帝国データバンクの調査によると、国内の中小企業経営者の平均年齢は上昇を続け、後継者不在率も依然として高い水準にあります。円滑な事業承継は「経営者の高齢化」と「後継者不在」という二つの壁をどう越えるかにかかっており、外部専門家の力を借りたい場面も少なくありません。とはいえ、M&A仲介手数料や自社株の評価費用は数百万円単位になることもあり、「必要なのはわかっているけれど手が出せない」と感じている経営者の方も多いのではないでしょうか。
こうした状況を後押ししてくれるのが、公益財団法人東京都中小企業振興公社の令和8年度「事業承継支援助成金」です。外部専門家等への委託費用を、対象経費の3分の2以内・上限200万円まで助成します。
令和8年度は全3回募集のうち、第2回の申請受付が2026年8月3日(月)から始まっています。締切は9月16日(水)17時。本記事では、令和8年度の募集要項をもとに、4つの事業区分(A〜Dタイプ)・申請要件・スケジュール・必要書類までを整理して解説します。
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この記事の目次
事業承継支援助成金とは?令和8年度の概要をわかりやすく解説
事業承継支援助成金は、事業承継・経営改善に取り組む都内中小企業が外部専門家等に委託して行う取組に対し、経費の一部を助成する東京都中小企業振興公社の制度です。助成率3分の2以内・上限200万円(下限20万円)、助成対象期間は交付決定日から最長8か月間となっています。自社株式の評価、M&A仲介契約、中核人材の確保・育成、社内経営管理システム構築など、事業承継の各局面で発生する専門的な費用が対象です。
【制度概要まとめ】
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名称 | 令和8年度 事業承継支援助成金 |
| 実施機関 | 公益財団法人 東京都中小企業振興公社 |
| 目的 | 都内中小企業の円滑な事業承継・経営改善 |
| 助成限度額 | 200万円(申請下限額20万円) |
| 助成率 | 対象経費の3分の2以内(小規模企業者のA/B/Dタイプ「企業価値算定」は10/10以内) |
| 助成対象期間 | 交付決定日から最長8か月間 |
| 募集回数 | 全3回(第1回・第2回・第3回) |
| 申請方法 | Jグランツ(電子申請のみ) |
| 問い合わせ | 総合支援部 総合支援課 事業承継・再生支援事業事務局 TEL:03-3251-7885 |
ここでいう事業承継とは、①同一法人における代表交代/②個人事業における廃業・開業を伴う事業譲渡/③個人事業主から新設法人への事業譲渡/④株式譲渡や事業譲渡等のM&Aのいずれかを指します。単なる代表者交代の予定だけでなく、M&Aによる第三者承継や、譲受側(買い手)の取組まで幅広くカバーする点が特徴です。
令和7年度からの変更点は?「令和7年度」情報との違いを整理
令和7年度から令和8年度への主な変更点は、募集回数・スケジュール体系・支援対象期間の整理にあります。令和8年度は全3回募集、基準日と支援対象期間が回ごとに設定されるスケジュール体系に変わりました。助成率・上限額・4タイプの構造は令和7年度から維持されています。
| 項目 | 令和7年度 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 募集回数 | 年2回 | 全3回 |
| 助成率 | 2/3以内(一部10/10) | 変更なし |
| 助成限度額 | 200万円 | 変更なし |
| 基準日 | 2025年10月1日など | 回ごとに6月/8月/10月1日 |
| 助成対象期間 | 最長8か月 | 変更なし |
| Aタイプの短期支援要件 | ー | FA/M&A仲介活用時は「短期支援」の受講が必須と明記 |
令和8年度の申請受付は今どのタイミング?全3回のスケジュール
令和8年度は全3回の募集があり、現在(2026年8月時点)は第2回の申請受付期間中(8月3日〜9月16日17時)です。第1回は既に募集終了、第3回は10月13日開始予定です。基準日・現地診断期間・交付決定日・助成対象期間はすべて回ごとに異なるため、自社の準備状況とあわせて選ぶ必要があります。
