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【2026年】東京都「年収の壁突破」奨励金とは?30万円・50万円の対象企業と申請方法

公開日:2025/5/31 更新日:2026/7/22
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人手不足が続くなか、パート・アルバイトなどの従業員に「もっと働いてほしい」と感じている事業者は多いのではないでしょうか。一方で、配偶者手当の収入要件や社会保険料の負担を理由に、従業員が就業時間を調整するケースも少なくありません。

東京都の「年収の壁突破」総合対策促進奨励金は、こうした年収の壁による働き控えを防ぐため、配偶者手当の見直しや、社会保険に加入する非正規雇用者向けの手当の新設に取り組む都内中小企業事業主(個人事業主含む)を支援する制度です。令和8年度(2026年度)も、1事業主あたり最大50万円の奨励金が交付されます。

本記事では、令和8年度の制度内容について、対象事業者・対象取組・申請の流れ・スケジュール・よくある質問をわかりやすく解説します。

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この記事の目次

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「年収の壁突破」総合対策促進奨励金とは?対象コースと支給額

「年収の壁突破」総合対策促進奨励金は、働く意欲のある女性が就業調整を行うことなく能力を発揮できる環境の整備を目的に、東京都(公益財団法人東京しごと財団)が実施する奨励金制度です。「社会保険加入促進コース」と「配偶者手当見直しコース」の2コースがあり、各30万円、両方実施すれば50万円の奨励金が受けられます。

コース概要奨励金額
社会保険加入促進コース社会保険料に関する手当等を新設する企業に交付30万円
配偶者手当見直しコース配偶者の収入要件のある配偶者手当を見直した企業に交付30万円
2コース実施した場合両コースを同時に取り組んだ企業に交付50万円

交付は1事業主につき同一年度内1回限りです。2コース申請を希望する場合は、必ず交付申請時に両コースを選択してください(交付申請後のコース追加は不可)

なお、「年収の壁」の詳細や、パート・アルバイトが意識する各種の壁については以下の記事をご参考ください。

【2026年】年収の壁はいくらになった?パート・アルバイト・学生の扶養への影響をわかりやすく解説

令和7年度から令和8年度への主な変更点は?

令和8年度の最大の変更点は、事前エントリー(抽選)制度の廃止です。令和7年度は事前エントリーで当選した事業主のみが交付申請できる仕組みでしたが、令和8年度は各回の交付申請受付期間内に直接申請する方式に変更されました。

項目令和7年度令和8年度
申請方式事前エントリー → 抽選 → 当選者のみ申請受付期間内に直接申請
受付回数全10回全10回(各回130社)
申請期間令和7年5月〜令和8年2月令和8年5月18日〜令和9年2月28日
奨励金額各コース30万円・併用50万円同額(変更なし)
申請方法Jグランツ(電子)または郵送同(変更なし)

その他、奨励金額・コース構成・取組期間(交付決定日から3か月以内)・実施期間(交付決定日から4か月以内)は前年度から変更ありません。

奨励金の対象になる事業者は?個人事業主も申請可能

本奨励金の対象は、都内で事業を営む中小企業事業主です。法人だけでなく個人事業主も申請可能で、小規模事業者でも活用しやすい制度となっています。

中小企業事業主の範囲は、業種ごとに資本金または常時雇用労働者数のいずれかが下表以下の事業主を指します(どちらか一方の基準を満たせば該当)。

主たる事業資本金の額または出資の総額常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種(製造業など)3億円以下300人以下

奨励金を受けるための主な要件は?

