2026年7月8日、離島移住を考える人にとって見逃せない法改正がありました。改正有人国境離島法が参議院本会議で可決・成立し、2027年3月末だった期限が2037年3月末まで10年間延長されたのです。あわせて北海道の天売島・焼尻島、山形県の飛島、東京都の新島・式根島、新潟県の粟島の6島が新たに支援対象へ加わりました。
この法律は、離島住民のフェリー運賃をJR並み、航空運賃を新幹線並みまで引き下げる「運賃低廉化」や、島の雇用を生み出す「雇用機会拡充事業」の財源になっているものです。つまり、島で暮らす人の交通費と仕事を国が支える仕組みが、あと10年続くことが確定しました。
国土交通省によると、日本は14,125の島から成り、本州・北海道・四国・九州・沖縄本島を除く14,120島が離島にあたります。このうち離島振興法の対象となる有人離島は255島。そこに暮らす人は約34万人で、日本の総人口のわずか0.27%にすぎません(令和8年4月1日現在)。
だからこそ、国も自治体も移住者を本気で呼び込もうとしています。本記事では、離島移住で使える補助金・支援金を国の制度から自治体独自の制度まで整理し、おすすめの移住先5エリアの2026年度(令和8年度)最新の支援内容、そして移住前に必ず確認すべきポイントまで解説します。
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この記事の目次
離島移住の補助金はいくらもらえる?国と自治体で最大200万円超
離島移住で受け取れる支援金は、国の移住支援金が単身60万円・2人以上の世帯100万円、18歳未満の子ども1人につき最大100万円の加算が基本です。これに自治体独自の引越費用補助や家賃補助、空き家改修補助が上乗せされるため、子育て世帯なら合計200万円を超えるケースもあります。
離島移住の支援制度は、大きく3階建ての構造になっています。それぞれ財源も窓口も違うため、順番に押さえておきましょう。
1階:国の「移住支援金」(地方創生移住支援事業)=東京圏からの移住者向け
2階:離島限定の「有人国境離島法」による運賃低廉化・雇用支援=住み始めてから効く
3階:市町村独自の補助金=引越・家賃・空き家改修・子育てなど
国の移住支援金とは?単身60万円・世帯100万円が受け取れる制度
国の移住支援金(地方創生移住支援事業)は、東京23区に在住または東京圏から23区へ通勤していた方が地方へ移住し、対象の就業要件を満たした場合に市町村から支給される制度です。支給額は単身60万円、2人以上の世帯で100万円。さらに18歳未満の子を帯同する場合は1人につき最大100万円が加算されます。
ただし、加算額は市町村ごとに設定が異なります。たとえば長崎県五島市の場合は18歳未満の子1人につき30万円加算という設定です。「最大100万円」は上限であって全国一律ではない点に注意してください。
主な要件は次のとおりです。
- 住民票を移す直前の10年間のうち通算5年以上、東京23区に在住、または東京圏(条件不利地域を除く)に在住し23区へ通勤していたこと
- 直前に連続1年以上、上記の状態であったこと
- 移住先に5年以上継続して居住する意思があること
- 就業・起業・テレワーク・関係人口のいずれかの要件を満たすこと
- 申請時点で転入後1年以内であること
テレワーク要件は「会社の命令ではなく自分の意思で移住し、移住元の業務を週20時間以上継続すること」。リモートワークで働く方は、この類型で申請できる可能性が高いといえます。
離島だけの支援「有人国境離島法」で運賃と仕事が支えられている
離島移住が他の地方移住と決定的に違うのは、有人国境離島法による住民向けの運賃補助があることです。特定有人国境離島地域に指定された島の住民は、フェリー運賃がJR運賃並み、航空路運賃が新幹線運賃並みまで引き下げられます。実際に、この交付金によって離島住民の航路運賃は約4割下がったと国会審議で確認されています。
