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会社が倒産したらどうすればいい?事業再生支援制度(DIP保証制度)について調べてみた

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FREETEL(フリーテル)が民事再生法の適用申請を行うニュースが世間を賑わせましたね。
民事再生法とは何か?そして、会社が倒産したときに使える制度などをまとめてみたいと思います。

この記事の目次

1. 民事再生法って何?

1.民事再生法とは?

民事再生法とは、日本における倒産法の一つで、経営危機に陥った場合の倒産手続きを簡略かつ迅速に進め、早期再建を支援するための法律です。
適用となった法人は、一般人でいうところの自己破産となります。

倒産法とは、破たん状態に陥った企業(個人)が、再建もしくは財産の清算、債権者への配当を定める法律の総称を指しており、実際には法律用語ではありませんが、「倒産」という言葉自体が経済破たんの状態を表す用語となっているため、総称して倒産法という言葉が使われています。
倒産法について規定された法律は、民事再生法以外にも、破産法・会社更生法・会社法・更生特例法・特定調停法・外国倒産処理手続の承認援助に関する法律などがあります。

民事再生法は、もともと同じ目的で使用されてきた和議法と異なり、倒産の恐れのある段階で手続きの申し立てができるようになりました。
そのため、原則として債務者は経営権・財産管理・処分権を保持することが可能です。
和議法は、民事再生法の施行に伴い、2000年4月1日に廃止となっています。

2.民事再生法と会社更生法の違い

会社更生法は、規模の大きな会社の再建時に選択される場合が多いです。
倒産の当事者である会社の経営者が再建にタッチすることができず、裁判所が選任した管財人しか再建業務を実施できないため、利害関係者の数が多く調整が難しいという場合や、経営陣を総退陣させることを前提とした場合などに用いられます。

また、民事再生法は、比較的小規模、利害関係者が少ない場合に用いられることが多いようです。
基本的に会社主導で再建を行うことが出来、倒産させた経営陣が引き続き会社の経営に携わることも可能なため、利害関係者が少なく、スピードを優先させる場合などに用いられるケースが多くあります。


2. 会社が倒産した時に使える制度

1.DIP制度とは?

前章でも触れましたが、民事再生法では、基本的に倒産させた経営陣が引き続き会社の経営に携わることができます。
その、従来の経営陣が引き続き会社の経営を行うという方法を、DIP(Debtor-in-Possession)制度といい、アメリカの制度を参考にしたといわれています。

民事再生法は法的な性格上会社の再建を目的としているので、これまで事情を知らなかった管財人に業務権限が移った場合、状況を把握するのに時間がかかり、再建の機会を逃してしまったりする可能性もあります。
そのため、これまでの経緯を把握している経営陣に引き続き経営を任せた方が、本来の主旨に合致するのではないかということがDIP制度の目的です。
但し、従来の経営陣がふさわしくない場合は、民事再生法でも管財人が選定される場合があります。

2.DIPファイナンスとは?

会社更生法や民事再生法の申し立てを行った企業に対して、運転資金などを融資することです。

アメリカでは、国をあげて金融機関へのDIPファイナンスを奨励しているため、再生手続きに入った企業に対して盛んに融資が行なわれています。

しかし、日本においては、国からのサポート体制があまり整っていないため、不良債権リスクを恐れ、融資に関してあまり積極的ではない金融機関が多いようです。
そのため、DIPファイナンスは政府系金融機関が中心となってきた背景があります。
2001年の緊急経済対策にDIPファイナンスの円滑化が盛り込まれたこともあり、日本でも少しずつ増えつつあるようです。


3. 日本での再生支援

主に、政府系金融機関による再生支援と、信用保証協会による再生支援があります。
※補助金ポータルで取り上げている返済不要の補助金・助成金とは主旨が異なるためその点はご理解ください。

1.政府系金融機関による再生支援

1. 企業再建・事業承継支援資金

経営改善、経営再建等に取り組む必要が生じている中小企業者であって、通常の融資制度では採り上げが困難なものに対し、企業再建計画の策定を前提に融資を行う制度です。

限度額:設備資金7億2千万円(うち長期運転資金4億8千万円)
利率:基準利率
期間:設備資金15年以内(特に必要と認められる場合には20年以内)(うち据置期間2年以内)
長期運転資金7年以内(特に必要と認められる場合には10年以内)(うち据置期間2年以内)
担保・保証人:原則として必要
手続の流れ:株式会社日本政策金融公庫中小企業事業本部の窓口

