紙おむつやストーマ装具、電気式たん吸引器、電動ベッド――障害や難病のある方の暮らしに欠かせない用具は、1台で20万円を超えるものも珍しくありません。こうした購入費を市区町村が支援するのが「日常生活用具給付等事業」です。障害者総合支援法にもとづき、全国すべての市町村が必ず実施する事業と位置づけられています。
基準額は毎年のように見直されています。たとえば仙台市は2026年(令和8年)10月から、ストーマ装具の月額基準額を消化器系8,800円→9,800円、尿路系11,500円→12,500円へ引き上げました。利用者負担は多くの自治体で購入費の1割程度で、生活保護受給世帯・住民税非課税世帯なら0円です。
「給付される用具を一覧で知りたい」「紙おむつは障害者手帳でもらえる?」「吸引器はいくらまで補助される?」――この記事では、対象品目の一覧と基準額・耐用年数、紙おむつ・吸引器・ストーマ・人工喉頭の品目別ポイント、所得制限と自己負担、申請の流れと給付券の使い方までをまとめて解説します。
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この記事の目次
【一覧】日常生活用具給付の対象品目は?6区分と基準額の早見表
日常生活用具給付の対象品目は、国の告示で6つの区分に分けられています。具体的な種目と基準額(給付の上限額)は市区町村が決めるため、下の早見表は仙台市(令和8年度)の例です。
図のとおり、金額は区分ごとに大きく異なります。品目と金額をまとめて見たい方のために、主な種目を1つの表に整理しました。
| 区分 | 主な種目 | 基準額(仙台市の例) | 耐用年数 |
|---|---|---|---|
| ①介護・訓練支援用具 | 電動ベッド(特殊寝台) | 156,900円 | 8年 |
| ①介護・訓練支援用具 | 体圧分散マット(特殊マット) | 25,300円/エアーマット120,200円 | 5年 |
| ①介護・訓練支援用具 | 移動用リフト等 | 430,800円 | 4年 |
| ②自立生活支援用具 | 入浴補助用具 | 94,300円 | 5年 |
| ②自立生活支援用具 | 歩行補助つえ(T字状・棒状) | 4,500円 | 3年 |
| ②自立生活支援用具 | 移動・移乗支援用具(手すり等) | 62,900円 | 5年 |
| ③在宅療養等支援用具 | 吸引器(電気式たん吸引器) | 59,100円 | 5年 |
| ③在宅療養等支援用具 | ネブライザー(吸入器) | 30,000円 | 5年 |
| ③在宅療養等支援用具 | パルスオキシメーター | 9,900円 | 6年 |
| ④情報・意思疎通支援用具 | 人工喉頭(笛式/電動式) | 8,100円/70,100円 | 4年/5年 |
| ④情報・意思疎通支援用具 | 視覚障害者用読書器(拡大読書器) | 239,000円 | 8年 |
| ④情報・意思疎通支援用具 | 点字ディスプレイ | 398,000円 | 6年 |
| ⑤排泄管理支援用具 | ストーマ装具(消化器系/尿路系) | 月額9,800円/12,500円 | ― |
| ⑤排泄管理支援用具 | 紙おむつ等 | 月額12,600円 | ― |
| ⑥居宅生活動作補助用具 | 住宅改修費 | 209,500円 | ― |
出典:仙台市 日常生活用具の種目・基準額一覧(令和8年4月1日実施)、仙台市 ストーマ装具の基準額改定(令和8年10月以降)
区分ごとの全種目と対象者の要件は、このあとの「区分別」の見出しで詳しく紹介します。
日常生活用具給付等事業とは?対象者・根拠法をわかりやすく解説
日常生活用具給付等事業とは、障害者・障害児・難病患者等が日常生活に必要な用具を購入(または貸与)する費用を、市町村が支援する制度です。障害者総合支援法 第77条第1項第6号にもとづく地域生活支援事業の必須事業の1つで、平成18年10月に始まりました。
- 実施主体:市町村(全国すべての市区町村が実施)
- 根拠法:障害者総合支援法 第77条第1項第6号
- 対象者:日常生活用具を必要とする障害者・障害児・難病患者等(難病は政令で定める疾病に限る)
- 対象用具:6区分(介護・訓練支援用具/自立生活支援用具/在宅療養等支援用具/情報・意思疎通支援用具/排泄管理支援用具/居宅生活動作補助用具)
- 利用者負担:市町村の判断による(多くの自治体で原則1割・上限あり)
- 費用負担:国が50/100以内、都道府県が25/100以内を補助し、残りを市町村が負担
日常生活用具を利用できる対象者は?
