ポストコロナ時代において、テレワークは一般的な働き方の一つとして定着してきました。一方で、これから導入を進める企業では、専門家のサポートを必要とするケースも多いことが推測されます。
東京都では令和7年(2025年)度から「テレワークトータルサポート助成金」が新たに設置されました。本事業は助成金交付のほか、専門家による無料相談やコンサルティングが受けられる、総合的なサポート体制が特徴です。
今回はテレワークトータルサポート助成金の概要や申請方法をまとめました。令和6年度まで実施されていた各種制度との違いや、そのほかのテレワーク支援制度もあわせて紹介します。
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この記事の目次
テレワークトータルサポート助成金とは
テレワークトータルサポート助成金は、テレワークの導入・定着・促進を目指す企業等に対し、ICT等の専門家による助言やテレワーク機器等の導入に係る経費の助成を行うものです。
助成金額や支援内容、対象者の要件等を詳しくみていきましょう。
助成金額
テレワークトータルサポート助成金では、以下の3つの支援が設定されています。
(1) 相談窓口
テレワークに関する様々な相談や質問に対応します。企業等の状況に応じて、コンサルティングや助成金が案内されます。
(2) コンサルティング(最大12回)
相談窓口で聴取した企業の実情に応じて、ICT等の専門家が派遣されます。業務の棚卸や機器およびツールの選定、規定の整備、運用課題の解決等についての助言を行い、テレワークの導入・定着・促進に向けた取組を支援されます。
(3) 助成金(テレワークトータルサポート助成金)
上記の相談窓口を利用した企業のうち、希望する企業に対してテレワーク機器等導入経費、環境整備に係る経費が助成されます。
助成金額は、以下のとおりです。
| 事業者の規模 | 助成率 | 助成限度額 |
| 30人以上999人以下 | 1/2 | 250万円 |
| 2人以上29人以下 | 2/3 | 150万円 |
なお育児・介護休業法への対応またはBCP(猛暑対策)を導入した場合、以下の加算が受けられます(加算コースのみの申請はできません)。
| コース名 | 内容 | 金額 |
| 育児・介護コース | 3歳未満の子の養育又は介護期従業員を対象とするテレワーク規定を整備した場合に加算 | 定額20万円 |
| 職場環境改善コース | 猛暑時のテレワークが困難な業務従事者に対し、電動ファン付ウエア等を貸与するなどの取組に助成 | ・最大50万円(1人あたり1万円が上限) ・助成率10/10 |
猛暑対策にも使える加算項目
連日続く猛暑の中、屋外や空調設備の整わない現場では、労働者の熱中症リスクが現実的な課題となっています。テレワークの適用が難しい業務では、暑さによる体調不良が業務の安全性や継続性を脅かす場面も少なくありません。
こうした状況に対応するため、本助成金では前述のとおり、「加算項目:職場環境改善コース」として、猛暑時にテレワークができない業務に従事する従業員への熱中症対策用品の導入費用を全額(助成率10/10)助成しています。
助成対象となるのは、以下の5項目に限られます。
| 遮熱ヘルメット | 赤外線を反射したり遮熱素材を練り込むことで、暑い場所でも内部の温度上昇をおさえるヘルメット |
| 電動ファン付き作業服 | 電力によって作動するファンを内蔵し、体温を下げる機能を有する衣服 |
| クールベスト | 保冷剤等を利用して体温を下げる機能を有する衣服 |
| 水冷服 | 冷却水を内部に循環させる機構を有し、体温を下げる機能を有する衣服 |
| 熱中症予防ウェアラブルデバイス | 熱中症のリスクを回避する機能のある着用可能な機器 |
これらの製品は税込1,000円以上10万円未満である必要があり、1人あたり1万円を上限として、最大50万円までの助成が受けられます。
申請にあたっては、テレワーク相談窓口および専門家によるコンサルティングを受け、交付される「コンサルティング内容確認書」に記載された人数・個数の範囲内で導入する必要があります。また、支給決定前に購入したものは対象外となるため、スケジュールには注意が必要です。
熱中症対策は、働く人の健康を守るだけでなく、業務の停滞や事故を未然に防ぐ事業継続計画としての効果も期待できます。テレワーク困難な業務もある企業にとって、本加算項目は使いやすく役立つ支援といえるでしょう。
主な要件
対象事業者の主な要件は、以下のとおりです。
- 常時雇用する労働者が2人以上999人以下
- 都内に本社または事業所を置く、中堅・中小企業等
- 東京都が実施する「テレワーク相談窓口」を利用すること
事業の流れ
テレワークトータルサポート助成金では、まずテレワーク相談窓口を利用する必要があります。その後、必要に応じてコンサルティングを受け、希望する助成内容に応じて、助成金の支給申請を行います。
全体の流れは、以下のとおりです。

出典:公益財団法人東京しごと財団