以下の12項目の要件をすべて満たしている必要があります。要件は交付申請日から実績報告日に至るまでの全期間を通じて満たしていることが求められます。

・都内で事業を営んでいる事業者であること(法人は本店登記または支店・営業所が都内、個人事業主は事業所地が都内)
・都内勤務の常時雇用労働者(雇用保険被保険者)を1名以上、6か月以上継続して雇用していること
・就業規則を作成し、交付申請日までに労働基準監督署に届け出ていること(常時雇用労働者10人未満の事業者も必須)
・東京都政策連携団体・事業協力団体等でないこと
・過去5年間に重大な法令違反等がないこと
・過去5年間に助成事業の不正受給による不支給決定・支給決定取り消しを受けていないこと
・労働関係法令(最低賃金・36協定・年5日の年次有給休暇取得・ハラスメント防止措置等)を遵守していること
・社会保険関係法令(健康保険法・厚生年金保険法・介護保険法)を遵守していること
・法人都民税・法人事業税(個人事業主は個人都民税・個人事業税)の未納がないこと
・風俗営業等を行っていないこと
・暴力団員等に該当しないこと
・過去に本奨励金の同一コースを受給(受給予定を含む)していないこと

【注意】常時雇用労働者が10人未満の事業者も、就業規則の作成・労基署への届出が必須です。労基署の受付印の日付が交付申請日より後の就業規則は受け付けられません。

各コースの対象要件と取組内容は?

各コースには、共通要件に加えて固有の対象要件と取組内容が定められています。以下、コースごとに詳しく解説します。

社会保険加入促進コースの対象要件・取組内容

社会保険加入促進コースは、社会保険料に関する手当を新設する企業を支援するコースです。対象要件は以下のとおりです。

対象要件内容
手当規定の不存在就業規則に「新たに社会保険の対象とする非正規雇用者が負担する社会保険料に関する手当等」の規定がないこと(本奨励金を受けるための改廃を行っていないこと)
加入対象者の存在新たに社会保険の加入対象となる可能性のある非正規雇用者がいること(現に雇用中、または取組期間中に雇い入れる予定)

取組期間(交付決定日から3か月以内)に、以下の取組をすべて実施する必要があります。

取組項目内容
手当の新設非正規雇用者が負担する社会保険料に関する手当を新設する(対象者に同様の既存手当がないこと)
加入計画の作成社会保険未加入の非正規雇用者1名以上が、新たに社会保険に加入し当該手当の受給対象となる計画を作成
労使協定の締結使用者と労働者代表との間で労使協定を締結(複数事業所がある場合は全事業所で締結)
就業規則の改正・届出労使協定の締結後に就業規則を改正し、所轄の労働基準監督署に届け出る(順序厳守)
社内周知・社内研修パート・アルバイトを含む全従業員を対象に研修を実施
個別相談の利用専門家による個別相談を取組期間中に2回受講(1回目は交付決定日から1か月以内)
【手当の条文記載例】
(社会保険加入促進手当)
第○条 社会保険加入促進手当は、令和○年○月○日以降社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入したパート従業員に対して支給する。
2 社会保険加入促進手当は、次のとおり支給する。
一 前項に規定するパート従業員について、月額○○○○円(または社会保険料額の○○%)を支給する。

支給対象者の施行日明記・毎月支給であること・1か月あたりの支給金額の明記が要件です。期間限定(1年間のみ等)の手当は対象外となります。

なお、国のキャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」と組み合わせて活用することも可能です。詳しくは以下の記事をご参考ください。

【年収の壁 助成金】社会保険適用時処遇改善コースの要件と助成額を解説|最大50万円

配偶者手当見直しコースの対象要件・取組内容

配偶者手当見直しコースは、配偶者の収入要件がある配偶者手当(家族手当・扶養手当を含む)を見直す企業を支援するコースです。対象要件は以下のとおりです。

対象要件内容
手当規定の存在就業規則に「配偶者の収入要件がある配偶者手当」の規定が既にあること
支給実績交付申請日から過去5年以内に当該手当の支給実績があること(本奨励金を受けるための改廃を行っていないこと)

