国土交通省は令和8年7月8日、令和8年度「空き家対策モデル事業」の採択結果を公表しました。117件の応募に対し、採択されたのは36件(採択率30.8%)です。
背景にあるのは、止まらない空き家の増加です。国土交通省の令和8年度住宅局関係予算資料によれば、使用目的のない空き家は2003年の212万戸から2023年には385万戸へと約1.8倍に膨らみました。老朽化による倒壊リスク、防犯・景観・衛生上の問題は、いまや一部の過疎地だけの課題ではありません。
一方で、空き家を適切に改修・活用すれば、子育て世帯の住まいや二地域居住の拠点など、「問題」を「資源」へ転換することもできます。その担い手として国が直接支援するのが、この空き家対策モデル事業です。本記事では、令和8年度の採択結果と採択率、テーマ別の傾向、評価委員会が高く評価した提案と低評価だった提案の分かれ目、補助率、他の空き家補助金との違いまで、一次情報にもとづいて解説します。
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この記事の目次
空き家対策モデル事業とは?国土交通省が民間の空き家対策を直接支援する制度
空き家対策モデル事業は、国土交通省住宅局が実施する補助制度です。NPO・民間事業者・地方公共団体等が行う、モデル性の高い空き家対策の取組を国が直接支援し、その成果を全国へ横展開することを目的としています。
自治体を経由せず国が民間事業者へ直接補助する点が、他の空き家補助金との最大の違いです。事務・評価は「一般社団法人すまいづくりまちづくりセンター連合会」が担い、応募受付から交付申請まで同連合会の応募ポータルサイトを通じて手続きします。
改正空家法を踏まえた制度設計になっている
本事業は、令和5年12月に施行された改正空家等対策の推進に関する特別措置法(改正空家法)の実効性を高める役割を担っています。
平成27年施行の空家法により「特定空家等」の除却は一定程度進みました。しかし根本的な解決には、特定空家等になる前段階からの有効活用・適切な管理が欠かせません。そこで改正空家法では「空家等活用促進区域制度」と「空家等管理活用支援法人制度」が新設されました。令和8年度の採択事業にも、空家等管理活用支援法人の指定を受けた団体によるビジネスモデル構築提案が複数含まれています。
空き家対策総合支援事業とはどういう関係?モデル事業はその民間向けメニュー
空き家対策モデル事業は、独立した予算事業ではなく、「空き家対策総合支援事業」のなかのNPO・民間事業者等向けメニューとして位置づけられています。両者を別制度と誤解しやすいため、応募前に整理しておきましょう。
国土交通省が公表する令和8年度の空き家対策総合支援事業の概要資料では、同事業が次の2本立てで構成されています。
■空き家の除却・活用等への支援(市区町村向け):空家等対策計画にもとづき市区町村が実施する除却・活用・土地整備・実態把握・所有者特定など
■モデル的な取組への支援(NPO・民間事業者等向け)=空き家対策モデル事業:調査検討等支援事業(定額)と改修工事等支援事業(除却2/5・活用1/3)
令和8年度当初予算は59億円の内数で、事業期間は令和8年度から令和12年度までとされています。「空き家対策総合支援事業 令和8年度」で調べている事業者の方が、実際に応募すべきなのはこのモデル事業側、というケースは少なくありません。
【令和8年度】空き家対策モデル事業の採択結果は?117件中36件
令和8年度の採択件数は36件、応募件数は117件で、採択率は約30.8%でした。国土交通省が令和8年7月8日に公表した報道発表資料にもとづく確定数値です。テーマ別・提案区分別の応募数と採択数
テーマ別に見ると、応募が最も多かったのはテーマ2(新たなビジネスモデルの構築)の42件でした。一方、採択率が最も高かったのはテーマ3(新たなライフスタイルや居住ニーズに対応した空き家の活用等)の40.0%です。
| テーマ | 応募 | 採択 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| テーマ1 官民連携による相談対応の充実 | 16件 | 5件 | 31.3% |
| テーマ2 新たなビジネスモデルの構築 | 42件 | 11件 | 26.2% |
| テーマ3 新たな居住ニーズに対応した活用等 | 30件 | 12件 | 40.0% |
| テーマ4 AI・デジタル等の新技術活用 | 22件 | 6件 | 27.3% |
| テーマ5 相続空き家増加を見据えた住宅地再編 | 7件 | 2件 | 28.6% |
| 合計 | 117件 | 36件 | 30.8% |
提案区分別では、ソフト事業が93件応募・28件採択、ソフト・ハード事業が24件応募・8件採択でした。改修工事等を伴うソフト・ハード事業の採択率は33.3%で、ソフト事業単独の30.1%をわずかに上回っています。物件を確定させる負担はありますが、ハードを組み込むことが不利に働くわけではありません。
地域別ではどこが採択されている?
