「業務改善助成金を活用したいけれど、自己負担分がまだ重い」そう感じている中小企業の経営者の方は少なくないのではないでしょうか。
2025年10月に発効した地域別最低賃金は全国加重平均で1,121円となり、政府は2020年代のうちに全国平均1,500円の実現を目標に掲げています。中小企業にとって、賃上げと生産性向上の両立は待ったなしの経営課題です。
こうした中で、注目したいのが国の「業務改善助成金」に、都道府県や市区町村が独自に上乗せする補助金です。国と自治体の制度を組み合わせれば、設備投資や人材育成にかかる自己負担を大幅に軽減できます。
本記事では、2026年度(令和8年度)に公募中または公募予定の業務改善助成金の上乗せ補助金を、地域別に補助率・上限額・申請期限までまとめて解説します。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
業務改善助成金とは?【2026年度の概要】
業務改善助成金は、厚生労働省が実施する中小企業・小規模事業者向けの助成金です。事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、生産性向上に資する設備投資などを行った場合、その費用の一部が助成されます。
対象となる経費は、機械設備の導入、業務効率化のためのシステム・ソフトウェア、コンサルティング、人材育成・教育訓練など幅広く設定されています。
・事業場内最低賃金を30円以上引き上げ
・助成率は3/4または4/5(事業場内最低賃金1,000円未満の場合)
・助成上限額は最大600万円(10人以上・90円コースの特例事業者)
・過去に利用した事業者も、要件を満たせば再申請可能
なお、業務改善助成金の詳しい要件や申請フローについては、以下の記事で解説しています。
自治体の上乗せ補助を併用するメリットは?
自治体の上乗せ補助を併用する最大のメリットは、自己負担額を大きく圧縮できる点です。
たとえば、和歌山県の上乗せ制度では自己負担額の1/2(上限100万円)が補助され、香川県では事業者負担分の1/2まで支援されます。国と県の合算で実質的な補助率が9割前後に高まるケースもあり、賃上げに踏み切りやすくなります。
上乗せ補助の内容や条件は自治体によって異なるため、事業所が所在する自治体の制度を事前に確認しておくことが重要です。
業務改善助成金の上乗せ補助金9選【2026年度一覧】
2026年度に公募中または公募予定の主な上乗せ補助金は、以下の9制度です。補助率・上限額・申請期限は自治体ごとに異なるため、まず一覧で比較してみましょう。| 自治体 | 制度名 | 補助率 | 上限額 | 申請期限 |
|---|---|---|---|---|
| 香川県 | かがわ賃上げ環境整備応援補助金 | 1/2 | ― | 2027年3月17日 |
| 岐阜県岐阜市 | 岐阜市賃上げ・業務改善応援奨励金 | 1/6 | ― | 2027年2月26日 |
| 長野県 | 賃上げ環境整備促進補助金(人材育成追加型) | 10/10 | 30万円 | 2027年1月20日 |
| 佐賀県 | 佐賀県業務改善サポート補助金(第2弾) | 1/5・1/4 | ― | 2027年2月17日 |
| 奈良県橿原市 | 橿原市業務改善支援補助金 | 定額 | 10万円 | 2027年3月12日 |
| 富山県黒部市 | 黒部市中小企業者等賃上げ・人手不足解消支援補助金 | 1/10 | 40万円 | 2027年3月31日 |
| 長野県 | 中小企業賃上げ・生産性向上サポート補助金 | 1/10(認証:2/10) | ― | 2027年2月26日 |
| 和歌山県 | 和歌山県業務改善促進助成金 | 1/2 | 100万円 | 2026年9月30日 |
| 富山県 | 富山県賃上げサポート補助金 | 1/10 | ― | 2027年2月26日 |
【北陸・甲信越】業務改善助成金の上乗せ補助金
北陸・甲信越エリアでは、長野県が2つの制度、富山県と黒部市が独自制度を展開しています。特に長野県は基本型と人材育成追加型を組み合わせて活用でき、支援の厚さが際立ちます。
長野県中小企業賃上げ・生産性向上サポート補助金とは?
