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【令和8年度】医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業とは|上限8,000万円・医療施設等経営強化緊急支援事業の後継

公開日:2025/3/10 更新日:2026/8/5
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「医療施設等経営強化緊急支援事業 生産性向上・職場環境整備等支援事業」は、事業期間の終了(令和8年3月31日)に伴い、各都道府県での申請受付が終了しています。令和8年度(2026年度)は、後継にあたる「医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業」が実施されています。

新事業は1施設あたり補助上限額8,000万円と支援規模が大きい一方、対象が病院に限定され、国による選定・評価を受ける仕組みへと大きく変わりました。今回は、終了した事業との違いを整理しながら、新事業の概要をまとめました。

終了した「生産性向上・職場環境整備等支援事業」は、ベースアップ評価料を届け出た医療機関に対して、ICT機器等の導入やタスクシフト/シェア、賃上げの取組を支援する給付金事業でした。各都道府県での申請受付は令和7年度中に順次終了しており、現在、新規の申請はできません。給付を受けた医療機関には、都道府県ごとに実績報告や消費税仕入控除税額報告などの手続きが残っている場合がありますので、各都道府県からの案内を必ず確認してください。

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この記事の目次

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令和8年度の後継事業「医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業」とは

令和7年12月に成立した令和7年度厚生労働省補正予算では、医療・介護等支援パッケージの一環として「医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業」が措置されました。予算は令和8年度に繰り越され、令和8年2月13日に実施要綱が示されています。

事業概要と補助額

本事業は、ICT機器等の導入によって業務効率化・職場環境改善に資する取組を行い、生産性向上を図る医療機関に対して必要な経費を支援することで、効率的で質の高い医療提供体制の構築を図ることを目的としています。実施主体は都道府県です。

補助額・補助率は以下のとおりです。

項目内容
補助上限額1施設あたり8,000万円
補助率対象経費の5分の4
(国負担3分の2、都道府県負担3分の1)
対象経費の期間令和8年度中に生じる業務効率化に必要な経費
※補助対象経費は税抜き金額で算定

前事業の「病床数×4万円」という一律給付とは異なり、実際に導入するICT機器等の経費に応じた補助となります。上限8,000万円・補助率5分の4と支援規模が大幅に拡充されている点が大きな特徴です。

対象となる病院

本事業の対象は病院のみです。診療所や訪問看護ステーションは対象外となるため、注意が必要です。

対象となるのは、保険医療機関コードが発行されており、令和8年4月1日から申請時点までに診療報酬請求の実績がある病院であって、以下の要件を満たし、その内容が事業の趣旨に合致していると厚生労働大臣が認めたものです。

・定量的な効率化目標等を盛り込んだ最大3年間の「業務効率化計画」を作成すること
・院長・副院長等の管理者が委員長となる「業務効率化推進委員会」を設置し、経営者層が業務効率化のPDCAを主導すること
・令和8年4月1日時点でベースアップ評価料(外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料、入院ベースアップ評価料(医科・歯科)、訪問看護ベースアップ評価料のいずれか)を届け出ていること
・地域医療への一定の貢献があり、地域医療構想の推進に協力していることが都道府県において確認されていること

なお、ハンセン病療養所、防衛医科大学校病院、自衛隊病院、宮内庁病院、医療刑務所、国立障害者リハビリテーションセンター病院は対象外です。また、地域医療構想に反して都道府県の要請に応じない病院等も対象となりません。

対象となる経費

補助対象となるのは、業務効率化に資するICT機器等の導入費用と、それに附随する費用です。具体的には以下のようなものが対象となります。

・職員間の情報共有のためのスマートフォン、業務用インカム
・患者の見守り支援機器
・生成AIを活用した各種業務支援サービス(AI問診、文書自動作成支援等)
・薬剤・検体搬送ロボット
・マセレーター(容器ごと粉砕・排水処理する汚物処理設備)、薬剤自動分包機
・リハビリ用ロボットや介助時のリフト等、業務効率化・勤務環境改善に資する設備
・医事部門・給食部門・清掃部門等の職員の業務効率化に資するICT機器等
・附随する費用:設置費用、訓練費用、効果測定費用、関連設備の改修費用(Wi-Fi環境整備、電子カルテ等とのシステム連携費用を含む)
ソフトウェアやサービスの利用料は、令和8年度中に生じる最大12か月分まで対象となります。また、購入と比べて廉価な場合はリースによる調達も可能です(補助対象は内示後から令和8年度中に生じるリース料のみ)。
一方、以下の経費は対象外です。
・運用・保守費用等のランニングコスト
・電子カルテ本体の導入費用・更改費用(※バイタル自動入力機器等の導入に伴う電子カルテとのシステム連携改修費用は対象)
・単なるPCの入れ替え費用
・休憩室・院内保育所等の施設整備費用
・国による内示前に調達(納品・契約)した機器等や、令和7年度中に導入した機器等
このほか、同一の設備に対して複数の補助事業から補助を受けることはできません。

