転職や再就職を考えたとき、「退職後の収入はどうなるのか」「もらえるお金はあるのか」と不安になる方は少なくありません。
実は国や自治体には、転職・再就職でもらえる給付金や手当、そして転職活動中に活用できる支援制度が数多く用意されています。代表的なものだけでも、失業給付金(基本手当)、再就職手当、就業促進定着手当、教育訓練給付金など、条件を満たせば数十万円から100万円を超える支援を受けられるケースもあります。
本記事では、それぞれの制度の条件・金額・申請方法を解説します。退職前に確認しておくべきポイントもまとめていますので、これから転職を考えている方はぜひお役立てください。
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この記事の目次
転職・再就職でもらえるお金 一覧表
本記事で扱う制度を、まず一覧表で紹介します。気になる制度があれば、各セクションの詳細をご確認ください。
| 名称 | 対象となる人 | 金額の目安 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| 失業給付金 (基本手当) | 雇用保険加入者で失業状態の方 | 賃金日額の50〜80% 最大150日分 (一般受給資格者) | ハローワーク |
| 再就職手当 | 失業給付の支給残日数が1/3以上で再就職した方 | 支給残日数 × 基本手当日額 × 60〜70% | ハローワーク |
| 就業促進定着手当 | 再就職後の賃金が離職前より下がった方 | (離職前賃金日額 − 再就職後賃金日額)× 6か月分の労働日数 | ハローワーク |
| 教育訓練給付金 | 雇用保険被保険者期間が一定以上の方 | 受講費用の20〜80% (最大上限あり) | ハローワーク |
| 職業訓練受講給付金 | 雇用保険を受給できない求職者 | 月額10万円 + 交通費 | ハローワーク |
| リスキリングを通じたキャリアアップ支援 | 在職中でキャリアアップを目指す方 | 受講料の最大70% (最大56万円) | 委託事業者 |
| 自治体の就業支援金・奨励金 | 自治体指定の業種・条件で就業する方 | 数万〜数十万円 (自治体により異なる) | 各自治体 |
| 退職金 | 退職金制度のある企業の退職者 | 企業の規定による (勤続年数で変動) | 勤務先 |
以下、それぞれの制度を詳しく見ていきましょう。
退職前に知っておくべきお金と準備
転職活動を本格化させる前に、退職前のタイミングで確認・準備しておくべきお金や手続きがあります。「退職前給付金」という言葉で検索する方も多いですが、まずはその実態から整理しましょう。
「退職前給付金」という制度はある?
検索エンジンで「退職前給付金」と検索する方は多いものの、「退職前給付金」という名称の公的制度は存在しません。
このキーワードで情報を探している方は、おそらく以下のいずれかを知りたいと考えられます。
・退職する前に、勤務先からもらえるお金(退職金・有給休暇の買取など)
・退職前に手続きをしておくべき、退職後にもらえるお金(失業給付金など)
・在職中でも利用できる、転職・スキルアップ支援制度(教育訓練給付など)
本セクションでは、これらを順に整理します。
退職前に勤務先で確認すべきお金
退職を決めたら、まず以下の項目を就業規則や人事担当者に確認しましょう。
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 退職金の有無と金額 | 退職金制度は法律上の義務ではなく、企業独自のルールで定められます。内閣官房の調査(民間調査機関への委託調査)によれば、約88%の企業が退職金給付制度を実施しているとされますが、自社制度の有無や算定方法は就業規則で要確認です |
| 未消化の有給休暇 | 退職日までに消化するか、企業によっては買取制度があるか |
| 未払いの残業代・賞与 | 退職月の賞与支給対象になるか |
| 企業型確定拠出年金(DC) | 転職先での移換手続きの要否 |
| 健康保険 | 退職後は「任意継続」「国民健康保険」「家族の扶養に入る」のいずれかを選択 |
参考:令和6年度民間企業における退職給付制度の状況等に関する調査研究報告書
退職前に準備しておくべき書類
退職後すぐに失業給付金などを申請するには、勤務先から発行される以下の書類が必要です。退職時に確実に受け取りましょう。
| 書類 | 用途・備考 |
|---|---|
| 離職票 (雇用保険被保険者離職票-1、-2) | 失業給付申請に必須。退職後10日前後で勤務先経由またはハローワークから交付 |
| 雇用保険被保険者証 | 転職先への提出、各種雇用保険手続きで使用 |
| 源泉徴収票 | 転職先での年末調整、または翌年の確定申告に必要 |
| 退職証明書 | 国民健康保険・国民年金の手続き等で求められる場合あり |
| 年金手帳 (または基礎年金番号通知書) | 国民年金・厚生年金の切替手続きで使用 |
在職中から使える制度をチェック