| 項目 | 第1回 | 第2回(現在受付中) | 第3回 |
|---|---|---|---|
| 基準日 | 令和8年6月1日 | 令和8年8月1日 | 令和8年10月1日 |
| 現地診断実施期間 | 6月1日〜7月10日 | 8月3日〜9月9日 | 10月13日〜12月8日 |
| 申請書類の提出期間 | 6月1日〜7月17日17時 | 8月3日〜9月16日17時 | 10月13日〜12月15日17時 |
| 交付決定日 | 令和8年10月1日 | 令和8年12月1日 | 令和9年3月1日 |
| 助成対象期間 | 10月1日〜令和9年5月31日 | 12月1日〜令和9年7月31日 | 令和9年3月1日〜10月31日 |
「基準日」は要件を判定する時点を意味します。中小企業者の該当性、承継未了の状態、支援対象期間の始点はすべて基準日を起点に判断されるため、自社の状況に合った回を選ぶことが重要です。事業実施の流れは「支援利用 → 現地診断(必要な場合) → 申請書類提出 → 審査 → 交付決定 → 事業実施 → 事業完了後15日以内に実績報告 → 助成金交付」となります。
事業区分は4タイプ(A/B/C/D)|自社に合うタイプの選び方
事業区分はA〜Dの4タイプに分かれ、1回の申請で選べるのは1タイプのみです。後継者の有無、承継の段階、譲渡側か譲受側かによって選択するタイプが決まります。
| タイプ | 対象の取組 | 該当する立場 | 主な補足 |
|---|---|---|---|
| Aタイプ(後継者未定) | 第三者への事業承継(M&A等)に向けた取組 | 譲渡側のみ | FA/M&A仲介活用時は「短期支援」の受講が必須 |
| Bタイプ(親族内又は従業員承継) | 後継者への事業承継(譲渡)に向けた取組 | 譲渡側 | 事業承継計画書の作成が必要 |
| Cタイプ(企業継続支援) | 令和7年度の「企業継続支援」を受けて実施する経営改善等の取組 | 令和7年度の企業継続支援受講者 | 他タイプの支援利用要件は不要 |
| Dタイプ(譲受支援) | 事業または株式の譲受のための取組 | 譲受側(買い手) | 公社の現地診断が必須 |
Aタイプ(後継者未定)とBタイプ(親族内・従業員承継)の主な対象経費は?
AタイプとBタイプは事業を「譲渡する側」の取組を支援します。自社株式の評価やデューデリジェンスなど、企業価値の見える化にかかる委託経費が中心です。
- 自社株式の評価、財務・税務・法務・労務等のセルフ・デューデリジェンスなど企業価値・事業価値の算定のための業務委託経費
- 後継者候補の確保に向けた人材紹介会社のサービス利用経費
- ファイナンシャルアドバイザー(FA)、M&A仲介業者等との契約締結に要する経費(初期費用・中間金・成功報酬等)
- 自社株式の評価、財務・税務・法務・労務等のセルフ・デューデリジェンスなど企業価値・事業価値の算定のための業務委託経費
- 株式譲渡、相続手続き等に要する外部専門家への業務委託経費
- 将来の経営を担う中核人材(幹部社員)の確保・育成のための、人材紹介会社等のサービス利用や研修の業務委託経費(採用時に課長級以上が目安)
Cタイプ(企業継続支援)の対象経費は?
Cタイプは、令和7年度に公社の「企業継続支援」を受けた企業が、その延長線で行う経営改善等の取組を支援します。他タイプと違い、経営管理システムの構築・組織整備・市場調査・HP更新など、事業承継の準備段階に必要な幅広い経営改善経費が対象です。
- 中核人材(幹部社員)の確保・育成のための、人材紹介会社等のサービス利用や研修の業務委託経費
- 社内経営管理システム(生産管理・営業管理・財務会計システム等)の構築に向けた業務委託・システム開発委託経費
- 組織、人事等内部管理体制の整備のための業務委託経費
- 新市場開拓のための調査会社への市場調査委託経費
- 新市場開拓や新たな販路開拓に向けた、HP・パンフレット等の作成・更新のための業務委託経費
Dタイプ(譲受支援)の対象経費は?
