離島移住に対して、国や地方自治体による支援制度があるのをご存知でしょうか。国土交通省によると、令和7年4月1日時点において島国である日本には、14,120の離島(※)があり、そのうち有人離島は256島としています。
※本州、北海道、四国、九州、沖縄本島を除く
旅行で訪れたことや海好きをきっかけに、豊かな自然に囲まれた離島での生活に憧れを抱く方は少なくありません。近年では、リモートワークの浸透により、仕事の自由度が高まったことから、離島への移住も不可能ではありません。
本記事では、離島移住に関する支援制度をご紹介します。現在離島移住を検討されている方はもちろん、将来的に離島への移住を考えている方は是非参考にしてください。
参照:日本の島嶼の構成 国土交通層
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この記事の目次
離島移住の魅力
近年、離島への移住を選ぶ人が少しずつ増加しています。たとえば、東京都の利島村では、20〜40代住民の約8割がIターン移住者であり、長崎県の五島市では、UIターン者数がここ数年で4倍近くに増えたというデータもあります。また、島根県の海士町では、移住者が住民の約2割を占めるまでに定着し、地域に新たな活気が生まれています。
こうした動きの背景には、離島ならではの暮らしの魅力があります。観光で訪れた場所が、「ここに住みたい」と感じる場所になる、そんなきっかけを与えてくれる環境が、離島には整いつつあるのです。
ここでは、移住先としての離島が持つ魅力について、5つのポイントをご紹介します。
大自然に囲まれて生活できる
目の前に広がるのは、真っ青な海と空。都会の喧騒を離れ、波音を聞きながら過ごす毎日は、まさに非日常の連続です。朝日や夕焼け、満点の星空など、自然の美しさを日常の中で感じられるのが、離島生活の大きな魅力です。
子育て・教育支援も充実している
離島=「不便」というイメージは、近年では当てはまらない地域も増えています。例えば、島根県の海士町では、妊娠・出産・保育などに対する祝い金や医療費助成など、結婚から子育てまでを手厚くサポートしています。また、新上五島町には子育て相談窓口や「しま留学」など教育機会均等化の制度があり、親子での移住でも安心です。長崎県五島市では、住宅支援や子育て世帯への引っ越し補助、教育資金支援なども整備されています。
近隣住民によるあたたかいコミュニティがある
島の暮らしでは、人との距離が近く、あいさつや助け合いが自然と根付いています。初めての土地でも地域に受け入れてもらえる安心感があり、孤立しにくいのもポイントです。人とのつながりを大切にしたい方にとっては、大きな価値となるでしょう
仕事の選択肢も豊富にある
通信環境の整備が進んだことで、離島でもリモートワークが十分可能になってきています。一部の自治体では、サテライトオフィスやコワーキングスペースの整備も進んでおり、自然を身近に感じながら働くスタイルが実現できます。
こうした暮らしに魅力を感じて、「一度の訪問が人生の転機になった」という人も少なくありません。もし「住んでみたいかも」と思ったら、その気持ちを支えてくれる制度も各地に整っています。
生活コストを抑えられる
離島移住では、生活コストを抑えられるのもメリットのひとつです。特に、家賃や交通費、レジャー費等が安く済みます。また、島内で採れた野菜や海鮮を使うことで食費も抑えられるでしょう。ただし、島外へ出る際の交通費負担が大きい点や、郵送物等の送料が本土より高くなる点は理解しておきましょう。
移住補助金で支援される主な内容一覧
離島への移住を後押しする補助金制度は、自治体ごとに内容が異なるものの、共通して以下のような支援を受けられることが多くあります。移住にかかる負担を減らし、安心して新しい暮らしをスタートできる制度です。
| 支援内容 | 例 |
|---|---|
| 引越し費用補助 | 島へ移住する際の交通費や荷物の運搬費を一部補助。割引制度を活用できる場合もあります。 |
| 家賃補助 | 民間賃貸住宅の家賃を一定期間補助。月額上限や補助期間は自治体により異なります。 |
| 住宅取得・改修費 | 空き家の購入やリフォーム費用を補助。空き家バンク制度と連動していることが多く、上限額も大きめです。 |
| 就業・起業支援 | 地元企業への就職や、地域資源を活かした起業を支援。求人サイトや創業支援金との連携制度もあり。 |
