「また受給者証を忘れてきた……」「毎回手入力しているが、ミスが心配」――こうした声は、窓口担当者なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
マイナ保険証の普及で保険診療の資格確認はデジタル化が進んでいます。しかし、こども医療費助成・ひとり親家庭医療費助成・障害者医療費助成などの「公費負担医療」は、依然として紙の受給者証が主流となっており、その確認作業が医療機関・薬局・自治体に二重の手間をかけ続けています。
この課題を解消するため、国は公費負担医療のオンライン資格確認を支援する補助金を用意しています。医療機関・薬局・自治体それぞれに補助が設けられており、システム改修費用の1/2〜3/4が補助対象になります。この記事では、補助の内容・対象・申請の流れをわかりやすく解説します。
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この記事の目次
公費・公費負担医療とは?受給者証(医療証)との関係をわかりやすく解説
「公費とは」「公費受給者証とは」「受給者証」「医療証」「医療受給者証」「医療費受給者証」という検索が非常に多くあります(合計約8,000インプレッション以上)。まず基本用語を整理します。
「公費」とは、国や地方自治体の財源(税金)を指す言葉です。「公費負担医療」とは、この公的な財源で医療費の一部または全部を負担する制度の総称です。
代表的な公費負担医療(地方単独医療費助成制度)の例:
| 制度名 | 対象 | 交付される証書 |
|---|---|---|
| こども医療費助成 | 一定年齢以下の子ども | 子供医療費受給者証(医療証・こども医療費受給者証) |
| ひとり親家庭医療費助成 | ひとり親家庭の親・子ども | ひとり親家庭等医療費受給者証 |
| 障害者医療費助成 | 障害のある方 | 障害者医療費受給者証(福祉医療費受給者証) |
| 精神通院医療(自立支援医療) | 精神疾患の通院治療中の方 | 自立支援医療受給者証 |
これらの「受給者証(医療証・医療受給者証・医療費受給者証・公費受給者証)」は自治体ごとに名称・書式が異なりますが、いずれも「この人は医療費の公費負担を受ける資格がある」ことを示す証明書です。現在は紙の受給者証を毎回窓口に提示する運用が主流となっています。
マイナ保険証が普及しても「受給者証」が残るのはなぜ?
「マイナ保険証」「マイナ保険証 受給者証」という検索も多くあります。
マイナ保険証(マイナンバーカードを保険証として利用する仕組み)は、健康保険の資格確認のデジタル化に対応しています。しかし公費負担医療(こども医療費助成など)の受給者証は健康保険とは別の制度のため、マイナ保険証だけでは公費の資格確認ができません。
そのため、これまでは「マイナ保険証で健康保険の確認+紙の受給者証で公費の確認」という二重の確認が必要でした。今回紹介する補助事業は、この二重確認を解消し、マイナ保険証1枚で公費負担医療の資格確認も完結できるようにするためのシステム整備を支援するものです。
公費負担医療の「資格確認」が抱える課題
保険診療のオンライン資格確認は広がりましたが、公費負担医療(地方単独医療費助成を含む)は制度ごと・自治体ごとに仕組みが異なり、デジタル化が遅れていました。その結果、患者と医療機関・薬局、自治体でそれぞれ次のような課題が生じています。
医療機関・薬局:公費負担医療を目視・手入力で確認。二重の手間が残る
自治体:制度ごとのシステム対応が求められ、改修コストと運用管理の複雑さが重なる
こうした状況を受け、国は先行的な取り組みを進めています。2024年度までに累計183自治体を先行採択し、2025年度には順次参加自治体を拡大。そして本制度により、令和8年度中の全国展開を目指しています。
公費負担医療制度等のオンライン資格確認推進事業とは?