指定されているのは8都道県・71島。長崎県の対馬・五島、島根県の隠岐、鹿児島県の種子島などが含まれます。2026年7月8日に成立した改正法により、天売島・焼尻島(北海道)、飛島(山形県)、新島・式根島(東京都)、粟島(新潟県)の6島が追加され、対象は77島に広がります。
もうひとつの柱が「雇用機会拡充事業」です。島に事業所を構える事業者の創業・事業拡大を交付金で支援し、島内の働き口を増やす仕組みで、この事業を活用した新規雇用者数は令和3年度までに累計1,704人に達しています。「島に仕事がない」という不安に、制度面から手当てがされているわけです。
自治体独自の支援は引越・家賃・空き家・子育ての4分野
市町村が独自に用意する補助金は、大きく4つの分野に分かれます。国の移住支援金の対象外(東京圏出身でない方など)でも、こちらは利用できるケースが多いのが特徴です。
| 支援の種類 | 主な内容と相場 |
|---|---|
| 引越費用補助 | 島へ移住する際の荷物運搬費を補助。上限15万〜20万円が中心。子育て世帯限定の制度も多い |
| 家賃・初期費用補助 | 民間賃貸の家賃を月1万〜3万円、一定期間補助。契約時の初期費用に上限5万〜6万円を出す自治体も |
| 空き家取得・改修補助 | 空き家バンク登録物件のリフォーム費用を補助。上限50万〜200万円と金額が大きい |
| 就業・起業支援 | 面接旅費の助成(上限6万円程度)、奨学金返還支援(年24万〜36万円)、起業支援金など |
| 子育て支援 | 出産祝い金、医療費無償化、保育料軽減、島留学など。子1人あたりの加算金を設ける自治体も |
| お試し移住・体験滞在支援 | 移住体験の宿泊費・交通費を助成。短期滞在住宅を安価に貸し出す自治体も多い |
特に注目したいのが、いちばん下の「お試し移住」です。島の暮らしは本土とは前提条件が違います。補助金を使って数日〜1週間滞在し、生活実感を確かめてから決めるのが、後悔しないための最短ルートといえるでしょう。
離島移住のおすすめ5選|2026年度の支援制度を比較
移住支援が手厚く、かつ移住実績のある離島を5エリア紹介します。いずれも2026年度(令和8年度)に申請できる制度です。金額や要件は年度途中に変わることがあるため、申請前に各自治体の窓口で最新情報を確認してください。
長崎県五島市|年間200名超が移住、移住支援金+空き家改修が充実
長崎県五島市は、福江島をはじめ10の有人島と53の無人島で構成される五島列島南西部の市です。世界文化遺産の教会群やジオパークを抱え、年間200名を超える方が移住しています。1年を通して寒暖差が小さく、離島のなかでも暮らしやすい気候が特徴です。
| 事業名 | 主な要件 | 補助額 |
|---|---|---|
| 移住支援金 | 東京23区に在住または東京圏から23区へ通勤・通学していた方/転入後1年以内/5年以上の定住意思/就業・起業・テレワーク等の要件を満たすこと | 単身60万円、2人以上の世帯100万円(18歳未満の子1人につき30万円加算) |
| 子育て世帯引越し補助 | 18歳未満の子を扶養し同居する世帯、または母子健康手帳の交付を受けた妊娠中の方を含む世帯/夫婦の双方が40歳未満 | 上限15万円(引越業者への支払実費相当額) |
| 空き家バンク改修・家財処分補助金 | 空き家バンク登録物件を賃借・購入する方/転入日から1年以内/交付後5年以上の居住意思 | 移住者:上限50万円/所有者・新婚家庭:上限100万円 |
| 面接旅費助成(移住希望者定住支援補助金) | 40歳未満で市内企業の面接・面談、または市内での起業に向けた物件調査を行う方 | 1人あたり上限6万円 |
| ばらかもん奨学助成金 | 五島市内で就労する35歳未満の方(その他条件あり) | Uターン者:年間36万円以内(月上限3万円)/Iターン者:年間24万円以内(月上限2万円) |
