文部科学省の令和8年度概算要求が公表されました。一般会計の総額で6兆599億円と、前年度から10%の増額になっています。
文教関係における施策では、教育のデジタル化推進や誰もが学べる環境整備を柱とした包括的な施策が盛り込まれました。また科学技術分野では1兆1,850億円を計上し、宇宙開発や次世代スーパーコンピュータ開発など国際的な競争力向上に向けた投資が拡充されています。
今回は、文部科学省令和8年度概算要求の概要やポイントをまとめました。
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この記事の目次
令和8年度 文部科学省 予算概算要求額
文部科学省の令和8年度概算要求額は、以下のようになりました。
①歳出予算
■一般会計 6兆599億円(対前年度5,506億円増)
■エネルギー対策特別会計 1,384億円(対前年度299億増)
②財政投融資計画
■日本学生支援機構 5,382億円(対前年度235億円増)
■日本私立学校振興・共済事業団 288億円(対前年度6億円減)
■大学改革支援・学位授与機構 325億円(対前年度23億円減)

そのほか、高校無償化等や国土強靱化実施中期計画において特に必要とされた施策等については、事項要求となります。
文教関係の重点ポイント
概算要求額のうち、文教関係予算は、4兆5,083億円+事項要求(前年度4兆2,282億円)となりました。特に以下の施策が重視されています。- 質の高い公教育の再生
- 新しい時代の学びの実現に向けた学校施設の整備等
- 高等教育機関の多様なミッションの実現
- 誰もが学ぶことができる機会の保障
- 改正スポーツ基本法の理念の実現とスポーツを最大限活用した地方創生
- 我が国の成長をけん引する文化芸術による好循環の実現
それぞれ、具体的な事業や予算額をまとめました。()は令和7年度予算額です。
質の高い公教育の再生
- 情報活用能力の抜本的向上、校務DXの更なる加速及び基盤整備、1人1台端末の着実な更新等 169億円+事項要求(8億円)
- 高校教育改革等への支援の抜本強化、産業界等の伴走支援による専門高校の機能強化・高度化、DX・AI等の人材育成、グローバル人材育成等 事項要求(新規)
- 部活動の地域展開等の地域クラブ活動の積極的な推進等 44億円+事項要(37億円)
デジタル技術を活用した教育改革のほか、教員の処遇改善・部活動指導の地域展開等、教員の働き方を見直す施策も盛り込まれました。
新しい時代の学びの実現に向けた学校施設の整備等
- 公立学校施設の整備 2,066億円+事項要求(691億円)
- 国立大学・高専等施設の整備771億円+事項要求(364億円)
- 私立学校施設等の整備 351億円+事項要求(91億円)
教育環境の向上と老朽化対策の一体的整備や、キャンパスの共創拠点化、防災機能強化、脱炭素化など学校施設等の整備が推進されます。
高等教育機関の多様なミッションの実現
- 国立大学改革の推進 1兆1,470億円(1兆836億円)
- 「知の総和」答申を踏まえた地域大学振興の推進 25億円(新規)
- 学部再編等による成長分野への転換等の更なる推進 9億円(新規)
高等教育の改革を推進するとともに、物価・人件費の上昇等を踏まえた基盤的経費の確保が目指されます。そのほか、日本人学生の海外派遣・留学生の受け入れや、専門人材育成に関する事業が盛り込まれました。
誰もが学ぶことができる機会の保障
- 支援員の配置拡充や保護者支援を含む校内外教育支援センターの機能強化、学びの多様化学校の設置促進、いじめ・自殺対策の推進、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等相談体制の充実等 118億円(94億円)
- 大学などが中心となったリ・スキリング・エコシステムの構築支援等 115億円(89億円)
いじめや不登校への対策や外国人への日本語教育、障害者の学びの推進など、さまざまな立場の人が、希望する教育を受けられる環境整備が急がれます。また、リ・スキリングや教育に対する経済的負担の軽減なども提示されました。
改正スポーツ基本法の理念の実現とスポーツを最大限活用した地方創生
- 国際競技大会(アジア・アジアパラ競技大会等)を契機としたスポーツの振興・研修派遣プログラム、ドーピング防止活動推進体制の強化等 10億円(6億円)
スポーツを通じ、地域活性化や経済の活力を創出する体制が目指されます。
我が国の成長をけん引する文化芸術による好循環の実現
- 継承の危機に瀕する文化財の修理・整備・活用及び防災対策等 359億円+事項要求(252億円)
- クリエイター等支援事業(中核的専門人材育成・確保等) 66億円(新規)
- 劇場・音楽堂等と芸術団体との連携による地域活動基盤形成支援事業 10億円(新規)
文化財の持続可能な保存・活用や、世界へ向けた多様な文化芸術の創造・発信が推進されます。
科学技術分野の重点ポイント
科概算要求額のうち、科学技術関係の予算は、1兆1,850億円+事項要求(9,777億円)となりました。特に以下の施策が重視されています。
- 「科学の再興」に向けた研究力の抜本的強化
- 未来を切り拓くイノベーション創出とそれを支える基盤の強化
- 重点分野の研究開発の戦略的な推進
- 国民の安全・安心やフロンティアの開拓に資する課題解決型研究開発の推進
それぞれ、具体的な事業や予算額をまとめました。()は令和7年度予算額です。
「科学の再興」に向けた研究力の抜本的強化
- 重要技術領域での研究者等の人材供給拡大(産業革新人材事業) 14億円(新規)
- 創造性・効率性の向上をもたらすAI駆動型研究開発の強化 317億円(177億円)
- 自動・自律・遠隔化による研究データ創出・活用の高効率化 26億円(新規)
科学技術人材の育成や研究支援、国際連携・国際共同研究による国際頭脳循環の活性化などが盛り込まれています。
未来を切り拓くイノベーション創出とそれを支える基盤の強化
- 「富岳」の次世代となる新たなフラッグシップシステムの開発・整備 169億円(8億円)
- 感染症有事に備えた治療薬・診断薬開発のための研究開発拠点の形成 16億円(新規)
イノベーションの創出や、世界最高水準の大型研究施設の整備等が示されました。
重点分野の研究開発の戦略的な推進
- 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP) 54億円(45億円)
- 感染症有事に備えた治療薬・診断薬開発のための研究開発拠点の形成 16億円(新規)
AIや量子技術、健康・医療等の、国家戦略を踏まえた研究開発が支援されます。
国民の安全・安心やフロンティアの開拓に資する課題解決型研究開発の推進
- 宇宙基本計画に基づく宇宙分野の研究開発 2,030億円+事項要求(1,516億円)
- 宇宙戦略基金による民間企業・大学等の技術開発支援 348億円+事項要求(76億円)
- DX/GX両立に向けたパワーエレクトロニクス次世代化加速事業 14億円(新規)
宇宙分野や環境エネルギーなど、国際的にも注目度の高い研究の推進や、課題の解決が目指されます。
まとめ
令和8年度の文部科学省概算要求は、教育と科学技術の両分野で大幅な予算増となっています。デジタル技術の活用や教員の労働環境と施設設備の改善などのほか、科学研究分野での国際競争力の強化を目指す姿勢が示されています。
AIをはじめとしたデジタル・科学分野の発展が目まぐるしい昨今、教育や研究・開発の現場も、大きな改革時期を迎えています。国の方針を見定め、来年度の社会の動きを予測していきましょう。
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