転職や再就職を考えたとき、「退職後の収入はどうなるのか」「使える公的なお金はあるのか」と不安を抱える方は少なくありません。
実は国や自治体には、転職・再就職の場面で活用できる給付金や手当が数多く用意されています。代表的なものだけでも、失業給付金(基本手当)、再就職手当、就業促進定着手当、教育訓練給付金、リスキリング支援など、条件を満たせば数十万円から100万円を超える支援を受けられるケースもあります。
一方で、2025年12月3日には国民生活センターが「失業保険の給付額を増やせる」とうたう申請サポート業者への注意喚起を公表し、そもそも「退職前給付金」という名称の公的制度は存在しないという事実も改めて周知されました。あわせて、雇用保険の基本手当日額は2026年8月1日から上限・下限ともに引き上げられています。
本記事では2026年8月改定後の最新金額をもとに、転職・再就職で使える給付金・手当・支援金の条件と申請方法を整理して解説します。退職前に確認しておくべき書類やお金のポイントもまとめていますので、これから転職を考えている方はぜひご活用ください。
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この記事の目次
転職・再就職でもらえるお金 一覧表【2026年8月改定版】
転職・再就職で活用できる主な公的制度は、大きく「雇用保険からもらえる給付金・手当」「訓練・学び直しに使える給付制度」「自治体独自の支援金」の3つに分けられます。まずは全体像を一覧で確認しましょう。
| 制度名 | 対象となる人 | 金額の目安 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 失業給付金(基本手当) | 雇用保険加入者で失業状態の方 | 賃金日額の50〜80%(60〜64歳は45〜80%)/所定給付日数90〜330日 | ハローワーク |
| 再就職手当 | 基本手当の支給残日数が1/3以上で早期に再就職した方 | 支給残日数×基本手当日額×60〜70% | ハローワーク |
| 就業促進定着手当 | 再就職後6か月の賃金が離職前より下がった方 | 賃金差×6か月の労働日数(上限あり) | ハローワーク |
| 常用就職支度手当 | 就職困難者などが安定した職業に就いた方 | 基本手当日額×残日数×40%(残日数に応じ) | ハローワーク |
| 移転費 | ハローワーク紹介で就職・訓練のため転居する方 | 交通費・移転料・着後手当(実費相当) | ハローワーク |
| 広域求職活動費 | ハローワーク紹介で200km以上離れた事業所を訪問する方 | 交通費・宿泊料(実費相当) | ハローワーク |
| 短期訓練受講費 | 1か月未満の教育訓練を修了した方 | 受講費用の20%(上限10万円) | ハローワーク |
| 求職活動関係役務利用費 | 面接・訓練のため保育等サービスを利用した方 | 利用費の80%(上限あり) | ハローワーク |
| 教育訓練給付金 | 雇用保険被保険者期間が一定以上ある方 | 受講費用の20〜80%(種類により上限あり) | ハローワーク |
| 教育訓練支援給付金 | 45歳未満で専門実践教育訓練を受講する離職者 | 基本手当日額の60%を2か月ごとに支給 | ハローワーク |
| 職業訓練受講給付金(求職者支援制度) | 雇用保険を受給できない求職者 | 月額10万円+通所手当(上限月42,500円) | ハローワーク |
| リスキリングを通じたキャリアアップ支援 | 在職中でキャリアアップを目指す方 | 受講料の最大70%(最大56万円) | 経済産業省指定の補助事業者 |
| 自治体の就業支援金・奨励金 | 自治体指定の業種・条件で就業する方 | 数万〜数十万円 | 各自治体 |
以下、各制度を順に詳しく見ていきましょう。
「退職前給付金」という制度はある?国民生活センターが注意喚起
「退職前給付金」という名称の公的制度は存在しません。2025年12月3日、国民生活センターは「失業保険の受給額を増やせる」とうたう申請サポート業者への注意喚起を公表し、実態にそぐわない広告や不正受給を誘導するケースが増えていると警告しています。
「退職前給付金」で検索する人が本当に知りたい制度
「退職前給付金」で検索する方が実際に知りたい内容は、次のいずれかに整理できます。
- 退職前に勤務先からもらえるお金(退職金・未消化有給休暇の取り扱いなど)
- 退職前に手続きを進めておくべき、退職後の給付(失業給付金や再就職手当など)
- 在職中でも利用できる、転職・スキルアップ支援制度(教育訓練給付やリスキリング支援など)
つまり「退職前給付金」という単一の給付制度が存在するわけではなく、複数の雇用保険制度や自治体制度の総称的な検索キーワードとして使われているのが実態です。