「公費負担医療制度等のオンライン資格確認の推進」は、自治体・医療機関・薬局がマイナ保険証1枚でこども医療費助成などの公費負担医療の資格確認を完結できるよう、必要なシステム改修費用を国が補助する事業です。
・正式名称:公費負担医療制度等のオンライン資格確認の推進
・令和8年度概算要求額:46億円
・所管:大臣官房情報化担当参事官室
・根拠:骨太方針2025、デジタル社会の実現に向けた重点計画(令和7年6月13日閣議決定)、医療法等改正法案等
・目標:令和8年度中に全国規模での導入
本事業は大きく3つの柱で構成されています。①自治体システムの改修を支援する補助金、②医療機関・薬局のレセプトコンピュータ改修を支援する補助金、③安定的な実施体制の整備、です。それぞれ補助対象・補助率・上限額が異なります。
なお、本事業が活用する「PMH(Public Medical Hub)」とは、公費負担医療・地方単独医療費助成の受給資格情報を一元管理するシステムです。医療機関・薬局がこのシステムにアクセスすることで、マイナ保険証1枚で公費負担医療の資格確認が完結するようになります。
①自治体システム改修等補助金
公費負担医療のオンライン資格確認に対応するため、自治体業務システムをPMHに連携させる改修費用を補助します。
・補助対象:都道府県・市区町村
・1制度当たりの基準額:500万円
・補助率:1/2
複数の公費負担医療制度を運営している自治体は、制度ごとに補助を申請することが可能です。都道府県と市区町村が対象となっており、地域の実情に合わせた段階的な対応が期待されています。
②医療機関・薬局システム改修補助金
医療機関・薬局がレセプトコンピュータ(レセコン)を改修し、公費負担医療のオンライン資格確認に対応するための費用を補助します。本補助金の事務は社会保険診療報酬支払基金(支払基金)において実施されます。
補助上限額は医療機関・薬局の種別によって異なります。
| 区分 | 補助上限額 | 補助の仕組み |
|---|---|---|
| 病院 | 28.3万円 | 事業費56.6万円を上限にその1/2を補助 |
| 診療所・薬局(大型チェーン薬局以外) | 5.4万円 | 事業費7.3万円を上限にその3/4を補助 |
| 大型チェーン薬局 | 3.6万円 | 事業費7.3万円を上限にその1/2を補助 |
診療所・薬局(大型チェーン薬局以外)は補助率が3/4と手厚く設定されています。中小規模の診療所や地域の薬局がより取り組みやすくなるよう配慮された設計です。
「大型チェーン薬局」は、厚生労働省が別途定める基準に基づき区分されます。チェーン展開している薬局グループに属するかどうかを事前に確認してください。詳細は支払基金の窓口へお問い合わせください。
③安定的な実施体制の整備
令和8年度の全国展開を安定的に進めるための体制整備に関する支援です。
・PMHシステムの移管準備経費の補助:デジタル庁が担ってきたPMHシステムの運用・保守業務等を支払基金へ移管するための準備費用を補助(補助対象:支払基金)。令和9年度からの移管を予定。
・ヘルプデスク業務の委託:導入拡大に向けた自治体等向けのサポート窓口を設置・運営。
公費負担医療のオンライン資格確認はいつから? 普及スケジュール
「オンライン資格確認 公費 いつから」「PMH医療費助成 いつから」という検索が多くあり、CTRも10%超と高い水準です。現状と今後の見通しを整理します。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2023年〜2024年度 | 先行自治体での試験的導入。累計183自治体がPMH連携を先行実施 |
| 2025年度(令和7年度) | 参加自治体を順次拡大。令和7年6月から補助金申請受付開始(実績) |
| 令和8年度(2026年度)中 | 全国規模での導入を目標。本補助事業により自治体・医療機関・薬局が対応 |
| 令和9年度(2027年度)〜 | PMHシステムを支払基金へ移管し、安定的な運用体制へ |
補助を受けるための要件と申請先
本事業の補助を受けるにあたっては、補助区分ごとに申請先と要件が異なります。なお、詳細な要件については申請時に最新情報をご確認ください。
自治体の場合
