酒類業振興支援事業費補助金は、日本産酒類の海外展開や新市場開拓を支援する制度です。2026年度は「海外展開支援枠」と「新市場開拓支援枠」の2つの枠があり、酒類の輸出拡大や酒類業の経営改革・構造転換を目指す酒類事業者にとって有益な支援内容になっています。
今回は酒類業振興支援事業費補助金の概要や対象事業、申請手続きを解説します。
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この記事の目次
酒類業振興支援事業費補助金とは
酒類業振興支援事業は、日本産酒類のブランディングやインバウンド需要の獲得といった、海外展開に向けた取組を支援する制度です。また、国内外における新市場開拓に向けた取組も支援の対象となります。
本制度では、目的に応じて以下の2つの枠が設定されています。
| 海外展開支援枠 | 日本産酒類の輸出拡大を図るとともに、酒類業の健全な発達を促進する |
|---|---|
| 新市場開拓支援枠 | 酒類業の経営改革・構造転換を図るとともに、酒類業の健全な発達を促進する |
申請要件
2つの申請枠のうち、新市場開拓支援枠に限っては、以下の賃金要件をすべて満たすことが求められます。
・かつ、売上額又は付加価値額を年率平均3%以上増加させる事業計画を策定していること
給与支給総額とは、全従業員(非常勤含む)及び役員に支払った給与等(給与、賃金、賞与及び役員報酬等を指し、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)のことを指します。また、付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものです。
なお、海外展開支援枠については、賃金要件は設定されていません。
申請対象となる事業者
酒類業振興支援事業費補助金の補助対象となるのは、日本国内に所在する酒類事業者、または酒類事業者を少なくとも1者以上含むグループです。そのほか、主な要件は以下のとおりです。
■当事業にて市場獲得を目指す対象国の中に、経済制裁が行われている国が含まれていないこと
■納付すべき国税に滞納がないこと
■過去3年間に酒税関係法令に違反し、罰金以上の刑に処せられていないこと
■「酒類の公正な取引に関する基準」に違反した場合、指示を受けた事項を改善していること
また令和3年度から令和5年度の国税庁の酒類事業者向け補助金の補助事業者の場合は、提出期限の到来した事業化状況報告書を提出済であることも必要です。
対象となる事業
枠ごとの対象となる事業は、以下のとおりです。
海外展開支援枠
| ①日本産酒類の海外販路拡大や商品等の高付加価値化に関する取組 |
|---|
| 日本産酒類の高付加価値化や、商品のブランド化を推進する取組 ・強みを活かした海外展開をするための現地調査およびブランド戦略の構築 ・海外のし好に即した新商品開発や、新規ブランドの立上げのための調査研究 ・地理的表示(GI)やテロワール等を海外向けのブランド化に活用する取組 等 |
| ②酒蔵の観光化や地域における酒蔵ツーリズムプラン策定の取組 |
| インバウンドによる海外需要の拡大を目指し、酒蔵自体の観光化や、観光事業者・交通機関・地方公共団体等と連携して周遊・滞在型観光「酒蔵ツーリズム」を推進し、日本産酒類の認知度向上等を図る取組 ・酒蔵自体が観光化を通じて行う、観光客の受け入れ整備や消費拡大につながる取組 ・観光客が、酒蔵等で高付加価値な体験(酒造りや宿泊等)ができる受け入れ環境整備 等 |
| ③酒類事業者による酒米産地との連携を活かした新たな取組(海外展開またはインバウンド向け) |
| 酒類の原料である酒米の不足や価格が高騰していることを踏まえて行う取組等 ・地元酒米農家との契約による、ストーリー性を持たせた高付加価値商品の海外展開 ・地元酒米農家と連携した、インバウンド向け酒米・酒造り体験等を行う環境の整備に向けた取組 等 |
日本酒を新たに海外展開するための取組や、海外旅行者向けのプラン等が対象です。
新市場開拓支援枠
| ①商品の差別化による新たなニーズの獲得 |
|---|
| 消費者のニーズを掘り起こすとともに、既存商品と差別化された酒類を開発することを目的とした事業 ・食品とのペアリングに特化した商品や、地方産品の特性を生かした商品の開発 ・地元・活用した休耕田の収穫物を原材料とした商品の開発 ・個人に対するオーダーメイド商品の開発体制の構築 等 |
| ②販売手法の多様化による新たなニーズの獲得 |
| 消費者の多様なニーズに応えるサービスを提供することを目的とした事業 ・商品情報の充実による販売促進 ・テイスティング等の顧客体験を重視した販売形態の確立 ・データ分析等を用いた、顧客の嗜好に合致した商品の販売手法の導入 等 |
| ③ICT技術を活用した、製造・流通の高度化・効率化 |
| これまで専門家の経験等に依拠していた作業にICT技術を活用する等、製造・流通の高度化・効率化を図る事業 ・製造:AI技術等を活用した品質管理システムの導入 ・流通:RFIDやAIカメラ等を活用した管理システムの導入 等 |
| ④酒類事業者による酒米産地との連携を活かした新たな取組 |
| 酒類の原料である酒米の不足や価格が高騰していることを踏まえて行う取組等 ・契約栽培先の多角化等による、酒米を安定的に確保できる体制の構築 ・地域の農家との連携を強化し、他県産米から自県産米への切替を促進する取組 等 |
新たな技術を活用したり、他業種と連携しての商品開発等が対象です。
支給額
枠ごとの補助率、補助上限額は以下のとおりです。
【海外展開支援枠】
| 補助率 | 1/2 |
|---|---|
| 補助上限 | 1,000万円以内 ※グループ申請の場合最大1,500万円 |