国民生活センターが指摘する「怪しい申請サポート」の特徴
「必ずもらえる」「受給額を数十万円増やせる」といった断定的な広告は、制度上あり得ません。国民生活センターが公表した相談事例では、失業保険の申請サポート契約に関する消費生活相談が2021年度の42件から2024年度は217件へと約5倍に急増しています。
・依頼すれば給付額が増えると期待して契約したが、実際には増えなかった
・途中解約を申し出たら、事業者に認められず高額な違約金を請求された
・症状がないのに、指定クリニックでうつ病等の受診をするよう指示された(傷病手当金の不正受給を誘導)
特に3点目は、体調に問題がないのに医師に虚偽の申告をして傷病手当金を受給しようとする行為であり、発覚した場合は給付の返還や不正受給として3倍返しの処分、刑事責任の対象となる可能性があります。
参考:失業保険の給付額等を増やすことができるとうたう申請サポートに注意(国民生活センター)
失業保険や再就職手当などの申請は、無料でハローワークが直接受け付けています。第三者の有料サポートを利用しなくても、条件を満たせば所定の金額が支給される仕組みですので、まずはハローワークに相談することを推奨します。
失業給付金(基本手当)|2026年8月1日から日額の上限・下限が引き上げ
失業給付金(基本手当)は、雇用保険に加入していた方が離職後、次の仕事に就くまでの生活を支える制度です。一般に「失業手当」と呼ばれるのは、この基本手当を指します。
支給対象となるのは、働く意思と能力があるにもかかわらず職に就けていない「失業状態」の方です。すでに転職先が決まっている方、病気・出産などですぐに働けない方は対象外となります。
失業給付金の申請条件と手続きの流れ
失業給付金を受給するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
| 失業状態と認められる主な条件 |
|---|
| 就職したいという積極的な意思がある |
| いつでも就職できる能力があり、努力しても職に就けない状態である |
| 離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上ある(特定受給資格者・特定理由離職者は離職日以前1年間に通算6か月以上) |
申請は住所地を管轄するハローワークで行います。大まかな流れは以下のとおりです。
②離職票・本人確認書類・預金通帳などを持参し、ハローワークで求職申込みと受給資格決定の手続きを行う
③7日間の待期期間を経て、原則4週間ごとに失業認定を受ける
④認定後、指定口座に基本手当が振り込まれる
なお、自己都合退職の場合は待期期間の後にさらに給付制限期間(原則2か月、過去5年内に3回以上の自己都合退職なら3か月)が設けられます。
基本手当の給付日数|自己都合と会社都合で大きな差
基本手当の所定給付日数は、離職理由と被保険者期間、離職時の年齢によって決まります。自己都合退職(一般受給資格者)と会社都合退職(特定受給資格者)で内容が大きく異なる点に注意が必要です。
| 【自己都合・定年退職】一般受給資格者の給付日数 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 全年齢共通 | 90日 | 120日 | 150日 |
| 【会社都合】特定受給資格者・雇い止め等の給付日数 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ─ |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
基本手当日額|2026年8月1日改定後の上限・下限
基本手当日額は、原則として離職前6か月の賃金を平均した日額の50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、賃金が低いほど給付率が高くなります。2026年8月1日から、上限額・下限額ともに引き上げられました。
| 年齢区分 | 基本手当日額の上限(2026年8月1日改定後) | 改定前(2025年8月〜) |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 7,450円 | 7,255円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,270円 | 8,055円 |
| 45歳以上60歳未満 | 9,110円 | 8,870円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,830円 | 7,623円 |