「退職してから動こう」と考えがちですが、在職中だからこそ使える制度もあります。
・リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業:在職者が対象。受講料の最大70%補助
・雇用保険の被保険者期間の確認:失業給付の所定給付日数に直結するため、退職時期によって受給日数が変わるケースもあります
退職してからでは利用できなくなる制度もあるため、転職を考え始めた段階で一度棚卸ししておくことをおすすめします。
失業等給付金(基本手当)
失業等給付金(基本手当)は、雇用保険に加入していた方が離職後、次の仕事に就くまでの生活を安定させ、再就職活動に専念できるよう支給されるお金です。一般に「失業手当」と呼ばれるのは、この基本手当を指します。
支給対象となるのは、働く意思と能力があるにもかかわらず、職に就けていない「失業状態」の方です。すでに転職先が決まっている方や、病気・出産などですぐに働けない方は対象外となります。
申請は、ご自身の住所地を管轄するハローワークで行います。大まかな流れは以下のとおりです。
②離職票・本人確認書類・通帳などを持参し、ハローワークで求職申込みと受給資格決定の手続きを行う
③7日間の待期期間を経て、原則4週間ごとに失業認定を受ける
④認定後、指定口座に基本手当が振り込まれる
なお、支給を受けるには一定の被保険者期間が必要であり、離職理由(自己都合・会社都合など)によって給付開始までの期間や受給日数が異なります。詳しい条件は以下で解説します。
給付条件
失業手当を受け取るためには失業状態にあることが認められなければなりません。基本手当の受給に必要な「失業状態」の条件は、以下のとおりです。
| 失業状態と認められる条件(すべて満たす必要があります) |
|---|
| 就職したい積極的な意思がある |
| いつでも就職できる能力があり、努力しても職業に就けない状態である |
| 離職日の以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上ある (特定受給資格者などの場合は、離職日の以前1年間に通算して6か月以上ある) |
たとえば、転職先がすでに決まっていたり、病気療養中などによりすぐに働けなかったりするようなケースでは、失業手当の支給対象外です。
給付期間
基本手当の受給期間は、原則として離職した日の翌日から起算して1年間です。ただし、妊娠や出産、疾病などによって今すぐ職業に就けないような場合は、期間を延長できます。
このように、基本手当を受け取れる期間は、離職理由や雇用保険被保険者の期間によって異なります。
定年や自己都合退職など、65歳未満の一般的な受給資格者については以下の給付日数が定められています。
| 被保険者だった期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
給付金額
基本手当の給付額は、原則として離職前6か月の賃金を平均した日額の50~80%(60歳~64歳は45~80%)であり、賃金が低いほど給付率が高くなる仕組みです。
基本手当の日額は、年齢区分ごとに上限が定められているため、以下にご紹介します。
| 年齢区分 | 日額における上限額 |
|---|---|
| 30歳未満 | 7,255円 |
| 30歳以上45歳未満 | 8,055円 |
| 45歳以上60歳未満 | 8,870円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,623円 |
再就職手当
再就職手当とは、雇用保険における基本手当の受給資格のある方が、早期に安定した仕事に就いた際、基本手当の支給残日数が所定給付日数の1/3以上あり、条件を満たしている場合に支給されるお金です。早期における再就職を促進するための手当と認識するとわかりやすいかもしれません。
再就職手当は、あらかじめハローワークで失業給付(基本手当)の受給資格決定を受けていることが前提となります。先に失業給付の手続き(離職票・本人確認書類・通帳などを持参して求職申込みと受給資格決定)を済ませたうえで、所定給付日数を一定以上残して再就職した場合に、改めて再就職手当の申請を行う流れです。
申請の大まかな流れは以下のとおりです。
②所定給付日数の1/3以上を残して再就職が決まる
③再就職先から「採用証明書」を受け取り、ハローワークで就職の届出を行う
④ハローワークから交付された「再就職手当支給申請書」に再就職先の事業主から証明を受ける
⑤再就職した日の翌日から1か月以内に、申請書をハローワークへ提出(郵送も可)
⑥ハローワークによる調査・審査を経て、約1か月後を目安に指定口座へ振り込まれる
申請期限は再就職した日の翌日から1か月以内ですが、時効は2年とされており、期限を過ぎても2年以内であれば申請可能です。ただし、書類の準備や事業主への証明依頼に時間がかかるため、再就職が決まったら早めにハローワークへ相談しましょう。
給付要件
再就職手当の受給条件として、以下をすべて満たす必要があります。
