農林水産省が、令和8年度概算要求を発表しました。概算要求額は総計で2兆6,588億円と、前年度比117.1%になりました。米不足問題を受けて米の増産施策に重点配分し、農地バンクの予算を4倍近くに拡充するなど大幅な構造改革を目指します。
今回は農林水産省の概算要求に掲げられた7つの主要テーマと、主な事業を紹介します。
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この記事の目次
令和8年度予算概算要求額
農林水産省の令和8年度概算要求の総額は、2兆6,588億円でした。前年度の2兆2,706円と比較して、約117.1%となりました。
内訳では、公共事業費が8,188億円、非公共事業費が1兆8,400億円です。

出典:令和8年度農林水産予算概算要求の骨子
具体的な事業では、特に米の増産施策に対し、重点的に予算が割り振られています。
農林水産省 令和8年度概算要求の主な方針
令和8年度の概算要求では、新たな食料・農業・農村基本計画や現下の米をめぐる情勢を踏まえ、7つのテーマが掲げられました。農業構造転換集中対策を着実に実施しつつ、農林水産業の持続可能な成長の実現が目指されます。特に米の増産については、農地を集約化する「農地バンク」の予算を4倍近くに増やすなど、重点的な支援が明記されました。また概算予算額の総額2兆6588億円のうち、18%近くが、農地の大区画化などを進める「農業農村整備事業」に当てられています。
今年度は米不足による混乱が起きたことを踏まえ、農林水産省はより確実な米の増産を目指しています。
【中心となる7つのテーマ】
概算要求では、以下の7つが中心テーマとして掲げられました。
| - 食料安全保障の強化 - 農業の持続的な発展 - 農村の振興 - 環境と調和のとれた食料システムの確立 - 多面的機能の発揮 - 2050年ネット・ゼロ等に貢献する「森の国・木の街」の実現に向けた森林資源循環利用施策の総合的な展開 - 海洋環境の激変に適応するための水産業の強靱化 |
それぞれの主な事業を見ていきましょう。()は前年度の当初予算です。
食料安全保障の強化
■農業構造転換集中対策として、以下の施策を実施:事項要求
・農地の大区画化や中山間地の整備
・共同利用施設の再編集約・合理化
・スマート農業技術・新品種の開発
・農業機械の導入
・輸出産地の育成等
■水田活用の直接支払交付金等 2,960億円(2,870億円) 等
・麦・大豆等の本作化やブロックローテーション
・保管施設の整備
・商品開発等の取組の推進
■持続的生産強化対策事業 160億円(142億円)等
・野菜、果樹、花き、茶・薬用作物、養蜂等の生産基盤強化
・遺伝子解析技術等を活用した家畜改良の推進、肉用牛の出荷月齢の早期化
■飼料生産基盤立脚型酪農・肉用牛産地支援 56億円(56億円)等
・国産肥料の生産・利用拡大に向けた堆肥等の代替資源への転換推進
・飼料生産に立脚した酪農・肉用牛支援 など
■食品産業と農林漁業等の連携強化 5億円(1億円)等
・食品産業と農林漁業の協調・連携推進
・プラ資源循環の促進 など
スマート農業の推進に関わる施策も、多く盛り込まれています。
農業の持続的な発展
■地域計画の実現に向けた支援 725億円の内数(-)
・農地を引き受ける担い手による農業機械等の導入
・農地バンク等による農地の集約化
・外部からの担い手の誘致 など
■スマート農業技術活用促進集中支援プログラム 306億円(182億円)等
・スマート農業技術の開発・供給推進
・スマート農業技術を活用するサービス事業者の育成
・高温耐性品種等の開発 など
■農業農村整備事業<公共> 3,941億円(3,331億円)等
・農地大区画化
・水田汎用化・畑地化
・水利施設の計画的更新や省エネ・管理省力化 など
地域計画の実現に向けた支援として、農業バンクの活用や、外部からの担い手誘致が掲げられました。
農村の振興
■農山漁村振興交付金 86億円(74億円)
・官民共創の促進による地域課題の解決
・農泊・農福連携など「里業」の推進 など
■鳥獣被害防止対策とジビエ利用の推進 118億円(100億円)
・ICTを活用した農地周辺での加害性の高い個体の重点的捕獲
・ジビエ利用の更なる拡大 など
農村の振興では、「里業」の推進のほか、加害性の高い個体の捕獲事業などが増額されています。
環境と調和のとれた食料システムの確立
■環境保全型農業直接支払交付金 29億円(28億円)
地球温暖化防止や生物多様性保全等に効果の高い営農活動を支援 など
環境問題への対策もかんがみて、持続可能性の高い施策が目指されています。
多面的機能の発揮
■多面的機能支払交付金 500億円(500億円)等
中山間地域等における農業生産活動、環境保全に資する農業生産活動等を支援 など
農業の有する多面的機能の維持・発揮を支える施策です。
2050年ネット・ゼロ等に貢献する「森の国・木の街」の実現に向けた森林資源循環利用施策の総合的な展開
■森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策 182億円(143億円)
・国産材安定供給に向けた林業・木材産業の生産基盤強化
・スマート林業技術の実装加速化
・JAS構造材やCLT等による国産材への転換 など
スマート林業や、国産材の有効活用が注目されています。
海洋環境の激変に適応するための水産業の強靱化
■海洋環境の変化に対応するための新たな操業の構築・推進 110億円(12億円)等
・海洋環境の急激な変化をリアルタイムに把握するための資源調査・評価の高度化
・新たな操業体制の実証の推進
・高性能漁船の導入の支援等の実施 など
■地域を担う漁業者を後押しするための仕組みづくり 178億円の内数(66億円の内数)等
・地域漁業の協業化・法人化による収益性向上支援
・漁船の居住環境やインターネット環境整備
・新規就業者が複数の指導漁業者の下で行う長期研修等の支援 など
環境の変化に対応できる漁業への転換が支援されます。
まとめ
農林水産省の令和8年度概算要求では、食料安全保障の強化が主要テーマのひとつに位置づけられました。特に米の増産に向けた農地バンクの大幅予算増や農業農村整備事業への重点投資によって、農業構造の根本的転換を図ります。
またスマート農業技術の活用促進や海洋環境変化への対応など、将来を見据えた施策も充実しています。持続可能な農林水産業の実現に向けた包括的な取り組みが支援されました。
食の安全と持続可能性は、国民生活の根本に関わる問題です。政策の方向性を確認し社会需要を見定めながら、来年度のビジネス展開を考えていきましょう。
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