基本手当日額の下限額(全年齢共通)は、2,411円から2,562円に引き上げられました。すでに受給中の方も、2026年8月1日以降の認定日から新しい日額が適用されます。
再就職手当|早期再就職で最大70%が一時金支給
再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が、支給残日数を所定給付日数の1/3以上残して再就職した場合に支給される一時金です。「就職祝い金」とも呼ばれ、早期の再就職を後押しする制度です。
再就職手当は、あらかじめハローワークで失業給付の受給資格決定を受けていることが前提です。先に失業給付の手続き(離職票・本人確認書類・通帳などを持参して求職申込みと受給資格決定)を済ませたうえで、所定給付日数を一定以上残して再就職した場合に、改めて再就職手当を申請します。
再就職手当の申請の流れ
②所定給付日数の1/3以上を残して再就職が決まる
③再就職先から「採用証明書」を受け取り、ハローワークで就職の届出を行う
④ハローワークから交付された「再就職手当支給申請書」に再就職先の事業主から証明を受ける
⑤再就職した日の翌日から1か月以内に、申請書をハローワークへ提出(郵送可)
⑥ハローワークの調査・審査を経て、約1か月後を目安に指定口座へ振り込まれる
申請期限は再就職した日の翌日から1か月以内ですが、時効は2年とされており、期限を過ぎても2年以内であれば申請可能です。ただし書類準備や事業主への証明依頼に時間がかかるため、再就職が決まったら早めにハローワークへ相談することをおすすめします。
再就職手当の支給要件
再就職手当を受給するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
| 再就職手当の支給要件(すべて満たす必要あり) |
|---|
| 1. 受給手続き後、7日間の待期期間満了後に就職または事業を開始したこと |
| 2. 就職日の前日までに、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること |
| 3. 離職した前の事業主に再び就職した場合や、資本・資金・人事・取引面で密接な関係がある事業主に就職した場合ではないこと |
| 4. 給付制限がある方は、求職申込み後の待期期間満了から1か月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職したこと |
| 5. 1年を超えて勤務することが確実であること |
| 6. 原則として、雇用保険の被保険者になっていること |
| 7. 過去3年以内に、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと |
| 8. 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用された場合ではないこと |
再就職手当の計算方法と2026年8月改定後の日額上限
再就職手当の金額は、基本手当の支給残日数に応じて支給率が変わります。
| 支給日数の残日数 | 支給率 |
|---|---|
| 所定給付日数を2/3以上残して再就職 | 70% |
| 所定給付日数を1/3以上残して再就職 | 60% |
計算式は「基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率」(1円未満は切り捨て)です。ただし、再就職手当を算出する際の基本手当日額には上限が設けられており、2026年8月1日改定後は59歳以下が6,745円、60歳以上65歳未満が5,454円となっています。
・基本手当日額を6,745円(上限)と仮定
・6,745円 × 120日 × 70% = 566,580円が一時金として支給
※実際の日額は年齢・賃金水準で変わります。詳細はハローワークへご確認ください。
詳しくはこちら:再就職手当の支給要件と計算方法 いつもらえるのか解説
就業促進定着手当|再就職後に賃金が下がった場合の補填
就業促進定着手当は、再就職後6か月間の賃金が離職前の賃金を下回った場合に、その差額分を補填する制度です。再就職手当を受給した方が対象で、職場定着までを支援することを目的としています。
就業促進定着手当は、すでに再就職手当の支給を受けていることが前提です。つまり「失業給付の受給資格決定 → 再就職手当の申請・支給 → 同じ事業主のもとで6か月以上勤務 → 就業促進定着手当の申請」という流れです。再就職手当を申請していない場合は対象外となるため注意が必要です。
就業促進定着手当の申請条件
| 就業促進定着手当の支給要件(すべて満たす必要あり) |
|---|
| 1. 再就職手当の支給を受けていること |
| 2. 再就職の日から、同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること |
| 3. 再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること |
なお、起業により再就職手当を受給した場合は、就業促進定着手当は受けられません。
就業促進定着手当の計算方法|2025年4月改正で上限率が20%に
計算式は「(離職前の賃金日額 − 再就職後6か月間の賃金の1日分の額)× 再就職後6か月間の賃金支払い基礎日数」です。2025年4月1日の雇用保険法改正により、上限率が従来の40%から20%に引き下げられました。
| 就業促進定着手当の上限額(2025年4月改正後) |
|---|
| 基本手当日額 × 支給残日数 × 20% |
計算に用いる基本手当日額にも上限があり、2026年8月1日改定後は59歳以下が6,745円、60歳以上65歳未満が5,454円です。なお、令和7年(2025年)3月31日以前に再就職し、再就職手当の支給を受けた方は、経過措置として最大40%の上限率が適用されます。
申請期限は再就職から6か月経過した日の翌日から2か月以内と短いため、再就職から半年が近づいたら、ハローワークや再就職先の人事担当に早めに相談しましょう。
詳しくはこちら:就業促進定着手当はいくらもらえる?計算方法・いつ振り込まれるかを解説
遠方就職・面接に使える就職促進給付4種類|移転費・広域求職活動費など
雇用保険の受給資格者がハローワーク紹介で遠方への就職・面接をする場合、交通費・引っ越し費用・保育費などが「就職促進給付」として支給されます。知られていない制度ですが、UIJターン転職や地方への再就職を検討している方は必ずチェックしておきたい制度です。
移転費|就職・訓練のため転居する場合の交通費・移転料
移転費は、雇用保険の受給資格者がハローワーク・特定地方公共団体または職業紹介事業者の紹介により、就職または公共職業訓練等を受講するために住居を変更する場合に支給されます。鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、移転料、着後手当の6種類があり、実費相当額が支給されます。
対象となるのは、通常の交通機関を利用して通勤するための往復時間が4時間以上になる場合など、ハローワークが移転を必要と認めたケースです。雇用期間が1年以上見込まれる求人であることが要件となります。申請期限は移転の日の翌日から1か月以内です。
広域求職活動費|200km以上離れた事業所訪問の交通費・宿泊費
広域求職活動費は、雇用保険の受給資格者がハローワーク紹介により遠方(往復200km以上)の求人事業所を訪問して面接を受ける場合に、交通費および宿泊料が支給される制度です。宿泊料は往復400km以上の場合に支給され、1泊7,800円または8,700円(地域による)が距離と訪問事業所数に応じて支給されます。
厚生労働省の告示により、令和8年(2026年)8月1日から広域求職活動費の受給可能な回数に上限が設けられました。詳細はハローワーク窓口またはリーフレットで最新の運用をご確認ください。
申請期限は広域求職活動終了の翌日から10日以内と非常に短いため、面接が終わったらすぐに手続きを行ってください。
短期訓練受講費|1か月未満の教育訓練修了で受講費用の20%
短期訓練受講費は、ハローワークの職業指導により再就職のため1か月未満の教育訓練を受け、訓練を修了した場合に、受講費用の20%(上限10万円)が支給される制度です。教育訓練給付金の対象講座と重複する場合は、教育訓練給付金の支給が優先されます。
求職活動関係役務利用費|面接・訓練のため保育等を利用した費用の80%
求職活動関係役務利用費は、求人者との面接等をしたり、教育訓練を受講したりするために、子のための保育等サービスを利用した場合に、利用費の80%(上限あり)が支給される制度です。子育て中で求職活動が難しい方は、ぜひハローワークに相談してみてください。
参考:移転費、広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費について(厚生労働省)
スキルアップ・学び直しに使える給付制度|教育訓練給付金・リスキリング支援
転職やキャリアアップに向けたスキル習得を後押しする制度が、教育訓練給付金・求職者支援制度・リスキリング支援事業などです。ここでは主要4制度を紹介します。
教育訓練給付金|受講費用の最大80%を補助
教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する講座を修了した際に受講費用の一部が支給される制度です。訓練のレベルに応じて3種類あり、支給率と上限額が異なります。