長野県の「中小企業賃上げ・生産性向上サポート補助金」は、業務改善助成金の支給決定額に10分の1(認証制度取得企業は10分の2)を上乗せする県独自の補助金です。女性・若者が働きやすい職場づくりに取り組む企業を優遇する設計になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 業務改善助成金の支給決定額の1/10(宣言事業者)、2/10(認証事業者) |
| 対象事業者 | 長野県内に事業場があり、2025年度に長野労働局へ業務改善助成金の交付申請を行い、2027年2月19日までに交付額確定・支給決定通知を受けた中小企業 |
| 必須要件 | 「社員の子育て応援宣言」および「パートナーシップ構築宣言」の両方を実施 |
| 認証要件(2/10適用) | 「職場いきいきアドバンスカンパニー」「くるみん」「ユースエール」「えるぼし」のいずれか1つ以上取得 |
| 申請期限 | 2027年2月26日 |
| 問合せ先 | 長野県賃上げ・業務改善支援センター(Bizサポ) |
長野県賃上げ環境整備促進補助金(人材育成追加型)とは?
長野県の「賃上げ環境整備促進補助金(人材育成追加型)」は、上記の生産性向上サポート補助金または賃上げ環境整備促進補助金(基本型)を申請した企業が、人材育成の経費について補助率10/10で支援を受けられる追加型の補助金です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 補助対象経費の10/10 |
| 補助上限額 | 宣言事業者:22万円~27万円/認定事業者:24万円~30万円 (事業場内最低賃金の水準により変動) |
| 対象事業者 | 賃上げ環境整備促進補助金(基本型)または業務改善助成金上乗せ補助を申請している中小企業 |
| 申請期限 | 2027年1月20日 |
| 事業完了期限 | 2027年2月20日 |
| 実績報告期限 | 2027年2月26日 |
| 問合せ先 | 長野県賃上げ・業務改善支援センター(Bizサポ) |
富山県賃上げサポート補助金とは?
富山県の「賃上げサポート補助金」は、事業場規模30人未満の中小企業に絞った上乗せ補助です。国の業務改善助成金の対象経費支出済額の1/10を、国の助成上限額の1/10を上限に支給します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 業務改善助成金の対象経費支出済額の1/10(上限は国助成上限額の1/10) |
| 対象事業者 | 富山県内で事業場規模30人未満、2025年4月1日以降に富山労働局へ業務改善助成金の交付申請を行った事業者 |
| 申請期限 | 2027年2月26日 |
| 申請方法 | 郵送・電子メール・電子申請 |
| 問合せ先 | 富山県商工労働部多様な人材活躍推進室人材確保推進課 |
申請額が予算総額に達した場合、期限前に受付終了となる点に注意してください。
黒部市中小企業者等賃上げ・人手不足解消支援補助金とは?
富山県黒部市の「中小企業者等賃上げ・人手不足解消支援補助金」は、業務改善助成金のほか、働き方改革推進支援助成金、小規模事業者持続化補助金、中小企業省力化投資補助金の4種類の国補助金に上乗せする総合的な支援制度です。
業務改善事業(業務改善助成金の上乗せ)の場合、補助率1/10・上限40万円で交付されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率(業務改善事業) | 国の対象経費支出済額の1/10 |
| 補助上限額(業務改善事業) | 40万円 |
| 対象事業者 | 黒部市内に事業所を有し、2024年4月1日から2027年3月31日までに国助成金の交付確定通知を受けた中小企業者等 |
| 受付期間 | 2026年4月1日~2027年3月31日 |
| その他対象事業 | 働き方改革推進事業(上限40万円)、販路開拓事業(上限12.5万円~50万円)、省力化推進事業(上限50万円) |
| 問合せ先 | 黒部市産業振興部商工観光課 |
【東海・近畿】業務改善助成金の上乗せ補助金
東海・近畿エリアでは、岐阜市・和歌山県・橿原市の3自治体が上乗せ補助を実施しています。中でも和歌山県は補助率1/2・上限100万円と、全国でもトップクラスの手厚さです。
岐阜市賃上げ・業務改善応援奨励金とは?
岐阜市の「賃上げ・業務改善応援奨励金」は、業務改善助成金の支給決定額に6分の1を上乗せする市独自の奨励金です。国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を財源としています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 奨励金の額 | 業務改善助成金支給決定額の1/6(千円未満切捨て) |
| 対象事業者 | 岐阜市内に事業場があり、2026年4月1日~2027年2月26日の間に岐阜労働局から業務改善助成金の交付決定および額の確定を受けた中小企業 |
| その他要件 | 市税の滞納がないこと、風営法対象事業や政治・宗教活動を目的とする事業でないこと |
| 申請期間 | 2026年7月1日~2027年2月26日(必着) |
| 申請方法 | 郵送または岐阜市労働雇用課窓口 |
| 問合せ先 | 岐阜市労働雇用課(058-214-2358) |
和歌山県業務改善促進助成金とは?