事業地域別の応募は関東40件が最多で、近畿22件、東北10件と続きました。採択数も関東10件、近畿8件が上位です。
注目すべきは採択率の地域差です。北陸は7件の応募に対し4件が採択(57.1%)、中部は9件中5件(55.6%)と高水準でした。反対に九州は9件応募して採択0件、中国・四国も各1件にとどまっています。関東(25.0%)や近畿(36.4%)といった応募集中エリアより、応募が少ない地域のほうが通りやすいとは限らない点に注意が必要です。
過去3年間の採択率はどう推移している?
令和6年度から令和8年度にかけて、応募件数は162件→137件→117件と減少する一方、採択件数も50件→49件→36件と絞り込まれています。
| 年度 | 応募件数 | 採択件数 | 採択率 | テーマ数 |
|---|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 162件 | 50件 | 30.9% | 3テーマ |
| 令和7年度 | 137件 | 49件 | 35.8% | 3テーマ |
| 令和8年度 | 117件 | 36件 | 30.8% | 5テーマ |
令和8年度はテーマが3つから5つへ拡大した一方で採択件数は減っており、1テーマあたりの枠は実質的に狭まりました。おおむね3件に1件が通る水準と見て準備するのが現実的です。
補助率と補助対象経費はいくら?改修1/3・除却2/5・ソフトは定額
空き家対策モデル事業の補助率は、ソフト的な取組が定額、空き家の改修工事が1/3、除却工事が2/5、除却後の土地整備が1/3です。取組の性質によって補助率が変わるため、予算計上の前に確認しておきましょう。
補助対象費用と補助率の一覧
| 補助対象 | 補助率 | 備考 |
|---|---|---|
| ①調査検討、計画策定、普及・広報等に要する費用 | 定額 | 設計費等の人件費・旅費・需用費・委託料なども含む |
| ②空き家の改修工事に要する費用(設計費等含む) | 1/3 | 一部増築を伴う場合、増築部分は対象外 |
| ③空き家の除却工事に要する費用(設計費等含む) | 2/5 | 木造36,000円/㎡、非木造51,000円/㎡が上限 |
| ④除却後の土地整備に要する費用 | 1/3 | 公益性の高い用途に整備する舗装等 |
除却工事については、通常の想定費用と比べて高額になるケースで「かかりまし費用」を補助対象に追加できます。崖地・狭小敷地・無接道敷地に立地する場合、離島等で廃材処分場が遠い場合、煙突・門塀・吹き付けアスベスト等の除却が必要な場合などが該当します。
補助を受けられる期間は1法人あたり最大3年
空き家対策総合支援事業の令和8年度概要資料では、モデル的な取組への支援について「1法人あたり、補助期間最大3年」と明記されています。ただし、空家等活用促進区域を指定している場合はこの制限がありません。
複数年にわたる取組を構想している場合は、この上限を前提に事業計画を組み立てる必要があります。なお改修費等に関する取組が複数年度にまたがる場合、応募年度だけでなく翌年度の取組を含めた全体像(最長2年間)を応募時に提示すれば、翌年度の補助金についても連続した取扱いが可能です。
補助対象にならない経費
以下の経費は補助対象になりません。予算計上のミスで後から対象外とされないよう、事前に把握しておきましょう。
■退職金・ボーナス等の各種手当
■耐用年数が1年を超える備品等の購入費(リース料は計上可)
■懇親会等の飲料費・食費
■シンポジウムへの参加費・交通費
■土地購入費・不動産購入費・建物取得費
■空き家と一体でない家具・カーテン等の制作購入費
■竣工式等の式典費用