| 短期滞在住宅 | 定住に向けた仕事探し・住まい探しの拠点として利用する方 | 低廉な家賃で短期利用可(人気が高く数か月先まで満室のことも) |
奨学金の返還を抱えたまま移住したい20〜30代にとって、ばらかもん奨学助成金は実質的な収入増と同じ効果があります。Uターンなら年間最大36万円、5年で180万円規模の支援です。
長崎県対馬市|ライフステージごとに5つの補助金がそろう
長崎県対馬市は、面積の約89%を山林が占め、国の天然記念物である原始林が残る島です。韓国・釜山までは約50km。国境の島として、特定有人国境離島地域にも指定されています。対馬市の支援は「引越」「結婚」「ひとり親」「就職」「奨学金」と、ライフステージごとに整理されているのが特徴です。
| 事業名 | 主な要件 | 補助額 |
|---|---|---|
| しま暮らし支援補助金 | 市外に5年以上居住し、市内に転入後1年以内の方/引き続き市内に住み続ける意思がある方/市税等の滞納がない方 | 引越経費支援:対象経費の2/3以内・上限20万円/住宅借上初期費用支援:上限5万円/住宅家賃支援:家賃月額の1/2・上限3万円×3か月/子育て世帯移住支援:中学生以下の子1人あたり2万円 |
| 結婚移住奨励補助金 | 夫婦またはいずれかが市外から移住/夫婦ともに50歳未満/婚姻届受理日から前後1年以内に市内へ移住 | 1組あたり5万円 |
| ひとり親家庭移住支援補助金 | 中学生以下の子を扶養するひとり親家庭/市外に5年以上居住し転入後1年以内 | 就労奨励支援:10万円(就業して通算6か月以上経過)/自動車購入費支援:購入金額の1/2・上限30万円 |
| ふるさと就職奨励補助金 | 学校等を卒業して2年以内/市内企業に就職後1年以上経過/申請日時点で30歳未満 | 10万円(奨学金返還支援補助金との重複不可) |
| 奨学金返還支援補助金 | 市内企業に就労後6か月以上経過した30歳未満の方 | 年間(年度)上限24万円、5年間まで補助 |
ひとり親家庭への自動車購入支援は、離島移住の実情をよく踏まえた制度です。島内は公共交通が限られるため、車がないと生活が成り立たない地域が少なくありません。上限30万円の支援は、移住初期の大きな出費をやわらげてくれます。
沖縄県|令和8年度は石垣市など5市町村が移住支援金の対象
沖縄県では、令和8年度の移住支援金実施市町村が石垣市、国頭村、東村、本部町、伊江村の5市町村となっています(令和8年4月1日時点)。このうち石垣市と伊江村が離島にあたり、八重山の中心地である石垣市は移住先としても人気の高いエリアです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給額 | 単身60万円/2人以上の世帯100万円/18歳未満の世帯員1人につき最大100万円加算 |
| 移住元の要件 | 直前10年間のうち通算5年以上、東京23区に在住、または東京圏(条件不利地域を除く)に在住し23区へ通勤していたこと。直前に連続1年以上その状態であること |
| 移住先の要件 | 対象市町村に転入し、申請時に転入後1年以内であること。申請日から5年以上継続して居住する意思があること |
| 就業の要件 | 沖縄県の移住支援金対象求人に応募して就職(週20時間以上の無期雇用)、またはプロフェッショナル人材戦略拠点事業・先導的人材マッチング事業を利用して就業 |
| その他の類型 | 起業(県のスタートアップ起業支援金の交付決定を受ける)/テレワーク(週20時間以上、自己の意思による移住)/関係人口(市町村が個別に認定) |
| 返還規定 | 申請日から3年未満の転出は全額返還、3年以上5年以内の転出は半額返還 |
