人口減少や高齢化の進行に伴い、全国各地で空き家が増えています。長い間使われていない住宅は、老朽化や治安・景観の悪化といった地域課題につながる一方で、適切に改修すれば新しい住まいとして再生することができます。
こうした空き家や賃貸用住宅を「社会に役立つ住宅」として活用できるように設けられているのが、国が実施する「セーフティネット専用住宅改修事業」(住宅確保要配慮者専用賃貸住宅等改修事業)です。改修費用の一部に補助を受けられるため、空き家を有効に使いたい所有者や事業者にとって大きな後押しとなります。
本記事では、この制度の内容や補助額、対象となる工事、申請の流れについて解説します。
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この記事の目次
セーフティネット専用住宅改修事業とは
セーフティネット専用住宅改修事業は、空き家や古い賃貸住宅を、住宅に困っている人向けの住まいに再生するため、改修費等の一部を支援する制度です。本事業は、住宅確保要配慮者(子育て世帯や高齢者世帯など)の増加に対応するため、2017年にスタートした「新たな住宅セーフティネット制度」とあわせて始まりました。
参考:新たな住宅セーフティネット制度について
参考:住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律について
セーフティネット専用住宅改修事業は、このセーフティネット制度を支えるための改修費補助制度です。空き家や古い賃貸住宅がそのままでは住みにくい場合、バリアフリー化や耐震工事、子育て世帯向けの改修等が必要になります。その費用の一部を支援し、大家さんや事業者が安心して住宅を提供できるようにする仕組みです。
なお、本補助金を申請する住宅は一定の基準を満たしている必要があり、住宅確保要配慮者専用の住宅として10年以上登録することが求められます。
対象となる住宅の要件
本補助金を交付申請できるのは、以下の地方公共団体にある住宅です。| 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 旭川市、盛岡市、いわき市、水戸市、茂木町、さいたま市、西東京市、横浜市、川崎市、相模原市、長泉町、名古屋市、岡崎市、神戸市、加古川市、倉敷市、広島市、福山市、福岡市、北九州市、熊本市、大分市 |
所有する物件が上記の地域内にあるか、最初に確認しておきましょう。入居者となる住宅確保要配慮者は、以下のいずれかに該当する人(世帯)です。
①高齢者
②障害者
③子どもを養育している者
④被災者
⑤外国人
⑥低所得者
⑦中国残留邦人
⑧児童虐待を受けたもの
⑨ハンセン病療養所入所者等
⑩DV被害者
⑪拉致被害者
⑫犯罪被害者等
⑬更生施設退所者
⑭生活困窮者
⑮被災者(※準ずる区域として国土交通大臣が定めるもの)
⑯賃貸住宅供給促進計画に定める住宅確保要配慮者
また家賃に関しては、以下の金額を超えないように設定する必要があります。
ただし、住戸床面積が75㎡以上の一戸建て・長屋建てに限っては、上記の1.5倍の額を超えない金額に設定してください。
補助額と補助対象工事
本補助金の補助額は対象経費の1/3、上限額は1戸あたり50万円です。ただし、補助対象工事の内容によっては50万円~200万円、特定工事であれば上限1,000万円まで補助を受けられる場合があります。
詳しい工事内容と補助上限額は、以下をご覧ください。
| 補助対象工事等 | 補助限度額の上限(1戸あたり) |
| ①バリアフリー改修工事 ②耐震改修工事 ③共同居住用住居に用途変更するための改修工事 ④間取り変更工事 ⑤子育て世帯対応改修工事 ⑥防火・消火対策工事 ⑦交流スペースを設置する工事 | 100万円 |
| ⑧省エネ改修工事 ⑨安否確認のための設備の改修工事 ⑩防音・遮音工事 ⑪居住のために最低限必要な改修工事 ⑫調査において居住のために最低限必要と認められた工事 ⑬入居対象者の居住の安定確保を図るため住宅確保要配慮者居住支援協議会等が必要と認める改修工事 ⑭ ①から⑬までの工事に係る調査設計計画 | 50万円 |
