「女性の管理職が少ない」「正社員と非正規のあいだに処遇の差がある」そんな課題を感じたことはありませんか?
東京都では、職場における男女間の賃金格差を改善し、女性がより働きやすい環境をつくるために「男女間賃金格差改善促進奨励金」を実施しています。
この奨励金は、都内の中小企業が「女性の登用」や「処遇改善」に向けた取組を行った際に、最大100万円を支給する制度です。単に賃金差を埋めることが目的ではなく、女性がキャリアを築き、長く働ける仕組みを整えることを支援しています。本記事では、申請を検討している企業がイメージしやすいように、奨励金の内容をわかりやすく紹介します。
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この記事の目次
男女間賃金格差改善促進奨励金の対象となる企業
この奨励金の対象は、東京都内に事業所を持つ中小企業です。本社または主たる事業所が都内にあり、常時雇用する労働者が300人以下であることが条件となります。
【主な要件】
- 取組対象とする「雇用管理区分」(例:総合職、管理職など)で、女性の割合が4割未満であること
- 都内で常時雇用している労働者(雇用保険の被保険者)を1名以上雇用していること
- セミナーを受講した上で、奨励金支給申請を行い、奨励金の支給対象となる事業を実施する期間に専門家派遣を受けることを確約すること
- 就業規則を作成して労働基準監督署に届出を行っていること
- 労働関係法令を遵守していること
女性社員が少ない職場ほど、取り組みを始める意義が大きい制度です。これまで女性の登用が進みにくかった企業こそ、変化のきっかけとして活用しやすいでしょう。
雇用管理区分の定義
奨励金の申請を進めるうえで、まず確認しておきたいのが「雇用管理区分」です。これは、企業が自社の人材をどのように分類・管理しているかを示す区分であり、自社の人事制度の実態に基づいて自由に設定できる点が特徴です。
【設定方法】
画一的な基準はなく、企業の実態に合わせて設定できます。区分として用いられる要素には、「職種」「資格」「雇用形態」「就業形態」などがあります。
たとえば、「総合職・地域職」「正社員・契約社員・パート」「営業部門・製造部門」など、実際に人事管理上で区分されている単位であれば問題ありません。設定のポイントは、「自社ではこう分けて管理しています」と説明できることです。いわば、ケーキをどのように切り分けるかは企業次第という考え方です。
設定に不安がある場合は、現場で実際にどう運用しているかを基準にし、社内で説明できる形にしておくことが求められます。
奨励金の取組内容
本奨励金の対象事業は、【取組1】から【取組3】のすべてを実施することが条件です。支給決定後、定められた実施期間(6か月以内)にすべての取組を完了させる必要があります。
【取組1】女性の処遇改善・登用の推進
実施期間中にA〜Cのうち1つ以上を新たに行います。
| 区分 | 具体的な内容 | 支給額 |
|---|---|---|
| A:女性管理職の増加 | 女性管理職を増やす取組を行う。実績報告時点で、支給申請日時点と比較して女性管理職の人数が増えている必要があります。 | 30万円 |
| B:役職手当の支給対象となる女性従業員の増加 | 役職手当の支給対象となる女性従業員を増加させる。役職手当は非管理職の役職者に毎月支給する手当を指し、毎月でないものは対象外です。 | 30万円 |
| C:短時間労働者などの非正規従業員でも登用が可能な役職の新設 | 非正規従業員でも登用できる役職(管理職を含む)を新設し、1名以上の女性非正規従業員がその役職に就くこと。 | 30万円 |
| 加算要件 D:短時間労働者などの非正規従業員の退職金制度の導入 | 非正規従業員を対象とした退職金制度を新たに導入する。就業規則を変更し、労働基準監督署へ届け出ることが必要です。 | 10万円 |
たとえば、これまで男性ばかりだった課長職に女性社員を登用したり、パート社員にも「リーダー職」を新設したりする取組が対象になります。「長く働いてほしい」という思いから、非正規社員にも退職金制度を検討する企業も増えています。
なお、A〜Cを実施する場合は、支給申請時点で対象区分の女性労働者割合が4割未満であることが条件です。Dは非正規従業員全体の処遇改善を目的としているため、この条件は問いません。
【取組2】行動計画の提出と公表
女性活躍推進法に基づき、次の2つを実施期間中に行います。
【取組1】で実施した内容を含めた一般事業主行動計画を策定し、東京労働局へ提出します。
既に公表済みの場合は、取組内容を追記または拡充し、変更届を提出します。
厚生労働省データベースでの公表
厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」で、行動計画および男女の賃金の差異を公表します。