■国や地方公共団体から別途補助金を受けている取組(重複受給不可)
令和8年度の5つの募集テーマとその中身
令和8年度は、以下5つのテーマのいずれかに該当する取組が公募対象でした。応募事業はテーマに明確に合致している必要があり、加えて原則として市区町村の空家等対策計画に沿った取組であることが求められます。
| テーマ | 対象となる取組 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 1 官民連携による独創的な相談対応の充実 | 自治体とNPO・法務・不動産・建築・金融・福祉等の専門家が連携した相談窓口設置・相談員派遣 | 地方公共団体と民間事業者等が連携する取組に限る |
| 2 空き家に関連する新たなビジネスモデルの構築 | 異業種連携等により空き家対策を効率化するツール・サービスの開発提供、スタートアップ | 応募最多。新規性が問われる |
| 3 新たなライフスタイルや居住ニーズに対応した活用等 | 子育て世帯への住まい提供、二地域居住の拠点整備など多様な活用・流通促進 | 採択率40.0%で最も高い |
| 4 新時代のインフラ整備とAI・デジタル等の新技術活用 | 実態把握・傾向分析・将来予測・建物調査・適正管理・除却等へのAI活用 | 実務ニーズとの接続が鍵 |
| 5 相続空き家の急増を見据えた既成住宅地の再編等の試行 | 相続空き家の実態把握・将来予測と、多主体連携による住宅地の更新・再編・集約 | 応募7件と最小。中長期視点が必要 |
どんな事業が採択された?令和8年度の採択事例
令和8年度の採択事業には、単なる改修や相談窓口の設置にとどまらず、地域課題に踏み込んだ提案が並びました。国土交通省が公表した採択事業一覧から、テーマごとの代表例を紹介します。
■テーマ1:区分所有長屋における管理不全な空き室等への予防的介入モデルの構築〔一般社団法人大阪府不動産コンサルティング協会〕
■テーマ2:空き家を改修し、平時はオーナーの二地域居住先・民泊、災害時は緊急避難先として使う「スムヤドスム」一棟三役運用モデルの実証〔一般社団法人全国空き家アドバイザー協議会 岡山県井原支部〕
■テーマ2:ガス閉栓の依頼を受けるタイミングで所有者に接触し、空き家の発生抑制と適正管理を促す都市ガス会社のビジネスモデル〔日高都市ガス株式会社〕
■テーマ3:能登半島地震の被災地で関係人口創出・二地域居住を促す空き家利活用モデルの構築〔一般社団法人能登町定住促進協議会〕
■テーマ3:空き家の除却で発生した古材を別の空き家改修へ直接移植する資源循環型リノベーション〔合同会社ReLink〕
■テーマ4:車両・歩行者搭載の360度カメラとAIによる建物単位の外観画像収集と空き家判定インフラの構築〔株式会社都市空間総合研究所〕
■テーマ5:大規模団地の空き家所有者へ、エリア全体の将来像と個別物件の事業提案を示す「逆プレゼン会」の検証〔特定非営利活動法人リデザインマネジメント研究所〕
評価が高かった提案に共通するポイント
評価委員会の評価概要を読むと、高評価を得た提案には共通する軸があります。「独自性」「波及性」「実務負担の直接的な軽減」の3点です。
たとえばテーマ1では、空き家予備軍や地域外に居住する所有者へプッシュ型でアプローチする提案が、独自性の高い取組として評価されました。テーマ2では、外部事業者と地元事業者が協業し、売買が困難な空き家をまず賃貸で流通させたうえで売買につなげる手法が、波及性の高いスキームとして評価されています。テーマ4では、AIの活用によって自治体担当者の実務負担を直接的に軽減するアイデアが高く評価されました。
評価が低かった提案に共通するポイント