日常生活用具の対象者は、用具を必要とする障害者・障害児・難病患者等です。具体的には次のような方が該当します。
- 身体障害者手帳をお持ちの方
- 療育手帳をお持ちの方
- 精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方
- 難病患者等(障害者総合支援法施行令に定める対象疾病による障害のある方)
ただし、手帳があれば何でも給付されるわけではありません。種目ごとに「下肢または体幹機能障害2級以上」「呼吸器機能障害3級以上」のような要件が定められています。難病患者等は身体障害者手帳がなくても対象ですが、手帳の要件と同程度の状態であることが求められます。
長期入院中・施設入所中の方は原則対象外です。ただし、ストーマ装具・紙おむつ・つえ・人工喉頭などは入院中・入所中でも給付する自治体があります。
日常生活用具に該当する3つの要件(厚生労働省告示第529号)
どの用具が日常生活用具に当たるかは、厚生労働省告示第529号(平成18年9月29日)が定めています。次の3要件をすべて満たし、かつ6区分のいずれかに当てはまる用具が対象です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| イ 安全性・実用性 | 障害者等が安全かつ容易に使用でき、実用性が認められるもの |
| ロ 自立支援・社会参加 | 日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、社会参加を促進すると認められるもの |
| ハ 専門性・非普及性 | 製作・改良・開発に障害に関する専門的な知識や技術を要し、日常生活品として一般に普及していないもの |
市販の家電や日用品が対象外になりやすいのは、要件「ハ」があるためです。スマートフォンやタブレットなど一般に普及した製品も同じ理由で対象外になりやすく、2023年(令和5年)には藤沢市などの自治体が、この要件の見直しを国に提案しています。
日常生活用具の基準額は厚生労働省が決めている?一覧はどこで見られる?
日常生活用具の基準額は、厚生労働省ではなく各市町村が決めています。国が定めているのは「3要件」と「6区分の用途・形状」までで、全国共通の品目リストや基準額表はありません。
そのため「日常生活用具 基準額 厚生労働省」で探しても、国の一覧表は見つかりません。同じ品目でも自治体によって金額が違い、ストーマ装具(消化器系)の月額基準額は仙台市9,800円、世田谷区12,450円と、2,000円以上の差があります。
お住まいの自治体の一覧は、次の方法で探すと見つかります。
- 検索キーワードは「〇〇市 日常生活用具 基準額」または「〇〇市 日常生活用具給付等事業 実施要綱」
- 要綱の「別表1」に、種目・基準額・対象者・耐用年数がまとめて載っていることが多い
- 種目と基準額は年度ごと、年度の途中にも見直される(仙台市は令和8年10月にストーマ装具の基準額を改定)
- 都道府県や市町村の単独事業として、国の例示にない品目が上乗せされていることもある
【区分別】日常生活用具の対象品目・基準額・耐用年数
ここでは、種目・基準額・耐用年数・対象者を公表している仙台市の一覧(令和8年4月1日実施、ストーマ装具は10月改定後)を例に、区分ごとの品目を紹介します。基準額と耐用年数は市町村ごとに異なるため、目安として参考にしてください。
①介護・訓練支援用具(電動ベッド・特殊マットなど)の基準額は?
介護・訓練支援用具は、介護や訓練に使う用具です。仙台市では電動ベッドが156,900円、移動用リフト等が430,800円と、高額な種目が多い区分です。
| 種目 | 基準額(仙台市) | 耐用年数 | 主な対象者 |
|---|---|---|---|
| 電動ベッド | 156,900円 | 8年 | 下肢・体幹機能障害2級以上 |
| 体圧分散マット(通常) | 25,300円 | 5年 | 下肢・体幹機能障害1級で常時介護が必要 |
| 体圧分散マット(エアーマット) | 120,200円 | 5年 | 同上 |
| 特殊尿器 | 88,400円 | 5年 | 下肢・体幹機能障害1級で常時介護が必要 |
| 体位変換用クッション | 15,300円 | 5年 | 下肢・体幹機能障害2級以上で介助が必要 |
| 移動用リフト等 | 430,800円 | 4年 | 下肢・体幹機能障害2級以上 |
②自立生活支援用具(入浴補助用具・つえ・手すりなど)の基準額は?
