【令和2年度概算要求】環境省の令和2年度概算要求について調べてみた

2020年度の政府の概算要求が公開されました。

令和二年度の政府の概算要求総額は105兆円(104兆9998億円)で、要求総額の100兆円越えはこれで6年連続となります。

現在の日本は少子高齢化、福島第一原発の事故、地球温暖化などの逼迫した社会問題への対応に追われるなか、来年度の東京オリンピック開催に向けた環境整備や産業の振興も課題としている為、近年の予算の増加はやむを得ない状況と言えそうです。

今回の記事では自然環境の保護、整備、原子力の研究開発及び利活用における安全の確保等に取り組む、環境省の令和二年度概算要求について内容を紐解いていきたいと思います。

令和二年度の環境省概算要求1兆2630億円について

環境省の令和二年度の概算要求は、令和元年度の当初予算の8874億円よりも約42%多い、1兆2630億円となっています。

その中で最も要求額が大きいのは「東日本大震災復興特別会計」で、令和元年度との比較では51%の増額となります。

環境省の施策の方針

環境省は令和二年度の施策の方針として下記の7つの課題を掲げています。

Ⅰ、課題をチャンスに持続可能な成長をもたらす経済の具現化

環境課題の解決に向けた企業の取組がビジネスのチャンスとなる経済の仕組みづくりの推進と、「環境と成長の好循環」によって真の付加価値を生み出す社会の実現を目指すため下記の取り組みを行います。

①足元の環境課題に挑戦するビジネス主体の後押し
国内のプラスチックリサイクル設備の整備と、輸出入管理の強化の推進、フロン類の排出削減に向けた自然冷媒機器の導入の推進を行います。

海外では使い捨てプラスチックストローの海洋投棄による自然環境への被害が問題となっており、ファーストフード店のテイクアウトなどでもプラスチック製のストローやコップなどの使用は禁止されている地域が増えてきています。

世界規模でこういった動きが広まるなかで、環境省はプラごみの海洋流出などによる環境問題対策としてプラスチックリサイクル施設の整備を推進しています。

また、オゾン層を破壊しない自然冷媒(可燃性はあるが有害性がない炭化水素ガスや、高い動作圧を必要とするものの可燃性や毒性がないCO2冷媒など)の普及推進に対しても引き続き大きな予算を要求しています。

・省CO2型リサイクル等高度化設備導入促進事業
【78億(33億)】
・脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業
【75億(75億)】  など

②ビジネス手動の国際展開・国際協力の推進
日本の優れた低炭素・脱炭素技術の国際展開を図るため、二国間クレジット制度(JCM)を通し、相手国と協働したコ・イノベーションによる技術の創出と普及の推進を図ります。

・二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業
【111億(91億)】
・環境国際協力・インフラ戦略推進費
【4.7億(3.3億)】  など

③脱炭素経営などに取り組む企業に資金が集まる市場環境醸成
パリ協定による二酸化炭素排出削減目標の達成に向けて企業の脱炭素経営を強力に推進、
ESG地域金融やグリーンボンド(グリーンファイナンス)の普及促進にも注力しています。

※ESG地域金融とは?
・環境(environment)
・社会(social)
・企業統治(governance)
以上の3つの観点で地域の持続可能性の要素を考慮して事業者を支援する金融

※グリーンボンドとは?
・環境改善効果のある事業(グリーンプロジェクト)に対し発行される債権のこと、この分野への投資のことは
グリーンファイナンスと呼びます。

・SBT達成に向けたCO2削減計画モデル事業※SBT=産業革命時期比2%未満の気温上昇
【3億(1億)】
・パリ協定達成に向けた企業のバリューチェーン全体での削減取組推進事業
【6.2億(6.2億)】
・ESG金融ステップアップ・プログラム推進事業
【3億(3億)】
・地域脱炭素投資促進ファンド事業
【48億(46億)】  など

④地域を元気にする再生可能エネルギーの導入促進

脱炭素社会の実現に向け、水素などの地区エネルギー技術も活用しながら再生可能エネルギーの主力電源化を推進、石炭火力発電への規制の強化なども進めます。

また、再エネ主力化の促進事業には新たに75億円という大きな予算が要求されています。

・再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業
【50億(50億)】
・ 再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業
【75億(新規)】
・水素を活用した社会基盤構築事業
【30億(6億)】
・ CO2中長期大幅削減に向けたエネルギー転換部門低炭素化に向けたフォ ローアップ事業
【1.5億(1.5億)】
・既存インフラを活用した再エネ普及加速化事業
【2億(2億)】   など

Ⅱ、今世紀後半を見通した技術のイノベーションを通じた社会の転換

脱炭素社会の実現に向けビジネス主導による非連続的なイノベーションを推進し、環境政策のバージョンアップを推進する為に下記の取り組みを行います。

①脱炭素社会を引き寄せるイノベーションの加速化
再生可能エネルギー由来の水素の利活用、温室効果ガスの大幅削減に必要となる非連続なイノベーションの推進

※温室効果ガスの削減に必要な非連続なイノベーションの例
【窒素ガリウム】
青色LEDの材料、LED照明の発明によりCO2の削減に寄与している
【セルロースナノファイバー】
鉄より軽く硬いといわれる新素材。加工の為に高熱が必要な金属に比べ極めて低炭素
【CCUS】
発電所や化学プラントなどで発生する排ガス中の二酸化炭素を回収し、建築材料や燃料、消費財などとして再利用する技術

・未来のあるべき社会・ライフスタイルを創造する技術イノベーション事業
【25億(25億)】
・ CCUS早期社会実装のための脱炭素・循環型社会モデル構築事業
【90億(72億)】
・ 再エネ等を活用した水素社会推進事業
【40億(35億)】   など

②資源効率性の改善に資する技術開発、社会実装の推進
プラスチック代替素材の開発・普及や、その他新たな循環ビジネスに関する取り組みを推進し、日本経済の資源効率性の改善を図ります。

・脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業
【50億(35億)】
・循環経済構築力強化プログラム事業
【1億(0.24億)】   など

③Society 5.0時代に即した新政策の創出・拡大
IoT・AIによるゴミ収集ルートの最適化や行動科学の知見と組み合わせた行動変容(情報発信によって消費者に行動の変化を促す事)の推進などを行います。

・低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)等による家庭等の自発的対策推進事業
【30億(30億)】
・里地里山及び湿地における絶滅危惧種分布重要地域抽出調査費
【0.4億(0.3億)】    など

 

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