Dタイプは事業を「譲り受ける側(買い手)」の取組を支援します。M&Aの実行フェーズで発生する契約書作成やデューデリジェンス、PMI(Post-Merger Integration=統合後経営)計画の策定などが対象です。
- 財務・税務・法務・労務等のデューデリジェンスなど、企業価値・事業価値の算定のための業務委託経費
- 契約書の作成やレビューのための業務委託経費
- 事業統合(PMI)計画の策定のための業務委託経費
なお、事業承継・M&Aに使える国の補助金制度もあわせて検討したい場合は、以下の記事もご確認ください。
申請できるのはどんな企業?令和8年度の申請要件
申請には、基準日時点で募集要項に定める5つの要件をすべて満たす必要があります。ここでは実務上つまずきやすいポイントを整理します。
(1)中小企業者の規模要件を満たしているか
資本金または常時使用する従業員数のいずれかが下表を満たす中小企業者(会社および個人事業者)で、大企業が実質的に経営に参画していないことが条件です。
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| 製造業(ソフトウェア業・情報処理サービス業を含む)・その他業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
| ゴム製品製造業(一部を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
| 旅館業 | 5千万円以下 | 200人以下 |
| 小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
小規模企業者(製造業・その他は従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)でA/B/Dタイプの「企業価値や事業価値等の算定」に取り組む場合は、助成率10/10で申請可能です(別途「小規模企業者に該当することの確認書」の提出が必要)。
(2)都内で事業を営んでいるか(原則2年以上)
法人は都内に登記簿上の本店または支店があり、申請時に登記簿謄本を提出できることが必要です。個人事業者は税務署に提出済みの開業・廃業等届出書の写しにより、納税地・主たる事業所等の都内所在が確認できることが求められます。いずれも「引き続き2年以上、都内で実質的に事業を行っている」ことが要件で、基準日までの2年以内に休眠・休業がないことも必要です。
なお、Dタイプに限り、創業後2年未満の法人・個人事業者(創業予定者含む)でも、公社の「TOKYO版創業・承継マッチング支援事業」を利用していれば申請できます。
(3)事前に指定の支援を受けているか
A・Bタイプは、基準日の前年同日から申請日の前日までに、公社等が実施する指定の支援を受けていることが必要です。Cタイプは令和7年度の「企業継続支援」受講が要件、Dタイプは公社による現地診断の実施が要件になります。
| タイプ | 必要な事前支援 |
|---|---|
| A・Bタイプ | 公社の「個別相談」「短期支援」「企業継続支援」「TOKYO版創業・承継マッチング支援事業」、東京商工会議所等の「地域持続化支援事業」、東京都信用金庫協会等の「地域金融機関による事業承継促進事業」、東京信用保証協会の「専門家派遣事業」、東京都中小企業団体中央会の「中小企業新戦略・事業承継支援事業」のいずれか |
| Cタイプ | 令和7年度に公社が実施する「企業継続支援」を受けていること |
| Dタイプ | 各回の現地診断実施期間内に、公社の「事業承継・再生支援事業」による現地診断(訪問ヒアリング)を実施できること |
支援を受けていない事業者も、申請前に公社の「申請前面談(個別相談)」を受けることで申請可能になります。ただし面談は締切間際は混み合うため、早めの申込が推奨されます。
なお、事業承継の入口となる公社の「事業承継・再生支援事業」については以下の記事で詳しく解説しています。
(4)今後10年以内に事業承継を予定しているか(A・Bタイプのみ)
A・Bタイプでは、基準日時点で承継が未了(代表権が引き継がれていない)であり、今後10年以内に事業承継を予定していることが要件です。先代のみが代表権を持ち今後代表交代を予定する場合、または先代と後継者の複数代表体制から後継者単独への移行を予定する場合が対象です。既に先代が退任済で後継者が単独代表になっている場合は対象外となります。
(5)その他の共通要件
同一テーマ・内容・経費で国や他の助成を受けていないこと、税金の滞納がないこと、過去5年間に助成事業で不正等の事故を起こしていないことなどの共通要件も満たす必要があります。M&Aの着手・実施にあたっては、中小企業庁「中小M&Aガイドライン」に則って取り組むことも求められます。
申請方法・必要書類|Jグランツでの提出手順は?