取組期間中に、「配偶者の収入要件がある配偶者手当」について、以下のいずれかの見直しを行う必要があります。

見直しパターン内容注意点
①収入要件の撤廃配偶者の収入要件を撤廃し、配偶者のいる従業員全員に一律支給「年収○○円以下」のような部分撤廃は不可。完全撤廃が必要
②他の手当へ振替配偶者手当を廃止し、子ども手当・介護手当・資格手当などに振り替え新設手当に「配偶者の収入要件」を残すと対象外
③基本給に繰入れ配偶者手当を廃止し、全従業員の基本給に繰入れ手当受給者だけに繰入れるのは対象外。フルタイム非正規も含めて改定が必要

配偶者手当の「廃止のみ」は奨励金対象外です。廃止に加えて、上記①〜③のいずれかの形で従業員へ還元する必要があります。

その後の手順は社会保険加入促進コースと同様で、労使協定の締結 → 就業規則の改正 → 労働基準監督署への届出 → 社内周知・社内研修 → 個別相談2回の利用、という流れで実施します。手順の入れ替わりは奨励金対象外となるため、労使協定の締結日と就業規則改正日の前後関係に注意してください。

申請から交付までの流れは?4つのSTEPで解説

「年収の壁突破」総合対策促進奨励金は、以下の4STEPで申請から奨励金振込までを進めます。

STEP1:交付申請

各回の交付申請受付期間内に、Jグランツ(電子申請)または郵送で必要書類を提出します。電子申請にはGビズIDプライムの取得が必要なため、余裕をもって準備してください。取得には2週間程度かかる場合があります。

STEP2:取組の実施(交付決定日から3か月以内)

交付決定通知の受領後、取組期間内に以下の順序で取り組みます(順序厳守)。

  • 就業規則改正案の検討・専門家への相談
  • 労使協定の締結
  • 就業規則の改正
  • 労働基準監督署への届出
  • 社内周知・社内研修の実施

並行して、専門家による個別相談を2回必ず利用します(詳細は次章)。

STEP3:実績報告(交付決定日から4か月以内)

取組内容を「就業規則見直し報告書」等にまとめ、改正後の就業規則・労使協定の写しと併せて提出します。

STEP4:奨励金請求書の提出・振込

事務局から「額の確定通知書」を受領後、奨励金請求書兼支払口座振替依頼書を提出し、指定口座へ奨励金が振り込まれます。

専門家による個別相談は必須?回数と実施方法

社会保険労務士等の専門家による個別相談は、本奨励金の受給に必須の要件です。取組期間中に必ず2回(各回1時間、オンラインのみ)受講する必要があります。2コース申請の場合でも合計2回で足ります。

利用期限推奨タイミング
1回目交付決定日から1か月以内(必須)就業規則改正案を検討する初期段階
2回目1回目利用後〜取組期間終了まで取組期間最終日の1か月前までに終えるのが望ましい

予約は本奨励金専用の予約フォーム(交付決定後3営業日以内にメールで案内)から行います。電話予約は原則不可、対面実施もなく、Zoomでのオンライン相談のみです。

令和8年度の申請スケジュール(全10回・各130社)

令和8年度の交付申請受付は、令和8年5月18日から令和9年2月28日までの全10回に分けて実施されます。各回の受付社数は130社で、郵送申請は締切日当日消印有効です。

募集回交付申請受付期間受付社数
第1回令和8年5月18日(月)〜5月31日(日)130社
第2回令和8年6月1日(月)〜6月30日(火)130社
第3回令和8年7月1日(水)〜7月31日(金)130社
第4回令和8年8月1日(土)〜8月31日(月)130社
第5回令和8年9月1日(火)〜9月30日(水)130社
第6回令和8年10月1日(木)〜10月31日(土)130社
第7回令和8年11月1日(日)〜11月30日(月)130社
第8回令和8年12月1日(火)〜12月31日(木)130社
第9回令和9年1月1日(金)〜1月31日(日)130社
第10回令和9年2月1日(月)〜2月28日(日)130社

各回の受付時間は午前9時〜午後5時です。上限社数に達した場合の取扱いや最新の空き状況は、必ず奨励金特設サイトで確認してください。

なお、国の「年収の壁・支援強化パッケージ」との組み合わせや、他の助成金の全体像については以下の記事をご参考ください。

年収の壁支援強化パッケージをわかりやすく解説!年収の壁一覧も紹介

「年収の壁突破」総合対策促進奨励金に関するよくある質問

個人事業主でも申請できますか?

