国際情勢の変動や原油価格の高騰を背景に、電力コストと供給の不安定化が、中小企業の経営を圧迫しています。これを受け、東京都では、中小企業が自ら電気を創り出し、貯蔵する「創電・蓄電」の取り組みを支援する「エネルギー自給促進事業」を実施しています。
太陽光発電や蓄電池の導入による電力の自給自足は、コスト削減にとどまらず、災害時の事業継続や環境対策にも寄与する手段といえるでしょう。
今回は、現在公開されている中小企業の経営安定化に向けたエネルギー自給促進事業の内容や申請方法をまとめました。
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この記事の目次
いま、創電・蓄電が重要な理由は?
国際情勢の不安定化やエネルギー価格の高騰により、企業経営における電力の安定確保は喫緊の課題となっています。特に経営資源の限られた中小企業にとって、電気料金の上昇は利益を直接圧迫する深刻な問題です。
こうした背景から、自社で電力を「創る」「貯める」という創電・蓄電の取り組みが、これまで以上に重要性を増しています。
創電・蓄電システムの導入は、単なるコスト削減策にとどまりません。自社での電力確保は、災害時や停電時における事業継続(BCP)対策としても機能します。東日本大震災や近年増加する台風・豪雨災害の経験から、電力供給の途絶は事業の存続に直結することが明らかになっています。自家発電設備と蓄電池を組み合わせることで、外部環境に左右されない強靭な経営基盤を構築できるのです。
中小企業の経営安定化に向けたエネルギー自給促進事業とは
中小企業の経営安定化に向けたエネルギー自給促進事業では、都内中小企業者が自ら使用する電気を、自ら安定的に供給できるよう、創電・蓄電の取組を重層的に支援するものです。相談窓口の開設のほか、専門家の派遣や助成金による支援を行う制度です。国際情勢の変動等による原油等の価格高騰の長期化やエネルギー供給の不安定化に伴い不安定化する都内中小企業の企業活動を支えます。
なお5月12日現在、募集要項等はまだ公開されていません。申請の際には必ず最新の情報を確認してください。
中小企業の経営安定化に向けたエネルギー自給促進事業の対象について
対象となるのは、以下のいずれかです。
■法人
東京都内に登記簿上の本店または支店がある中小企業者
■個人
東京都内で開業届を提出または確定申告を行う個人事業主
いずれも東京都内で事業を営んでいる必要があります。
支援には、「専門家派遣」と「助成金支援」の2つがあります。それぞれの概要は、以下のとおりです。
専門家派遣
経営基盤の強化に向けた創電・蓄電に関する取組を検討している中小企業者へ専門家が事業所等を訪問し、現地調査を行い、助言等を実施します。
なお専門家派遣費用は無料です。1社あたり最大2回の派遣が受けられます。
助成金支援
同一年度の専門家派遣を受けた事業者を対象に、専門家派遣において専門家が必要と認めた創電・蓄電の取組に資する設備導入等の経費の一部を助成します。
■助成限度額
1,500万円
なお申請下限額は100万円です
■助成率
2/3(小規模企業者は4/3)
また助成期間は、交付決定日の翌日から1年です。
助成対象経費
対象となるのは、創電・蓄電の取組に資する設備導入等の経費の一部です。
■太陽光発電設備の導入
■蓄電池設備の導入 など
専門家のアドバイスを受け、必要と認めたもののみに限られます。
また、以下のものは対象外です。
■居住部分に係るもの
■売電など収益(収入)の増加を目的とする経費 など
その他支援内容
そのほか、中小企業の経営安定化に向けたエネルギー自給促進事業では「HTT経営相談窓口」が設置されています。
HTTとは、電力を「Ⓗへらす・Ⓣつくる・Ⓣためる」取組です。
経営基盤の強化という視点から、エネルギー自給の安定化等に関する無料相談が可能です。
相談方法は、以下の4つから選べます。
・来社
・電話
・オンライン
・メール
相談を希望する際は、事前予約を行ってください。
中小企業の経営安定化に向けたエネルギー自給促進事業の申請について
中小企業の経営安定化に向けたエネルギー自給促進事業では、まずは専門家派遣を受ける必要があります。助成金のみの利用はできません。
全体の流れは、以下のとおりです。

出典:東京都中小企業振興公社 令和7年度 中小企業の経営安定化に向けたエネルギー自給促進事業
そのほか、現在わかっている申請方法をまとめました。
専門家派遣の申請方法
専門家派遣の概要は以下のとおりです。
■受付期間
令和7年(2025年)4月15日(火)~ 8月29日(金)
■必要な主な書類
専門家派遣申込書
■申請方法
「ネットクラブ会員サービス」へ登録の上、申込フォームから申請してください。
助成金の申請方法
専門家によって必要が認められた場合、助成金の申請が可能になります。
申請は国(デジタル庁)が提供する「Jグランツ」による電子申請です。Jグランツを利用するには「GビズID」でアカウント(gBizIDプライム)を取得する必要があります。
なお受付期間や申請の詳細は、今後公開される募集要項等を確認してください。
助成金の活用事例
東京都中小企業振興公社のホームページでは、本事業で太陽光発電設備や蓄電池設備を導入した事例が公表されています。
ここでは中小企業の経営安定化に向けたエネルギー自給促進事業の活用事例を、見ていきましょう。
| 【石川玩具株式会社】 SDGsへの対応として、太陽光発電を導入。過去に本社の電力がダウンした経験から、災害時のリスクヘッジとしてBCP対策も意識した。 本事業では専門業者の担当者と密に連絡を取り合い、太陽光発電モジュール64枚・蓄電池システムを設置完了し通電。使用電力量を抑えられるだけでなく、対外的にも誇れる取り組みとなった。 |
| 【株式会社内海青果】 同社のセンターでは、3室の大型冷蔵室・2室の保管庫・10室の熟成庫が24時間365日稼働している。青果の出荷に必要不可欠な装備は、電力消費も大きい。省エネも価格転嫁も難しい状況で、高騰し続ける電気料金への対応を検討した。 本事業の専門賭け半支援により、屋上に太陽光発電の設置が決まった。導入後は、太陽光で使用電力の10%を自家発電できている。 |
まとめ
エネルギー価格の上昇と供給不安が続く中、中小企業にとって創電・蓄電への取り組みは、単なるコスト対策を超えた経営戦略となっています。東京都の「中小企業の経営安定化に向けたエネルギー自給促進事業」は、専門家による無料相談から設備導入の助成金まで、段階的に支援する制度です。
太陽光発電・蓄電池の導入は電力コストの削減だけでなく、BCP対策やSDGsへの対応としても大きな効果をもたらします。不安定な情勢が長引く中、エネルギーの自給自足は中小企業の経営基盤強化と持続可能な成長に不可欠な要素といえるでしょう。
支援を上手に活用し、専門家の助言を受けて、無理のない設備導入を進めていきましょう。
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