都道府県・市区町村は、公費負担医療制度をPMHに連携させるシステム改修を実施することが要件です。1制度当たり500万円の基準額に対して補助率1/2が適用されるため、実質的な自己負担は1制度当たり250万円程度が目安となります。
・補助対象となる制度はPMHへの連携が未完了のものに限られます。令和7年度までの先行実施でPMHへの連携をすでに開始している制度は対象外です。
・自治体業務システムのベンダーとの調整が必要なため、早めに情報収集・見積取得を進めることを推奨します。
医療機関・薬局の場合
医療機関・薬局は、レセプトコンピュータを公費負担医療のオンライン資格確認に対応するよう改修することが要件です。申請窓口は社会保険診療報酬支払基金となり、レセコンや顔認証付きカードリーダー等の導入・改修費用を補助する「保険診療のオンライン資格確認導入補助」とは申請先・手続きが異なる点に注意が必要です。
交付決定前にシステム改修を開始した場合は補助対象外となります。必ず交付決定の通知を受けてから改修に着手してください。
申請スケジュールと導入の流れ
令和8年度中の全国展開を目標に掲げているため、スケジュールには余裕がありません。申請準備は早期に着手することが重要です。
| ステップ | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①情報収集 | 厚生労働省・支払基金・都道府県の公募情報を確認 | 自治体はベンダーへの相談も並行して開始 |
| ②申請 | 補助区分ごとの窓口に申請(自治体→都道府県経由、医療機関・薬局→支払基金) | 必要書類の早期準備が鍵 |
| ③交付決定 | 審査を経て補助金の交付が決定 | 決定後にシステム改修を開始 |
| ④システム改修 | レセコン・業務システムの改修・テスト | ベンダーの対応状況を事前に確認 |
| ⑤稼働開始 | 公費負担医療のオンライン資格確認が利用可能に | 令和8年度中を目標に稼働 |
| ⑥実績報告 | 補助金の実績報告を提出 | 期限を守り、証拠書類を整理 |
令和8年度中の稼働を目指す場合、逆算すると申請の準備は令和8年度の早い段階(2026年4〜6月ごろ)に着手することが望ましいです。
参考として、令和7年度は6月6日から申請が開始されました。先行実施している自治体や医療機関の事例も参考にしながら、スムーズな導入を目指しましょう。
公費負担医療制度等オンライン資格確認推進事業に関するよくある質問
公費・公費負担医療とは何ですか?受給者証(医療証)との違いは?
「公費」とは国や自治体の財源(税金)のことで、「公費負担医療」はその財源で医療費の一部または全部を負担する制度の総称です。こども医療費助成・ひとり親家庭医療費助成・障害者医療費助成・精神通院医療(自立支援医療)などが代表例です。「受給者証(医療証・医療受給者証・医療費受給者証・公費受給者証)」とは、これらの公費負担を受ける資格があることを示す証明書で、自治体ごとに名称・書式が異なります。現在は紙が主流ですが、本事業によってマイナ保険証でのデジタル確認に移行します。
マイナ保険証があれば受給者証は不要になりますか?いつから?
本事業が完全に導入された自治体・医療機関では、マイナ保険証1枚で公費負担医療の資格確認も完結できるようになります。全国展開の目標は令和8年度(2026年度)中ですが、実際に利用できる時期はお住まいの自治体がPMHシステムに連携しているかどうかによって異なります。現時点で自分の地域が対応済みかどうかは、通院先の医療機関または自治体の窓口にご確認ください。
子供医療費受給者証(こども医療費受給者証)もマイナ保険証に統合されますか?
はい、こども医療費助成(子供医療費受給者証)は本事業の主な対象制度の一つです。各自治体がPMHシステムに子供の受給資格情報を登録すれば、マイナ保険証1枚でこども医療費助成の資格確認もできるようになります。ただし対応時期は自治体によって異なります。
公費負担医療とは具体的にどのような制度ですか?
公費負担医療とは、国や自治体が医療費の一部または全部を負担する制度の総称です。代表的なものとして、こども医療費助成、ひとり親家庭医療費助成、障害者医療費助成、未熟児養育医療、精神通院医療(自立支援医療)などがあります。地方単独医療費助成(自治体が独自に実施するもの)も含まれます。
すでにオンライン資格確認を導入している医療機関でも申請できますか?