はい、申請できます。本奨励金は「都内中小企業事業主(個人事業主を含む)」が対象です。事業所が都内にあること、雇用保険適用の常時雇用労働者を1名以上6か月以上継続雇用していることなどの要件を満たせば、個人事業主でも申請可能です。

本社が都外で、都内に支店だけある場合は対象になりますか?

対象になります。法人の場合は「都内に本店登記がある、または支店・営業所等の事業所が都内にあること」が要件です。ただし、都内勤務の常時雇用労働者を1名以上、6か月以上継続して雇用している必要があります。都内で営業実態がなく、都税が免除されている場合は対象外です。

社員が10人未満でも申請できますか?

申請できます。ただし、常時雇用労働者が10人未満の事業者であっても、本奨励金の申請にあたっては就業規則を作成し、交付申請日までに労働基準監督署に届け出ていることが必須です。労基署の受付印の日付が交付申請日より後の就業規則は認められません。

配偶者手当を「廃止するだけ」では対象になりませんか?

対象になりません。配偶者手当見直しコースでは、「①収入要件の撤廃」「②他の手当への振替」「③基本給への繰入れ」のいずれかを実施する必要があります。手当を廃止しただけで従業員への還元がない場合は奨励金対象外です。

過去に本奨励金を受給していますが、もう一度申請できますか?

同一コースは受給不可ですが、別コースであれば申請可能です。たとえば令和7年度に配偶者手当見直しコースを受給した事業主は、令和8年度に社会保険加入促進コースを申請できます。

個別相談はオンラインだけですか?対面はできませんか?

オンライン(Zoom)のみです。対面での実施は行っていません。当日はパソコンまたはタブレットでカメラ・マイクをオンにして参加する必要があります。予約は本奨励金専用の予約フォームからのみ受け付けており、電話予約は原則不可です。

1コースだけ申請して、後から2コース目を追加できますか?

できません。2コースの取組を希望する場合は、交付申請時に両コースを選択する必要があります。交付申請後のコース追加は不可のため、両方に取り組む方針であれば申請時点で必ず2コースを選んでください。

取組期間(3か月)に間に合わなかったらどうなりますか?

取組期間を過ぎた場合は奨励金の対象外となります。また、実績報告書の提出期限(交付決定日から4か月以内)を過ぎた場合も同様に対象外です。期限厳守のため、交付決定通知を受け取ったら速やかに社労士等の専門家と相談し、スケジュールを確定させることをおすすめします。

社内研修はどのように実施すればよいですか?

整備した制度の内容と「年収の壁」についての情報提供を、パート・アルバイトを含む全従業員を対象に実施します。研修資料は奨励金特設WEBサイトからダウンロード可能です。やむを得ず欠席者が出た場合は、取組期間内に資料配布等で必ず周知してください。周知の記録(配布メール・受領書等)は実績報告時に提出します。

令和7年度に事前エントリーで抽選漏れした企業も、令和8年度は申請できますか?

申請できます。令和8年度は事前エントリー・抽選制度が廃止され、各回の受付期間内に直接申請する方式に変更されました。ただし、受付社数は各回130社の先着順のため、上限に達すると受付が終了する可能性があります。早めの申請が確実です。


まとめ

東京都の「年収の壁突破」総合対策促進奨励金は、女性の就業調整を防ぎ、働きやすい職場環境の整備を支援する制度です。「社会保険加入促進コース」と「配偶者手当見直しコース」の2つがあり、各コース30万円、両方実施すれば50万円の奨励金が受けられます。

令和8年度からは事前エントリー(抽選)制度が廃止され、申請受付期間内に直接申請できるようになりました。中小企業だけでなく個人事業主も対象となるため、小規模事業者にも活用しやすい制度です。

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