反対に、評価委員会が低く評価した提案にも明確なパターンがあります。応募前のセルフチェックに使える視点です。
■提案内容をどのように全国的な実装につなげるのかが不透明
■過年度事業の成果から特筆した発展が見られない
■提案内容が広範で多岐にわたり、実現可能性に乏しい
■費用対効果が低い
■先行事例が多く新規性が低い
■取組や実施体制の具体性に欠ける
■AIを活用した提案でも、データのインプットや所有者へのアウトリーチなど実務ニーズにマッチしていない
特に注意したいのが「有効性や実現性は高いが、従来実施されている内容にとどまっている」というパターンです。テーマ3の評価概要で明示されており、堅実な事業ほど陥りやすい落とし穴といえます。
応募できるのは誰?対象事業者と対象となる空き家
応募できるのは、NPO、民間事業者、地方公共団体等です。複数の団体が共同で事業を実施することもでき、その場合は全構成員(地方公共団体を含む)から共同実施を証する誓約書(様式8)を提出します。
3つの事業形態から選んで応募する
応募事業は、以下のいずれかの形態に該当する必要があります。
【イ】ハード事業:空き家の改修工事・除却工事・土地整備に関して、先進性や創意工夫などのモデル性を有するハード的な取組
【ウ】ソフト・ハード事業:アとイを組み合わせた取組
ハード事業を実施する場合は、交付申請時までに改修工事等を行う物件を確定させておく必要があります。応募段階から対象物件の目処をつけておきましょう。
対象となる「空き家」の定義
本制度で対象となる空き家は、空家法第2条の「空家等」です。建築物または附属工作物で、居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの、およびその敷地を指します。以下の物件は対象外です。
- 賃貸・売却用に管理されている空き家
- 別荘等の二次的住宅
- 空室がほとんどでも一部に居住者がいるマンション(集合住宅)
- 応募時点では空き家ではないが、いずれ空き家になる予定の物件
一方で、賃貸用の戸建住宅でも「居住その他の使用がされていないことが常態」であれば対象になります。建物の全室が空室となっている共同住宅も対象です。
申請スケジュールと必要書類【令和8年度の実績】
令和8年度の応募期間は令和8年4月20日から5月20日正午まででした。令和8年度の応募受付はすでに終了しています。次年度以降に応募を検討している方は、この1か月間の短期集中型スケジュールを前提に逆算して準備を進めてください。
| 時期 | 手続き内容 |
|---|---|
| 令和8年4月20日 | 公募開始 |
| 令和8年5月20日 正午 | 応募書類の提出締切(必着) |
| 令和8年7月8日 | 採択結果の公表(117件中36件) |
| 令和8年8月目途 | 補助金交付申請書の受付 |
| 令和8年11月頃 | 中間報告・中間ヒアリング |
| 令和9年1月中旬 | 経費執行実績報告 |
| 令和9年2月15日 | 事業実施期間終了/完了実績報告書・事業報告書の提出 |
| 令和9年3月下旬 | 補助金の精算払い/事業の成果報告会 |
事業実施期間は「採択通知日〜令和9年2月15日」で、実質的な稼働期間は半年強しかありません。この期間で成果物まで仕上げる必要があるため、応募前の段階から綿密な実施計画を立てておくことが重要です。
応募に必要な書類
応募時に提出する書類は以下のとおりです。提出物や内容に漏れがある場合は評価対象外となり、提出期間終了後の差替えは認められません。チェックリストを作成して準備しましょう。
- 応募様式(様式1〜様式8)※Excel・PowerPoint・Word形式のまま提出。PDF変換不可
- 定款・規約など団体の目的・活動を示す書類(地方公共団体を除く)