| 再就職手当の支給要件(すべて満たす必要があります) |
|---|
| 1.受給手続き後、7日間の待期期間満了後に就職、又は事業を開始したこと。 |
| 2.就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること。 |
| 3.離職した前の事業主に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業主に就職したこと。 |
| 4.受給資格に係る離職理由により給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、求職申込みをしてから、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。 |
| 5.1年を超えて勤務することが確実であること。 (生命保険会社の外務員や損害保険会社の代理店研修生のように、1年以下の雇用期間を定め雇用契約の更新にあたって一定の目標達成が条件付けられている場合、又は派遣就業で雇用期間が定められ、雇用契約の更新が見込まれない場合にはこの要件に該当しません。) |
| 6.原則として、雇用保険の被保険者になっていること。 |
| 7.過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。 (事業開始にかかる再就職手当も含みます。) |
| 8.受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。 |
給付金額
再就職手当の金額は、基本手当の支給残日数によって支給率が異なります。支給残日数における支給率は以下のとおりです。
| 支給日数の残日数 | 支給率 |
|---|---|
| 支給日数を2/3以上残して再就職 | 70% |
| 支給日数を1/3以上残して再就職 | 60% |
具体的な金額は、以下の計算式にあてはめて計算します。
| 失業手当の計算式 |
|---|
|
基本手当日額 × 所定給付日数の支給残日数 × 支給率 ※1円未満の端数は切り捨て |
このように、再就職手当は早期に再就職するほど、受給額が多くなる仕組みです。
なお、再就職手当を算出する際の基本手当日額には上限があります。
・離職時の年齢が60歳未満:6,570円
・離職時の年齢が60歳以上65歳未満:5,310円
※2026年7月31日までの金額
詳しくはこちら:再就職手当の支給要件と計算方法 いつもらえるのか解説
就業促進定着手当
就業促進定着手当とは、再就職後の賃金が離職前の賃金よりも低い場合に支給されるお金です。再就職を促進するだけでなく、その後の職場定着までを支援することを目的とした制度です。
就業促進定着手当は、すでに再就職手当の支給を受けていることが前提となります。つまり、「失業給付(基本手当)の受給資格決定 → 再就職手当の申請・支給 → 同じ事業主のもとで6か月以上勤務 → 就業促進定着手当の申請」という流れになります。再就職手当を申請していない場合は、就業促進定着手当の対象外となるため注意が必要です。
申請の大まかな流れは以下のとおりです。
②再就職先で同じ事業主のもと、雇用保険の被保険者として6か月以上継続して勤務する
③再就職から6か月経過後、再就職先から賃金台帳の写し(直近6か月分)や出勤簿の写しなどを準備する
④ハローワークから交付される「就業促進定着手当支給申請書」に再就職先の事業主から証明を受ける
⑤再就職から6か月経過した日の翌日から2か月以内に、申請書をハローワークへ提出(郵送も可)
⑥ハローワークによる調査・審査を経て、指定口座へ振り込まれる
申請期限は再就職から6か月経過した日の翌日から2か月以内と短く、過ぎると受給できなくなります。再就職から半年が近づいたら、ハローワークや再就職先の人事担当に早めに相談しておきましょう。
給付条件
就業促進定着手当の条件として、以下をすべて満たす必要があります。
| 就業促進定着手当の支給要件(すべて満たす必要があります) |
|---|
| 1.再就職手当の支給を受けていること |
| 2.再就職の日から、同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること |
| 3.所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること |
なお、起業により再就職手当を受給した場合には、「就業促進定着手当」は受けられませんのでご注意ください。
給付金額
就業促進定着手当の金額は、離職前の賃金や再就職後6か月間における賃金日額によって異なります。具体的な計算式は以下のとおりです。
| 就業促進定着手当の計算式 |
|---|
| (離職前の賃金日額 − 再就職後6か月間の賃金の1日分の額)× 再就職後6か月間において賃金の支払い基礎となった日数 |
ただし、2025年4月1日の雇用保険法改正により、就業促進定着手当には総額の上限が設けられています。上記計算式で算出した金額が以下の上限額を超える場合、上限額が支給額となります。