対象市町村は年度ごとに見直されます。移住先の市町村で事業の詳細が公表された後に転入した方が対象となるため、転入のタイミングを誤ると支給を受けられません。移住前に必ず市町村の窓口へ確認しましょう。また、予算の範囲内で実施されるため、年度途中で受付が終了する可能性もあります。
島根県隠岐の島町・海士町|Iターン率2割の島と定住奨励金
島根県の隠岐諸島は、離島移住の先進地として全国から注目を集めるエリアです。隠岐の島町では、UIターン者や新規学卒者を対象とした定住奨励金や、旧村地域への同居・近居を後押しする支援金を用意しています。
| 事業名 | 主な要件 | 補助額 |
|---|---|---|
| ふるさと定住奨励金(隠岐の島町) | Uターン者:町外へ転出し1年以上経過後に再転入した50歳未満の方で再転入から180日以内/Iターン者:50歳未満で転入から180日以内/新規学卒者:町内企業への就職日から180日以内 | UIターン者:1世帯につき5万円(最大20万円)。夫婦世帯は5万円加算、子育て世帯は子1人につき5万円加算(最大10万円)。新規学卒者:1人につき5万円 |
| 旧村地域Uターン同居・近居移住支援金(隠岐の島町) | 布施・五箇・都万・中村の旧村地域に定住する方 | 同居・近居の区分に応じて支給(詳細は町の窓口で確認) |
| 空家等改修・再生事業補助金/空家クリーニング事業補助金(隠岐の島町) | 町内の空き家を改修・再生、または清掃する方 | 工事内容に応じて補助 |
| 出産祝い金(海士町) | 海士町で出産した世帯 | 第1子10万円/第2子20万円/第3子50万円/第4子以降100万円 |
| 子ども医療費助成(海士町) | 0歳から18歳到達後最初の3月31日までの子ども | 医療保険適用分の自己負担が無料 |
隣接する海士町(中ノ島)は、島民の約2割がIターン者という地域です。高校生を全国から受け入れる「島留学」や、隠岐島前3町村(海士町・西ノ島町・知夫村)で1年間働きながら暮らせる「大人の島留学」など、移住前に島を体験できる仕組みが整っています。いきなり移住するのが不安な方には、こうした滞在型プログラムから始める選択肢もあります。
香川県小豆島町|本州・四国へのアクセスが良い「オリーブの島」
香川県小豆島町は、400年の伝統を持つ醤油づくりと日本のオリーブ栽培発祥の地として知られる島です。高松港からフェリーで約1時間、神戸や岡山からも定期航路があり、離島のなかでは本土アクセスが良好な部類に入ります。
| 事業名 | 主な要件 | 補助額 |
|---|---|---|
| 移住促進家賃等補助金 | 定住の意思があること/住民登録時に65歳未満かつ世帯構成員の1人以上が就労/転入前に3年以上小豆郡外で就労/民間賃貸住宅を借り上げ/初年度申請時点で転入後5か月以内 | 家賃:管理費等を除く家賃から住宅手当を引いた額の1/2(上限2万円)/初期費用:契約時の初期費用から事業主の手当を引いた額の1/2(上限6万円) |
| 「島暮らし」移住体験サポート事業補助金 | 県外に居住/町やNPO法人トティエの移住フェア・セミナーに参加し相談した日から2年以内/町内の宿泊施設を利用/観光や転勤等の滞在でないこと | 宿泊費:合計額の1/2(6,000円×人数×泊数が上限)/交通費:フェリー片道分の実費。対象者と同行者あわせて5人・7泊分まで |
| 【拡充】Uターン者同居リフォーム支援事業 | Uターン者の2親等以内の親族が所有する住宅/Uターン者が小豆郡外に2年以上居住後に町内の実家へ住民票を異動/申請日に40歳未満/交付後5年以上継続して居住 | 工事費の1/2以内・上限100万円。Uターンする家族の人数から1を引いた数×20万円を加算(最大200万円) |
| 移住定住促進事業(空き家バンク利用者向け) | 40歳未満の空き家バンク利用者 | 1人5万円 |
| 空き家の家財道具処分補助金 | 空き家バンク登録物件の家財処分を行う方 | 処分費用の一部を補助 |
