「せっかく開発した製品があるのに、どう売り込めばいいか分からない」「展示会に出展したいが、費用の壁が高い」——都市課題の解決に貢献できる製品・サービスを持ちながら、販路開拓に悩む中小企業は少なくありません。
東京都と公益財団法人東京都中小企業振興公社は、防災・安全安心、高齢者・介護・障害者支援、DX推進、暑さ対策といった都市課題の解決に資する製品・サービスを持つ都内中小企業の販路拡大を強力に後押しする制度を設けています。それが「課題解決型製品・サービス等の販路拡大助成(課題解決販路)」です。展示会出展などの販路開拓費用を最大150万円・助成率2/3で支援するこの制度、令和8年度の第1回申請受付は7月10日(金)〜7月31日(金)17時です。
この記事では、令和8年度の対象分野・助成内容・必要書類・申請スケジュールを、募集要項・申請マニュアル・必要書類一覧の3資料をもとに詳しく解説します。
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この記事の目次
課題解決型製品・サービス等の販路拡大助成(課題解決販路)とは
「課題解決型製品・サービス等の販路拡大助成」(通称:課題解決販路)は、東京都中小企業振興公社が実施する「課題解決型技術開発促進事業」全体の販路拡大フェーズを担う助成制度です。
・正式名称:課題解決型技術開発促進事業(販路拡大助成)一般枠
・通称:課題解決型製品・サービス等の販路拡大助成【課題解決販路】
・実施主体:公益財団法人 東京都中小企業振興公社
・助成限度額:150万円(開発枠は350万円)
・助成率:対象経費の2/3以内(千円未満切捨て)
・申請方法:Jグランツによる電子申請のみ(GビズIDプライムアカウント必要)
・問い合わせ:企画管理部助成課「課題解決販路」担当
TEL:03-3251-7895(平日9時〜12時/13時〜17時)
e-mail:shijo-josei@tokyo-kosha.or.jp
制度全体の位置づけ——試作品開発助成との連携
本制度は「課題解決型技術開発促進事業」という大きな枠組みの中の販路拡大フェーズに当たります。制度全体の構造は以下のとおりです。
| ステージ | 制度名 | 助成限度額 |
|---|---|---|
| 開発フェーズ | 課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成) | 2,000万円 |
| 販路拡大フェーズ【開発枠】 | 課題解決型技術開発促進事業(販路拡大助成)開発枠 | 350万円 |
| 販路拡大フェーズ【一般枠】(本制度) | 課題解決型製品・サービス等の販路拡大助成(課題解決販路) | 150万円 |
試作品開発・改良助成を完了した事業者は「開発枠(上限350万円)」に申請できます。開発枠にしか使えない経費区分(先導的ユーザーへの導入費)も設けられており、より手厚い支援が受けられます。一方、本記事で解説する「一般枠(上限150万円)」は、該当する対象商品を持つ都内中小企業であれば幅広く申請できます。
対象となる4つの分野と自社商品の選び方

本助成事業では、自社商品を1種類指定したうえで、以下の4つの申請分野から最も該当するものを1つ選択して申請します。
①安全・安心関連製品・サービス
防災・減災、事業リスク対策、感染症対策、セキュリティ、子どもの安全対策などに資する製品・サービスが対象です。大都市・東京における自然災害リスクへの備えやサイバーセキュリティ対策は喫緊の課題であり、センサー・警報システム・AIによる異常検知ソフトウェアなど幅広い技術シーズが対象となります。
②高齢者・介護・障害者関連製品・サービス
福祉・アクセシビリティ、次世代介護機器、アクティブシニア、パラスポーツなどに関する製品・サービスが対象です。移乗支援・移動支援・排泄支援・見守り・入浴支援・認知症ケア支援など介護現場の負担を軽減する機器や、障害のある方のQOL向上に資するプロダクトが該当します。
③DX(デジタルトランスフォーメーション)推進関連製品・サービス
業務効率化、営業・マーケティング強化、業務自動化・データ活用、業界特化型のシステム・ソフトウェアなどが対象です。中小企業のDX化が急務とされる中、業種特化型の業務管理SaaS・AI活用ツール・自動化システムなど、デジタル技術を活用した製品を持つ企業に適した分野です。
④暑さ対策関連製品・サービス
