介護と医療の情報をオンラインで共有する「介護情報基盤」は、2026年(令和8年)4月1日に運用を開始しました。実際の利用は準備が整った市町村から順次始まっており、2026年秋以降、利用できる自治体が本格的に増えていく見込みです。
また、導入にあたっては、カードリーダーの購入費や接続設定費を支援する助成金制度が設けられています。現在は令和8年度分の申請を受付中です。申請期間は2026年5月7日から2027年3月12日(金)まで(予定)で、国保中央会の「介護情報基盤ポータル」で受け付けられています。
本記事では、介護情報基盤の仕組みと導入スケジュール、そして活用できる令和8年度の助成金の内容を解説します。
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この記事の目次
介護情報基盤とは
介護情報基盤は、医療機関、介護事業所、自治体などで分散している保健・医療・介護の情報を共有可能にする「全国医療情報プラットフォーム」の一部として構築が進められています。その主な目的は、地域包括ケアシステムを深化・推進するため、自治体・利用者・介護事業所・医療機関等が介護情報等を電子的に閲覧できる基盤を整備することです。

出典:厚生労働省 令和8年度 第1回 介護情報基盤に係る自治体説明会
この基盤で、これまで紙ベースで行われていた情報を電子的に共有し、業務の効率化と介護サービスの質の向上を目指します。
介護情報基盤はいつから?【2026年4月に運用開始】
介護情報基盤は、2023年5月の健康保険法等の改正により法的に位置づけられ、改正介護保険法の規定の施行日である2026年4月1日に運用を開始しました。この情報基盤の整備は、保険者である市町村が実施主体であり、地域支援事業に位置付けられています。
ただし、すべての市町村で一斉に使えるようになったわけではありません。厚生労働省は、2026年4月1日以降、標準化対応が完了した市町村から順次データ移行と情報共有を開始するとしており、準備が整った自治体から段階的に利用が始まる仕組みです。
2026年8月時点では、大分市と別府市で一部機能が先行運用されています。厚生労働省によると、利用自治体数は2026年11月頃から本格的に増え始め、本格運用開始日である2028年4月までに、自治体数で約88.7%、被保険者数ベースで約73.2%が利用を開始する見込みです。
自分の地域がいつから利用できるかは、介護情報基盤ポータルの「各市町村の対応状況」ページで、市町村ごとの利用開始(予定)日を確認できます。
共有される主な情報とは?
介護情報基盤は、分散している介護情報等を収集・整理し、本人確認および本人同意の下で必要な情報を利用・提供します。共有・閲覧の対象となる主な情報には、以下のものがあります。
・要介護認定情報(認定調査票、主治医意見書、認定結果など)
・要介護認定申請の進捗状況
・介護レセプト情報
・住宅改修費・福祉用具購入費の利用情報
・LIFE情報の一部
・ケアプラン情報
ただし、ケアプラン情報の登録・事業所間連携については、ケアプランデータ連携システムと介護保険資格確認等WEBサービスの統合後に利用可能となる予定です。
マイナンバーカードが介護保険証としても使えるように
介護情報基盤の運用により、マイナンバーカードを介護保険証として利用できるようになります。ただし、実際に利用できる時期は、加入している市町村が介護情報基盤の運用を開始した後です。
市町村が介護情報基盤の初期セットアップを行う時点で、すでにマイナンバーカードの健康保険証利用を登録している人は、原則として追加の手続きなしで、介護保険証としても利用できるようになります。
介護事業所が介護保険資格確認等WEBサービス(介護WEBサービス)で利用者の本人確認を行う方法には、マイナ資格確認アプリによるマイナンバーカードの読取と、介護保険者番号・被保険者番号・カナ氏名・生年月日・性別の情報を入力する方法があります。マイナンバーカードを読み取る場合に、対応するカードリーダーなどを使用します。後述する助成金の対象となっているカードリーダーは、この本人確認に使用する機器です。
なお、紙の介護保険被保険者証や各種証書も引き続き使用されます。
介護情報基盤の導入スケジュール
介護情報基盤の導入は、市町村のシステム標準化の進捗状況にバラつきがあるため、段階的に進められています。「介護情報基盤との連携を含めた介護保険事務システムの標準化対応」が完了した市町村から、順次、介護情報基盤へのデータ送信を開始しています(改正介護保険法の規定の施行日)。
2. 適合基準日(2027年1月1日)
介護情報基盤との連携を含めた標準化対応の適合基準日(システムが機能を具備する必要がある期限)は、2027年1月1日と設定されています。
3. 本格運用開始(2028年4月1日)
全市町村において、介護情報基盤へのデータ移行を含めて完了し、介護情報基盤の活用を開始することを目指しています。前述の通り、2026年7月時点の見込みでは、2028年4月までに約9割の自治体が利用を開始する予定です。
市町村が実施すべきタスク