| 子育て支援 | 子どもを帯同して移住した世帯に対する加算金や、出産・育児に関する給付制度が充実しています。 |
| 体験滞在支援 | お試し移住にかかる宿泊費・交通費を助成。実際に暮らしを体験できるプログラムが用意されている地域もあります。 |
特に、体験滞在支援による移住体験等をすることで、現地での生活をより具体的にイメージしやすくなるでしょう。
お試し体験は、事前申し込み制が一般的です。仕事の都合などにより、体験できる時期が限定される方は、余裕をもって申し込みましょう。
離島移住のおすすめ5選と支援制度
国や地方自治体は、離島移住に対する支援をおこなっています。離島移住に必要な費用を補助してもらえたり、移住先の仕事や居住物件探しをしてくれるサポートを受けられる場合もあります。特に、移住資金に対する不安がある場合は、こうした支援制度をうまく活用することが大切です。
ここでは、主な移住支援を紹介します。
長崎県 五島市
長崎県五島市は、海や緑の大自然に囲まれ、ゆっくりとした時間を過ごせる島といわれています。特に、1年を通して過ごしやすい気候が特徴です。
長崎県の五島市では、東京圏からの移住者や子育て世帯を対象とした引越し補助、空き家活用のための改修費・処分費補助など、移住・定住を後押しする制度を複数用意しています。主な内容と補助額は以下のとおりです。
| 事業名 | 主な要件 | 補助額 |
|---|---|---|
| 子育て世帯引越し補助 | ・18歳未満の子を扶養し、同居している世帯 ・妊娠中で母子健康手帳を交付されている者を含む世帯 ・夫婦の両方が40歳未満の世帯 | 上限15万円 ※引越し業者に支払った実費相当額 ※1,000円未満切捨て |
| 面接旅費助成 | ・40歳未満である ・移住を目的に市内事業者の面接等を受ける方や起業調査する方 ・市の相談窓口に移住に関する相談をしている方 ・既移住者と交流面会をする方(Iターン者のみ) ・面接や起業調査にかかわる市内企業関係者と3親等以内の親族関係にない方 ・条件を満たす方の配偶者(40歳未満) | 上限6万円 ※対象経費の2/3以内 |
| 地方就職学生支援金 | 【移住等の要件】 《移住元要件》 ・東京圏の大学等を卒業(終業)していてその年度に東京圏内に継続して在住している 《移住先要件》 ・申請時に大学等の卒業(終了)日翌日から1年以内かつ就職日翌日から1年以内である ・5年以上居住する意思がある 【就職の要件】 《就職先に関する要件》 ・大学等の卒業(終了)日翌日から1年以内かつ就職日翌日から1年以内である ・就職先が官公庁でないかつ勤務地が五島市内である ・就職先が3親等以内の親族が経営を担う企業ではない 等 | 引越し費用(運送費)の実費額(上限なし) ※最低限の費用を証明できない場合は上限141,000円以内 |
| 移住支援金 | ・東京23区在住または通勤歴あり ・五島市へ転入後1年以内 ・5年以上の定住意思がある ・就業、創業、テレワーク、関係人口などの類型あり | 単身:最大60万円 2人以上の世帯:最大100万円 【加算金】 18歳未満の子ども1人につき30万円 |
| 空き家バンク改修・家財処分補助金 | ・空き家バンク登録物件の購入 ・賃借者、改修または家財処分の実施前に申請 | 改修費用:上限100万円(2/3補助) 家財処分費用:上限10万円(10/10補助) |
長崎県 対馬市
長崎県対馬市は、89%が山林で占められているとされ、美しい自然に囲まれています。国の天然記念物に指定されている原始林が残っていることでも有名です。
韓国にも近く、自然と歴史が色濃く残る対馬市では、市外からの移住者や若者・子育て世帯を対象にした多様な支援制度を展開しています。引越し・住宅・自動車購入・奨学金返還・結婚など、ライフステージに応じた支援が充実しています。
| 事業名 | 主な要件 | 補助額 |
|---|---|---|
| しま暮らし支援補助金 | ・市外から市内へ移住した方または市外に5年以上居住し市内に移住(移住後1年未満) ・今後も市内に住み続ける意思がある ・市税の滞納がない | 引越経費支援:上限20万円(2/3以内) 初期費用支援:上限5万円 家賃支援:上限3万円×3か月(1/2以内) 子育て世帯移住支援:扶養する中学生以下の子ども1人につき2万円 |
