介護現場の生産性や労働環境の改善は、少子高齢化が進む現在、ますます重要性を増しています。そんななか、2025年(令和7年)4月15日、「介護人材確保・職場環境改善等事業」の申請受付が終了となりました。介護現場の改善に向けた支援策は、来年度以降も継続して設置されることが予想されます。
今回は来年度以降の申請や他の制度を活用する際の参考として、令和7年度介護人材確保・職場環境改善等事業の概要をまとめました。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
介護人材確保・職場環境改善等事業とは
介護人材確保・職場環境改善等事業とは、介護現場における生産性を向上させるための制度です。介護職員等処遇改善加算(処遇改善加算)を取得し、生産性向上に向けた取組を行っている事業所に対して、職場環境等の改善または人件費の改善に必要な費用を補助します。
業務効率化や職場環境の改善を図り、介護人材確保・定着の基盤を構築する事業所を支援することが目的です。
2025年度の制度概要を見ていきましょう。
支給額と算定方法
補助額は、以下の式によって算出されます。
1円未満の端数は切り捨てです。
なお「一月当たりの介護総報酬」とは、一月当たりの基本報酬サービス費に各種加算減算を加えた「介護総報酬総単位数」に、1単位の単価を乗じたものを差します。
また「サービス類型別交付率」とは、常勤の介護職員1人あたり5万4,000円相当の補助を実施するために必要な割合のことです。サービスごとに別途、交付率が定められています。
対象となるサービスと交付率
対象となるサービスは、以下のとおりです。
- 訪問介護
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- (介護予防)訪問入浴介護
- 通所介護
- 地域密着型通所介護
- (介護予防)通所リハビリテーション
- (介護予防)特定施設入居者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- (介護予防)認知症対応型通所介護
- (介護予防)小規模多機能型居宅介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
- (介護予防)認知症対応型共同生活介護
- 介護福祉施設サービス
- 地域密着型介護老人福祉施設
- (介護予防)短期入所生活介護
- 介護保健施設サービス
- (介護予防)短期入所療養介護(老健)
- 介護医療院サービス
- (介護予防)短期入所療養介護(病院等・医療院)
また、各交付率は以下の図を参照してください。

出典:令和7年度介護人材確保・職場環境改善等事業交付要綱(東京都交付要綱)
なお介護予防・日常生活支援総合事業によるサービスを行う事業所の場合、訪問型は訪問介護と、通所型は通所介護と同じとなります。
対象要件
対象要件は、以下の2つです。
②以下のいずれかの職場環境改善取組を計画または実施していること
- 現場の課題の「見える化」
- 業務改善活動の体制構築
- 業務内容の明確化と役割分担
介護職員等処遇改善加算については、次項で詳しく解説します。
介護職員等処遇改善加算とは
2024年(令和6年)6月より、処遇改善加算の一本化及び加算率の引上げが行われました。介護職員の処遇改善のための措置ができるだけ多くの事業所に活用されるよう推進する観点から、「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」を組み合わせた4段階の「介護職員等処遇改善加算」となっています。
新加算の要件は、以下のとおりです。
新加算(Ⅱ)に加え、以下の要件を満たすこと
- 経験技能のある介護職員を事業所内で一定割合以上配置していること(訪問介護の場合、介護福祉士30%以上)
Ⅱ
新加算(Ⅲ)に加え、以下の要件を満たすこと
- 改善後の賃金年額440万円以上が1人以上
- 職場環境の更なる改善、見える化【見直し】
- グループごとの配分ルール【撤廃】
Ⅲ
新加算(Ⅳ)に加え、以下の要件を満たすこと
- 資格や勤続年数等に応じた昇給の仕組みの整備
Ⅳ
新加算(Ⅳ)の1/2(7.2%)以上を月額賃金で配分
- 職場環境の改善(職場環境等要件)【見直し】
- 賃金体系等の整備および研修の実施等
介護人材確保・職場環境改善等事業の対象となるには、Ⅰ~Ⅳのいずれかを満たす必要があります。
対象経費
本事業の補助対象経費は、以下のとおりです。
- 介護助手等を募集するための経費
- 職場環境改善等
介護テクノロジー導入・協働化等支援事業の対象経費は含まれません。
②人件費
- 介護職員等の人件費
手当、賞与等や退職手当を除きます。
なお人件費は、ベースアップに充てられることは想定されていません。ただし各種の生産性向上・職場環境改善等の取組の効果によって持続的な賃上げ余力が生じることを見越して、それまでの間のつなぎの原資とすることは可能です。
また事業者等は、前年同時期と比較して人件費改善の対象とした職員の賃金水準を低下させてはいけません。
介護人材確保・職場環境改善等事業の取り組み事例
対象となる取組の例として、以下のものが挙げられます。- 付箋等に業務中の気づきをまとめて共有し、課題を把握する
- 課題を分析し、話し合う
②業務改善活動の体制構築
- 「誰が・いつ・どこで・何を」の業務を洗い出す
- 役割を決め、業務体制を整理する
③業務内容の明確化と役割分担
- 職員同士で集まり、テーマを決める
- 活動の実施を所内に周知する
いずれもできることからはじめ、少しずつステップアップしていくのがポイントです。
介護人材確保・職場環境改善等事業の申請について
本補助金の申請では、締め切り日までに「介護人材確保・職場環境改善等事業計画書」県・都知事に提出する必要があります。令和7年度の申請は、4月15日(火)で締め切られました。
そのほか、2025年度の申請の流れや注意点を見ていきましょう。
全体の流れとスケジュール
介護人材確保・職場環境改善等事業全体のスケジュールは、以下のとおりです。
| 2025年度の申請締め切り | 4月15日(火) |
|---|---|
| 補助金の支払い | 2025年6月 |
| 実績報告書の締め切り | 2025年12月末 |
補助金の支払いは原則、法人単位ですが、同一法人内で計画書を分けて提出された場合は、それぞれに承認通知の送付や補助金の支払いが行われます。
申請の注意点
本補助金の計画書の様式は、令和7年度の処遇改善計画書の様式と一体化しています。
介護人材確保・職場環境改善等事業の申請先は都道府県、処遇改善加算の申請先は指定権者です。それぞれ提出をしてください。
よくある質問
介護人材確保・職場環境等改善事業に対する、よくある質問と回答をまとめました。令和7年度介護人材確保・職場環境等改善事業の予算額はいくらですか?
令和6年度の補正予算「介護人材確保・職場環境改善等事業」の実施要綱では、予算額は806億円となりました。これは介護職員1人当たり5万4,000円相当を支給できる規模です。
参考:厚生労働省 令和6年度 補正予算案の主要施策集
実績報告書の提出様式・提出先は?
実績報告書は、各都道府県です。東京都の場合、提出フォームは10月中にホームページに様式・フォームがアップされる予定になっています。
まとめ
介護人材確保・職場環境改善等事業は、介護現場の生産性向上を支援する補助金制度です。処遇改善加算(Ⅰ〜Ⅳ)を取得し、職場環境改善に取り組む事業所が対象で、常勤介護職員1人当たり5万4,000円相当が補助されます。補助金は職場環境改善経費や人件費に充当でき、「現場の課題の見える化」「業務改善活動の体制構築」「業務内容の明確化と役割分担」などの取組が求められます。
2025年度の申請は4月15日に締め切られました。来年度の制度については、変更点がないか、必ず要項等で確認をしてください。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する