| 就業促進定着手当の上限額 |
|---|
| 基本手当日額 × 支給残日数 × 20% |
なお、令和7年(2025年)3月31日以前に再就職し、再就職手当の支給を受けた方は、経過措置として最大40%の上限率が適用されます。
また、計算に用いる基本手当日額そのものにも、以下の年齢区分ごとの上限が設けられています
離職時の年齢が60歳以上65歳未満:5,310 円
※2026年7月31日までの金額
詳しくはこちら:就業促進定着手当とは?条件や計算方法、申請書の記入ポイントも解説
「転職支援金」とは?— 用語整理と自治体の就業支援金
「転職支援金」「再就職支援金」というキーワードで検索する方も多いですが、国の制度に「転職支援金」という名称のものは存在しません。検索ユーザーが探している内容は、大きく次の2つに分けられます。
ほとんどの場合、求めているのは失業給付金や再就職手当
「転職でお金がもらえる制度」を漠然と「支援金」と呼んでいるケースが大半です。この場合、該当する制度は本記事の以下のセクションになります。
・退職後に求職活動する間の生活費 → 失業給付金(基本手当)
・早期に再就職した場合のお祝い金的な手当 → 再就職手当
・再就職後に賃金が下がった場合の補填 → 就業促進定着手当
「支援金」という名前のものを探していても、実態としては上記3つの制度のどれかに該当するケースがほとんどです。
自治体独自の就業支援金・奨励金
人材不足が深刻な業種(介護・建設・看護・保育・ITなど)への就業を促すため、自治体が独自に支援金や奨励金を支給しているケースがあります。名称は自治体によって「就業支援金」「就業奨励金」「就職支度金」「定着支援金」などさまざまです。
代表的なパターンは以下のとおりです。
・県外大学を卒業した若者がUターン就職した場合の奨励金
・看護師・准看護師として地域の医療機関に就業した場合の就業支援金
・建設業の若手技能者として就業した場合の定着支援金
金額は数万円から数十万円程度、支給時期は就業開始から半年から1年後といったケースが多いです。
確認方法としては、「お住まいの自治体名 + 就業支援金」「自治体名 + 就業奨励金」で検索するか、自治体の労働・産業振興担当窓口に問い合わせると確実です。
転職・再就職に活用できる補助制度(個人向け)
「転職 補助金」「転職 助成金」といった検索が多いですが、ここでいう"補助"とは主にスキル習得や訓練の費用を国がサポートする制度を指します。
転職を考えている個人が活用できる代表的な制度は以下の4つです。
| 制度名 | 概要 |
|---|---|
| 教育訓練給付制度 | 講座受講費の一部を補助 |
| 求職者支援制度 | 無料で職業訓練を受け、月10万円の給付金も受給可 |
| 求職者支援融資制度 | 求職者支援の給付金だけでは不足する場合の融資 |
| リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 | 在職者向け、受講料の最大70%補助 |
さらに、ハロートレーニング(公共職業訓練)も押さえておきたい制度です。
ハロートレーニング(公共職業訓練)
ハロートレーニングは、求職者が無料(テキスト代等の実費のみ自己負担)で受講できる職業訓練制度です。求職者支援制度と混同されがちですが、対象者が異なります。
| 制度 | 主な対象 | 訓練中の生活費 |
|---|---|---|
| 公共職業訓練 (ハロートレーニング) | 雇用保険受給者 | 失業給付(基本手当)を受給しながら受講 |
| 求職者支援訓練 | 雇用保険を受給できない方 (自営業廃業者、雇用保険未加入だった方など) | 職業訓練受講給付金 (月10万円) を要件を満たせば受給 |
訓練分野は、IT、介護、医療事務、建設、機械、デザインなど多岐にわたります。失業給付を受給中の方は、訓練期間中は給付日数の延長措置が受けられる場合もあるため、ハローワークで早めに相談するとよいでしょう。
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度は、主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用安定と就職促進を目的とした制度です。一定の要件を満たす方が教育訓練を修了することで、受講費用の一部が支給されます。
訓練には以下の種類があり、支給率も異なります。
| 訓練の種類 | 支給率 |
|---|---|
| 専門実践教育訓練 | 教育訓練費の50〜80%を支給 ※上限あり |
| 特定一般教育訓練 | 教育訓練費の40〜50%を支給 ※上限あり |
| 一般教育訓練 | 教育訓練費の20%を支給 ※年間上限10万円 |
求職者支援制度/求職者支援融資制度/リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
求職者支援制度