自立生活支援用具は、入浴・排泄・移動などを自分で行うための用具です。仙台市では入浴補助用具94,300円、歩行補助つえ4,500円が基準額です。
| 種目 | 基準額(仙台市) | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 入浴補助用具 | 94,300円 | 5年 |
| 介助型浴槽 | 264,000円 | 5年 |
| ポータブルトイレ等 | 23,400円 | 8年 |
| 歩行補助つえ(T字状・棒状) | 4,500円 | 3年 |
| 移動・移乗支援用具(手すり・スロープ等) | 62,900円 | 5年 |
| 頭部保護帽(オーダーメイド/既製品) | 36,750円/22,500円 | 3年 |
| 洗浄機能付便座 | 20,000円 | 8年 |
| 聴覚障害者用屋内信号装置 | 87,400円 | 10年 |
| 暗所視支援眼鏡(貸与) | 33,000円(3か月あたり) | ― |
③在宅療養等支援用具(たん吸引器・ネブライザーなど)の基準額は?
在宅療養等支援用具は、自宅での療養を支える用具です。仙台市では電気式たん吸引器59,100円、ネブライザー30,000円が基準額です。
| 種目 | 基準額(仙台市) | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 吸引器(電気式たん吸引器) | 59,100円 | 5年 |
| ネブライザー(吸入器) | 30,000円 | 5年 |
| 透析液加温器 | 51,500円 | 5年 |
| パルスオキシメーター | 9,900円(特殊な機器が必要な場合154,000円) | 6年 |
| 視覚障害者用体温計 | 9,000円 | 5年 |
| 視覚障害者用体重計 | 16,500円 | 5年 |
④情報・意思疎通支援用具(人工喉頭・点字器・拡大読書器など)の基準額は?
情報・意思疎通支援用具は、情報の入手や会話を助ける用具です。点字ディスプレイ398,000円、拡大読書器239,000円など、基準額の大きい種目が集まっています。
| 種目 | 基準額(仙台市) | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 人工喉頭(笛式) | 8,100円 | 4年 |
| 人工喉頭(電動式) | 70,100円 | 5年 |
| 携帯用会話補助装置 | 98,800円 | 5年 |
| 情報・通信支援用具 | 110,000円 | 5年 |
| 点字器 | 10,780円 | 4年 |
| 点字タイプライター | 82,000円 | 5年 |
| 点字ディスプレイ | 398,000円 | 6年 |
| DAISY図書プレーヤー(録音再生機/再生専用機) | 85,000円/48,000円 | 6年 |
| 視覚障害者用読書器(拡大読書器) | 239,000円 | 8年 |
| 視覚障害者用時計 | 18,700円 | 6年 |
| 聴覚障害者用情報受信装置 | 88,900円 | 6年 |
| ファクシミリ | 17,800円 | 5年 |
⑤排泄管理支援用具(紙おむつ・ストーマ装具など)の基準額は?
排泄管理支援用具は、ストーマ装具や紙おむつなど排泄管理のための用具・衛生用品です。この区分だけは基準額が「月額」で決められており、消耗品のため耐用年数はありません。
| 種目 | 基準額(仙台市) | 備考 |
|---|---|---|
| ストーマ装具(消化器系) | 9,800円(月額) | 令和8年10月に8,800円から引き上げ |
| ストーマ装具(尿路系) | 12,500円(月額) | 令和8年10月に11,500円から引き上げ |
| 紙おむつ等 | 12,600円(月額) | 3歳以上・要件あり。尿とりパッド等を含む |
| 洗腸装具 | 12,600円 | 耐用年数6か月 |
| 収尿器 | 7,800円 | 耐用年数1年 |
⑥居宅生活動作補助用具(住宅改修費)の基準額は?
居宅生活動作補助用具は、段差の解消や手すりの取り付けなど、小規模な住宅改修を伴う用具です。仙台市の住宅改修費の基準額は209,500円で、対象は下肢・体幹機能障害4級以上の方などです。
介護保険の住宅改修や、国・自治体のリフォーム補助と対象が重なる場合があります。どの制度を使うのが有利か、工事の前に窓口で確認しておくと安心です。
紙おむつは障害者手帳で支給される?対象者と金額
紙おむつは「排泄管理支援用具」として日常生活用具の対象です。ただし、手帳を持っているだけでは支給されず、常時おむつが必要な状態であることなどの要件があります。金額は月額12,000円前後を上限とする自治体が多く、仙台市は月額12,600円、神戸市は月額12,000円です。
日常生活用具の紙おむつの対象者は?
紙おむつの対象者は、多くの自治体で「3歳以上」かつ次のいずれかに当てはまる方です。神戸市が令和5年4月支給分から拡大した対象者の例を紹介します。
- 3歳未満に発現した脳原性運動機能障害による、下肢または体幹機能障害のある方
- 重度の知的障害のある方(療育手帳A)
- 難病等が原因で、下肢または体幹機能障害のある方
- ぼうこう・直腸機能障害があり、ストーマ装具の代わりに紙おむつが必要な方
いずれも「排泄の意思表示が難しく、自力でトイレに行けず、介助による定時排泄もできない」ことが条件です。仙台市でも、ストーマ周辺の皮膚のただれで装具を付けられない方や、先天性疾患による高度の排尿・排便機能障害がある方などを対象としています。
障害児のおむつ助成は何歳から?