和歌山県の「業務改善促進助成金」は、国の業務改善助成金を受けた事業者の自己負担額の1/2(上限100万円)を県が上乗せ助成する制度です。国と県を合算した実質補助率は9割前後になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成率 | 自己負担額(対象経費支出済額-国助成金)の1/2 |
| 助成上限額 | 100万円(ただし、国の業務改善助成金の金額を超えない) |
| 対象事業者 | 2025年度(2025年4月1日~2026年3月31日)に和歌山労働局へ業務改善助成金の申請を行い、交付額確定通知を受けた県内事業者 |
| 申請締切 | 2026年9月30日(郵送は消印有効) |
| 申請方法 | 郵送またはオンライン(LoGoフォーム) |
| 問合せ先 | 和歌山県商工労働部労働政策課(073-441-2790) |
橿原市業務改善支援補助金とは?
奈良県橿原市の「業務改善支援補助金」は、事業に要した経費から国助成金の交付確定額を差し引いた自己負担額に対して、上限10万円まで定額で補助する制度です。少額ではあるものの、自己負担をピンポイントで軽減できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助金額 | 事業経費-国助成金交付確定額(上限10万円) |
| 対象事業者 | 橿原市内に主たる事業所を有し、2026年3月1日~2027年2月26日に奈良労働局から業務改善助成金の交付額確定・支給決定通知を受けた中小企業者 |
| 受付期間 | 2026年4月1日~2027年3月12日 |
| 申請方法 | 地域振興課の窓口受付限定(先着順) |
| 問合せ先 | 橿原市魅力創造部地域振興課(0744-21-1117) |
【四国・九州】業務改善助成金の上乗せ補助金
四国では香川県、九州では佐賀県が業務改善助成金の上乗せ補助を実施しています。いずれも県レベルの制度で、幅広い事業者が対象になります。
かがわ賃上げ環境整備応援補助金とは?
香川県の「かがわ賃上げ環境整備応援補助金」は、業務改善助成金の対象経費のうち事業者負担分の1/2を県が上乗せ補助する制度です。2026年7月に公募が開始されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助金額 | 国の業務改善助成金の助成対象経費のうち事業者負担分の1/2(上限あり) |
| 対象事業者 | 香川県内に事業場があり、2026年9月1日以降に香川労働局へ業務改善助成金の申請を行い、2027年3月10日までに交付額確定・支給決定通知を受けた事業者 |
| 申請期限 | 2027年3月17日(必着) |
| 申請方法 | 郵送(香川県電子申請・届出システムからの申請も準備中) |
| 問合せ先 | 香川県商工労働部労働政策課(087-832-3366) |
第2弾 佐賀県業務改善サポート補助金とは?
佐賀県の「業務改善サポート補助金(第2弾)」は、原材料・エネルギー価格高騰や人材不足に直面する中小企業を支援するため、国の業務改善助成金に上乗せする制度です。国の助成率に応じて1/5または1/4を県が補助します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 国助成率4/5の場合は1/5、3/4の場合は1/4 |
| 補助対象者 | 2025年4月14日以降に佐賀労働局へ業務改善助成金の交付申請を行い、2027年2月10日までに交付額確定・支給決定通知を受けた県内中小企業者等 |
| 申請期間 | 2026年4月1日~2027年2月17日(17時必着) |
| 申請方法 | 郵便(簡易書留など追跡可能な方法)または宅配便 |
| 問合せ先 | 佐賀県産業イノベーションセンター補助金事務局(0952-37-1688) |
業務改善助成金の上乗せ補助を活用する際の3つの注意点
上乗せ補助金は自治体ごとに要件や締切が異なるため、次の3点を必ず押さえておきましょう。
①国の業務改善助成金の交付額確定が前提
すべての上乗せ補助は、国の業務改善助成金の「交付額確定通知」を受けていることが必須要件です。「交付決定通知」だけでは申請できない自治体が多いため、国の実績報告まで完了させてから自治体の申請に進みます。
②予算上限に達し次第、締切前でも受付終了
多くの自治体が「予算の範囲内で交付」と明記しています。表面上の申請期限は2027年2月~3月ですが、予算上限に達した時点で受付終了となるため、実際の申請は早めに動くのが安全です。
③国と自治体の申請窓口は別
業務改善助成金の申請は各都道府県の労働局(厚生労働省の出先機関)ですが、上乗せ補助の窓口は自治体の商工労働課や産業振興機構になります。両方の申請書類・スケジュールを並行して管理する必要があります。
業務改善助成金の上乗せ補助に関するよくある質問
業務改善助成金の上乗せ補助について、事業者からよく寄せられる質問をまとめました。上乗せ補助金は国の業務改善助成金と同時に申請できますか?