求職者支援制度とは、転職や再就職などを目指す人が月10万円の給付金を受給しながら無料で職業訓練や就職支援を受けられる制度です。
訓練の対象は、以下のように離職者と在職者によって異なります。
| 給付金を受けて訓練を受講する方 | 無料の訓練を受講するのみの方 | |
|---|---|---|
| 離職者 | ・雇用保険の適用がなかった離職者の方 ・フリーランス、自営業を廃業した方 ・雇用保険の受給が終了した方 など | 親や配偶者と同居していて、一定の世帯収入がある方 など (親と同居している学卒未就職の方 など) |
| 在職者 | 一定額以下の収入のパートタイムで働きながら、正社員への転職を目指す方 など | 働いていて一定の収入のある方 など (フリーランスで働きながら、正社員への転職を目指す方 など) |
給付金と訓練の要件も異なります。それぞれは、すべて要件を満たす必要があるため、ご注意ください。
| 種類 | 要件 |
|---|---|
| 給付金の要件 | ・本人収入が月8万円以下 ・世帯全体の収入が月30万円以下 ・世帯全体の金融資産が300万円以下 ・現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない ・訓練実施日すべてに出席すること (やむを得ない理由で欠席し、証明できる場合でも、出席率8割以上) |
| 訓練受講の要件 | ・ハローワークに求職の申込みをしていること ・雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと ・労働の意思と能力があること ・職業訓練などの支援が必要であると、ハローワークが認めたこと |
今すぐ転職や再就職をするわけではなく、働きながらスキルアップを目指したい方も対象という点が特徴です。
詳しくはこちら:求職者支援制度とは?月10万の給付金や無料の職業訓練【条件や対象者も解説】
求職者支援融資制度
求職者支援融資制度は、求職者支援制度で職業訓練受講給付金を受給する予定の方を対象にした融資制度です。給付金だけでは生活に不安がある場合に融資を受けられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象条件 | ・職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方 ・ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方 |
| 貸付額 | 月額5万円(上限)または10万円(上限) |
| 貸付利率 | 年3.0%(信用保証料0.5%を含む) ※返済が遅れた場合は、遅延している金額に対して14.5%の損害金(遅延利息)の支払い義務が発生します |
求職者支援制度による給付金だけでは、生活に不安がある場合は、融資制度も検討できます。
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は、リスキリングを通じて在職者のキャリアアップを支援する事業です。
・キャリア相談
・プログラム受講によるリスキリング
・転職相談や職業紹介
・キャリアアップの実現
を一体的に支援する内容で提供されています。
本事業を利用した場合、以下のように受講料の70%(最大56万円)を受講できます。
| 事例 | 補助額 |
|---|---|
| リスキリング講座の受講を終了した場合 | 講座の受講費用(税別)の1/2相当額 (上限40万円) |
| 講座受講を経て転職し、その後1年間継続的に就業していることが確認できる場合 | 追加的に講座の受講費用(税別)の1/5相当額 (上限16万円) |
転職を考える際は、自分のスキルなどが不安で踏み出せない方もいらっしゃるでしょう。そこで本事業を利用することで、補助を受けながらリスキリングできるだけでなく、転職に関するサポートも受けられます。
詳しくはこちら:転職成功で最大56万円!「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」とは?対象者・申請方法を徹底解説
制度別の申請方法まとめ
転職に関する制度は多いですが、制度ごとに申請方法が異なり混乱しがちです。以下の表に、「結局どこに、いつ、何を持っていけばいいのか」をまとめました。
| 制度 | 申請窓口 | 申請のタイミング |
|---|---|---|
| 失業給付金(基本手当) | ハローワーク(住所地) | 離職後すみやかに ※受給期間は離職日の翌日から原則1年以内 |
| 再就職手当 | ハローワーク | 再就職した日の翌日から1か月以内 |
| 就業促進定着手当 | ハローワーク | 再就職から6か月経過した日の翌日から2か月以内 |
| 教育訓練給付金 | ハローワーク(住所地) | 受講修了日の翌日から1か月以内 |
| 職業訓練受講給付金 | ハローワーク | 訓練開始前に求職申込・要件確認、訓練期間中に毎月認定 |
| リスキリング支援事業 | 委託事業者 (経済産業省指定) | 講座申込時 |