日常生活用具の紙おむつは、3歳以上を対象とする自治体が一般的です。3歳未満の子どもは健常児でもおむつを使う年齢のため、対象外とされています。
なお、18歳未満の児童は所得制限を撤廃した自治体が増えており、保護者の所得にかかわらず申請できるケースが多くなっています。
自治体独自の「紙おむつ支給事業」もある
日常生活用具とは別に、自治体が独自に紙おむつを支給している場合があります。たとえば東京都大田区の「紙おむつ支給事業」は、3歳以上65歳未満で常時紙おむつが必要な方のうち、特別障害者手当・障害児福祉手当・東京都重度心身障害者手当のいずれかを受給している方が対象です。
ただし大田区では、日常生活用具で紙おむつを受け取っている方はこの事業の対象外です。複数の制度を同時に使えるとは限らないため、どちらが自分に合うか窓口で確認してください。高齢者向けには、介護保険の地域支援事業として紙おむつを支給する自治体もあります。
おむつ代は医療費控除の対象になる?
自己負担したおむつ代は、条件を満たせば医療費控除の対象になります。おおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている方が、医師の発行する「おむつ使用証明書」を添えて確定申告する仕組みです。
要介護認定を受けている方は、2年目以降は主治医意見書の内容を市区町村が確認した「確認書」で代えられます。給付を受けた分(公費負担分)は控除の対象外で、実際に自分で払った金額だけが対象です。
吸引器の購入に補助は出る?たん吸引器・鼻水吸引器の扱い
電気式たん吸引器は「在宅療養等支援用具」として日常生活用具の対象です。仙台市の基準額は59,100円(耐用年数5年)で、対象は呼吸器機能障害3級以上、または同程度の障害があり必要と認められる方などです。
医療用のたん吸引器はいくら補助される?
基準額59,100円の範囲なら、自己負担は原則1割の5,910円です(世帯の負担上限額が低ければその額まで)。基準額を超える製品を選んだ場合、超過分はそのまま自己負担になります。
医療保険による給付が優先される場合があるほか、ネブライザー(吸入器)とは別の種目です。両方が必要なときは、まとめて窓口に相談してください。
家庭用の電動鼻水吸引器は対象になる?
乳幼児の鼻水ケアに使う家庭用の電動鼻水吸引器は、それだけでは日常生活用具の対象になりません。日常生活用具の吸引器は、呼吸器機能障害など障害や疾病の要件を満たす方が対象だからです。
一方、障害者手帳がなくても、小児慢性特定疾病医療受給者証を持つお子さんは「小児慢性特定疾病児童等日常生活用具給付事業」で吸引器を受けられる場合があります。堺市では電気式たん吸引器の基準額を62,040円としています。
吸引器はレンタルできる?
日常生活用具の吸引器は「購入費の給付」が基本で、レンタル費用を対象とする自治体はまれです。在宅で医療的ケアを受けている方は、医療機関から機器が貸し出されることもあるため、主治医や訪問看護に先に確認するとよいでしょう。
ストーマ装具の給付は?一時的ストーマでも受けられる?
ストーマ装具は「排泄管理支援用具」として、人工肛門(消化器系)や人工膀胱・尿路変更(尿路系)を造設した方が対象です。皮膚保護剤、固定用ベルト、剥離剤、蓄尿袋などの付属品も基準額の範囲に含まれます。
月額基準額は、仙台市が消化器系9,800円・尿路系12,500円(令和8年10月改定後)、世田谷区が消化器系12,450円・泌尿器系13,650円です。1回の手続きで1年分をまとめて申請できる自治体が多く、継続利用者には毎年更新の案内が届きます。
一時的ストーマは対象になる?
一時的に造設したストーマは、身体障害者手帳の認定対象にならないため、原則として日常生活用具の対象外です。ただし、自治体によっては独自に対象としています。
たとえば東京都江戸川区は、一時的なストーマ造設のため手帳の対象にならない方にも、所定の意見書を出せばストーマ装具に限り給付しています。造設したら、退院前に市区町村の窓口へ問い合わせてみましょう。
電気式人工喉頭の補助はいくら?