気候変動への対応、設備・インフラへの暑さ対策、暑熱環境の管理・モニタリングなどに関する製品・サービスが対象です。WBGTモニタリングシステム・屋外作業者向けウェアラブルデバイス・建物の熱環境制御システムなど、猛暑・熱中症リスクに対応する技術シーズを持つ企業が活用できます。
- 申請事業者自らが企画・製造し、自社製品として単独で販売する権利を有している商品であること
- 申請時点で販売を開始している商品であること(試作品・開発中のものは対象外)
- 申請する展示会で直接販売を行わないこと
申請要件と対象事業者
対象となる事業者
以下の規模要件を満たす都内中小企業者(法人または個人事業者)が対象です。
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
| ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
- 申請日時点で東京都内に登記上の本店または支店があること(個人事業者は都内に事業所があること)
- 都内で1年以上事業を継続していること
- 事業税・都民税・住民税等を滞納していないこと
- 直近2期分の確定申告を済ませていること(創業2期未満の場合は直近1期分で可)
- 本助成金の交付を同年度中に重複して受けていないこと
- 同一内容の経費について、公社の他の助成事業と併願していないこと
- 暴力団関係者・風俗営業等に該当しないこと
対象となる展示会の条件
国内展示会・海外展示会・オンライン展示会のいずれも対象になりますが、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 商談を主たる目的とした展示会等であること(BtoBが基本)
- 助成対象期間内に開催される展示会であること
- 出展要項が主催者により発行・公開されていること
- 申請事業者が主体で出展し、自ら小間内で商談を行うこと
- 申請事業者が主催・運営に携わる展示会でないこと
- 同一小間内に複数企業で出展する場合は対象外
助成対象経費の内訳
助成対象経費は「①販路開拓費(申請必須)」と「②販売促進費(申請任意)」の2区分です。販路開拓費を含まない、販売促進費のみの申請はできません。
| 経費区分 | 対象経費 | 助成限度額 |
|---|---|---|
| ①販路開拓費(申請必須) | 出展小間料 | -(全体上限150万円内) |
| 資材費(ブース装飾・什器リース等) | - | |
| 輸送費(展示品・資材の運送委託費) | - | |
| EC出店初期登録料 | 20万円 | |
| サイト制作・改修費(自社Webサイトの新規・全面刷新) | 20万円 | |
| ②販売促進費(申請任意) | 印刷物制作費(チラシ・カタログ等) | 50万円 |
| 動画制作費 | 20万円 | |
| 広告掲載費(ガイドブック・新聞・雑誌等) | 20万円 |
課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)を完了した開発枠の申請者は、上記に加えて「先導的ユーザーへの導入費」(原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託費、直接人件費)が使用できます。開発枠の助成限度額は他の経費区分と合わせて350万円となります。
申請に必要な書類一覧
申請書類はすべてJグランツへのアップロードによる提出です。文字化け防止のため、PDFでの提出が推奨されています。
| No. | 書類名 | 備考・入手先 |
|---|---|---|
| 1 | 申請書(Jグランツフォーム入力+申請書別紙1〜5) | 公社Webサイトから別紙様式をダウンロード。ファイル名:01_申請書別紙_事業者名.pdf |
| 2 | 商品説明資料(商品カタログ・機能説明書・図面等) | 任意様式。A4サイズ10ページ以内・1ファイル。ファイル名:02_商品説明_事業者名.pdf |
| 3 | 助成事業プレゼン資料(任意提出) | 出展企画書・販促企画書等。A4サイズ10ページ以内・1ファイル |
| 4 | 登記簿謄本等 | 法人:発行後3か月以内の「履歴事項全部証明書」(原本)。個人:開業届写し |
| 5 | 納税証明書(事業税・都民税・住民税) | 法人:都税事務所発行。個人:都税事務所または税務署・区市町村発行(原本) |
