近年、インバウンド需要が過去最高水準に達するなか、「ナイトタイムエコノミー」への注目が高まっています。東京都もその流れを受け、夜間観光の強化を重要施策のひとつに位置づけています。
そうしたなかで注目されているのが、プロジェクションマッピングを活用した都市景観の演出です。
本記事では、プロジェクションマッピング促進支援事業助成金の内容をわかりやすく解説します。イベント企画・地域振興、販促活動など、プロジェクションマッピングに興味がある企業の担当者はぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
プロジェクションマッピング促進支援事業助成金とは
「プロジェクションマッピング促進支援事業助成金」は、東京都における国内外からの旅行者誘致を促進するための制度です。東京都の都市景観で訪都旅行者を魅了し、さらなる旅行者を誘致することを目指します。
本制度では、東京の都市景観を向上し、夜間観光の盛り上げにつながるプロジェクションマッピングをおこなう事業を支援します。
そもそもプロジェクションマッピングとは
プロジェクションマッピングとは、実物と映像を融合させる映像手法です。具体的には、建物や立体物、凹凸のある面に映像を投影し、映像の動きや変化によって対象物が動いたり変形したりしているように見せることができます。あらゆる面がスクリーンになり、自ら光を放っているように演出もできるため、幻想的な情景や空間を表現できます。
これまで、歴史的建造物やテーマパーク、大型イベント等でも取り入れられてきました。
プロジェクションマッピングは、幻想的な情景や強いインパクトによって観客を魅了し、集客や広告効果もあると考えられています。
令和7年度プロジェクションマッピング促進支援事業助成金
プロジェクションマッピング促進支援事業助成金は、令和7年に引き続き、令和8年度も実施される見通しです。ここでは、令和7年度の情報を元に、本制度の内容をご紹介します。
※2026年4月時点において令和8年度の情報は公開されていないため、最新情報は、公式サイトでご確認ください。
助成対象者
本制度の助成対象者は、以下のとおりです。
・観光協会等
・商工会等
・民間事業者
・その他の法人
「民間事業者」は、営利を目的としており、法人格を有するものに限ります。
また、「その他の法人」とは、プロジェクションマッピングを活用したまちづくりの推進を行う公益財団法人、公益社団法人、一般財団法人、一般社団法人又は特定非営利活動法人を指します。法人格を有しない団体は含まれません。
助成対象事業
本制度における助成対象となる事業は、プロジェクションマッピングを行うものです。具体的な対象事業は以下のとおりです。
| 対象事業の詳細 |
|---|
| 令和7年度に新規でプロジェクションマッピングを行う事業または過去に実施している内容に新たな内容を加える事業(新規事業) |
| 令和6年度にプロジェクションマッピングを行う事業として採択され事業が完了し、助成金の支払いを受けた事業(継続2年目事業) |
| 令和5年度にプロジェクションマッピングを行う事業として採択され事業が完了し、助成金の支払いを受けた事業(継続3年目事業) |
「過去に実施している内容に新たな内容」とは、実施するエリアを拡大するなどが該当します。過去に実施している内容に該当する部分や、機材の更新のみなどは対象外と見なされるため、ご注意ください。
投光器や照明器具等で単に光を当てるだけのような事業は対象外とされます。また、交付決定日以降に事業を開始し、助成期間内に終了する事業を対象とする点も理解しておきましょう。
助成対象経費
本制度における助成対象経費は、以下のとおりです。
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| プロジェクションマッピングのコンテンツ制作費(デザイナー費用含む) | 原則、委託料 ※自社のデザイナーを活用する場合は対象外 |
| プロジェクションマッピング用プロジェクター及びプロジェクターに付随するレンズ購入費 | ・本体及びレンズを購入する場合は、本体の型番・付属品、レンズに関しては本体の対象商品であることが確認できる資料を合わせて提出 ・レンタルの場合は、下の「機材・設備・備品の賃貸料又は購入費」に含めて記載すること |
| 機材・設備・備品の賃貸料又は購入費 | 日用品類等は対象外 |
| 会場設営及び運営の委託に要する経費 | 警備等も含む |
| 会場の使用に係る占用料又は賃貸料 | ー |
| 事業周知に要する経費 | ホームページの更新等、経常的な経費は対象外 (助成対象経費の1割以内) |
| 賠償責任・傷害保険等に係る経費 | プロジェクションマッピング実施にあたっての参加者に対する賠償責任・傷害保険等 |
| 付随イベントの経費 ※プロジェクターとの経費とは分けて記載 |
①~⑦⑨の経費の中で付随イベントに係る経費(出演料等) (対象経費の1/4以内) |
| その他諸経費 | 事業実施に直接必要なものに限るものとし、且つ審査により認められたもののみを交付対象 |
助成対象外となる経費
対象外となる経費は以下のとおりです。