人工喉頭は「情報・意思疎通支援用具」として、喉頭を摘出して声を失った方が対象です。仙台市の基準額は、電動式(電気式人工喉頭)が70,100円(耐用年数5年)、笛式が8,100円(耐用年数4年)です。
入院中・施設入所中でも給付する自治体が多い種目です。電気式人工喉頭は5万円前後〜10万円前後の製品があるため、見積額が基準額を超えないかを申請前に確認しておくと、想定外の出費を防げます。
日常生活用具給付等事業に所得制限はある?
多くの自治体では、本人または配偶者の市町村民税所得割額が46万円以上の場合、給付対象外です。仙台市もこの基準を採用しています(4〜6月の申請は前年度の税額で判定)。
一方、18歳未満の児童は所得制限を撤廃する自治体が広がっています。国が2024年(令和6年)4月に障害児の補装具費の所得制限を撤廃したのに続き、日常生活用具でも撤廃が進みました。仙台市は2024年11月から18歳未満の所得制限をなくしています。撤廃の有無と時期は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村で確認してください。
自己負担はいくら?世帯の収入状況別の負担上限額
厚生労働省は利用者負担を「市町村の判断による」としており、全国一律の負担割合はありません。実際には原則1割負担とし、世帯の課税状況で負担上限額を設ける自治体が多くなっています。
仙台市はシンプルな3区分で、生活保護世帯・住民税非課税世帯は0円、住民税課税世帯は1割負担(月額上限37,200円)です。世田谷区(令和8年4月時点)はさらに細かく、次のように分けています。
| 区分 | 世帯の収入状況 | 利用者負担額 |
|---|---|---|
| 生活保護・低所得 | 生活保護受給世帯・住民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 住民税課税世帯(所得割額24,000円未満) | 購入費用の1割(上限1,120円) |
| 一般2 | 住民税課税世帯(所得割額24,000円以上55,000円未満) | 購入費用の1割(上限2,350円) |
| 一般3 | 住民税課税世帯(所得割額55,000円以上100万円未満) | 購入費用の1割(上限37,200円) |
| 一般4 | 住民税課税世帯(所得割額100万円以上) | 全額 |
世田谷区では、給付対象者が18歳未満の場合、所得割額100万円以上の世帯でも一般3として扱われます。負担を判定する世帯の範囲は、18歳以上なら「本人と配偶者」とする自治体が一般的です。
基準額を超えたらどうなる?計算例
基準額を超えた分は1割負担の対象にならず、全額が自己負担になります。基準額59,100円の吸引器を80,000円で購入した場合の内訳は、次の図のとおりです。
基準額内なら5,910円で済んだ負担が、超過分を含めると26,810円になります。製品を選ぶときは、見積額が基準額に収まるかを必ず確認しましょう。
日常生活用具はレンタルできる?耐用年数・修理費の扱い
厚生労働省は本事業を「用具を給付又は貸与すること等」による事業としており、貸与(レンタル)も制度上は想定されています。ただし実際に貸与を行うかは自治体の判断で、多くの種目は購入費の給付です。
レンタル(貸与)に対応する種目はある?
仙台市は暗所視支援眼鏡を貸与種目とし、3か月あたり33,000円を基準額としています。高額で使用期間が限られる用具を貸与で扱う例です。
65歳以上の方や特定疾病のある40〜64歳の方は、介護保険の「福祉用具貸与」で車いす・特殊寝台・手すり・スロープなどをレンタルできます。この場合は介護保険が優先されます。
耐用年数内に買い替えはできる?
種目ごとに耐用年数があり、耐用年数内は原則として再給付を受けられません。仙台市では電動ベッド8年、吸引器5年、歩行補助つえ3年、聴覚障害者用屋内信号装置10年です。破損や身体状況の変化など特別な事情があれば例外が認められることもあるため、窓口に相談してください。
ストーマ装具や紙おむつなど月額で支給される消耗品は、耐用年数の対象外です。また、同一種目の給付は1世帯1件とする自治体が一般的です。
修理費は給付される?
修理費の扱いは自治体によって異なります。仙台市は「修理費」を独立した種目とし、電動ベッド・体圧分散マット・携帯用会話補助装置は各10,500円、視覚障害用具は50,000円(点字ディスプレイは100,000円)を基準額にしています(原則1回限り)。
修理費を支給しない自治体もあります。壊れたら自己負担と決めつけず、まず窓口に確認しましょう。なお補装具費支給制度では、修理費は全国共通で支給対象です。
介護保険・医療保険が優先されるのはどんなとき?