前事業との違い

新事業を検討するうえで最も重要なのが、事業の仕組みが大きく変わった点です。前事業は要件を満たせば給付を受けられる仕組みでしたが、新事業では国が補助対象病院を選定します。

国は都道府県の意向や人口規模等を踏まえて都道府県ごとの所要見込額を決定し、その範囲内で対象医療機関を選定するため、申請書や業務効率化計画を提出した病院がすべて補助対象となるわけではありません。

また、補助を受けた病院には以下の義務が課されます。

・厚生労働大臣が定めるデータ(ICT機器等の導入前後における業務時間、職員の総労働時間・超過勤務時間、インシデント件数等)の提出
・1年目の計画終了時、2・3年目の計画途中および3年目の計画終了時における報告と、厚生労働省による評価
・取組内容や成果の公表(病院名が公表される場合もあります)

さらに、評価の結果、成果が認められなかった場合には補助金の返還を求められる場合があります(災害の発生等、やむを得ない場合を除く)。業務効率化に真摯に取り組み、定量的な成果をあげようとする病院を支援するという事業趣旨を十分に理解したうえで申請することが重要です。

申請方法と手順

本事業の申請窓口は各都道府県です。国(厚生労働省)に直接申請するのではなく、病院が都道府県に申請し、都道府県が取りまとめて国に提出、国が補助対象病院を選定するという流れになります。

申請の流れ(全体像)

病院側から見た手続きの流れは、おおむね以下のとおりです。

①意向調査への回答
都道府県によっては、申請受付に先立って意向調査(予算規模の把握を目的とした調査)が実施されます。多くの都道府県では令和8年2月~3月頃に実施されました。意向調査への回答は支援を確約するものではありませんが、取組意向がある場合は原則回答が求められます。
②「業務効率化推進委員会」の設置
院長・副院長等の管理者が委員長となる委員会を設置します(既存の委員会の活用も可)。委員会の体制や運用を記載した書面が申請時に必要となるため、早めに整備しておきましょう。
③「業務効率化計画」の作成
厚生労働省が公開しているひな形(Word形式)を用いて、最大3年間の業務効率化計画を作成します。定量的な効率化目標、導入するICT機器等、業務手順の見直し内容、ランニングコストの確保方針などを記載します。
④都道府県への申請書・計画の提出
都道府県が定める受付期間内に、申請書と業務効率化計画を都道府県の担当課(医療政策課・地域医療課など、名称は都道府県により異なります)へ提出します。提出方法は都道府県により異なり、電子申請システム・メール・郵送などが用いられています。
⑤国による選定
都道府県が申請内容と業務効率化計画を厚生労働省に送付し、厚生労働省が都道府県ごとの所要見込額の範囲内で補助対象病院を選定します。申請した病院がすべて補助対象になるわけではありません。
⑥内示・交付申請・事業開始
選定結果の内示を受けた病院は、改めて都道府県に正式な交付申請を行い、交付決定後に事業を開始します。原則として、内示以降に実施したICT機器等の導入費用が補助対象です。

申請に必要な書類

都道府県により細部は異なりますが、共通して求められる主な書類は以下のとおりです。

・申請書(都道府県所定の様式)
・業務効率化計画(厚生労働省のひな形に基づき作成)
・業務効率化推進委員会の体制・運用が記載された書面
・ベースアップ評価料の届出を確認できる書類
・導入予定のICT機器等の見積書等、経費の根拠資料

このほか、都道府県において「地域医療への一定の貢献」や「地域医療構想の推進への協力」が確認されるため、地域医療構想調整会議への参加状況等が考慮されます。詳細な提出書類は、必ず所在地の都道府県の実施要綱・案内で確認してください。

採択(選定)後の手続き

補助対象に選定された後も、以下の手続き・対応が必要です。

手続き内容
交付申請・交付決定内示後、都道府県所定の様式で正式な交付申請を行います。
事業の実施令和8年度中にICT機器等の導入等を実施します。納品・支払いは令和9年3月31日までに完了する必要があります。ソフトウェア利用料は令和8年度中に生じる最大12か月分が対象です。
実績報告事業完了後、都道府県が定める期日までに実績報告書を提出します。
データ提出ICT機器等の導入前後の業務時間、職員の総労働時間・超過勤務時間、インシデント件数など、厚生労働大臣が定めるデータを提出します。
報告・評価1年目の計画終了時、2・3年目の計画途中、3年目の計画終了時に、都道府県知事を通じて厚生労働大臣に報告書を提出し、評価を受けます。成果が認められなかった場合、補助金の返還を求められることがあります。

なお、補助対象経費は税抜き金額で算定されるため、本事業については消費税及び地方消費税に係る仕入控除税額報告は不要とされています。

申請から事業開始までのスケジュール

厚生労働省が示すスケジュールは以下のとおりです。

時期内容
令和8年3月~4月都道府県ごとの所要見込額の決定
令和8年5月~6月頃各都道府県で病院からの申請受付
(申請書・業務効率化計画の提出)
令和8年7月頃~厚生労働省における選定作業を経て補助対象を決定
令和8年8月上旬以降選定された病院から正式に交付申請を行い、事業開始