| (1)公募要領の対象経費に記載のない経費 【代表例】 ・土地・建物・施設取得費 ・助成事業者の人件費 ・施設設備等の維持管理に係る経費 ・動産の保険、イベント中止保険等、来訪者以外に関する保険 ・金券等購入費 ・消耗品の購入 ・租税公課 ・その他助成事業に直接関係しない経費 |
| (2)一連の手続が助成対象期間内に行われていない経費 |
| (3)事業の実施に関係のない設備等の購入、業務委託等の経費、申請書に記載のない経費 |
| (4)帳票類に不備がある経費 |
| (5)通常業務・取引と混合して支払いが行われており、助成対象経費の支払いが明確に区分できない経費 |
| (6)他の取引と相殺して支払いが行われている経費 |
| (7)他社発行の手形や小切手により支払いが行われている経費 |
| (8)汎用性があり、目的外使用になり得るもの |
| (9)一般的な市場価格又は事業規模に対して著しく高額な経費 |
| (10)公的資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費 |
| (11)その他対象外と認められる経費 |
対象外経費として特に注意したいのが、支払いについてです。通常業務の経費と一緒に支払われていたり、他取引と相殺されて支払われていたりすると、対象外とみなされます。本事業における支払いは、明確に区分しましょう。
助成額や助成率
本制度における助成額や助成率は以下のとおりです。レンタルやプロジェクターに付随するレンズ以外の部品等購入費も以下を適用します。
| 事業種別 | 助成額 | 助成率 |
|---|---|---|
| 新規事業 | 2,500万円/1団体 | 3分の2以内 |
| 継続2年目事業 | 2,000万円/1団体 | 2分の1以内 |
| 継続3年目事業 | 1,500万円/1団体 | 3分の1以内 |
※助成率における千円未満の端数は切り捨て
なお、プロジェクションマッピング投影用プロジェクター及びレンズ購入費に関する助成限度額は以下のとおりです。
| 事業種別 | 助成額 |
|---|---|
| 新規事業 | 1,000万円/1団体 |
| 継続2年目事業 | 750万円/1団体 |
| 継続3年目事業 | 500万円/1団体 |
購入金額が助成限度額を上回った場合、本制度の助成率が適用されます。ただし、本事業の目的をふまえ、購入した機材等を3年間(および2年間)継続して本助成対象事業に使用する場合に限り、プロジェクションマッピング投影用プロジェクター及びレンズの購入費用に関する助成率は5分の4以内を適用できます。
交付申請の要件
本制度における助成金の交付申請では、以下の要件をすべて満たさなければなりません。
| 要件 |
|---|
| プロジェクションマッピングの実施について、地元等との調整が取れている(または見込みである)こと ※区市町村からの推薦書の提出が必要 |
| 届出等も含めて、プロジェクションマッピングの実施について事業に必要な許認可を得る見込みがある(または得ている)こと |
| プロジェクションマッピングの実施について、「東京都屋外広告物条例」及び「東京都景観条例」等関係規定を遵守するとともに、関係する行政機関等と事前の調整等を図ること |
| プロジェクションマッピングの実施について、当該実施場所の占用にあたり、都又は区市町村等の共催又は後援が必要な場合は、当該共催又は後援が取れている(または見込みである)こと |
| プロジェクションマッピングの投影内容・方法等において、デザイナー(映像デザイナー、モーションデザイナー等)を活用すること |
| アンケート調査等により、プロジェクションマッピングの効果測定を行い、その結果を財団へ報告すること ※効果測定の経費は助成対象外 |
| 5年以上の継続的なプロジェクションマッピングの実施及び地域貢献に努めること |
| プロジェクションマッピングのデザインは、他の特許、意匠等の知的財産権を侵害するものでないこと |
| プロジェクションマッピングの安全・防犯対策を行い、事故等のないよう管理を十分に行うこと |
| 実施に当たっては、SDGsを意識した取組を実施すること 【例】プラスチックゴミの削減やリサイクルしやすい素材の使用等環境へ配慮した取組等 |
| 関係法令に違反する内容を含む事業でないこと |
| 安全・防犯対策を行い、事故のないよう管理を十分に行うこと |
| 高齢者、障がい者等誰もが観光を楽しめるようアクセシブル・ツーリズムの取組への配慮をすること |
注意したいのは、本制度における「デザイナー」は、過去にプロジェクションマッピングデザインに関する業務のうち「デザイン」に係る専門知識と業務実績をもつ方を指すという点です。投影に係る業務を行っていても、工事施工のみや上記で規定するデザイン業務を行っていない者は対象となりませんのでご注意ください。
募集期間
本制度は、令和7年度分として以下の日程で募集されました。
| 回 | 募集期間 |
|---|---|
| 第1回 | 2025年4月7日~5月30日 |
| 第2回 | 2025年6月19日~8月29日 |
| 第3回 | 2025年10月16日~11月28日 |