| 補助下限額 | 50万円 |
【新市場開拓支援枠】
| 補助率 | ・小規模事業者:2/3 ・その他の事業者:1/2 |
|---|---|
| 補助上限 | 500万円以内 |
| 補助下限額 | 50万円 |
いずれの申請枠においても、申請する補助金額が50万円未満の場合は補助対象外です。また、新市場開拓支援枠の場合、採択後から交付決定までの間または交付決定後に「小規模事業者の定義」からはずれた場合は補助率が1/2に変更となります。
なお、「小規模事業者の定義」とは、以下の要件を指します。
常勤従業員数が20人以下(卸売業・小売業では5人以下)の法人又は個人
補助対象経費
対象となる経費は、以下のものです。
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| ①設備等費 | 設備等の購入・制作・構築・改良・据付・検査・実験等の経費 |
| ②謝金 | 指導・助言等を受けるために依頼した専門家または委嘱した委員に支払う謝礼 |
| ③旅費 | 情報収集や各種調査や会議、打合せ等、販路開拓のための旅費 |
| ④借損料 | 設備等のリース料・レンタル料 |
| ⑤通訳・翻訳費 | 通訳および翻訳を依頼する場合に支払われる経費 |
| ⑥会議費 | 会議、講演会またはシンポジウム等に支払われる経費 |
| ⑦広報費 | 広告および広告媒体等を活用するための経費 |
| ⑧委託費 | 業務の一部を第三者に委託する経費 |
| ⑨外注費 | 業務の一部を第三者に外注する場合の経費 |
| ➉マーケティング調査費 | ユーザーニーズ調査等を行うための経費 |
| ⑪産業財産権等取得等費 | 産業財産権等の取得等のための経費 |
| ⑫展示会等出展費 | 試作品・新商品等を展示会、EC サイト等に出展・出店・出品するための経費 |
| ⑬雑役務費 | 業務・事務を補助するために臨時的に雇い入れた者のアルバイト代や交通費 |
| ⑭原材料等費 | 試作品等の原材料・副資材等の経費 |
| ⑮設計・デザイン費 | 試作品等の設計・デザイン・製造・改良・検査または実験を行うための経費 |
| ⑯出演料 | プロモーション活動において著名人等を起用する場合の経費 |
| ⑰運営費 | プロモーション活動等の運営に要する経費 |
上記以外は補助対象経費として認められません。なお、補助対象となるのは、本事業の対象として明確に区分できるものに限られます。
酒類業振興支援事業費補助金の申請について
申請はJグランツで行います。入力情報は申請者自身が内容を十分に理解し、確認したうえで、申請者本人が申請してください。
なお本補助金の申請には、GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。未取得の場合は、まずは利用登録を行ってください。
申請は、大まかに以下の流れとなります。
| ①公募申請 |
| ②採択者向け説明会 |
| ③交付申請 |
| ④交付決定 |
| ⑤補助金状況報告(提出の求めがあった場合) |
| ⑥中間検査 |
| ⑦実績報告 |
| ⑧確定検査(交付額の報告) |
| ⑨補助金の請求 |
| ⑩補助金の支払い |
| ⑪事業化状況の報告 |
必要に応じて、⑤の補助金状況報告が求められます。
受付期間
第1期、第2期の受付期間は、以下のとおりです。
■第1期
令和8年1月19日(月)~令和8年2月17日(火)17:00まで
■第2期
令和8年2月 18 日(水)~令和8年4月 13 日(月)17:00まで
締め切り時間までに電子申請を行ってください。GビズIDプライムアカウント発行が遅れたこと等による、申請期限の猶予は認められないので注意が必要です。
必要な書類
申請に必要な主な書類は、以下のとおりです。
■補助事業計画書
■参画事業者等
■経費明細表
■経費一覧表
■役員等名簿
■補助事業概要書
■事業実施に際しての確認票
■申請者の決算書
なお「海外展開支援枠」で申請する場合は、一部書類の提出が不要になります。そのほか、各種加点を受けようとする場合には別途書類の提出が必要です。
酒類業振興支援事業費補助金に関するよくある質問
最後に、酒類業振興支援事業費補助金に関するよくある質問と回答をまとめました。どのような場合にグループ申請ができる?
たとえば以下の場合が想定されます。
・酒類の免許を有していないが本補助金の趣旨に合致したプランを計画している場合
・酒類の免許を有する酒類事業者と連携してグループ申請を行う場合
・これまで輸出実績がない酒類事業者において、輸出にノウハウを持つ事業者と連携してグループ申請を行う場合 等
採択者向けの説明会とは?参加は必須?
採択者向けの説明会では、国税庁の補助金担当者が留意事項等説明します。必ず参加してください。
酒類以外の商品開発は対象になる?
補助金の趣旨・目的から、原則として、酒類以外の商品の開発を目的とする事業は補助対象となりません。
新たに製造する商品の、製造免許取得の設備要件を満たすために必要な機械等は申請できる?
既に果実酒の製造免許を受けていれば本補助金の申請は可能ですが、新たな製造免許取得の設備要件を満たすために必要な機械等を補助対象とすることはできません。
まとめ
酒類業振興支援事業費補助金は、日本産酒類の輸出拡大と酒類業の経営改革・構造転換を支援する補助金制度です。海外展開支援枠では海外販路拡大やブランディング、酒蔵ツーリズム、酒米産地との連携等が対象となります。
日本産酒類の競争力強化と新たな市場開拓を目指す酒類事業者は、ぜひ活用を検討してみてください。
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