| 訓練の種類 | 支給率 | 上限額 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 受講費用の20% | 年間10万円 |
| 特定一般教育訓練 | 受講費用の40〜50% | 年間25万円 |
| 専門実践教育訓練 | 受講費用の50〜80% | 年間64万円(最長3〜4年) |
対象講座は令和8年4月1日時点で、専門実践教育訓練が3,488講座、特定一般教育訓練が1,424講座指定されています。看護師、介護福祉士、社会福祉士、保育士、大型免許、簿記、宅建、TOEICなど幅広い資格が対象です。
詳しくはこちら:教育訓練給付金とは?【2026年・令和8年】対象講座や申請方法を解説
教育訓練支援給付金|訓練中の生活費として基本手当日額の60%
教育訓練支援給付金は、45歳未満の離職者が専門実践教育訓練を受講する場合に、失業給付の受給が終わった後の訓練期間中の生活費として支給される制度です。基本手当日額の60%が2か月ごとに振り込まれます。
・支給額:基本手当日額の60%(例:30歳以上45歳未満なら上限日額4,833円、60日分で289,980円)
・期限:令和9年(2027年)3月31日までに専門実践教育訓練の受講を開始した方が対象の時限措置
詳しくはこちら:教育訓練支援給付金はいくら?教育訓練給付金との違い・受給条件を解説【2026年8月改定】
求職者支援制度(職業訓練受講給付金)|月10万円もらいながら無料で職業訓練
求職者支援制度は、雇用保険を受給できない求職者が月10万円の給付金を受け取りながら無料で職業訓練を受けられる制度です。
| 職業訓練受講給付金の主な要件(すべて満たす必要あり) |
|---|
| 本人収入が月8万円以下(シフト制で収入が変動する場合は月12万円以下でも通所手当のみ支給の場合あり) |
| 世帯全体の収入が月30万円以下 |
| 世帯全体の金融資産が300万円以下 |
| 現在住んでいる所以外に土地・建物を所有していない |
| 訓練実施日すべてに出席すること(やむを得ない理由の欠席証明があれば出席率8割以上) |
| 世帯内で同時に給付金を受給して訓練を受けている人がいない |
| 過去6年以内に職業訓練受講給付金を受給していない |
支給内容は、職業訓練受講手当(月10万円)に加えて、通所手当(交通費・月上限42,500円)、寄宿手当(別居して寄宿する場合は月10,700円)です。フリーランス廃業者や雇用保険未加入だった方、シングルマザーで働きながら正社員転職を目指す方など、失業保険が使えない層が主な対象です。
詳しくはこちら:求職者支援制度とは?月10万円もらって無料で職業訓練|対象者・条件・申請方法【2026年最新】
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業|転職成功で最大56万円
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は、経済産業省による在職者向けの学び直し支援事業です。「リスキリング補助金」とも呼ばれ、キャリア相談・リスキリング講座受講・転職相談・転職後フォローアップまでを一体的に支援します。
| タイミング | 補助額 |
|---|---|
| リスキリング講座の受講を修了した場合 | 講座受講費用(税別)の1/2相当額(上限40万円) |
| 講座受講後に転職し、1年間継続就業が確認できた場合 | 追加で講座受講費用(税別)の1/5相当額(上限16万円) |
事業期間は2028年3月31日まで延長されており、個人への支援終了は2027年3月31日まで、転職後1年間のフォローアップ完了は2028年3月31日までとなっています。ただし各補助事業者の助成枠に達し次第、募集が終了するため早めの検討をおすすめします。
詳しくはこちら:転職成功で最大56万円!「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」とは?対象者・申請方法を徹底解説【2026年最新版】
「転職支援金」「再就職支援金」は国の制度ではない|自治体独自の就業支援金
「転職支援金」「再就職支援金」という名称の国の制度は存在しません。検索する方の多くは、失業給付金や再就職手当を指しているケースがほとんどです。一方で、自治体独自の支援金は各地に用意されています。
自治体の就業支援金・奨励金の代表例
人材不足が深刻な業種(介護・建設・看護・保育・IT・農業など)への就業を促すため、自治体が独自に支援金・奨励金を支給しているケースがあります。名称は「就業支援金」「就業奨励金」「就職支度金」「定着支援金」などさまざまです。
・県外大学を卒業した若者がUターン就職した場合の奨励金
・看護師・准看護師として地域の医療機関に就業した場合の就業支援金