賃金の差異とは、正規・非正規・全従業員の区分ごとに、男性の賃金平均に対する女性の賃金平均を割合で示したものです。
【取組3】全従業員向けの社内研修の実施
全ての従業員を対象として、【取組1】を含めた女性活躍推進法の趣旨に基づく自社の取組について啓発する内容の研修を実施します。
内容:女性活躍推進法の趣旨や自社の取組方針などを共有・啓発する内容
留意点:勤務時間外や休日に行う場合は、時間外手当の支給または代休の付与などの対応が必要です
男女間賃金格差改善促進奨励金 支給申請の手順
奨励金の申請から支給までの全体像を、以下にまとめました。★印が企業が主体的に取り組むステップです。「財団」は、本奨励金を実施する「公益財団法人東京しごと財団」を指します。
| ステップ | 内容 | 主な実施者 |
|---|---|---|
| ★1 セミナー申込・受講・アンケート回答(ウェブ) | 無料オンラインセミナーを受講し、最後にアンケートに回答。 回答後、支給申請用のマイページが作成されます。 |
企業 |
| ★2 支給申請(ウェブ) | マイページから必要書類をアップロードし申請。 雇用管理区分(女性の割合が4割未満)を確認し、取組(A〜D)を選定します。 |
企業 |
| 要件審査・支給決定 | 提出内容を基に審査を実施し、支給の可否と金額を決定。 | 財団 |
| ★3 奨励金対象事業の実施 | 支給決定後、指定された期間内に【取組1〜3】を実施。 行動計画や社内整備のスケジュールを明確にするとスムーズです。 |
企業 |
| ★4 専門家派遣(2回実施) | 登録専門家による助言を受けます。 1回目は計画内容の確認、2回目は実施状況のフォローアップ。 |
企業・専門家 |
| ★5 実績報告(ウェブ) | 取組完了後、マイページで報告書と証拠資料を提出。 | 企業 |
| 審査・額の確定 | 報告内容をもとに最終審査を行い、支給額を確定。 | 財団 |
| ★6 奨励金請求(郵送) | 確定通知を受けた後、請求書を郵送で提出。 | 企業 |
| 奨励金の支給 | 審査完了後、指定口座に奨励金を振込。 | 財団 |
手続きの大半はオンラインで完結し、初めての企業でも案内に沿って進めれば滞りなく進行できます。セミナーの申込みから奨励金の入金までは、概ね11か月から12か月ほどが目安です。
男女間賃金格差改善促進奨励金の募集期間と定員
2025年度は、全6回の募集予定です。各回の定員は先着順で、支給申請期間ごとに取組実施期間(6か月)が決められています。
取組内容によっては人事異動や制度改定を伴う場合もあるため、自社のスケジュールを踏まえて、どの回に申し込むかを検討しましょう。
| 回 | 定員 | セミナー受講・支給申請期間 | 取組実施期間(6か月) |
|---|---|---|---|
| 第1回(受付終了) | 100社 | 2025年5月15日(木)〜6月30日(月) | 2025年8月1日(金)〜2026年1月31日(土) |
| 第2回(受付終了) | 80社 | 2025年7月1日(火)〜8月31日(日) | 2025年10月1日(水)〜2026年3月31日(火) |
| 第3回 | 80社 | 2025年9月1日(月)〜10月31日(金) | 2025年12月1日(月)〜2026年5月31日(日) |
| 第4回 | 80社 | 2025年11月1日(土)〜12月31日(水) | 2026年2月1日(日)〜7月31日(金) |
| 第5回 | 80社 | 2026年1月1日(木)〜2月28日(土) | 2026年4月1日(水)〜9月30日(水) |
| 第6回 | 80社 | 2026年3月1日(日)〜4月30日(木) | 2026年6月1日(月)〜11月30日(月) |
制度融資のご案内
本事業で支給決定を受けた中小企業は、東京都中小企業制度融資「女性活躍推進融資(TOKYOウィメン・ビズ・サポート)」の対象となります。この融資制度を利用すると、信用保証料の2/3補助や利率優遇を受けることができます。奨励金と併用することで、資金調達面からも女性活躍の取組を支えることが可能になります。
詳細は以下の公式ページをご確認ください。
東京都中小企業制度融資「女性活躍推進融資(TOKYOウィメン・ビズ・サポート)」
まとめ
男女間賃金格差改善促進奨励金は、「女性がもっと活躍できる会社にしたい」と考える都内中小企業を応援する制度です。
女性登用や非正規社員の処遇改善は、単に助成を受けるための取組ではなく、企業の成長にも直結します。専門家とともに現場に合った取組を進め、誰もが働きやすく力を発揮できる職場づくりを始めてみてはいかがでしょうか。
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