同時申請はできません。まず国の業務改善助成金に申請し、交付決定通知および交付額確定・支給決定通知を受けたのち、自治体の上乗せ補助を申請する流れになります。ただし、長野県の「賃上げ環境整備促進補助金(人材育成追加型)」は例外で、基本型または上乗せ補助と同時申請が可能です。
複数の自治体の上乗せ補助を併用できますか?
同一の事業場について、都道府県と市区町村の両方の上乗せ補助を併用できるかは自治体によって扱いが異なります。たとえば富山県と黒部市はそれぞれ独立した制度ですが、対象経費の重複を避ける必要があります。申請前に必ず各自治体の交付要綱で「他制度との重複」に関する規定を確認してください。
個人事業主でも上乗せ補助を申請できますか?
国の業務改善助成金の対象になっている個人事業主であれば、多くの自治体で上乗せ補助の対象になります。たとえば仙台市や岐阜市など、住民登録または事業所が市内にある個人事業主も申請可能です。ただし、自治体ごとに要件が異なるため、公式ページの「対象事業者」欄をご確認ください。
上乗せ補助はいつごろ振り込まれますか?
自治体によりますが、申請書類の審査完了後に「交付決定通知」または「交付額確定通知」が送付され、その後に事業者から請求書を提出することで指定口座に振り込まれます。目安として申請から2~3か月程度を見込んでおくと安心です。
業務改善助成金と上乗せ補助を合算するといくら受け取れますか?
実質的な補助率は制度によって異なります。たとえば和歌山県の場合、国の助成率3/4に県の自己負担額の1/2が加わり、合算で約9割の補助率になります。ただし、国と自治体の合算額が「補助対象経費の総額」を超えないよう、上限が設定されています。
申請時に必要な書類は何ですか?
共通して求められるのは、業務改善助成金の交付決定通知書・交付額確定および支給決定通知書・事業実績報告書・国庫補助金精算書・事業実施結果報告書の写しです。加えて、自治体独自の申請書、誓約書、市県税の納税証明書、振込先口座がわかる書類などが必要です。
認証制度(くるみん、えるぼし等)を取得していないと申請できませんか?
認証制度の取得が必須の自治体は限られています。長野県では「社員の子育て応援宣言」「パートナーシップ構築宣言」が必須ですが、認証制度(くるみん・えるぼし・ユースエール・職場いきいきアドバンスカンパニー)は補助率2/10適用のための追加要件です。他の多くの自治体では、認証がなくても申請できます。
過去に業務改善助成金を利用した事業者も上乗せ補助を申請できますか?
申請できます。業務改善助成金は年度内1回の申請制限がありますが、要件を満たせば複数年度にわたって利用可能です。国の業務改善助成金を再申請して交付額確定通知を受ければ、上乗せ補助も新たに申請できます。
自社の所在地の自治体で上乗せ補助が実施されているか、どこで確認できますか?
まず、事業所が所在する都道府県および市区町村の公式サイトで「業務改善助成金 上乗せ」「賃上げ支援」といったキーワードで検索してみてください。あわせて、労働局や商工会議所・商工会に問い合わせると、自治体独自制度の最新情報を教えてもらえる場合があります。
上乗せ補助を活用するために早めに準備すべきことは?
まずは国の業務改善助成金の交付申請を早めに済ませることです。予算が限られている自治体では、業務改善助成金の交付額確定通知を受けた順に上乗せ補助の予算が消化されるため、後回しにすると受付終了で申請できなくなるリスクがあります。設備投資計画・見積書の準備と並行して、自治体制度の要件も事前に確認しておきましょう。
まとめ:業務改善助成金の上乗せ補助を賢く活用しよう
2026年度は、業務改善助成金の上乗せ補助を実施する自治体が全国に広がっています。本記事で紹介した9制度は、補助率が定額のものから自己負担額の1/2(上限100万円)まで幅広く、事業規模や地域に応じて選択の幅が広がっています。
上乗せ補助を活用する際のポイントは、①国の業務改善助成金の交付額確定を早めに受けること、②自治体ごとの予算上限に注意すること、③申請書類と締切を国と自治体で並行管理することの3つです。
賃上げと生産性向上は、従業員の定着や採用力の強化にもつながる経営投資です。自社が所在する自治体の最新制度をこまめに確認し、国と自治体の支援を組み合わせて、負担を最小化しながら次の一手を打っていきましょう。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する