| 結婚移住奨励補助金 | ・夫婦いずれかが市外在住者 ・婚姻届受理から1年前後で転入 ・移住後1年未満 ・夫婦ともに50歳未満 ・市税の滞納がない | 1組あたり5万円 |
| ひとり親家庭移住支援補助金 | ・ひとり親家庭 ・市外から市内へ移住した方または市外に5年以上居住し市内に移住 ・移住後1年未満 ・令和5年3月1日以降に住民登録した方 ・市税の滞納がない方 | 就労奨励支援:10万円 自動車購入支援:上限30万円(補助率1/2以内) |
| ふるさと就職奨励補助金 | ・学校等を卒業(退学)して2年以内の方 ・市内企業に就職し1年以上継続雇用されている方 ・30歳未満の方 | 10万円 |
| 奨学金返還支援補助金 | ・30歳未満で市内に就業している方 ・引き続き本市に定住する方 ・学校等在学中に貸与を受けた奨学金を返還し、今後も定住する方 ※他の奨学金返還支援制度との併用不可 | 奨学金借入総額の1/2以内 【年度限度額上限】 大学・短期大学等:24万円 高等学校:8万2千円 高等学校~大学・短期大学:24万円 |
沖縄県(石垣市・国頭村・東村・本部町・伊江村)
夏の旅行でも人気の沖縄県は、美しい海が広がり、世界自然遺産の「やんばる」など、豊かな自然に囲まれています。一年中温暖な気候も特徴です。琉球王国時代の歴史や文化も感じられるなど、さまざまな魅力があります。
沖縄県では、東京圏からの移住者に対し、就業・起業・テレワーク・関係人口等を条件とした「移住支援金制度」を実施しています。令和8年度は、石垣市・国頭村・東村・本部町・伊江村が対象市町村となっており、移住先での就業や起業により最大100万円超の支援が受けられる仕組みです。
| 事業名 | 主な要件 | 補助額 |
|---|---|---|
| 移住支援金制度 | 【移住元の要件】 ・移住前の10年間のうち通算5年以上、かつ直前に連続して1年以上、東京23区または東京圏(条件不利地域以外)に在住 し、23区内に 通勤していた方 ・本制度募集開始以降に、対象地域に移住した方で、5年以上継続して居住する意思のある方 ・就業/起業/テレワーク/関係人口等のいずれかの要件を満たす そのほか、以下の要件あり ・【移住先の要件】 ・【就労の要件】 ・【世帯の要件】 ・【その他の要件】 | ・単身:60万円 ・2人以上の世帯:100万円 【加算額】 18歳未満の子ども1人につき最大100万円加算 |
主な就業要件
就労に関する要件について、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 「移住支援金対象求人」に応募して就職する場合
- 沖縄県または国が実施する人材マッチング事業(プロフェッショナル人材戦略拠点事業・先導的人材マッチング事業)を通じて、沖縄県内の企業に新規就職した場合
それぞれに細かい要件が設けられているため、公式サイトを確認しましょう。
起業・テレワーク・関係人口の要件
起業やテレワーク、関係人口の要件として
- 沖縄県のスタートアップ起業支援金の交付決定を受けていること
- 自己の意思で移住し、移住元の業務を継続するテレワーク勤務(週20時間以上)を行っていること
- 市町村により関係人口として認定された場合
などの要件も設けられています。
世帯の要件
世帯に関する主な要件は以下のとおりです。
- 申請者を含む2人以上の世帯員が移住元・申請時において、同一世帯に属していたこと。
- 申請者を含む2人以上の世帯員がいずれも、支給申請時において転入後1年以内であること。
- 暴力団等の反社会的勢力又は反社会的勢力と関係を有する者でないこと。
島根県 隠岐の島町
島根県の隠岐の島は、時代によって地形が変化し、姿を変えてきた島といわれています。美しい自然に囲まれ、日本海で採れる海の幸も魅力です。
隠岐の島町では、UIターン者や新卒者向けの定住奨励金のほか、同居・近居による支援、引越・交通費補助など、多様な移住支援制度を設けています。
| 事業名 | 主な要件 | 補助額 |
|---|---|---|
| ふるさと定住奨励金 | ・50歳未満で町外に転出後1年以上経過したUターン者 ・50歳未満で転入日から180日以内のIターン者 ・町内企業等への就職日から180日以内の新規学卒者 | 1世帯につき 5万円(最大30万円) 【加算額】 夫婦世帯:10万円 子育て世帯:子ども1人につき5万円(最大15万円) |