2. 事業再生支援資金(DIPフアイナンス)

①アーリーDIP
民事再生法の規定による再生手続開始の申し立て等を行い、認可決定前の中小企業者に対して政府系金融機関が融資を行う制度です。
②レイターDIP
法的債権手続き(民事再生法の規定による再生計画等の認可を受けた場合)や私的整理ガイドライン等により再建中の中小企業者に対して政府系金融機関が融資を行う制度です。

限度額:設備資金7億2千万円(うち長期運転資金2億5千万円)
利率:(ア)基準金利+2.5%
   (イ)基準金利+1.0%
期間:(ア)アーリーDIP 1年(うち据置期間1年以内)
   (イ)レイターDIP
     設備資金10年以内(うち据置期間2年以内)
     長期運転資金5年以内(うち据置期間2年以内)
担保・保証人:原則として必要
手続の流れ:株式会社日本政策金融公庫中小企業事業本部の窓口
※上記は中小企業事業の貸付条件です。国民生活事業においては一部条件が異なります。

≪問い合わせ先≫
日本政策金融公庫(国民生活事業/中小企業事業)
事業資金相談ダイヤル TEL 0120-154-505
日本政策金融公庫HP:https://www.jfc.go.jp/n/branch/


2.信用系金融機関による再生支援

1. 事業再生保証制度(DIP保証)

民事再生法等の法的な再建手続きに取り組んでいる中小企業者を対象に金融機関が融資を行う際に信用保証協会が保証を行う制度です。

限度額:2億円
保証料率:2.2%
期間:10年以内
担保保証人:
  担保……必要に応じて微求
  保証人…法人代表者を除いては、原則として徴求しない。
手続の流れ:金融機関或いは各地の信用保証協会にお申込み

2. 事業再生円滑化関連保証制度(プレDIP保証)

事業再生に取り組んでいる中小企業者を対象に金融機関が融資を行う際に信用保証協会が保証を行う制度です。

限度額:普通保険にかかる保証は2億円、無担保保険にかかる保証は8,000万円、特別小口保険にかかる保証は1,250万円
保証料率:借入金額(借入極度額)に対し、1.76%、但し特別小口保険の対象となる中小企業者については協会所定料率
期間:3年以内
担保保証人:
  担保……必要に応じて徴求。
  保証人…法人代表者を除いては、原則として徴求しない。
手続の流れ:金融機関或いは各地の信用保証協会にお申込み

3. 中小企業承継事業再生関連保証制度

優良な事業を存続させるため事業再生に取り組む中小企業者を対象に金融機関が融資を行う際に信用保証協会が保証を行う制度です。

限度額:普通保険にかかる保証は2億円、無担保保険にかかる保証は8,000万円、特別小口保険にかかる保証は1,250万円
保証料率:0.45%~1.90%、但し特別小口保険の対象となる中小企業者については協会所定料率
期間:10年以内
担保保証人:
  担保……必要に応じて徴求。
  保証人…法人代表者を除いては、原則として徴求しない。
手続の流れ:金融機関或いは各地の信用保証協会にお申込み

≪問い合わせ先≫
全国信用保証協会連合会 TEL 03-6823-1200
全国信用保証協会連合会HP:http://www.zenshinhoren.or.jp/
参考:中小企業庁HP


4. まとめ

民事再生法について、民事再生法と会社更生法の違いについて、DIP制度・DIPファイナンスについて、日本での再生支援について見てきました。

民事再生法は、自己破産という形にはなりますが、引き続き経営に携わっていくことが出来ます。
DIP制度とは、アメリカの制度を参考にしたもので、従来の経営陣が引き続き会社の経営を行うという方法のことです。
民事再生法を申し立てた企業へ運転資金を貸し出すことをDIPファイナンスといい、アメリカでは主流となっていますが、日本では不良債権リスクの兼ね合いで、政府系金融機関が中心となり行ってきた背景があります。
2001年に出された緊急経済対策にDIPファイナンスの円滑化が盛り込まれたことで、民間の金融機関でも少しずつ融資が増えているそうです。

助成金の中では、厚生労働省で出している雇用調整助成金のような、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休職などの雇用調整を行った際にもらえる助成金もあります。
しかし、そういった策も講じられない状況まで達した場合、民事再生法の適用申請まで至ることになります。
あまり認知度は低い制度かもしれませんが、再生を行う上でDIPファイナンスを活用し、会社の立て直しを図っていただきたいと思います。

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