実際の受付期間は都道府県により異なります。たとえば東京都は令和8年6月4日~7月3日、大阪府は令和8年6月12日~7月10日、北海道は令和8年7月17日締切とされ、いずれも期限厳守で受付が行われました。

原則として、補助対象の病院の決定(国からの内示)以降に実施したICT機器の導入費用等が補助対象となります。2026年8月現在、各都道府県での申請受付は終了しており、令和8年度分の新規申請はできません。

現在は厚生労働省による選定を経て、選定された病院が交付申請・事業開始へと進む段階に入っています。すでに申請した病院は、所在地の都道府県からの選定結果や交付申請の案内を確認してください。

申請のポイント

本事業の申請にあたっては、最大3年間を対象とする「業務効率化計画」の作成が必要です。計画には以下の内容を盛り込みます。

・対象部門(医師部門、調剤部門、看護部門、その他コメディカル部門、事務部門、その他のバックアップ部門のいずれかまたは全て)
・具体的かつ定量的な効率化目標(例:文書作成に要する時間の減、超過勤務時間の減、外来患者の待ち時間の減など、対前年同月比●%以上といった定量的に測定・評価できるもの)
・目標達成のための業務手順の見直しやタスク・シフト/シェアの具体的内容
・ランニングコストの確保に関する具体的方針

達成すべき目標水準に具体的な指定はありませんが、業務効率化計画の内容を踏まえて補助対象の病院が決定されるため、目標が妥当かつ適切なものになっているかが重要です。国による選定の評価は合計180点満点の採点制で、なかでも「具体的かつ定量的な効率化目標が意欲的であり、かつ、達成可能とするだけの合理的な根拠があるか」の配点が最大30点と最も高く設定されており、定量目標の質が採否を左右します。

また、院長等の管理者が委員長となる「業務効率化推進委員会」の設置が必須です。委員構成や開催頻度に指定はなく、既存の委員会の活用も可能ですが、経営者層と現場の職員が進捗状況や課題を共有し、評価と見直しの仕組みを必ず設けてPDCAを回すことが求められます。

なお、訓練費用や効果測定費用も補助対象となるため、業務効率化のPDCAを効果的に進めるために外部の専門家による支援を受けることも可能です(導入するICT機器等の費用と比べて過大とならない範囲に限ります)。

令和9年度以降も実施される?今後の見通し

令和9年度(2027年度)以降に同様の事業が実施されるかは、現時点では未定です。

本事業の「業務効率化計画」は最大3年間を対象とする設計で、2年目以降の支援継続も視野に入っていますが、実施要綱には「2年目・3年目の補助が保証されるものではない」と明記されており、継続は今後の予算次第です。一方、令和6年度・令和7年度と2年連続で補正予算による生産性向上支援が措置されてきた経緯があり、意向調査では国の予算額を大幅に上回る申請意向が示されるなど、現場の需要は高い状況です。

今後は、例年8月末の令和9年度概算要求と、12月頃の令和8年度補正予算が注目タイミングです。今回申請できなかった病院も、次の機会に備えて委員会の体制整備や業務効率化計画の検討を進めておくとよいでしょう。

よくある質問

今からでも申請できる?

いいえ、令和8年度分の申請受付は各都道府県で終了しています(東京都は7月3日、大阪府は7月10日締切など)。現在は選定された病院が交付申請に進む段階です。

診療所や訪問看護ステーションは対象になる?

いいえ、本事業の対象は病院のみです。診療所や訪問看護ステーションも対象だった前事業(生産性向上・職場環境整備等支援事業)とは異なる点に注意してください。

電子カルテの導入費用は補助対象になる?

電子カルテ本体の導入・更改費用や単なるPCの入れ替え費用は対象外です。ただし、バイタル自動入力機器等の導入に伴う電子カルテとのシステム連携改修費用は対象となります。

令和9年度も実施される?

現時点では未定です。業務効率化計画が最大3年設計であることや、2年連続で補正予算による支援が措置されてきた経緯から、継続の可能性はあります。概算要求や補正予算の動向に注目してください。


まとめ

令和6年度補正予算による「生産性向上・職場環境整備等支援事業」は令和8年3月末で終了し、令和8年度は後継となる「医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業」が実施されています。

新事業は1施設あたり上限8,000万円・補助率5分の4と支援規模が大きい反面、対象は病院に限定され、国による選定を経て、データ提出・評価・成果の公表が求められる「成果重視型」の事業へと転換しました。令和8年度分の申請受付はすでに終了していますが、令和9年度以降も同様の支援が措置される可能性はあります。

医療現場の人材確保が引き続き大きな課題となるなか、次の支援策に備えて院内の体制整備を進めつつ、概算要求や補正予算の動向、厚生労働省・都道府県からの最新情報をこまめに確認してください。

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参考:
厚生労働省 医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業実施要綱
厚生労働省 医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業に関するQ&A(第2版)
厚生労働省 「業務効率化計画」作成に関する主なご質問(令和8年7月17日更新)
厚生労働省 医療施設等経営強化緊急支援事業について

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