| 第4回 | 2025年12月15日~2026年1月30日 |
令和8年度の募集回や具体的な日程は、公表されていません。本制度を検討している場合は、随時公式サイトや公募要領の情報をご確認ください。
全体の流れ
本制度は、以下の流れで実施されました。令和8年度において同じ流れになるかは不明ですが、全体の流れとして参考にしてください。
①推薦書の受領(区市町村が申請する場合は不要)
②交付申請
③助成対象の選定
③審査結果及び交付決定
⑤事業実施
⑥実績報告書の提出
⑦完了検査
⑧助成額の確定
⑨助成金の請求及び支払い
令和7年度は、年度における採択数があらかじめ決められた上で実施されました。予定枠がなくなった場合は、その時点以降の募集や審査を行わない場合もあるとしていたため、令和8年度も同様の対応がされる可能性がある点を理解しておきましょう。
プロジェクションマッピング促進支援事業助成金の事例
「プロジェクションマッピング促進支援事業助成金」における事例をご紹介します。本制度では、どのように活用できるかイメージしにくいと感じている企業も少なくありません。他社の事例から、自社での企画・実施イメージにお役立てください。
【事例①】次世代エンターテイメント&アートイベント

空飛ぶクルマの研究開発や産業用ドローンの製造・販売、プログラミング体験など、教育プロジェクトの事業を展開する「FPV ROBOTICS株式会社」は、子どもたちがプログラミングやアートを体験できる教育イベントを実施しました。
プロジェクションマッピングと教育プログラムを融合し、単にプロジェクションマッピングを鑑賞するだけでなく、楽しみながら学べる機会を提供することを重視していました。そんななか、「プロジェクションマッピング促進支援事業」を知ったことが後押しになったとしています。
同社が実施した企画の概要は以下のとおりです。
| 開催概要 | 内容 |
|---|---|
| 2023年 東京都庭園美術館 集客数:1,115人 |
・同社が展開してきた「ドローンインパクトチャレンジエディケーション」と連携 ・プログラミング授業の実習(ワークショップ) ・地面では子どもたちがプログラミングしたロボットが動き、壁面ではプロジェクションマッピングを展開 |
| 2024年 三井ショッピングパーク ららぽーと豊洲 集客数:1,600人 |
・前年の知見を活かして実施 ・子どもたちがプロジェクションマッピングのアニメーションコンテンツを作成(ワークショップ) |
※集客数はワークショップ参加者を含まず
企画では、実施場所の選定として投影する建物や周辺環境、地域との連携など、さまざまな点をクリアしなければなりません。特に2023年は、助成金交付決定から約半年で場所選定から企画立案、コンテンツ制作、運営準備までをほぼ社内で対応したということです。また、広報活動としてSNSや駅広告の出稿、チラシ配布などを実施しました。
集客数だけでなく、実施後のアンケートやSNSにおいても、手応えを感じる反応が多く見られたということです。
子どもたちが主体的に学べる機会の提供や地域社会とのつながり強化、施設のブランディングなど、さまざまな価値が生まれた事例といえます。
【事例②】立地を生かしたエンターテイメントを実現

水辺を中心としたまちづくりを立体的に推進するタウンマネジメント組織「一般社団法人タウンデザイン」は、東京都竹芝の複合施設『ウォーターズ竹芝』にて、イルミネーションとプロジェクションマッピングを組み合わせたイベントを実施しました。
竹芝というエリアは、交通網の発達したエリアでありながら静かで落ち着きのある地域です。この立地や環境を生かし、「東京の夜を大人に楽しんでもらう」ことをテーマに、同施設エリア内においてプロジェクションマッピングを計画しました。
| 開催概要 | 内容 |
|---|---|
| 2023年12月 ウォーターズ竹芝 来場者数:7,000人 |
・『碧の奇跡』を題材とした幻想的な空間を演出 ・都心で働き、週末も都心で過ごす成人層や全国を観光する訪日客をターゲット ・クリスマスシーズンという実施時期をふまえ、港区のラグジュアリーなイメージや雪の結晶、ツリーなどの映像も工夫 |
イルミネーションとプロジェクションマッピングを融合させ、東京オリンピックで使用したものと同じ20,000ルーメン(広範囲を昼間のように照らすなど、極めて高い明るさの単位)のライトを使用したことで繊細な表現を実現しました。
来場者数は前年同時期の2倍以上(3,200人→7,000人)と、集客に成功しました。アンケートにおいても、78%が満足したという高評価を得たということです。
まとめ
「プロジェクションマッピング促進支援事業助成金」は、プロジェクションマッピングによって訪都旅行者の誘致促進や東京都の魅力を創出することを目的としています。企業がプロジェクションマッピングを活用することにより、集客や宣伝効果も得られるでしょう。
実施を検討している企業は、本制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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