製造していた企業が、きれいな空気に対するニーズの高まりを受けて、小型化に挑戦し、一般家庭用の小型で強力な空気清浄機を開発する。
- 産業廃棄物業者が、茶がらやさとうきびかす等の植物性廃棄物を、生分解可能な容器にリサイクルする技術を開発。これらの製品は環境に負荷を与えることなく、廃棄処理ができる。
2.商品の新たな生産又は販売方式の導入
商品は新しくなくても、生産やサービスの供給効率を向上させるなど生産方式や販売方式が新しいものであれば対象となります。
- 果物の小売業者が、本格的なフルーツパーラーを開店。果実店で培われた果物についての知識などの強みを活かすとともに、フルーツ&ベジタブルマイスターの資格を持つ店員が常駐し、高品質フルーツを使ったスイーツや、フルーツや野菜のフレッシュジュース、健康を意識した野菜を取り入れたランチメニューも提供。
- 金属加工業者が、金属熱加工製品の開発に伴う、実験データを蓄積することにより、コンピュータを利用して、熱加工による変化を予測できるシステムを構築する。それにより、実験回数を減らし、新商品開発の迅速化とコスト削減を図る。
- 食品加工業者が、製品のトラブルの発生を防ぎ、消費者・取引先からの信頼を得るために、新しい品質管理のシステムである「HACCP(危害分析重要管理点方式) 」 対応の新工場を建設する。
3.新役務(サービス)の開発
次のような新しいサービスの開発や提供が対象となります。
- 美容室が高齢者や身体の不自由な方など、自分で美容室に行くことが困難な方のために、美容設備一式を搭載した車で美容師が出張し、カットやブローの基本コースからへアメイクや着付けなどのサービスを行う。
- 老舗の旅館が、空室を日帰り客向けのリラクゼーションルームとして改装し、新しいサービス事業を行う。それにより昼間の時間帯の増収を図るとともに、そこから新規宿泊客の拡大に結びつける。
- 畜産農家向け飼料販売業者が、新たに畜産農家の繁忙期・旅行時に社員を畜産農家に派遣して、家畜の世話等を行うとともに、畜産農家の経営効率を向上させるためのコンサルティングサービスを行う。
4.役務の新たな提供方式の導入
次のような新しいサービス方式の採用などが対象となります。
- 不動産管理会社が、企業の空家となった社員寮を一括借り上げして、それを高齢者向けに改装し、介護サービス、給食サービスを付加して、高級賃貸高齢者住宅として賃貸する。
- タクシー会社が、乗務員に介護ヘルパーや介護福祉士の資格を取得させ、病院や介護施設への送迎などのタクシー利用者を獲得し、高齢者向け移送サービスで介護サービス事業へ進出して多角化を図る。
- 美容室が写真館を併設。成人式や七五三、結婚式などの記念撮影時、その場で撮影することが可能となり、移動の手間や、着付けが乱れるといった問題を解消するサービスを提供し、新規顧客の獲得につなげる。
※中小企業庁発行 2020年版経営革新計画進め方ガイドブックより
低感染リスク型ビジネス枠の対象となるもの
上記で紹介した一般型の申請要件を満たしつつ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、社会経済の変化に対応したビジネスモデルへの転換に向けた下記に該当する投資が補助対象となります。※特別枠で不採択となった場合でも通常枠で優先的な採択の対象となります。
1.物理的な対人接触を減じることに資する革新的な製品・サービスの開発
【例】AI・IoT等の技術を活用した遠隔操作や自動制御等の機能を有する製品開発(部品開発を含む)、オンラインビジネスへの転換等
2.物理的な対人接触を減じる製品・システムを導入した生産プロセス・サービス提供方法の改善
【例】ロボットシステムの導入によるプロセス改善、複数の店舗や施設に遠隔でサービスを提供するオペレーションセンターの構築等
3.その他、ポストコロナに対応するビジネスモデルの抜本的な転換に係る設備・システム投資
※キャッシュレス端末や自動精算機、空調設備、検温機器など、ビジネスモデルの転換に対して大きな寄与が見込まれない機器の購入は、原則として、補助対象経費になりません
申請事業に求められる「付加価値額・賃上げ要件」について
申請対象となる事業計画は、以下の要件をすべて満たした上で、従業員に計画内容を表明していることが必要です。
-
1.事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
2.事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする
3.事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加
ただし、今般の新型コロナウイルスの影響を受けた事業者(加点措置を受けた事業者)については、補助事業実施年度に感染症の影響を受けることを想定して、上記の賃上げ及び付加価値額増加の目標を据え置きし、その翌年度から3~5年の間にこの目標値を達成する計画とすることが可能です。
補助額
100万円~1000万円補助率
通常枠:中小企業者1/2、小規模企業者・小規模事業者2/3低感染リスク型ビジネス枠:事業規模にかかわらず2/3
対象経費
下記に該当する経費が補助対象となります。【通常枠】
:機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
【低感染リスク型ビジネス枠】
:上記に加えて、広告宣伝費・販売促進費
公募期間
公募開始:令和3年2月22日(月) 17時~申請受付:令和3年4月15日(木)17時~
応募締切:令和3年5月13日(木) 17時(6次締切)
申請方法について
申請は、電子申請システムのみの受付となりますので、電子申請システムの操作マニュアルに従って手続きを進めてください。その際下記の書類のアップロードが必要となります。【必要書類】
1.事業計画書(具体的取組内容、将来の展望、数値目標等)
2.賃金引上げ計画の表明書(賃金引上げ計画に従業員が合意していることが分かる書面)
3.決算書等(直近2年間の貸借対照表・損益計算書等)
4.その他加点に必要な資料※任意
ものづくり補助金総合サイト
http://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html
また、申請にあたっては、GビズIDプライムアカウントの取得が必要となります。未取得の方は下記のサイトにてお早めに利用登録を行って下さい。
gBizID webサイト
https://gbiz-id.go.jp/top/
【事業の流れ】
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まとめ
今回は現在令和2年度の第6回公募が行われている「ものづくり補助金一般型(通常枠・新特別枠)」について紹介しました。採択率は例年で40%~50%程度と決して高い水準ではありませんが、新製品の開発などに取り組む製造事業者等にとっては非常に魅力的な補助金制度の一つといえます。
本年度からは必要な書類なども大幅に低減され100%電子申請に対応したことで手続き上の負担は大分軽減されています。興味のある方は申請にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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