小豆島町の移住体験サポート補助金は、離島移住を検討する第一歩として使いやすい制度です。同行者を含めて5人・7泊分まで対象となるため、家族そろって島の暮らしを確かめられます。
離島移住のメリットは?生活コスト・子育て・仕事の3つで整理
離島移住の主なメリットは、家賃を中心とした住居費の低さ、都市部を上回る水準の子育て支援、そして通信環境の整備によって現実的になったリモートワークの3つです。順番に見ていきましょう。
生活コストは家賃で下がり、交通費と送料で上がる
離島移住で最も下がりやすいのは住居費です。空き家バンクを使えば都市部の数分の一の家賃で戸建てに住めるケースもあり、駐車場代がかからない地域も多くあります。島内で採れた野菜や魚介を直売所で買えば、食費も抑えられるでしょう。
一方で、上がる費用もはっきりしています。島外へ出る際のフェリー代・航空券代、そしてネット通販の送料です。離島は送料が本土より高く設定されていることが一般的で、「送料無料」の対象外になる商品も少なくありません。特定有人国境離島地域なら住民向けの運賃低廉化が使えますが、対象外の島では交通費が家計を圧迫する要因になり得ます。
子育て支援は本土の自治体より手厚い島が多い
「離島は子育てに不便」というイメージは、支援制度の面では当てはまらなくなってきました。島根県海士町では出産祝い金が第1子10万円から第4子以降100万円まで設定され、子どもの医療費は18歳到達後最初の3月31日まで自己負担が無料です。長崎県新上五島町には「しま留学」など教育機会の均等化を図る制度があり、五島市も子育て世帯の引越補助や離島留学生の保護者向け補助を用意しています。
人口が少ない島では、1学年あたりの児童生徒数も少なくなります。少人数教育を魅力と捉えるか、同世代との関わりの少なさをリスクと捉えるかは、家庭の価値観次第です。
仕事はリモートワーク・島内求人・起業の3つの選択肢がある
離島での仕事は、大きく3つの選択肢に分かれます。1つ目は移住元の仕事を継続するリモートワーク。国の移住支援金にもテレワーク類型があり、週20時間以上の在宅勤務を続ければ対象になります。2つ目は島内での就職。有人国境離島法の雇用機会拡充事業により、島の事業者の求人は着実に増えています。3つ目は起業で、国の起業支援金(最大200万円)と移住支援金を併用すれば最大300万円の支援を受けられます。
サテライトオフィスやコワーキングスペースを整備する自治体も増えました。移住前に、希望する島の通信環境と働く場所の選択肢を確認しておきましょう。
離島移住のデメリットは?後悔しないための5つの確認ポイント
離島移住で後悔しやすいのは、医療・交通・買い物・仕事・人間関係の5点です。補助金の金額だけで移住先を決めると、暮らし始めてから想定外の負担に直面します。契約前に必ず確認しておきたい項目を整理しました。
医療体制は「専門科があるか」まで確認する
離島で最も重い制約が医療です。島に診療所はあっても、産婦人科医や小児科医が常駐していない島は珍しくありません。島根県海士町のように、出産のために島外の病院へ渡る必要がある地域もあります。持病がある方や妊娠・出産を控えた方は、通院頻度と島外への移動時間・費用を具体的に計算しておくべきです。海士町のように18歳以下の子どもの島外通院費(交通費・宿泊費)を助成する制度がある自治体もあるため、あわせて確認しましょう。
交通・気象条件で「島に閉じ込められる日」がある
フェリーは荒天で欠航します。台風シーズンや冬場の日本海側では、数日間本土へ渡れないことも起こり得ます。急な出張や冠婚葬祭に対応できるか、欠航時の代替手段(高速船・航空路の有無)はどうかを、移住前に住民の方から聞き取っておくと安心です。
買い物と物流は「送料」と「品揃え」の両面で見る
島内のスーパーは品揃えが限られ、専門店も少なくなります。ネット通販は使えますが、離島向けの追加送料が発生することが一般的です。日用品のまとめ買いと保管スペースを前提とした生活設計が必要になります。