・建設業の若手技能者として就業した場合の定着支援金
・保育士として地元保育所に就業した場合の家賃補助・支度金
・ITエンジニアとして地方進出企業に就業した場合の移住・就業支援金
金額は数万円から数十万円程度、支給時期は就業開始から半年〜1年後といったケースが多くみられます。「お住まいの自治体名 + 就業支援金」「自治体名 + 就業奨励金」で検索するか、自治体の労働・産業振興担当窓口に問い合わせると確実です。
関連するその他の給付制度
上記の主要制度以外にも、状況に応じて活用できる給付があります。
- 常用就職支度手当:45歳以上の高年齢者、障害者、就職困難者などが安定した職業に就いた場合の一時金
- 高年齢求職者給付金:65歳以上で離職した方向けの一時金(基本手当日額の30日分または50日分)
- 教育訓練休暇給付金:仕事を辞めずに学び直す場合の給付
高年齢の方や在職中に学び直しをしたい方は、あわせてご確認ください。
詳しくはこちら:高年齢求職者給付金とは?求職中の高齢者が受け取れる失業給付金
退職前に確認しておくべきお金と手続き
転職活動を本格化させる前に、退職前のタイミングで確認・準備しておくべきお金や手続きがあります。ここでの動きが、退職後の給付金申請や生活の安定に直結します。
退職前に勤務先で確認すべきお金
退職を決めたら、まず以下の項目を就業規則や人事担当者に確認しましょう。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 退職金の有無と金額 | 退職金制度は法律上の義務ではなく、企業独自のルール。内閣官房の令和6年度調査によれば、約88%の企業が退職給付制度を実施しているとされる。自社の有無や算定方法は就業規則で要確認 |
| 未消化の有給休暇 | 退職日までに消化するか、企業によっては買取制度があるか |
| 未払いの残業代・賞与 | 退職月の賞与支給対象になるか |
| 企業型確定拠出年金(DC) | 転職先での移換手続きの要否 |
| 健康保険 | 退職後は「任意継続」「国民健康保険」「家族の扶養に入る」のいずれかを選択 |
参考:令和6年度民間企業における退職給付制度の状況等に関する調査研究報告書(内閣官房)
退職前に準備しておくべき書類
退職後にスムーズに失業給付金を申請するためには、勤務先から発行される以下の書類を確実に受け取っておく必要があります。
| 書類 | 用途・備考 |
|---|---|
| 離職票(雇用保険被保険者離職票-1、-2) | 失業給付申請に必須。退職後10日前後で勤務先経由またはハローワークから交付 |
| 雇用保険被保険者証 | 転職先への提出、各種雇用保険手続きで使用 |
| 源泉徴収票 | 転職先での年末調整、または翌年の確定申告に必要 |
| 退職証明書 | 国民健康保険・国民年金の手続き等で求められる場合あり |
| 年金手帳(または基礎年金番号通知書) | 国民年金・厚生年金の切替手続きで使用 |
会社都合退職なら国民健康保険料の軽減措置を活用
倒産や解雇など会社都合による離職(特定受給資格者・特定理由離職者)の方は、退職後の国民健康保険料が前年の給与所得を30/100とみなして計算される軽減措置を受けられます。離職日の翌日から翌年度末までが対象期間で、市区町村の国保窓口で「雇用保険受給資格者証」を提示して申請します。
在職中から使える制度をチェック
「退職してから動こう」と考えがちですが、在職中だからこそ使える制度もあります。
・リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業:在職者が対象、受講料の最大70%補助
・教育訓練休暇給付金:仕事を辞めずに学び直す場合の給付
・雇用保険の被保険者期間の確認:失業給付の所定給付日数に直結するため、退職時期によって受給日数が変わるケースもある
退職してからでは利用できなくなる制度もあるため、転職を考え始めた段階で一度棚卸ししておくことをおすすめします。
詳しくはこちら:退職給付金とは?退職後にもらえるお金一覧|失業手当・退職金・65歳以上の給付まで解説【2026年】
制度別の申請窓口・期限まとめ
転職に関する制度は数が多く、申請方法もそれぞれ異なります。「結局どこに、いつ、何を持っていけばいいのか」を一覧で整理しました。
| 制度 | 申請窓口 | 申請のタイミング |
|---|---|---|
| 失業給付金(基本手当) | ハローワーク(住所地) | 離職後すみやかに(受給期間は離職日の翌日から原則1年以内) |
| 再就職手当 | ハローワーク | 再就職した日の翌日から1か月以内(時効2年) |
| 就業促進定着手当 | ハローワーク | 再就職から6か月経過した日の翌日から2か月以内 |