- 補助を受ける年度の事業計画書・収支予算書(様式任意)
- 建物・土地の登記事項証明書、対象物件の平面図・立面図・配置図
- 改修工事等を行う場合は、建築基準法の確認済証または検査済証の写し
- 改修工事等を行う場合は、工事費内訳書(施工者が作成)
- 事業実施地域の市区町村が策定した空家等対策計画の写し(該当部分)
応募書類はすべてA4判・文字サイズ10ポイント以上・活字体(手書き不可)で作成し、原則として1つの様式は1枚以内にまとめます。提出は公式ポータルサイト(https://www.akiya08.jp/)からのアップロード方式です。
採択されるための7つの評価視点
応募された事業は学識経験者等で構成する評価委員会で審査され、その結果を踏まえて国土交通省が採択を判断します。評価は以下7つの視点から総合的に行われます。
| 評価視点 | 主なチェックポイント |
|---|---|
| ①モデル事業の趣旨・目的への適合性 | 制度の趣旨を理解しており、個別事業者の営利に直結せず公益性があるか |
| ②実現可能性 | 事業計画・役割分担・スケジュール・資金計画が具体的かつ適切か |
| ③効率性 | 事業実施による費用対効果が最大限発揮されるか |
| ④持続可能性・発展性 | 事業が補助終了後も自立的に継続・発展するものか |
| ⑤波及性 | ノウハウ・成果を公表・展開することで他地域の課題解決につながるか |
| ⑥創意工夫 | 空き家対策の課題を解決する効果が見込まれる創意工夫があるか |
| ⑦国および市区町村の施策への整合性 | 国の空き家対策の考え方・市区町村の空家等対策計画に則した取組か |
令和8年度の審査では、改正空家法で新設された「空家等活用促進区域制度」や「空家等管理活用支援法人制度」の活用を促す取組が高く評価されました。実際、採択事業には支援法人の指定を受けた団体の提案が複数含まれています。応募書類ではこれらの制度とどう連動するかを明確に記載しましょう。
採択されない事業の典型パターン
以下のような事業は採択対象外、または採択されにくい傾向があります。応募前に該当していないか確認してください。
■単に従来から実施している事業の経費に充てるだけの事業
■市区町村が策定する空家等対策計画に沿わない取組
■補助終了後に自立・継続して事業を展開する見通しがない取組
■過年度に採択された補助事業者による過年度と同じ取組(実施地域が異なる場合・関連会社が別名で応募する場合も含む)
採択後の流れと注意点
採択後にも守るべき義務があります。中間ヒアリングへの参加、経理書類の10年保存、成果物の公表の3点は特に重要です。
中間ヒアリングへの対応が必須
採択された事業者は、事業の中間時期(おおむね11月頃)に中間報告と中間ヒアリング(Web会議、プレゼン5分+質疑応答)に参加する必要があります。参加しない場合、交付決定が取り消される可能性があるため、必ずスケジュールを確保してください。
経理書類は10年保存
補助金の交付を受けた年度終了後、10年間にわたって経理に関する帳簿・証拠書類を保管する義務があります。取得価格50万円以上の財産については、補助事業完了後10年(耐用年数が10年未満のものはその耐用年数)以内に国土交通大臣の承認なく処分することはできません。
成果物は国交省サイトで公開される
応募時に提示した成果物は、事業報告書と併せて事務・評価事業者に提出します。提出された成果物は国土交通省のホームページ等で公開され、全国への横展開が図られます。他地域が参照できる形での公開が前提となるため、マニュアル・ガイドライン・事例集など、汎用性のある成果物を設計しておきましょう。
他の空き家関連補助金との違いは?