収入の見通しは移住前に立てておく
リモートワークで現職を継続できるなら問題は小さいものの、移住を機に退職する場合は収入の見通しが不可欠です。島内の求人は職種が限られ、賃金水準も都市部とは異なります。自治体の就業支援窓口や、沖縄県の「りっか沖縄」のようなUIJターン就職支援センターに、移住前の段階で相談しておきましょう。
コミュニティとの距離感は事前の滞在で測る
島の暮らしは人との距離が近く、あいさつや助け合いが自然に根づいています。孤立しにくい一方で、地域行事や消防団などへの参加が事実上求められる地域もあります。この距離感が心地よいと感じるかどうかは、実際に滞在してみないと分かりません。お試し移住の補助金を使い、数日でも生活者の目線で過ごしてみることをおすすめします。
離島移住の進め方は?相談から申請までの5ステップ
離島移住は、情報収集から支援金の受給まで半年から1年程度かかるのが一般的です。順序を間違えると補助金の対象外になるため、次の流れを押さえておきましょう。
ステップ1:移住相談窓口・移住フェアで情報収集し、候補の島を2〜3か所に絞る
ステップ2:お試し移住・体験滞在の補助金を使い、実際に島で数日過ごす
ステップ3:仕事と住まいを並行して探す(移住支援金の対象求人か必ず確認)
ステップ4:転入前に市町村へ補助金の対象になるか照会し、申請時期を確認する
ステップ5:転入後、期限内(多くは1年以内)に各補助金を申請する
・「転入後1年以内」など期限が短い制度が多く、引越しの片付けをしているうちに期限を過ぎることがある
・移住支援金は「事業の詳細が公表された後の転入」が条件で、公表前に転入すると対象外になる
・改修工事や家財処分は「着手前の申請」が原則。先に工事を始めると補助を受けられない
離島移住の補助金に関するよくある質問
離島移住の補助金は東京に住んでいなくてももらえますか?
国の移住支援金(単身60万円・世帯100万円)は、東京23区在住者または東京圏から23区へ通勤していた方が対象のため、それ以外の地域からの移住では受け取れません。ただし、自治体独自の引越費用補助・家賃補助・空き家改修補助は、東京圏以外からの移住でも対象になる制度が多くあります。たとえば長崎県対馬市の「しま暮らし支援補助金」は、市外に5年以上居住していた方であれば居住地を問わず対象です。
離島移住でもらえる補助金は合計でいくらになりますか?
条件がそろえば200万円を超えるケースもあります。国の移住支援金が2人以上の世帯で100万円、18歳未満の子どもの加算が市町村により1人30万〜100万円、これに自治体の引越費用補助(上限15万〜20万円)や空き家改修補助(上限50万〜100万円)が加わるためです。さらに地域課題の解決につながる起業を行う場合は、国の起業支援金(最大200万円)と併用して最大300万円になる場合もあります。
移住支援金は転入前と転入後、どちらのタイミングで申請しますか?
申請は転入後に行いますが、多くの自治体で「申請時点で転入後1年以内」という期限が設けられています。また、移住先の市町村が当該年度の事業内容を公表した後に転入した方が対象となるため、公表前に転入すると対象外になります。転入する前の段階で、移住予定の市町村の窓口に「今の時点で転入した場合に対象になるか」を必ず確認してください。
移住支援金を受け取った後に島を出ると返還が必要ですか?
はい、返還が必要になる場合があります。沖縄県の例では、申請日から3年未満で受給した市町村から転出した場合は全額、3年以上5年以内の転出は半額の返還が求められます。虚偽の申請や、就業要件で受給した方が申請日から1年以内に対象の職を辞した場合も全額返還の対象です。ただし、勤務先の倒産や災害、病気などやむを得ない事情があると自治体が認めた場合は除かれます。
リモートワークのまま離島に移住しても補助金の対象になりますか?
