転職や再就職では、給付金や手当がもらえるケースがあるのをご存知でしょうか。転職や再就職のために退職を考える際、収入がなくなる不安から踏み出せない方も少なくありません。
国では、転職や再就職に関する給付金や手当など、さまざまな支援制度を用意しています。
本記事では、「転職や再就職でもらえるお金」と「転職や再就職に向けて利用できる支援制度」に分けてご紹介します。
転職や再就職を検討している方はぜひお役立てください。
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この記事の目次
転職や再就職でもらえる給付金や手当
転職や再就職では、条件を満たすことでもらえるお金があります。転職や再就職を考える際に「退職後のお金」に対する不安がある方は少なくありません。そこで活用したいのが、転職や再就職でもらえる給付金や手当です。
具体的には、以下のようなお金があります。
- 失業給付金
- 再就職手当
- 就業促進定着手当
これらのお金は、条件を満たせば退職時や転職時にもらえるため、安心して次のステップに進めるでしょう。スムーズな流れで受給するためには、それぞれの給付金や手当についてあらかじめ理解しておくことが大切です。
また、退職金制度を整備している企業も少なくないため、併せて確認しておきましょう。
退職金に関するデータ
退職時には、勤務先から退職金(退職手当)をもらえる場合があります。退職金は、現役を引退する方だけでなく転職のための退職であっても支給対象であるのが一般的です。しかし、退職金は法律で定められた制度ではないため、企業が独自に定めるルールによって支給されます。
内閣官房による調査(民間調査機関に委託調査)によると、約88%の企業が退職金給付制度を実施しているということです。このように、多くの企業では退職金制度がありますが、実施していない企業はゼロではありません。また、退職金は、勤続年数が長いほど多く支給されるのが一般的であるため、若手やミドル世代で退職する場合、もらえる退職金に不安がある場合も考えられます。
そこで、退職後の生活に不安がある場合は、転職や再就職でもらえる給付金や手当に関する情報を知っておくことが大切です。
参考:令和6年度民間企業における退職給付制度の状況等に関する調査研究報告書
失業等給付金(基本手当)
失業等給付金(基本手当)とは、雇用保険に加入している人が退職時などにもらえるお金です。雇用保険における失業等給付は、以下4つの種類で構成されています。
| 種類 | 詳細 |
|---|---|
| 求職者給付 | 失業者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にすることを目的とした給付 |
| 就職促進給付 | 失業者の再就職を援助し、円滑な就職につなげることを目的とした給付 |
| 教育訓練給付 | 働く人の主体的な能力開発の取組を支援し、雇用の安定や再就職の促進を目的とした給付 |
| 雇用継続給付 | 働く人が職業生活を円滑に継続できるよう援助することを目的とした給付 |
このうち、いわゆる「失業手当」と呼ばれるのが、求職者給付における基本手当です。失業手当を受け取るためには失業状態にあることが認められなければなりません。
給付条件
基本手当の受給に必要な「失業状態」の条件は、以下のとおりです。
- 就職したい積極的な意思がある
- いつでも就職できる能力があり、努力しても職業に就けない状態である
- 離職日の以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上ある(特定受給資格者などの場合は、離職日の以前1年間に通算して6か月以上ある)
たとえば、転職先がすでに決まっていたり、病気療養中などによりすぐに働けなかったりするようなケースでは、失業手当の支給対象外です。
給付期間
基本手当の受給期間は、原則として離職した日の翌日から起算して1年間です。ただし、妊娠や出産、疾病などによって今すぐ職業に就けないような場合は、期間を延長できます。
このように、基本手当を受け取れる期間は、離職理由や雇用保険被保険者の期間によって異なります。
定年や自己都合退職など、65歳未満の一般的な受給資格者については以下の給付日数が定められています。
| 被保険者だった期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
給付金額
基本手当の給付額は、原則として離職前6か月の賃金を平均した日額の50~80%(60歳~64歳は45~80%)であり、賃金が低いほど給付率が高くなる仕組みです。
基本手当の日額は、年齢区分ごとに上限が定められているため、以下にご紹介します。
| 年齢区分 | 日額における上限額 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,255円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,055円 |
| 45歳以上60歳未満 | 8,870円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,623円 |
再就職手当
再就職手当とは、雇用保険における基本手当の受給資格のある方が、早期に安定した仕事に就いた際、基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上あり、条件を満たしている場合に支給されるお金です。早期における再就職を促進するための手当と認識するとわかりやすいかもしれません。
給付要件
再就職手当の受給条件として、以下をすべて満たす必要があります。
2.就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。
3.離職した前の事業主に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業主に就職したこと。
4.受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
5.1年を超えて勤務することが確実であること。
(生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当し
ません。)
6. 原則として、雇用保険の被保険者になっていること。
7. 過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。(事業開始にかかる再就職手当も含みます。)
8. 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
給付金額
再就職手当の金額は、基本手当の支給残日数によって支給率が異なります。支給残日数における支給率は以下のとおりです。
| 支給日数の残日数 | 支給率 |
|---|---|
| 支給日数を2/3以上残して再就職 | 70% |
| 支給日数を1/3以上残して再就職 | 60% |
具体的な金額は、以下の計算式にあてはめて計算します。