| 移転費 | ハローワーク | 移転の日の翌日から1か月以内 |
| 広域求職活動費 | ハローワーク | 広域求職活動終了の翌日から10日以内 |
| 教育訓練給付金 | ハローワーク(住所地) | 受講修了日の翌日から1か月以内 |
| 職業訓練受講給付金(求職者支援制度) | ハローワーク | 訓練開始前に求職申込・要件確認、訓練期間中に毎月認定 |
| リスキリング支援事業 | 経済産業省指定の補助事業者 | 講座申込時 |
| 自治体の就業支援金 | 各自治体の担当課 | 就業から一定期間後(自治体による) |
ハローワークで共通して必要になる書類
・マイナンバー確認書類(マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類)
・本人名義の振込先預金通帳またはキャッシュカード
・写真2枚(最近3か月以内、縦3.0cm×横2.4cm程度)※マイナンバーカード提示で省略可の場合あり
・印鑑
申請でつまずきやすいポイント
原則として待期期間(7日)の後、さらに給付制限期間(原則2か月、過去5年内に3回以上自己都合退職している場合は3か月)があり、すぐには給付が始まりません。
アルバイトの申告
受給中にアルバイトをすると申告義務があり、未申告は不正受給扱いになります。
再就職手当と就業促進定着手当の関係
就業促進定着手当は再就職手当の支給を受けていることが条件。両方の併給は可能ですが、適用順序があります。
専門実践教育訓練の事前手続き
受講開始日の1か月前までに「受講前のジョブ・カード作成」や「訓練前キャリアコンサルティング」が必要。受講後に申し込んでも給付対象外になります。
離職票の到着遅れ
勤務先から離職票が届かないと失業給付の申請ができません。退職から2週間経っても届かない場合は、勤務先に催促するかハローワークに相談しましょう。
転職・再就職でもらえるお金に関するよくある質問
転職するともらえる給付金にはどのような種類がありますか?
転職・再就職に関連する代表的な給付金や手当としては、失業給付金(基本手当)、再就職手当、就業促進定着手当、常用就職支度手当、移転費、広域求職活動費、教育訓練給付金、教育訓練支援給付金、職業訓練受講給付金、リスキリングを通じたキャリアアップ支援などがあります。いずれも雇用保険の加入状況や離職理由、再就職までの期間などによって受給できるかどうかが決まります。
「退職前給付金」という制度はありますか?
「退職前給付金」という名称の公的制度は存在しません。2025年12月3日に国民生活センターが「失業保険の受給額を増やせる」とうたう申請サポート業者への注意喚起を公表しています。検索される方が知りたいのは、退職金や有給休暇の取り扱い、失業給付金など退職後の給付、教育訓練給付やリスキリング支援といった在職中から使える制度であるケースが大半です。「必ずもらえる」「受給額を数十万円増やせる」と断定する広告は制度上あり得ないため、注意が必要です。
「転職支援金」「再就職支援金」は国の制度ですか?
国の制度として「転職支援金」「再就職支援金」という名称のものは存在しません。これらのキーワードで検索される方の多くは、失業給付金や再就職手当、就業促進定着手当を探しているケースがほとんどです。一方で、自治体独自の支援金として、人材不足業種(介護・建設・看護・保育・ITなど)への就業を促進する就業支援金や就業奨励金が用意されているケースがあります。お住まいの自治体名と「就業支援金」を組み合わせて検索するか、自治体の労働・産業振興担当窓口に問い合わせてください。
2026年8月1日から基本手当日額はどう変わりましたか?
2026年8月1日から、雇用保険の基本手当日額の上限額・下限額がいずれも引き上げられました。上限額は30歳未満が7,450円、30歳以上45歳未満が8,270円、45歳以上60歳未満が9,110円、60歳以上65歳未満が7,830円です。下限額は全年齢共通で2,562円となりました。再就職手当や就業促進定着手当の計算に使う基本手当日額の上限も引き上げられ、59歳以下は6,745円、60歳以上65歳未満は5,454円となっています。
再就職手当は最大でいくらもらえますか?
再就職手当は「基本手当日額×支給残日数×支給率(60〜70%)」で計算されます。支給残日数を所定給付日数の2/3以上残して再就職した場合は70%、1/3以上なら60%が支給率です。基本手当日額には上限があり、2026年8月1日改定後は59歳以下が6,745円、60歳以上65歳未満が5,454円です。たとえば35歳・所定給付日数120日をまるごと残して再就職した場合、6,745円×120日×70%=566,580円が一時金で支給されます(給付率は年齢や賃金水準により変動します)。
転職先が決まっていても失業給付は受けられますか?