対象になります。国の移住支援金には「テレワーク類型」があり、勤務先の命令ではなく自分の意思で移住し、移住先を生活の本拠として移住元の業務を週20時間以上テレワークで継続することが要件です。原則として恒常的に通勤しないことも条件になります。所属先企業からの資金提供を受けた移住は対象外となる場合があるため、勤務先の制度とあわせて確認しましょう。
離島移住の補助金に税金はかかりますか?
国の移住支援金は所得税法第34条に規定される一時所得に該当します。一時所得は年間50万円の特別控除があり、他の一時所得と合算して50万円を超える部分の2分の1が課税対象です。世帯で100万円を受け取った場合などは、受給した翌年に確定申告が必要になる可能性があります。空き家改修補助など経費に対する補助金は扱いが異なるため、個別に税務署または自治体へ確認してください。
離島の住民はフェリー代が安くなると聞きましたが本当ですか?
特定有人国境離島地域に指定された島の住民であれば、運賃が引き下げられます。有人国境離島法に基づく交付金により、航路運賃はJR運賃並み、航空路運賃は新幹線運賃並みを目安に低廉化されており、実際に離島住民の航路運賃は約4割下がりました。対象は8都道県・71島で、2026年7月8日に成立した改正法で天売島・焼尻島・飛島・新島・式根島・粟島の6島が追加されます。対象外の離島では適用されないため、移住先が指定地域か確認しましょう。
お試し移住の費用にも補助金は使えますか?
使えます。香川県小豆島町の「島暮らし」移住体験サポート事業補助金では、宿泊費の2分の1(6,000円×人数×泊数が上限)と、フェリー片道分の交通費実費が補助され、対象者と同行者あわせて5人・7泊分まで利用できます。長崎県五島市のように短期滞在住宅を用意する自治体や、島根県の隠岐島前3町村のように3か月〜1年の滞在型プログラムを設ける地域もあります。いずれも事前申し込み制が基本のため、余裕をもって手続きしましょう。
離島に仕事はありますか?未経験でも就職できますか?
有人国境離島法の雇用機会拡充事業により、島内の事業者の創業・事業拡大が交付金で支援されており、この事業を活用した新規雇用は令和3年度までに累計1,704人に達しています。農林水産業、観光・宿泊、医療・介護、建設などの求人が中心で、未経験可の募集も少なくありません。沖縄県の「りっか沖縄」のようなUIJターン就職サポートセンターや、各自治体の移住相談窓口で求人を確認できます。移住支援金の対象求人かどうかも、あわせて確認しましょう。
補助金の予算がなくなって受付が終わることはありますか?
あります。移住支援金は予算の範囲内で実施されるため、申請状況によっては年度途中で受付が終了します。市町村ごとに年度内で受け付けられる申請数の上限が異なる点にも注意が必要です。空き家改修補助なども先着順で締め切られるケースが多く見られます。移住のスケジュールが決まった段階で早めに窓口へ相談し、申請枠が残っているかを確認しておきましょう。
まとめ
離島移住は、国の移住支援金(単身60万円・世帯100万円・子ども1人につき最大100万円加算)を土台に、自治体独自の引越補助・家賃補助・空き家改修補助を重ねることで、200万円を超える支援を受けられる可能性があります。加えて2026年7月8日に改正有人国境離島法が成立し、運賃低廉化や雇用機会拡充といった離島限定の支援が2037年3月末まで継続することが決まりました。
一方で、医療体制や欠航リスク、買い物の不便さといった離島ならではの制約は、補助金では解消できません。だからこそ、お試し移住の補助金を活用して実際に島で過ごし、生活者の目線で確かめることが重要です。
支援内容は自治体ごとに大きく異なり、多くの制度に「転入後1年以内」といった期限があります。移住先の候補が固まったら、転入前の段階で市町村の窓口に相談し、申請できる制度と時期を確認しておきましょう。
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