| 自治体の就業支援金 | 各自治体の担当課 | 就業から一定期間後 (自治体による) |
共通して必要になる書類
ハローワークでの手続きで共通して求められる主な書類は以下のとおりです。
・マイナンバー確認書類(マイナンバーカードまたは通知カード + 本人確認書類)
・本人名義の振込先預金通帳またはキャッシュカード
・写真2枚(最近3か月以内、縦3.0cm × 横2.4cm程度)※マイナンバーカード提示で省略可の場合あり
・印鑑
申請でつまずきやすいポイント
実際に申請した方からよく聞かれる注意点を紹介します。
【自己都合退職の給付制限期間】
原則として待期期間(7日)の後、さらに給付制限期間(原則2か月、過去5年内に3回以上自己都合退職している場合は3か月)があり、すぐには給付が始まりません。
【アルバイトの申告】
受給中にアルバイトをすると申告義務があり、未申告は不正受給扱いになります。
【再就職手当と就業促進定着手当の関係】
就業促進定着手当は再就職手当の支給を受けていることが条件です。両方併給はできますが、適用順序があります。
【教育訓練給付の事前手続き】
専門実践教育訓練の場合、受講開始日の1か月前までに「受講前のジョブ・カード作成」や「訓練前キャリアコンサルティング」が必要です。受講後に申し込んでも給付対象外になるので注意してください。
【離職票の到着遅れ】
勤務先から離職票が届かないと失業給付の申請ができません。退職から2週間経っても届かない場合は、勤務先に催促するか、ハローワークに相談しましょう
困ったときの相談先
制度の利用を検討するうえで、最初の相談先は次の3つです。
・ハローワーク:失業給付・再就職手当・教育訓練給付・求職者支援などほぼ全制度の総合窓口
・自治体の労働相談窓口:自治体独自の支援金・奨励金の情報
・無料の職業紹介事業者・キャリアコンサルタント:個別の転職活動・スキル形成の相談
よくある質問
転職するともらえる給付金にはどのような種類がありますか?
転職・再就職に関連する代表的な給付金や手当としては、失業給付金(基本手当)、再就職手当、就業促進定着手当、教育訓練給付金、職業訓練受講給付金などがあります。いずれも雇用保険の加入状況や離職理由、再就職までの期間などによって受給できるかどうかが決まります。雇用保険加入者であれば失業給付金と再就職手当が中心となり、再就職後の賃金が下がった場合は就業促進定着手当も併用できます。詳細は本記事の各セクションをご確認ください。
「退職前給付金」という制度はありますか?
「退職前給付金」という名称の公的制度は存在しません。検索される方が実際に知りたいのは、退職前に勤務先から受け取れるお金(退職金や未消化有給休暇の取り扱いなど)、または退職前に手続きを進めておくべき退職後の給付(失業給付金など)、もしくは在職中から利用できる教育訓練給付やリスキリング支援といった制度であるケースが大半です。退職を決めたら、就業規則の確認と離職票・源泉徴収票など必要書類の準備を早めに進めましょう。
「転職支援金」「再就職支援金」は国の制度ですか?
国の制度として「転職支援金」「再就職支援金」という名称のものは存在しません。これらのキーワードで検索される方の多くは、失業給付金(基本手当)や再就職手当、就業促進定着手当を探しているケースがほとんどです。一方で、自治体独自の支援金として、人材不足業種(介護・建設・看護・保育・ITなど)への就業を促進するための就業支援金や就業奨励金が用意されているケースがあります。お住まいの自治体名と「就業支援金」「就業奨励金」を組み合わせて検索するか、自治体の労働・産業振興担当窓口に問い合わせてみてください。
まとめ
転職や再就職にあたっては、退職後の収入が一時的に途絶えることへの不安から、なかなか踏み出せないという声をよく耳にします。しかし国や自治体には、失業給付金・再就職手当・就業促進定着手当をはじめとする給付金や手当、そして教育訓練給付・求職者支援制度・リスキリング支援といったスキル形成を後押しする補助制度が数多く用意されています。
本記事のポイントは、以下のとおりです。
・退職前から動くことで利用できる制度(教育訓練給付・リスキリング支援など)もあるため、早めの情報収集が肝心
・「転職支援金」「再就職支援金」という名称の国の制度は存在しないが、実態は失業給付金や再就職手当を指しているケースがほとんど
・各制度には申請期限が定められているものが多い。再就職手当は再就職から1か月以内、教育訓練給付は修了から1か月以内など、後回しにすると受給できなくなる場合あり
・自分のケースで使える制度が分からなければ、まずは最寄りのハローワークで相談を
転職・再就職は人生の大きな転換点ですが、適切に制度を活用することで、経済的な不安を最小限に抑えながら次のステップに進めます。本記事で紹介した制度の中で気になるものがあれば、各セクションの詳細や公式情報をご確認のうえ、ぜひ申請を検討してみてください。
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