介護情報基盤を活用した事務を開始するために、各自治体は以下のタスクを実施する必要があります。
| タスク概要 | 詳細 | |
|---|---|---|
| 1 | 介護保険システムの導入時期の検討・アンケート回答 | システムベンダと協議し、導入スケジュールを検討し、アンケートに回答(回答期間:2025年9月1日~9月19日※終了済み) |
| 2 | 介護保険システムパッケージの導入 | 標準化及び介護情報基盤への連携機能に対応したパッケージを導入 |
| 3 | 介護情報基盤への初期セットアップのための事前準備 | 介護情報基盤への接続作業などを行う |
| 4 | 介護情報基盤への初期セットアップ | 介護保険システムから介護情報基盤への初期セットアップを実施(2026年4月1日から順次実施中) |
| 5 | PIA(特定個人情報保護評価)の実施 | 介護情報基盤の活用に伴うPIAを実施(タスク#4の初期セットアップまでに完了が必要) |
| 6 | 自治体内業務運用フローの見直し | 介護情報基盤活用後の運用の変更点に関する見直しを行い、マニュアルや様式を整備 |
| 7 | 介護事業所・医療機関・住民等への周知 | 介護情報基盤を活用した介護保険事務の開始時期について周知 |
| 8 | 国保連合会・国保中央会との3者契約に係る契約手続き | 介護情報基盤の整備・運営等に伴う事務委託に関する契約を締結 |
| ※ | 介護情報基盤の整備・運営に伴う費用の考え方について | 運用費用は地域支援事業費として各自治体が負担(財源は1号保険料と公費で構成) |
関係者への影響は?
介護情報基盤の活用により、以下の業務効率化やサービスの質向上が期待されています。
| 要介護認定事務の電子化 | 医療機関から主治医意見書が電子的に送付され、介護保険事務システムで取得可能になります。ケアマネジャーは要介護認定情報を基盤経由で確認でき、認定書類の開示請求事務が不要となります。 |
| 介護保険被保険者証の電子化 | 被保険者証や限度額認定証等の紛失による再発行の手間がなくなり、負担割合証の毎年8月頃の更新に係る発行・確認・入力の手間が大幅に削減されます。 |
| 多職種連携の強化とサービス質の向上 | LIFE情報や過去のケアプラン情報が共有されることで、事業所間や多職種間の連携が強化され、適切な介護サービスの選択や提供に繋がります。 |
なお、利用者に関する介護情報等を共有・活用する場合、原則として本人の同意が必要となります。
介護情報基盤の活用のための助成金【令和8年度】
介護情報基盤の導入に向けて、全国の介護事業所や医療機関がスムーズに準備を進められるよう、環境整備のための助成金制度が用意されています。
この助成金は、介護保険の運営主体である市町村が使うシステムと、介護事業所・医療機関側の端末やソフトを安全につなぐための準備費用を支援するものです。令和7年度に続き、令和8年度も実施されています。
助成金の申請期間はいつからいつまで?
令和8年度分の助成金の概要は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請受付期間 | 2026年5月7日(木)~2027年3月12日(金)※予定 |
| 助成対象となる事業 | 2026年4月1日以降に実施された事業 |
| 申請窓口 | 国民健康保険中央会「介護情報基盤ポータル」 |
令和7年度分(受付期間:2025年10月17日~2026年3月13日)はすでに終了しています。令和8年度分の対象は「2026年4月1日以降に実施された事業」となる点に注意してください。
なお、厚生労働省は「予算には限りがあるため、早めの申請を」と呼びかけています。申請期間の終了を待たず、機器の購入・設定が完了したら速やかに申請することをおすすめします。
出典:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1497「令和8年度における介護情報基盤の活用のための介護事業所等への支援について」
助成対象者と要件
A. 介護事業所・みなし介護事業所
介護事業所等への支援は、主に「介護情報基盤との接続サポート」と「カードリーダーの購入」に関する経費が対象です。
| 助成対象経費 | 詳細と要件 |
|---|---|
| ① カードリーダーの購入経費 | 「マイナ資格確認アプリに対応したカードリーダー」の購入に限ります。介護情報基盤の利用に係る業務にのみ使用することを前提とし、使用目的を明確に判別するための表示(シール貼付など)が必要です。 |
| ② 介護情報基盤との接続サポート等経費 | クライアント証明書の搭載等、介護情報基盤との接続に係る経費を対象とします。具体的には、カードリーダー接続確認、マイナ資格確認アプリのインストール・設定、介護保険資格確認等WEBサービスの設定、ユーザー権限の設定などが含まれます。また、導入支援事業者から、介護情報基盤の接続サポートとケアプランデータ連携システムの接続サポートを一体的に受ける場合、その費用も助成の対象となります。 |