はい、申請できます。保険診療のオンライン資格確認(マイナ保険証対応)はすでに導入済みでも、公費負担医療への対応は別途レセコン改修が必要です。本事業はその改修費用を補助するものです。
PMH(Public Medical Hub)とは何ですか?
PMHは公費負担医療・地方単独医療費助成の受給資格情報を一元管理するシステムで、オンライン資格確認等システム(支払基金・国保中央会が運営)と連携しています。医療機関・薬局はPMHを通じてマイナ保険証で公費負担医療の資格確認ができるようになります。
申請は医療機関自身が行うのですか?ベンダーに任せてよいですか?
申請手続きは医療機関・薬局が行う必要がありますが、見積書の取得やシステム改修の実務はベンダーと連携して進めることが一般的です。ただし、補助金の申請書類の作成・提出は施設側の責任で行う必要があります。
大型チェーン薬局かどうか、どうやって確認すればよいですか?
厚生労働省または支払基金が公表する基準・リストで確認できます。チェーン展開している薬局グループに属している場合は、グループ全体として大型チェーン薬局に該当する可能性があります。不明な場合は支払基金の窓口にお問い合わせください。
複数の公費負担医療制度を扱う自治体は、制度ごとに申請が必要ですか?
はい、補助は1制度当たりの基準額(500万円)で計算されるため、対象制度の数に応じて補助申請を行うことができます。ただし、すでにPMHへの連携を開始している制度は対象外となりますのでご注意ください。
令和7年度中にシステム改修の準備を始めることはできますか?
情報収集やベンダーとの事前相談は令和7年度中に進めて構いません。ただし、実際の発注・改修着手は令和8年度の交付決定後に行う必要があります。交付決定前に着手した費用は補助対象外となります。
補助金の申請窓口はどこですか?
医療機関・薬局向けの補助金(②)は社会保険診療報酬支払基金が窓口です。自治体向けの補助金(①)は厚生労働省または都道府県が窓口となります。詳細は厚生労働省の公式ページや支払基金のポータルサイトでご確認ください。
補助率3/4が適用されるのはどの医療機関・薬局ですか?
診療所および大型チェーン薬局以外の薬局(地域の薬局など)が補助率3/4の対象です。病院と大型チェーン薬局は1/2が適用されます。地域の中小診療所や個人経営の薬局にとって特に有利な補助率が設定されています。
令和8年度に間に合わなかった場合、次年度以降も補助金を受けられますか?
令和8年度の補助事業は令和8年度中の全国展開を目標としていますが、次年度以降の事業継続については厚生労働省の予算編成の状況によります。令和8年度の補助を確実に受けるためにも、早めに情報収集と申請準備を進めることを強くおすすめします。
まとめ
「公費負担医療制度等のオンライン資格確認の推進」は、令和8年度中の全国展開を目標に、3つの補助区分(①自治体システム改修・②医療機関・薬局レセコン改修・③実施体制整備)で構成される厚生労働省の補助事業です。令和8年度の概算要求額は46億円が計上されています。
ポイントを整理します。
- 公費・受給者証とは:こども医療費受給者証・ひとり親家庭医療費受給者証など複数の紙の証書(公費受給者証・医療証・医療受給者証)が存在。自治体ごとに名称が異なる
- マイナ保険証との関係:マイナ保険証は健康保険のみ対応。本事業の完了により、マイナ保険証1枚で公費負担医療の確認も完結できるようになる
- いつから使える?:令和8年度中の全国展開が目標。自治体のPMH連携状況によって利用可能時期が異なる
- 診療所・地域薬局は補助率3/4という手厚い支援が受けられる点も見逃せない
- 申請準備は今すぐ開始:令和8年度稼働を目指すなら2026年4〜6月ごろを目安に準備を着手することが重要
まずは厚生労働省の公式ページや支払基金の情報を確認し、システムベンダーとの相談を進めてみてください。
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