| 同居・近居移住支援金(旧村地域) | ・隠岐の島町の旧村地域(布施・五箇・都万・中村地区)に定住する方 | 同居世帯:基本額100万円 近居世帯:基本額50万円 【加算額】 子育て世帯:50万円 |
| 交通費助成・引越し費用割引(くらしまねっと等) | ・「しまね登録」に会員登録している方 ・「基本情報」「WEB履歴書」の必須項目を入力した方 | 交通費助成:半額助成(上限2万円、年度2回) 引越費用割引:アート30%、サカイ20%など |
香川県 小豆島町
香川県小豆島町は、美しい海と山に囲まれ、400年の伝統がある醤油製造や「オリーブの島」として知られています。本州や四国へも気軽に行ける交通の利便性が発達している点も魅力です。
香川県小豆島町では、定住のための家賃支援制度やUターンによるリフォーム支援などを実施しています。
| 事業名 | 主な要件 | 補助額 |
|---|---|---|
| 小豆島町移住促進家賃等補助金 | ・一時的な居住でなく、定住する意思があること ・住民登録時に満65歳未満かつ世帯構成員の1人以上が就労している ・転入前に3年以上小豆島群外で就労している ・民間賃貸住宅を借り上げている ・生活保護法に規定する住宅扶助その他の公的家賃補助を受けていない ・世帯構成員が町税等を滞納していない ・世帯全員が小豆島町東京圏UIJターン移住支援事業補助金を受給していない ・初年度申請時点で転入後5か月以内である | 家賃:管理費等を除く家賃から住宅手当を引いた金額の1/2(上限2万円) 初期費用:賃貸契約時の初期費用から事業主からの手当を引いた金額の1/2(上限6万円) |
| 【拡充】Uターン者同居リフォーム支援事業 | ・リフォームする住宅の所有者 ・Uターン者の2親等以内の直系尊属や卑属であること ・Uターン者が、小豆郡外で2年以上居住した後、町内の実家等の住宅へ定住の目的をもって住民票を異動する ・Uターン者が補助金申請日に満40歳未満である ・補助金実績報告書提出時に、Uターン者等が住民基本台帳に記録されていること ・Uターン者が、補助金交付後5年以上継続して対象住宅に居住すること ・対象者や同居親族、Uターン者家族に税金等の滞納がない ・過去に本事業を補助を受けていない(対象者・住宅) | リフォーム工事に要した費用の2分の1以内(上限100万円) ※ただし、Uターンする家族の人数から1を引いた数に20万円をかけた金額を加算した額(最大200万円) |
離島移住で確認すべきポイント
離島移住を検討する段階で、事前に確認しておくべきポイントをご紹介します。補助金の有無だけでなく、日々の暮らしや将来の展望を見据えたうえで、地域との相性をじっくり確認しましょう。
生活環境の確認
離島移住において、電気やガス、水道などの生活する上で欠かせないインフラが問題なく機能しているかどうかを確認しましょう。現地を訪れた際に地元住民の方の話を聞いたり、設備状況や地域体制などの情報収集をしておくと安心です。また、インターネットの通信環境や災害時の対応なども調べておきましょう。
居住物件の確認
移住したい離島に、居住できる物件があるかどうかを確認しておく必要もあります。希望する移住先エリアの家賃や物件価格の相場も併せて確認しましょう。
仕事など経済面の確認
離島移住する場合、仕事そのものや収入額など、経済面の確認も必要です。リモートワークなどにより、現在の仕事をそのまま継続できれば問題ありませんが、離島移住をきっかけに退職する場合は、経済面の見通しを立てておくことが必須です。離島移住においては、自治体等が就業支援などを行っている場合もあります。移住先での就職を考えている場合は、事前に就業支援について事前に確認しておきましょう。
まとめ
離島移住は、大自然に囲まれた環境や生活コストの抑制、地元住民によるコミュニティなど、さまざまな魅力があります。将来的に移住を検討している方も少なくないでしょう。
離島移住に対する支援制度が充実しているいま、新しい一歩を踏み出す機会かもしれません。離島移住に関する支援制度は、移住先によって異なります。スケジュール等も含め、計画的に情報収集しましょう。
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