国の空き家関連補助制度は複数あり、事業主体と目的で使い分けます。市区町村向けか民間向けか、まちづくり主眼か空家法の計画実施かが分岐点です。
| 制度名 | 主な事業主体 | 特徴 |
|---|---|---|
| 空き家対策モデル事業 | NPO・民間事業者・自治体 | 国が民間へ直接補助。モデル性・全国展開可能性を重視。空き家対策総合支援事業の民間向けメニュー |
| 空き家対策総合支援事業 | 市区町村(+民間向けメニュー) | 空家法にもとづく空家等対策計画の実施を支援。計画策定と協議会設置等が要件。個別補助事業 |
| 空き家再生等推進事業 | 地方公共団体 | 地域のまちづくりを主眼とした取組を支援。社会資本整備総合交付金等の基幹事業 |
| セーフティネット専用住宅改修事業 | 住宅の所有者・改修事業者 | 住宅確保要配慮者向け住宅への改修に対する個別補助 |
| 自治体独自の空き家補助金 | 空き家所有者・購入者 | 地域ごとの定住促進・改修支援・解体補助 |
なかでも混同されやすいのが、空き家対策総合支援事業と空き家再生等推進事業です。前者は空家法を定着させるために法にもとづく空家等対策計画の実施を支援する個別補助事業、後者は地域のまちづくりを主眼に置いた社会資本整備総合交付金の基幹事業という違いがあります。除却・活用の補助率自体は両者でほぼ共通しており、市区町村がどちらの枠組みで事業を組み立てるかという選択になります。
空き家対策モデル事業の最大の特徴は、「個別の空き家の改修・除却を直接補助する制度」ではなく、「全国の空き家対策の質を底上げする先進事例を育てる制度」である点です。単発の補助金獲得ではなく、自らの事業を全国モデルに押し上げたい事業者に向いた制度といえます。
令和9年度の公募はある?今後の見通し
令和9年度の公募について、令和8年8月時点で国土交通省からの公表はありません。判断材料となる公式情報は次の2点です。
国土交通省の空家法関連情報ページでは、空き家対策モデル事業の実施期間が「令和5年度〜令和8年度」と記載されています。一方で、空き家対策総合支援事業の令和8年度概要資料では、同事業に含まれる「モデル的な取組への支援(NPO・民間事業者等向け)」の事業期間が令和8年度から令和12年度までと示されています。
つまり、「空き家対策モデル事業」という名称の枠組みは令和8年度が区切りとされる一方、民間向けのモデル的取組への支援自体は令和12年度まで継続する枠組みが用意されている、という状態です。名称や募集テーマが変わる可能性を含め、令和9年度の動向は国土交通省の報道発表と概算要求の内容を追って確認するのが確実です。
空き家対策モデル事業に関するよくある質問
令和8年度の空き家対策モデル事業の採択率は何%ですか?
令和8年度は117件の応募に対し36件が採択され、採択率は約30.8%でした。国土交通省が令和8年7月8日に採択結果を公表しています。テーマ別では、テーマ3(新たな居住ニーズに対応した空き家の活用等)が30件中12件で40.0%と最も高い採択率でした。
空き家対策モデル事業と空き家対策総合支援事業は何が違いますか?
空き家対策モデル事業は、空き家対策総合支援事業のなかのNPO・民間事業者等向けメニューです。空き家対策総合支援事業には、市区町村向けの「空き家の除却・活用等への支援」と、民間向けの「モデル的な取組への支援」の2つがあり、後者が空き家対策モデル事業にあたります。令和8年度当初予算は59億円の内数です。
空き家対策総合支援事業と空き家再生等推進事業の違いは何ですか?
空き家対策総合支援事業は空家法を定着させるため、空家等対策計画の実施等を支援する個別補助事業です。空き家再生等推進事業は地域のまちづくりを主眼に置いた取組を支援する社会資本整備総合交付金等の基幹事業です。除却2/5、活用は所有者実施で1/3といった補助率の基本構造は共通しています。
採択されれば申請した費用は全額補助されますか?