申請は国が提供する電子申請システム「Jグランツ」でのみ受け付けます。持参・郵便・電子メール等の提出は不可です。Jグランツを使うには「GビズIDプライム」アカウントが必要で、国の審査に時間を要するため2〜3週間程度の準備期間を見込んでおきましょう。
令和8年度の主な必要書類
申請者の区分(法人・個人事業者、A〜Dタイプ、TOKYO版創業・承継マッチング支援事業利用者かどうか)によって必要書類が異なります。ここでは通常の申請パターンの必須書類を整理します。
| No. | 書類名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1 | 申請前確認書・交付申請書(指定様式) | 1つのExcelファイルに2種類の様式 |
| 2 | 直近2期分の確定申告書の写し | 法人は別表一〜十六・決算報告書・法人事業概況説明書・科目内訳書等すべて |
| 3 | 登記簿謄本(履歴事項全部証明書)【原本】 | 発行後3か月以内。個人事業者は開業届の写し |
| 4 | 社歴(経歴)書 | 会社概要・パンフレット可 |
| 5 | 直近の事業税等の納税証明書【原本】 | 都税事務所または区市町村発行 |
| 6 | 見積書 | 1件30万円(税込)以上の場合のみ/委託業務の明細と納品予定物が確認できるもの |
| 7 | 支援内容証明書(指定様式) | 公社以外の支援を受けたA・Bタイプ申請者のみ |
| 8 | 事業承継計画書(指定様式) | Bタイプのみ |
| 9 | 小規模企業者に該当することの確認書(指定様式) | 助成率10/10で申請する小規模企業者のみ |
- Jグランツにアップロード可能な1ファイルの容量は16MBまで
- マイナンバー記載書類は黒塗り・マスキング処理が必要
- 提出書類の返却・加筆・修正はできないため、控えとバックアップを必ず保管
- Jグランツ上の当初申請手続きに限り、行政書士等による代理申請機能を利用可(「同意書(代理申請用)」の提出が必要)
- 助成事業の実施は交付決定日以降に限る。交付決定日より前の契約・発注は助成対象外
- 見積書は「一式」表示不可。単価・工数・納品予定物を明記する必要あり
助成対象外になる経費は?申請前に確認したい17項目
対象外経費を事前に把握しておくと、申請時の設計ミスや実績報告時の減額を防げます。通常業務との混合支払い、通常発生している顧問料、関連会社(自社と資本関係のある会社、役員兼任、代表者の三親等以内の親族が経営する会社等)との取引、間接経費、ポイント取得分などが典型的な対象外項目です。
主な対象外経費の例は次のとおりです。
- 契約から支払(決済)までの一連の手続きが助成対象期間内に行われていないもの
- 単なる運転資金の調達など助成対象事業に該当しない取組の経費
- 見積書・契約書・仕様書・納品書・検収書・請求書・振込控・領収書等の帳票類に不備がある経費
- 通常業務・取引と混合して支払われている経費、通常発生している顧問料
- 他の取引と相殺して支払われている経費
- ポイントカード等によるポイント取得分
- 親会社・子会社・グループ企業等関連会社との取引
- 消費税、振込手数料、運送料、通信費、光熱水費、収入印紙代等の間接経費
- 委託業務のすべてを第三者へ再委託した経費
- 委託した業務が、企業HPの情報等から主たる業務であることを確認できない業者への委託費
- 法令により有資格者のみに認められた業務を、資格を有しない業者に委託した経費(弁護士法72条・税理士法52条・行政書士法19条等)
- キャッシュバック等により証憑記載額と実支払額が一致しない経費
令和8年度 事業承継支援助成金に関するよくある質問
令和8年度の申請受付は今からでも間に合いますか?
令和8年度は全3回の募集があり、2026年8月時点では第2回の申請書類提出期間中(8月3日〜9月16日17時)です。第2回に間に合わない場合でも、第3回(申請受付10月13日〜12月15日17時、交付決定令和9年3月1日)で申請できます。ただし、A・Bタイプは基準日の前年同日から申請日の前日までに指定の支援を受けている必要があり、支援を受けていない場合は事前に公社の「申請前面談」が必要です。面談は締切間際に混み合うため、早めの申込が推奨されます。
A〜Dタイプは自社で自由に選べますか?
要件を満たすタイプの中から1つを選択します。1回の申請で複数タイプは選べません。おおまかには、後継者が決まっていない状態で第三者承継(M&A)を進めるならAタイプ、親族内・従業員に承継する予定ならBタイプ、令和7年度に公社の企業継続支援を受けているならCタイプ、事業や株式を譲り受ける買い手側ならDタイプ、と使い分けます。CタイプとDタイプは前提となる支援・現地診断が異なるため、まずは自社の状況を公社の個別相談で整理することをおすすめします。
助成率10/10(全額助成)で申請できるのはどんな場合ですか?
小規模企業者(製造業・その他は従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)が、A・B・Dタイプで「企業価値や事業価値等の算定」に取り組む経費を申請する場合、その経費について助成率10/10で申請できます。自社株式の評価、財務・税務・法務・労務等のセルフ・デューデリジェンスなどが該当します。申請時に「小規模企業者に該当することの確認書」(指定様式)の提出が必要です。
M&A仲介業者やFA(ファイナンシャルアドバイザー)への手数料は対象になりますか?
Aタイプで対象になりますが、条件があります。まず、公社の「短期支援」を受けていることが前提です。短期支援は個別相談後に公社担当者が月1回程度訪問し、6か月程度かけて実施されます。加えて、委託先はM&A支援機関登録制度の登録機関に限られます。手数料は初期費用・中間金・成功報酬が対象で、一企業当たり1回のみ、かつ「地域金融機関による事業承継ネットワーク構築支援事業」で第三者承継支援を受けていない(今後も受ける予定がない)ことも要件です。
既に代表を交代しました。事業承継支援助成金は申請できますか?