すでに転職先が決まっている方は、失業給付金(基本手当)の対象外となります。基本手当は「働く意思と能力があるにもかかわらず、職に就けていない失業状態」の方を対象とする制度のためです。ただし、転職先の入社日までに空白期間がある場合でも、その期間中に他の仕事を積極的に探す意思がないと失業状態とは認められません。転職が決まっている方は再就職手当の対象になる可能性があるため、離職後すぐにハローワークで受給資格決定の手続きを済ませ、再就職手当を申請しましょう。
遠方への転職で引っ越し費用や面接交通費は支給されますか?
はい、雇用保険の受給資格者がハローワーク紹介で遠方就職・面接を行う場合、「移転費」と「広域求職活動費」が支給されます。移転費は就職・訓練のため転居する場合の交通費・移転料・着後手当が対象、広域求職活動費は往復200km以上離れた事業所の面接交通費と、往復400km以上の場合の宿泊費が対象です。ただし、2026年8月1日から広域求職活動費に受給回数の上限が設けられました。申請期限は移転費が移転から1か月以内、広域求職活動費が活動終了から10日以内と短いため、早めに手続きしましょう。
雇用保険に加入していない場合でも使える給付はありますか?
雇用保険に加入できなかった方や被保険者期間が短い方は、失業給付金(基本手当)や再就職手当の対象外となりますが、「求職者支援制度」の職業訓練受講給付金が利用できる可能性があります。本人収入が月8万円以下、世帯収入が月30万円以下などの条件を満たせば、月額10万円の給付金を受けながら無料で職業訓練を受講できます。フリーランス廃業者、雇用保険未加入だったパート従業員、シングルマザーで働きながら正社員転職を目指す方などが主な対象です。
再就職後に賃金が下がった場合の補償はありますか?
再就職手当を受給した方が、再就職後6か月の賃金の1日分の額が離職前の賃金日額を下回った場合、「就業促進定着手当」が支給されます。計算式は「(離職前の賃金日額-再就職後6か月の1日分の額)×6か月の労働日数」ですが、2025年4月改正で上限額の計算率が40%から20%に引き下げられました。申請期限は再就職から6か月経過した日の翌日から2か月以内と短いため、再就職半年が近づいたらハローワークに相談しましょう。
申請サポートを名乗る業者から連絡がありました。利用しても大丈夫ですか?
2025年12月3日に国民生活センターが失業保険の申請サポート業者について注意喚起を公表しています。「必ずもらえる」「受給額を数十万円増やせる」と断定する広告や、体調に問題がないのに指定クリニックで受診するよう指示する業者は、不正受給の誘導にあたる可能性があります。傷病手当金の不正受給が発覚した場合は返還や3倍返し、刑事責任の対象になります。失業保険や再就職手当の申請は無料でハローワークが直接受け付けているため、まずはハローワーク窓口に相談することをおすすめします。
まとめ
転職や再就職にあたっては、退職後の収入が一時的に途絶えることへの不安から、なかなか踏み出せないという声をよく聞きます。しかし国や自治体には、失業給付金・再就職手当・就業促進定着手当をはじめ、遠方就職の移転費、教育訓練給付、リスキリング支援など、活用できる制度が数多く用意されています。
本記事のポイントを整理すると、以下のとおりです。
・再就職手当・就業促進定着手当の計算に使う基本手当日額の上限も59歳以下6,745円、60〜64歳5,454円に改定
・「退職前給付金」という公的制度は存在せず、2025年12月3日には国民生活センターが申請サポート業者への注意喚起を公表
・遠方就職・面接なら移転費・広域求職活動費・短期訓練受講費・求職活動関係役務利用費の4種類が活用可能
・在職中から使える教育訓練給付・リスキリング支援は退職前の情報収集が肝心
・各制度には申請期限があり、再就職手当は1か月以内、就業促進定着手当は2か月以内など、後回しにすると受給できなくなる場合あり
・自分のケースで使える制度が分からなければ、まずは最寄りのハローワークで無料相談を
転職・再就職は人生の大きな転換点ですが、公的制度を適切に活用することで、経済的な不安を最小限に抑えながら次のステップに進むことができます。本記事で紹介した制度の中で気になるものがあれば、公式情報を確認したうえで、ぜひ申請を検討してみてください。
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