| 失業手当の計算式 |
|---|
|
基本手当日額 × 所定給付日数の支給残日数 × 支給率 ※1円未満の端数は切り捨て |
このように、再就職手当は早期に再就職するほど、受給額が多くなる仕組みです。
なお、再就職手当を算出する際の基本手当日額には上限があります。
・離職時の年齢が60歳未満:6,570円
・離職時の年齢が60歳以上65歳未満:5,310円
※2026年7月31日までの金額
就業促進定着手当
就業促進定着手当とは、再就職後の賃金が離職前の賃金よりも低い場合に支給されるお金です。
給付条件
就業促進定着手当の条件として、以下をすべて満たす必要があります。
2.再就職の日から、同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること
3.所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること
※2014年4月1日以降の再就職における条件
なお、起業により再就職手当を受給した場合には、「就業促進定着手当」は受けられませんのでご注意ください。
給付金額
就業促進定着手当の金額は、離職前の賃金や再就職後6か月間にける賃金日額によって異なります。
具体的な計算式は以下のとおりです。
| 就業促進定着手当の計算式 |
|---|
|
(離職前の賃金日額-再就職後6か月間の賃金の1日分の額)× 再就職後6か月間において賃金の支払い基礎となった日数 |
なお、就業促進定着手当においても、以下の基本手当日額の上限が設定されています。
離職時の年齢が60歳以上65歳未満:5,310 円
※2026年7月31日までの金額
転職に向けて活用できる給付金や支援制度
単純にもらえるお金以外にも、転職に向けて活用できる給付金や支援制度もあります。たとえば、転職時の強みになるスキルや資格取得に関する以下のような制度です。
- 教育訓練給付制度
- 求職者支援制度
- 求職者支援融資制度
- リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
それぞれの概要をご紹介します。
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用安定と就職促進を目的とした制度です。一定の要件を満たす方が教育訓練を修了することで、受講費用の一部が支給されます。
訓練には以下の種類があり、支給率も異なります。
| 専門実践教育訓練 |
教育訓練費の50~80%を支給 ※上限あり |
| 特定一般教育訓練 |
教育訓練費の40~50%を支給 ※上限あり |
| 一般教育訓練 |
教育訓練費の20%を支給 ※年間上限10万円 |
求職者支援制度
求職者支援制度とは、転職や再就職などを目指す人が月10万円の給付金を受給しながら無料で職業訓練や就職支援を受けられる制度です。
訓練の対象は、以下のように離職者と在職者によって異なります。
| 給付金を受けて訓練を受講する方 | 無料の訓練を受講するのみの方 | |
|---|---|---|
| 離職者 |
・雇用保険の適用がなかった離職者の方 ・フリーランス、自営業を廃業した方 ・雇用保険の受給が終了した方 など |
親や配偶者と同居していて、一定の世帯収入がある方 など (親と同居している学卒未就職の方 など) |
| 在職者 |
一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、 正社員への転職を目指す方 など |
働いていて一定の収入のある方 など (フリーランスで働きながら、正社員への転職を目指す方 など) |
給付金と訓練の要件も異なります。それぞれは、すべて要件を満たす必要があるため、ご注意ください。
| 種類 | 要件 |
|---|---|
| 給付金の要件 |
・本人収入が月8万円以下 ・世帯全体の収入が月30万円以下 ・世帯全体の金融資産が300万円以下 ・現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない ・訓練実施日すべてに出席すること (やむを得ない理由で欠席し、証明できる場合でも、出席率8割以上) |
| 訓練受講の要件 |
・ハローワークに求職の申込みをしていること ・雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと ・労働の意思と能力があること ・職業訓練などの支援が必要であると、ハローワークが認めたこと |
今すぐ転職や再就職をするわけではなく、働きながらスキルアップを目指したい方も対象という点が特徴です。
求職者支援融資制度
求職者支援融資制度は、求職者支援制度で職業訓練受講給付金を受給する予定の方を対象にした融資制度です。給付金だけでは生活に不安がある場合に融資を受けられます。
| 対象条件 |
・職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方 ・ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方 |
| 貸付額 |
月額5万円(上限)または10万円(上限) |
| 貸付利率 |
年3.0%(信用保証料0.5%を含む) ※返済が遅れた場合は、遅延している金額に対して14.5%の損害金(遅延利息)の支払い義務が発生します |
求職者支援制度による給付金だけでは、生活に不安がある場合は、融資制度も検討できます。
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は、リスキリングを通じて在職者のキャリアアップを支援する事業です。
- キャリア相談
- プログラム受講によるリスキリング
- 転職相談や職業紹介
- キャリアアップの実現
を一体的に支援する内容で提供されています。
本事業を利用した場合、以下のように受講料の70%(最大56万円)を受講できます。
| 事例 | 補助額 |
|---|---|
| リスキリング講座の受講を終了した場合 |
講座の受講費用(税別)の1/2相当額 (上限40万円) |
|
講座受講を経て転職し、その後1年間 継続的に就業していることが確認できる場合 |
追加的に講座の受講費用(税別)の1/5相当額 (上限16万円) |
転職を考える際は、自分のスキルなどが不安で踏み出せない方もいらっしゃるでしょう。そこで本事業を利用することで、補助を受けながらリスキリングできるだけでなく、転職に関するサポートも受けられます。
まとめ
転職や再就職においては、退職後の収入が途絶える不安から、躊躇(ちゅうちょ)してしまう方も少なくありません。しかし、国の給付金や支援制度をうまく利用することで、安心して転職や再就職に向けた動きが取れるかもしれません。
各給付金や手当、支援制度には利用できる条件が定められているため、事前に公式情報を確認のうえ、申請手続きを行いましょう。
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