| ⑮居住支援法人が見守り等の居住支援を行う住宅(専用住宅)として運営するために必要な改修工事に伴う準備費用 | 家賃3か月分(一定の要件を満たす場合、最大12か月分) |
上記の要件の他、対象となる改修工事をした場合、補助上限額は以下のようになります。
| 補助対象工事等 | 補助限度額の上限(1戸あたり) |
| ①バリアフリー改修工事のうち、エレベーターの設置工事を実施する場合 | 115万円 |
| ①バリアフリー改修工事のうち、車椅子使用者に必要な空間を確保した便所及び浴室等を整備するための工事を実施する場合 | 200万円 |
| ⑤子育て世帯対応改修工事に加え、②耐震改修工事・④間取り変更工事・⑧省エネ改修工事を行う場合 | それぞれの工事の限度額の合計額(200万円を超える場合は200万円) |
| ⑤子育て世帯対応改修工事のうち、子育て支援施設の併設工事を実施する場合 | 1施設あたり1,000万円 |
細かく補助上限額が設定されているため、ご自身が保有する住宅に適した工事計画を検討してみましょう。
補助対象者
本補助金を申請する補助対象者は、原則として改修工事等の発注者(法人・個人)で、かつ、専用住宅として登録する者に限られます。また、サブリース業者が登録・申請・工事発注を行い、補助金を受給することも可能です。
なお、補助金の交付を受ける人は、改修工事に関する責任を負う必要があります。
申請スケジュール
本補助金の申請期間は、令和7年4月2日(水)から 令和7年12月12日(金)です。専用サイトから必要書類をダウンロードし、作成の上メールで提出してください。
申請時に必要な書類は申請内容によって異なりますが、改修工事の場合は以下の書類が必要です。
①確認書・申告書・誓約書(申請者)
②要件適合確認書(申請者)
③工事等に係る適合確認書
④交付申請書
⑤補助金交付申請額・国庫補助金受入調書
⑥事業の概要及び補助要望額
⑦事業費総括表
⑧振込口座登録票
⑨対象住戸工事内容説明書(共同居住型以外)
⑩対象住戸工事内容説明書(共同居住型)
⑪共用部工事内容説明書(共同居住型以外・共同居住型)
⑫子育て支援施設工事内容説明書
⑬改修工事前の写真(外観・内観)・建物外観・改修を行う建物内観室内 全室
⑭委任状
⑮面積按分表
交付事務局に書類を直接持参しての申請はできません。記入内容について、交付事務局から連絡が来る場合があるため、必ず提出書類全ページの写しをとっておいてください。
申請の流れ
本補助金の申請手順は、事業の内容によって異なりますが、住宅の改修工事のみ補助申請する場合は以下の流れとなります。
| 手順 | 詳細 |
| ①登録申請 | 住宅確保要配慮者専用賃貸住宅として、市区町村等に申請する |
| ②交付申請の申し込み | 事前調査後、正式に提出扱いとなる |
| ③工事着手していないことを証明する写真の提出 | 交付決定後、該当の写真を提出する |
| ④改修工事着手 | 工事着手した写真を提出する |
| ⑤完了実績報告 | 改修工事完了後、完了報告書の提出。事前審査後、正式に提出扱いとなる |
| ⑥補助金の受領 | 報告書類の審査完了後、補助額確定、交付 |
| ⑦定期報告 | 1年に1回、10年間報告 |
原則として、専用住宅として登録した建物単位での申請が必要です。金融機関の融資を受ける場合には、融資の内諾を得た上で申請してください。関係会社等から調達を行う場合、補助金交付申請時に3者以上からの見積り結果の提出が求められます。
まとめ
セーフティネット専用住宅改修事業は、空き家や賃貸を有効活用し、住宅を必要とする人々へ安心な住まいを提供するための制度です。所有者や事業者にとっては、物件の活用を進めながら社会的な役割を果たせる大きな機会です。
また、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅として登録することで、ホームページ等で誰でも閲覧できる状態になるため、多くの人に周知されやすくなります。改修後は「住宅確保要配慮者専用住宅」として10年以上運営することが条件となりますが、地域課題の解決と資産活用を同時に実現できる制度といえるでしょう。
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