A・Bタイプは基準日時点で承継が未了(代表権が引き継がれていない)であることが要件です。既に先代が退任済で後継者が単独代表になっている場合は対象外となります。ただし、先代と後継者が複数代表の状態から後継者単独へ移行する場合や、譲受側(買い手)としての取組ならDタイプの検討が可能です。承継後の設備投資には別途「事業承継を契機とした成長支援事業」など他の助成事業もあります。
令和7年度に企業継続支援を受けていないとCタイプは申請できませんか?
はい、Cタイプの申請には令和7年度(令和7年4月1日〜令和8年3月31日)に公社が実施する「企業継続支援」を受けていることが必須要件です。企業継続支援は、公社の事業承継・事業再生に関する個別相談・支援の中で、一定の要件を満たしていると認定された企業に対するプロジェクト型のハンズオン支援で、支援開始には別途審査が必要です。Cタイプを希望する場合は、まず公社の個別相談を受けて企業継続支援の適用可否を検討することになります。
申請前面談・現地診断はどんな場合に必要ですか?
A・Bタイプで公社等の指定支援を受けていない事業者は、申請日の前日までに「申請前面談(公社個別相談)」を受ける必要があります。公社以外の支援(商工会議所・信用金庫協会等)を受けたA・Bタイプ申請者、およびDタイプ申請者は、各回の現地診断実施期間内に「現地診断」(訪問による承継に関するヒアリング)を受ける必要があります。第2回の現地診断は2026年8月3日〜9月9日、第3回は10月13日〜12月8日です。締切間際は混み合うため、公社公式サイトの申込フォームから早めに申し込んでください。
法人版事業承継税制の手続き費用も対象になりますか?
Bタイプの外部専門家への業務委託経費として申請できますが、注意点があります。法人版事業承継税制(特例措置)に関連した経費で申請する場合は、成果物(都道府県発行の確認書、税務署申告後の受信通知等)の受領と経費の支払いまでを、助成対象期間内(交付決定日から8か月以内)に完了する必要があります。申請受付期間や成果物発行までの期間を逆算して、間に合うかどうかを事前に確認しましょう。事業承継税制の詳細は別記事で解説しています。
創業予定者や創業間もない企業でも申請できますか?
創業後2年未満の法人・個人事業者、または創業予定者は、Dタイプに限り申請可能です。公社の実施する「TOKYO版創業・承継マッチング支援事業」を利用していることが要件で、事業を営んでいる期間(2年以上/1年以上2年未満/未決算・創業予定)に応じて必要書類が異なります。創業予定者の場合は、交付決定後に速やかに開業し、税務署に提出した開業・廃業等届出書の写しにより、都内所在等を確認できるようにする必要があります。
助成金はいつ振り込まれますか?
助成金は事業完了後に実績報告を提出し、審査を経て確定します。事業完了後15日以内に実績報告を行い、公社が交付決定通知書と実績報告に基づいて審査(資格審査・書類審査・総合審査)を行った上で、助成金の額を確定してJグランツで通知します。その後、助成金請求書を提出して指定口座に振り込まれる流れです。実際の入金までには一定期間を要するため、事業実施の資金繰りは自己資金や融資で立て替える必要があります。
まとめ
令和8年度 事業承継支援助成金は、都内中小企業が事業承継・経営改善のために外部専門家等に委託する費用を、対象経費の3分の2以内・最大200万円まで助成する制度です。A〜Dの4タイプに分かれており、後継者の有無や譲渡側・譲受側の立場に応じて選択できます。
改めてポイントを振り返りましょう。
- 助成率:対象経費の3分の2以内、上限200万円(下限20万円)
- 小規模企業者のA/B/D「企業価値算定」は助成率10/10で申請可能
- 事業区分:A(後継者未定)/B(親族内・従業員承継)/C(企業継続支援)/D(譲受支援)の4タイプ
- 令和8年度は全3回募集。第2回は2026年8月3日〜9月16日17時受付中
- 助成対象期間:交付決定日から最長8か月
- 申請方法:Jグランツによる電子申請のみ(GビズIDプライムが必要)
- A・Bタイプは事前に公社等の指定支援を受けていることが要件(未受講なら申請前面談で対応可)
- Dタイプ・公社以外の支援を受けた事業者は現地診断が必須
事業承継は準備から実行まで数年単位の時間がかかるプロセスです。申請要件や必要書類の判断に迷う場合は、早めに公社の個別相談や専門家への相談を活用しましょう。承継後の設備投資や販路開拓を支援する別の助成金と組み合わせることで、承継前後を通じた投資負担を大きく軽減できる場合もあります。
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