日常生活用具給付等事業は、他の制度で給付を受けられる場合はそちらが優先されます。介護保険、医療保険、労働者災害補償保険法、戦傷病者特別援護法による給付が代表例です。
| 優先される制度 | 主な重複品目・場面 |
|---|---|
| 介護保険(福祉用具貸与・購入、住宅改修) | 特殊寝台、特殊マット、特殊尿器、体位変換器、移動用リフト、入浴補助用具、ポータブルトイレ、歩行補助つえ、手すり、スロープ等 |
| 医療保険 | 人工鼻など、特定保険医療材料として給付されるもの |
| 労働者災害補償保険法・戦傷病者特別援護法 | 業務災害・戦傷病が原因の障害への給付 |
65歳になって介護保険の被保険者になると、それまで日常生活用具で受けていた品目が介護保険に切り替わることがあります。切り替え時期が近い方は、障害福祉窓口と介護保険窓口の両方に確認しておきましょう。
補装具との違いは?
補装具は身体機能を補う・代わりになる装具(義肢・車いす・補聴器等)、日常生活用具は日常生活を便利にする用具全般が対象です。品目・基準額を国が全国一律で決めるか、市町村が決めるかも大きな違いです。
| 比較項目 | 日常生活用具給付等事業 | 補装具費支給制度 |
|---|---|---|
| 根拠 | 障害者総合支援法 第77条第1項第6号(地域生活支援事業) | 障害者総合支援法(自立支援給付) |
| 品目・基準額の決定 | 市町村が独自に決定 | 国が全国一律で定める |
| 対象 | 日常生活の便宜を図る用具全般 | 身体機能を補完・代替する装具(義肢・車いす・補聴器等) |
| 修理 | 市町村の判断(対象外の自治体もある) | 全国共通で支給対象 |
| 専門的判定 | 原則不要(医師の意見書が必要な種目あり) | 医師等による専門的な判定が必要 |
車いすや歩行器、補聴器を探している方は、日常生活用具ではなく補装具の窓口が入口です。
障害者手帳がない子どもは?小児慢性特定疾病児童等日常生活用具給付事業
障害者手帳がないお子さんでも、小児慢性特定疾病医療受給者証があれば「小児慢性特定疾病児童等日常生活用具給付事業」を利用できる場合があります。障害者総合支援法とは別の、児童福祉法にもとづく制度です。
対象は、在宅で療養する小児慢性特定疾病児童等のうち、障害者総合支援法など他の制度の対象にならない方です。堺市では、電気式たん吸引器(基準額62,040円)、ネブライザー(39,600円)など19品目を給付しています。自己負担は世帯の所得に応じた階層で決まり、生活保護世帯は0円です。
障害者総合支援法の日常生活用具と同じ用具を重ねて受けることはできません。どちらの制度に該当するかは、市区町村の窓口で確認してください。
日常生活用具の申請の流れと給付券の使い方は?
申請の大原則は、用具を買う前に市区町村の窓口へ申請することです。給付決定(給付券の交付)の前に購入すると、ほとんどの自治体で補助の対象外になります。
図の①〜⑥の順で進むのが一般的です。各ステップのポイントは次のとおりです。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①相談・事前確認 | 市区町村の障害福祉窓口で、希望する用具が給付対象か、要件を満たすかを確認する |
| ②見積書の取得 | 販売業者から見積書を取る。種目名・単価・数量・合計金額の記載が必要 |
| ③申請書の提出 | 日常生活用具給付申請書と見積書・カタログ等を提出する(医師の意見書が必要な種目あり) |
| ④審査・給付決定 | 市区町村が審査し、給付決定通知書と日常生活用具給付券を交付する |
| ⑤用具の購入 | 給付券を販売業者に渡し、自己負担額だけを払って用具を受け取る |
| ⑥公費分の請求 | 販売業者が市区町村へ公費負担分を請求する(代理受領方式) |
申請書は市区町村のホームページや窓口で入手できます。ストーマ装具・紙おむつなどの継続申請は、オンライン申請に対応する自治体も増えています。
日常生活用具給付券とは?使い方を解説
日常生活用具給付券とは、給付決定後に市区町村から届く書類です。この券を販売業者に渡すと、利用者は自己負担額だけを払えば用具を受け取れます。公費分は業者が市区町村に直接請求するため、全額を立て替える必要はありません。
ストーマ装具など継続して使う消耗品は、給付券が複数枚まとめて届きます。世田谷区では給付券1枚が2か月分で、消化器系ストーマ装具なら基準額12,450円×2か月=24,900円が1枚の額面です。その1割の2,490円が、原則としてその券の自己負担額になります(負担上限額が低ければ上限額まで)。
- 給付決定の前に購入した用具は、ほとんどの自治体で対象外
- 使える販売業者が指定されている場合がある
- 一度全額を払い、後から助成分を受け取る「償還払い方式」の自治体もある
- 基準額を超えた分は、1割負担ではなく全額自己負担
日常生活用具給付等事業に関するよくある質問
日常生活用具給付の対象品目の一覧はどこで確認できますか?