助成限度額(①と②の合算・消費税分を含む)は、提供している介護サービスの種類(サービス種別)によって異なります。
| サービス種別(区分) | カードリーダー助成限度台数 | 助成限度額(税込) |
|---|---|---|
| 訪問・通所・短期滞在系 | 3台まで | 6.4万円まで |
| 居住・入所系 | 2台まで | 5.5万円まで |
| その他 | 1台まで | 4.2万円まで |
区分の目安として、訪問介護・訪問看護・通所介護・短期入所・居宅介護支援などは「訪問・通所・短期滞在系」、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・認知症グループホーム・特定施設などは「居住・入所系」、福祉用具貸与・特定福祉用具販売・住宅改修などは「その他」に分類されます。詳細な対応表は介護情報基盤ポータルの資料で確認できます。
同一事業所で複数のサービスを提供している場合、それぞれのサービス種別に応じた助成限度額の合計を、その事業所の助成限度額とすることができます。なお、介護予防サービスのみを実施している事業所は、介護予防サービスを介護サービスに読み替えて申請します。
B. 医療機関(主治医意見書作成医療機関)
医療機関への支援は、主治医意見書の電子的な送信を可能にするためのシステム改修経費が対象です。
| 助成対象経費 | 詳細 |
|---|---|
| 主治医意見書の電子的送信機能の追加経費 | 電子カルテや文書作成ソフト等を改修し、主治医意見書をオンライン資格確認等システムに接続する回線及び介護情報基盤経由で電子的に送信するために必要となる経費 |
病院の規模によって、補助率と限度額が異なります。
| 対象 | 補助率 | 助成限度額(税込) |
|---|---|---|
| 200床以上の病院 | 1/2 | 55万円まで |
| 199床以下の病院または診療所 | 3/4 | 39.8万円まで |
助成金の申請方法
助成金の申請は、カードリーダーの購入やシステム改修等の助成対象事業が完了した後に行います。
助成金の申請手続きを開始する前に、申請者はまず「助成金申請手引き」と「助成金交付要綱」を必ず確認する必要があります。申請に必要な各種書類の準備が完了した後、介護情報基盤ポータルにログインし、助成金の種類に応じた申請を行います。
なお、介護事業所やみなし介護事業所は、初回利用登録時に「電子請求受付システム」のID・パスワードを使用します。未取得または再発行が必要な場合は、必ず「ユーザー登録(詳細フロー)」を確認し対応するようにしてください。一方、みなし介護事業所ではなく、電子請求受付システムのIDを持っていない医療機関は、介護情報基盤ポータルのお問い合わせフォームからIDの発行を申請します。
申請方法の詳細や不明点は、介護情報基盤ポータル内のお問い合わせフォーム・チャット・電話で確認できます。
よくある質問
介護情報基盤への対応は義務?
市町村については、介護情報等の共有・活用を促進する事業が介護保険法上の地域支援事業に位置付けられており(介護保険法第115条の45第2項第7号)、対応が必須とされています。一方、介護事業所や医療機関については、2026年8月時点で公表されている資料では、一律の導入期限や未導入に対する罰則は示されていません。ただし、市町村が運用を開始しても、事業所側で端末設定やアカウント登録などを行わなければ介護WEBサービスの機能を利用できないため、助成金を活用できるうちに準備を進めておくのがおすすめです。
カードリーダーはどれを購入すればいい?
助成対象となるのは「マイナ資格確認アプリに対応したカードリーダー」です。対応機種を購入前に必ず確認し、介護情報基盤の利用に係る業務専用であることを判別できる表示(シール貼付など)を行いましょう。
「介護基盤整備等事業費補助金」とは違う制度?
はい、名前は似ていますが別の制度です。「介護基盤整備等事業費補助金」などの施設整備系の補助金は介護施設・設備の整備を支援するもので、本記事で紹介した介護情報基盤(情報共有システム)の導入助成金とは対象も窓口も異なります。施設整備系の補助金を探している場合は、各自治体の公募情報をご確認ください。
まとめ
2026年4月に運用を開始した「介護情報基盤」は、介護と医療の情報を一元的に共有する仕組みとして、現場の事務負担を減らし、サービスの質を高めることを目指しています。実際の利用は準備が整った市町村から順次始まっており、2028年4月の本格運用に向けて、利用できる地域が今後拡大していきます。
導入にあたっては、カードリーダーの購入や接続設定などにかかる費用を支援する助成金が設けられており、令和8年度分の申請は2027年3月12日(金)まで(予定)、「介護情報基盤ポータル」で受け付けられています。対象は2026年4月1日以降に実施された事業で、予算には限りがあるため、早めの申請がおすすめです。
自分の地域の利用開始時期をポータルサイトで確認し、助成金を活用しながら、機器や手続きの準備を進めておきましょう。
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