| 6 | 直近2期分の確定申告書類 | 法人:法人税申告書別表一・二、法人事業概況説明書、決算報告書、勘定科目内訳等。個人:確定申告書第一表、収支内訳書または青色申告決算書 |
| 7 | 展示会等の出展案内・パンフレット等 | 主催者・会期・会場・開催目的・来場対象者・小間料が記載されたもの。1展示会につき1ファイル |
- マイナンバーが記載されている書類は黒塗り処理が必要
- 外国語の書類には日本語翻訳文の追記が必要
- 納税証明書は「直近年度分」で提出可能な最新のもの
- 展示会の出展案内はリアル・オンラインで必要記載項目が異なる(オンラインは商談機能の有無が必須)
- 提出書類の返却・加筆・修正はできないため、控えを必ず保管すること
申請スケジュールと手続きの流れ
令和8年度のスケジュール
| 第1回 | 第2回 | |
|---|---|---|
| 電子申請受付期間 | 令和8年7月10日(金)〜7月31日(金)17時 | 令和8年11月10日(火)〜11月30日(月)17時 |
| 書類審査 | 令和8年8月〜9月 | 令和8年12月〜令和9年1月 |
| 交付決定通知 | 令和8年9月末(Jグランツにて通知) | 令和9年1月末(Jグランツにて通知) |
| 助成対象期間 | 令和8年10月1日〜令和9年10月31日 | 令和9年2月1日〜令和10年2月29日 |
申請の手順(ステップ形式)
Jグランツでの電子申請にはGビズIDプライムアカウントが必須です。印鑑証明書(またはマイナンバーカード)が必要で、発行に1〜2週間かかります。第1回申請(7月10日〜)に間に合わせるには、6月中に手続きを開始してください。
GビズID:https://gbiz-id.go.jp/
STEP 2:募集要項・申請書別紙をダウンロードする
公社ウェブサイト(https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/kadai-hanro/index.html)から募集要項と申請書別紙(Excel・7枚シート)をダウンロードし、必要事項を記入します。
STEP 3:必要書類を準備する
登記簿謄本(発行後3か月以内)・納税証明書・確定申告書2期分・展示会出展案内等を揃え、PDF化します。
STEP 4:Jグランツで電子申請を行う
受付期間内(7月31日17時まで)にJグランツで申請フォームを入力し、申請書別紙・必要書類をアップロードして申請を完了します。締切間際はアクセス集中が予想されるため、早めに手続きを進めましょう。
STEP 5:書類審査・交付決定
外部専門家を含む書類審査を経て、9月末(第1回)にJグランツで採否が通知されます。交付決定後に助成対象期間が開始します。
STEP 6:事業実施・実績報告・助成金交付
助成対象期間内に展示会へ出展し、経費を支払います。事業終了後に実績報告を提出し、完了検査を経て助成金が交付されます。
課題解決型製品・サービス等の販路拡大助成に関するよくある質問
「一般枠」と「開発枠」は何が違いますか?
助成限度額と使える経費の範囲が異なります。一般枠の助成限度額は150万円で、対象商品を持つ都内中小企業であれば幅広く申請できます。開発枠は助成限度額が350万円で、課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)を完了した事業者のみが申請できます。また、開発枠には一般枠にはない「先導的ユーザーへの導入費」という経費区分があります。
令和8年度第1回の申請期間はいつですか?
令和8年度第1回の電子申請受付期間は令和8年7月10日(金)から7月31日(金)17時までです。申請はJグランツによる電子申請のみ受け付けており、持参・郵送等では申請できません。GビズIDプライムアカウントの発行に1〜2週間かかるため、6月中に準備を開始することをお勧めします。
自社商品の対象分野はどう判断すればよいですか?
申請時に自社商品を1種類指定し、①安全・安心、②高齢者・介護・障害者、③DX推進、④暑さ対策の4分野から最も該当するものを1つ選択します。複数の分野にまたがる場合は、最も主要な用途・機能に基づいて選択してください。判断に迷う場合は、公社の担当窓口(TEL:03-3251-7895)に事前相談することをお勧めします。
販売を開始していない開発中の製品でも申請できますか?