(1) 支給申請
(2) 審査
(3) 事業実施・完了
(4) 実績報告
(5) 助成金交付
続いて、テレワークトータルサポート助成金の申請方法や期間をみていきましょう。
申請方法
申請は「テレワーク相談窓口」を利用後、郵送または電子申請(jGrants)のいずれかで行います。申請内容に応じて「テレワークトータルサポートコンサルティング」の利用が必要です。
申請受付期間は、以下のとおりです。
令和7年6月10日(火曜)から令和8年2月27日(金曜)まで
なお窓口への持参による申請はできません。
テレワークトータルサポート助成金とそのほかの支援策の違い
東京都では、過去にも多くのテレワーク関連の支援が行われてきました。ここからは、過去の支援策と、本事業との違いを見ていきましょう。令和6年度までのテレワーク関連支援策
これまで設置された主なテレワーク支援制度は、以下のとおりです。
■テレワーク促進助成金
都内中堅・中小企業等が取り組むテレワークの活用推進に向け、情報通信機器等の導入によるテレワーク環境の整備を支援します。
| 事業者の規模 | 助成率 | 助成限度額 |
| 30人以上999人以下 | 1/2 | 250万円 |
| 2人以上30人未満 | 2/3 | 50万円 |
■テレワーク導入ハンズオン支援助成金
中堅企業等および中小企業等がハンズオン支援コンサルティングを受けた場合、テレワーク導入の取組みに係る経費が助成されます。
| 事業者の規模 | 助成率 | 助成限度額 |
| 30人以上999人以下 | 1/2 | 250万円 |
| 2人以上30人未満 | 2/3 | 150万円 |
■育児・介護との両立のためのテレワーク導入促進助成金
育児・介護と仕事の両立支援を契機として、都内中小企業等がテレワークを導入する際の就業規則の見直しや、テレワーク環境構築に係る費用が助成されます。
| 事業者の規模 | テレワーク規程の整備 | テレワーク機器等の整備 |
| 30人以上999人以下 | 20万円(定額) | 80万円(助成率は1/2) |
| 2人以上30人未満 | 20万円(定額) | 30万円(助成率は2/3) |
■テレワーク定着促進フォローアップ助成金
テレワークの定着・促進に向けて、制度導入済みの中堅・中小企業等を支援します。「テレワーク課題解決コンサルティング」の実施とあわせ、課題解決に必要なテレワークツール等の導入経費が助成されます。
| 助成率 | 助成限度額 |
| 1/2 | 100万円 |
いずれも、新規申請受付は終了しています。
【これまでの支援策との違いは?】
テレワークトータルサポート助成金では、設備導入費の一部が助成されるだけでなく、相談窓口やコンサルティングが無料で活用できます。助成額も最大250万円(常時雇用する労働者が30人以上の事業者は150万円)と大きく、育児・介護休業法への対応またはBCP(猛暑対策)としてリモートワークを導入した場合には加算が受けられます。
テレワークトータルサポート助成金は、これまでの制度よりさらに使いやすく、社会的需要に則した制度といえるでしょう。
そのほかの令和7年度テレワーク関連支援策
令和7年度、東京都ではテレワークトータルサポート事業のほか、以下の支援事業が実施されます。
■ABWオフィス促進事業
仕事の内容や目的に合わせて、従業員が場所や時間を選んで生産性の高い仕事が可能となる「ABW」(Activity Based Working)の導入を目指す中小企業等が支援されます。
■テレワークとオフィス勤務のベストバランス推進事業
テレワークを進める上での課題とその解決策について検討し、自社に最適な「テレワークルール(我が社のベストバランス)」等を定めた都内中堅・中小企業等に奨励金が支給されます。
■サードプレイス活用促進事業(ワーケーション勤務導入奨励金)
都内中小・中堅企業等がワーケーション勤務を可能とする規定を新たに整備し、従業員がワーケーション勤務を行った場合に、奨励金が支給されます。
■テレワーク普及促進プロジェクト(東京都テレワークポータルサイト)
テレワーク関連施策の紹介のほか、多様な働き方に関するセミナーやテレワーク先進企業の見学会等が実施されます。
なお東京テレワーク推進センターは、令和7年3月31日(月)で運営終了となりました。
まとめ
テレワークトータルサポート助成金は、東京都が令和7年度から開始した総合的なテレワーク支援制度です。最大250万円の機器導入費助成に加えて、無料の相談窓口と専門家コンサルティングが無料で受けられます。
さらに育児・介護対応や猛暑対策(BCP)としてテレワークを導入する場合は、最大70万円の加算も受けられます。
テレワークでは導入から定着まで、一貫したサポートが必要なケースも少なくありません。テレワークトータルサポート助成金をはじめとする支援制度を活用し、多様な働き方に対応した環境整備を進めていきましょう。
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