お住まいの市区町村の公式サイトで確認できます。国が定めているのは6区分(介護・訓練支援用具、自立生活支援用具、在宅療養等支援用具、情報・意思疎通支援用具、排泄管理支援用具、居宅生活動作補助用具)の枠組みまでで、全国共通の品目リストや基準額表はありません。「〇〇市 日常生活用具 基準額」で検索すると、種目・基準額・対象者・耐用年数をまとめた一覧(要綱の別表)が見つかります。
日常生活用具の基準額は厚生労働省が決めていますか?
いいえ。基準額は各市町村が実施要綱で決めています。厚生労働省は告示第529号で用具の3要件(安全性・実用性、自立支援と社会参加の促進、専門性があり一般に普及していないこと)と6区分を示すのみで、金額は定めていません。そのため同じ品目でも金額が異なり、ストーマ装具(消化器系)の月額基準額は仙台市9,800円(令和8年10月改定後)、世田谷区12,450円です。
紙おむつは障害者手帳があれば支給されますか?
手帳があるだけでは支給されません。多くの自治体で、3歳以上かつ常時おむつが必要な状態であることが条件です。神戸市では、脳原性運動機能障害のある方、重度の知的障害のある方(療育手帳A)、難病等による下肢・体幹機能障害のある方、ストーマ装具の代わりに紙おむつが必要な方などを対象とし、基準額は月額12,000円です。仙台市の基準額は月額12,600円です。
障害児のおむつ助成は何歳から受けられますか?
日常生活用具の紙おむつは、3歳以上を対象とする自治体が一般的です。3歳未満は健常児でもおむつを使う年齢のため対象外とされています。18歳未満の児童は所得制限を撤廃した自治体が増えており、仙台市は2024年11月から所得制限をなくしています。
電気式たん吸引器はいくらまで補助されますか?
仙台市の基準額は59,100円(耐用年数5年)です。対象者は呼吸器機能障害3級以上、または同程度の障害があり必要と認められる方などです。基準額内なら自己負担は原則1割の5,910円ですが、基準額を超える製品を買うと超過分は全額自己負担です。医療保険による給付が優先される場合もあります。
家庭用の電動鼻水吸引器は補助の対象になりますか?
乳幼児の鼻水ケアに使う家庭用の電動鼻水吸引器は、それだけでは日常生活用具の対象になりません。日常生活用具の吸引器は、呼吸器機能障害など障害や疾病の要件を満たす方が対象です。小児慢性特定疾病医療受給者証を持つお子さんは、小児慢性特定疾病児童等日常生活用具給付事業で吸引器を受けられる場合があります。
一時的ストーマでもストーマ装具の給付を受けられますか?
一時的なストーマは身体障害者手帳の認定対象にならないため、原則として対象外です。ただし自治体によっては独自に対象としており、東京都江戸川区は、一時的なストーマ造設で手帳の対象にならない方にも、所定の意見書の提出を条件にストーマ装具を給付しています。退院前にお住まいの市区町村へ確認してください。
電気式人工喉頭の補助金はいくらですか?
人工喉頭は「情報・意思疎通支援用具」として、喉頭を摘出した方が対象です。仙台市の基準額は電動式(電気式人工喉頭)が70,100円(耐用年数5年)、笛式が8,100円(耐用年数4年)です。自己負担は原則1割で、基準額を超えた分は全額自己負担になります。
日常生活用具に所得制限はありますか?
多くの自治体では、本人または配偶者の市町村民税所得割額が46万円以上の場合は給付対象外です。仙台市もこの基準を採用しています。一方、18歳未満の児童は所得制限を撤廃する自治体が広がっており、仙台市は2024年11月から撤廃しています。撤廃の有無と時期は自治体ごとに異なります。
自己負担はいくらになりますか?
厚生労働省は利用者負担を「市町村の判断による」としており、全国一律の割合はありません。多くの自治体は原則1割負担で、世帯の課税状況による上限額を設けています。生活保護受給世帯・住民税非課税世帯は0円とする自治体が一般的で、仙台市では住民税課税世帯の上限が月額37,200円です。基準額を超える金額は全額自己負担です。
おむつ代は医療費控除の対象になりますか?
おおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている方が、医師の発行する「おむつ使用証明書」を添えて確定申告すれば、自己負担したおむつ代が医療費控除の対象になります。要介護認定を受けている方は、2年目以降は主治医意見書の内容を市区町村が確認した確認書で代えられます。日常生活用具などで公費が出た分は控除の対象外です。
日常生活用具はレンタル(貸与)できますか?
制度上は貸与も想定されていますが、実施するかは自治体の判断で、多くの種目は購入費の給付です。仙台市は暗所視支援眼鏡を貸与種目とし、3か月あたり33,000円を基準額としています。65歳以上の方などは、介護保険の福祉用具貸与で車いす・特殊寝台・手すりなどをレンタルでき、この場合は介護保険が優先されます。
用具の修理費は給付されますか?
自治体によって異なります。仙台市は修理費を独立した種目とし、電動ベッド・体圧分散マット・携帯用会話補助装置は各10,500円、視覚障害用具は50,000円(点字ディスプレイは100,000円)を基準額にしています(原則1回限り)。修理費を支給しない自治体もあります。補装具費支給制度では修理費は全国共通で支給対象です。
耐用年数内に買い替えることはできますか?
耐用年数内は原則として再給付を受けられません。仙台市では電動ベッド8年、吸引器・ネブライザー5年、歩行補助つえ3年、聴覚障害者用屋内信号装置10年などです。破損や身体状況の変化など特別な事情があれば例外が認められることもあります。ストーマ装具や紙おむつなど月額で支給される消耗品は耐用年数の対象外です。
給付券(日常生活用具給付券)はどう使いますか?
給付決定後に市区町村から届く給付券を、購入先の販売業者に渡します。利用者は自己負担額だけを業者に払い、公費分は業者が市区町村へ直接請求します(代理受領方式)。ストーマ装具などの継続品目は給付券が複数枚まとめて届き、世田谷区では1枚が2か月分です。償還払い方式の自治体や、業者を指定している自治体もあります。
介護保険を使っている場合はどうなりますか?
介護保険で受けられる用具は、介護保険が優先されます。重複しやすいのは特殊寝台、特殊マット、特殊尿器、体位変換器、移動用リフト、入浴補助用具、ポータブルトイレ、歩行補助つえ、手すり、スロープなどです。65歳になる前後で給付元が切り替わることがあるため、障害福祉窓口と介護保険窓口の両方に確認しておくと安心です。
補装具との違いは何ですか?
補装具は義肢・装具・補聴器・車いすなど身体機能を補う装具が対象で、品目や基準額は国が全国一律で定め、医師等の専門的な判定が必要です。日常生活用具は日常生活を便利にする用具全般が対象で、品目・基準額・対象者要件は各市町村が決めます。修理費は補装具では全国共通で支給対象ですが、日常生活用具では市町村の判断です。
難病患者も日常生活用具を利用できますか?
はい。障害者総合支援法施行令で定める対象疾病による障害のある方は、身体障害者手帳がなくても対象です。ただし、手帳の要件と同程度の状態であることが求められ、給付できる種目が限られる場合があります。市区町村の障害福祉窓口に相談してください。
障害者手帳がない子どもでも利用できますか?
小児慢性特定疾病医療受給者証を持つお子さんは、児童福祉法にもとづく小児慢性特定疾病児童等日常生活用具給付事業を利用できる場合があります。堺市では電気式たん吸引器(基準額62,040円)、ネブライザー(39,600円)など19品目が対象です。障害者総合支援法の日常生活用具と同じ用具を重ねて受けることはできません。
まとめ
日常生活用具給付等事業は、障害者総合支援法第77条第1項第6号にもとづき、全国すべての市町村が実施する必須事業です。対象品目は6区分に分かれ、電気式たん吸引器・紙おむつ・ストーマ装具・電動ベッド・人工喉頭・住宅改修など幅広い用具が給付されます。
- 品目・基準額・耐用年数は市町村が決める(国の一覧表はない)
- 仙台市の例:吸引器59,100円、紙おむつ等 月12,600円、ストーマ装具 月9,800円(消化器系・令和8年10月〜)、住宅改修費209,500円
- 自己負担は原則1割・上限あり。生活保護世帯・住民税非課税世帯は0円が一般的
- 基準額を超えた分は全額自己負担
- 本人・配偶者の所得割46万円以上は対象外の自治体が多い。18歳未満は撤廃が進む
- 必ず購入前に申請し、給付券を受け取ってから購入する
基準額は年度の途中にも改定されることがあります。手帳がないお子さんでも小児慢性特定疾病の制度で給付を受けられる場合があるため、まずはお住まいの市区町村の障害福祉窓口に相談してみましょう。
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