申請できません。本助成事業の対象商品は、申請時点で販売を開始している自社製品である必要があります。また、申請者が企画・製造し、自社製品として単独で販売する権利を持っていることも条件です。開発中・試作品段階の製品については、まず「課題解決型技術開発促進事業(試作品開発・改良助成)」の活用をご検討ください。
海外の展示会への出展も助成対象になりますか?
はい、国内展示会・海外展示会・オンライン展示会のいずれも対象です。ただし、申請書類に外国語の書類が含まれる場合は日本語翻訳文の追記が必要です。また、小間料が日本円以外の場合は適用した為替レートの記載が必要です。いずれの場合も、商談を主たる目的とした展示会への出展であることが前提条件です。
販売促進費(印刷物・動画・広告)だけで申請できますか?
申請できません。経費区分「①販路開拓費」(出展小間料・EC出店初期登録料・サイト制作費等)の申請は必須であり、販売促進費のみの申請は受け付けられません。販売促進費は販路開拓費とあわせて申請する任意経費です。
GビズIDプライムとは何ですか?どこで取得できますか?
GビズIDプライムは、国(デジタル庁)が提供する法人・個人事業主向けの行政手続き一括認証システム「GビズID」の最上位アカウントです。Jグランツで電子申請を行うために必要です。GビズID公式サイト(https://gbiz-id.go.jp/)から申請できます。発行には印鑑証明書(またはマイナンバーカード)が必要で、書類に問題がなければ発行まで1〜2週間かかります。第1回申請(7月10日〜)に間に合わせるには6月中に申請を開始してください。
必要書類の「申請書別紙」はどこから入手できますか?
公社ウェブサイトの事業ページ(https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/kadai-hanro/index.html)からExcel形式の申請書別紙様式をダウンロードできます。様式には7枚のシートがあり、必要事項を記入後、全シートをPDF化してJグランツの申請フォームにアップロードします。ファイル名は「01_申請書別紙_事業者名.pdf」としてください。
交付決定前に展示会の小間申込をしてしまった場合は対象外になりますか?
小間の申込(契約)のみであれば、助成対象期間前に行っているものも対象となります。ただし、出展および費用の支払いは助成対象期間内(第1回:令和8年10月1日以降)に行われるものに限られます。交付決定前に出展・支払いを完了した経費は対象外となるため注意が必要です。
展示会出展助成事業(展示会出展助成プラス)との違いは何ですか?
最大の違いは対象商品の条件です。展示会出展助成プラスはBtoB商談を目的とする展示会であれば幅広い商品が対象ですが、本制度(課題解決販路)は①安全・安心、②高齢者・介護・障害者、③DX推進、④暑さ対策の4分野のいずれかに該当する自社製品(申請者が企画・製造し単独で販売権を持つもの)に限られます。助成限度額はどちらも150万円・助成率2/3で共通していますが、課題解決販路の開発枠は350万円まで申請できます。
まとめ
課題解決型製品・サービス等の販路拡大助成(課題解決販路)は、都市課題の解決に貢献できる製品・サービスを持つ都内中小企業の展示会出展を最大150万円・助成率2/3で支援する制度です。
重要なポイントを整理します。
- 助成内容:最大150万円・助成率2/3(試作品開発助成完了者は開発枠350万円)
- 対象分野:①安全・安心、②高齢者・介護・障害者、③DX推進、④暑さ対策の4分野から1つ選択
- 第1回申請期間:令和8年7月10日(金)〜7月31日(金)17時。Jグランツによる電子申請のみ
- 必要書類:申請書(別紙1〜5)・商品説明資料・登記簿謄本・納税証明書・確定申告書2期分・展示会出展案内等の7点(PDF提出推奨)
- 今すぐやること:GビズIDプライムアカウントの取得(発行1〜2週間)・募集要項の確認・申請書別紙のダウンロード
申請受付まで時間がありません。自社商品が4つの対象分野に該当するか確認し、GビズIDプライムアカウントの取得から今すぐ着手してください。
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