採択されても、補助要望額の全額が補助されるとは限りません。予算の範囲内で、応募書類の内容や事業計画を総合的に考慮して補助対象が決定されます。補助率も、ソフト的な取組は定額、改修工事1/3、除却工事2/5、土地整備1/3と取組内容によって異なります。
補助を受けられる期間に上限はありますか?
1法人あたり補助期間は最大3年です。ただし、空家等活用促進区域を指定している場合はこの制限がありません。空き家対策総合支援事業の令和8年度概要資料に明記されています。
空き家の改修と一部増築を同時に行う場合、増築部分も補助対象になりますか?
なりません。増築部分に係る設計費・工事費は補助対象外です。改修・減築部分のみが対象となります。
空き家を借り受けた者が事業主体になれますか?
可能です。ただし、改修工事の可否や範囲に関する所有者との調整は応募者側の責任で行い、所有者から事業実施の承諾を得た上で工事を実施する必要があります。
交付決定前に着手した工事の費用も補助対象になりますか?
なりません。採択通知日より前に着手した部分の費用は補助対象外です。事業実施期間は採択通知日から翌年2月中旬までと短いため、スケジュール管理には十分注意してください。
NPOや任意団体でも応募できますか?
NPOは応募可能です。任意団体については団体の目的・活動を示す定款や規約の提出が求められます。応募前に事務局であるすまいづくりまちづくりセンター連合会に確認することをおすすめします。
過去に採択された事業者は再度応募できますか?
過年度に採択された補助事業者が、過年度と同じ取組(実施地域が異なる場合・関連会社が別名で応募する場合を含む)で再応募することはできません。新規性のある別の取組であれば応募可能です。ただし評価委員会は「過年度事業の成果から特筆した発展が見られない提案」を低く評価しており、前年度の延長線上にとどまらない発展が求められます。
複数の団体が共同で応募することはできますか?
可能です。複数の団体が共同で事業を実施する場合は、全構成員(地方公共団体を含む)から共同実施を証する誓約書(様式8)の提出が必要です。テーマ1については、地方公共団体と民間事業者等が連携して実施する取組であることが応募の条件となっています。
令和9年度の公募はありますか?
令和8年8月時点で公表されていません。国土交通省の空家法関連情報ページでは空き家対策モデル事業の実施期間が令和5年度〜令和8年度と記載されている一方、空き家対策総合支援事業に含まれるモデル的な取組への支援は令和8年度から令和12年度までの事業期間とされています。国土交通省の報道発表を継続的に確認してください。
まとめ
令和8年度の空き家対策モデル事業は、117件の応募に対し36件が採択され、採択率は約30.8%でした。応募件数は令和6年度の162件から3年連続で減少している一方、採択件数も50件から36件へ絞り込まれており、競争環境が緩んだわけではありません。
評価委員会の評価概要から読み取れる採択の分かれ目は明確です。全国的な実装への道筋が描けているか、従来事業の延長にとどまっていないか、実施体制が具体的か――この3点です。「有効性や実現性は高いが新規性に欠ける」という理由での低評価が複数テーマで指摘されており、堅実な計画ほど注意が必要な点といえます。
補助率は、ソフト的な取組が定額、改修工事1/3、除却工事2/5、土地整備1/3。1法人あたりの補助期間は最大3年で、空家等活用促進区域を指定している場合はこの制限がありません。
令和8年度の応募受付は終了しています。令和9年度以降の公募を見据えるなら、市区町村の空家等対策計画との整合性確認、空家等活用促進区域・空家等管理活用支援法人制度との連動、ハード事業なら対象物件の確定と、準備には数か月単位の時間がかかります。国土交通省の報道発表を確認しながら、早めに構想を固めておきましょう。
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