東京都では、脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として、「ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業」を実施しています。中小企業やスタートアップを対象に、最大10億円の補助金を通じて、革新的な製品やサービスの開発を後押しする制度です。
本事業では、大企業や大学などとの連携による「オープンイノベーションプロジェクト」の組成を前提としており、出資や販路支援などの協力を受けながら、技術開発の加速を目指します。
今回は、この制度の概要や申請スケジュールについてわかりやすく紹介します。
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この記事の目次
ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業とは?
ゼロエミッション東京の実現には、国内企業の大半を占める中小企業や、新たな技術・発想を持ったスタートアップの活躍が欠かせません。一方で、中小企業やスタートアップでは、予算や人材の不足が大きな課題となっています。
ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業は、新たなビジネスの創出と、産業の活性化を図ることを目的とした制度です。都内のベンチャー企業や中小企業等が事業会社等とのオープンイノベーションにより事業化する、ゼロエミッション東京の実現に向けた技術開発等の革新的な製品・サービス等を対象にしています。
事業化および販路開拓に要する経費の一部が補助の対象です。
事業スキームの解説
本事業は、東京都から委託を受けたプロジェクト支援機関を通じて実施されます。対象事業者となる「ベンチャー企業・中小企業」はメーカーや商社などの「事業会社」とオープンイノベーションプロジェクトを実施し、そのプロジェクトに対して、支援機関から補助金やハンズオン支援を受ける仕組みです。
出典:ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業 令和7年度 募集要項
事業の全体像を、詳しく見ていきましょう。
申請できるのはどんな企業?
申請の対象となるのは、補助事業を実施する都内ベンチャー企業や中小企業等です。年度ごとに補助金申請書を提出し、都にて交付決定が行われます。
申請時には、事業会社とオープンイノベーションプロジェクトを組織している必要があります。プロジェクト組成における契約締結やその後の事業実施については、あくまで当事者間の判断と責任において行ってください。
連携先として関わる「事業会社」の役割は?
プロジェクトの連携先となる「事業会社」は、資金・販路・人材などの潤沢な経営資源を有する、金融機関以外の大手メーカーや商社等です。複数の場合には、以下の条件を全て満たす必要があります。
| 事業会社等が複数となる場合 |
| 全ての事業会社等が申請者に対して出資等を行うとともに、販路・人材・ブランド等を提供すること |
| 事業会社等の出資等合計額が「総事業費の1/4以上」となること |
なお出資等とは、以下のものをさします。
- 第三者割当増資等の出資のほか、新株予約権付転換社債による資金調達、本事業に関する共同研究開発契約等の契約に基づく支出など
- 事業会社等から直接出資を行う場合の他、事業会社等が出資するファンドを通じた出資も可能です。ただし、他の事業会社と合同で設立したファンドから出資する場合は、そのファンドにおける出資者全てが、本事業において申請者に販路・人材・ブランド等を提供する必要があります。
また契約に基づく支出の場合、成果の大半が事業会社等に帰属するものや、申請者がその成果を今後の事業活動に活用することが困難と判断されるもの等は、審査において対象外となる場合があります。
オープンイノベーションの要件
申請ができる企業は、以下の要件全てを満たすプロジェクトを組成する必要があります。
| ■プロジェクト参加者となる事業会社等から総事業費の1/4以上の出資等を下記期間内に受けること | |
| ゼロエミッション枠 | 令和3年4月1日以降、令和8年3月末日まで |
| 大学発ベンチャー・一般枠 | 令和5年4月1日以降、令和8年3月末日まで |
| ■プロジェクト参加者となる事業会社等から販路・人材・ブランド等の提供を下記期間内に受けること | |
| ゼロエミッション枠/ 大学発ベンチャー・一般枠 | 令和6年4月1日以降、令和8年3月末日まで |
「プロジェクト体制図」に記載したプロジェクト参加者全てが契約当事者となります。要件を満たす契約書等を締結してください。
なお本事業では契約当事者である企業等をプロジェクト参加者として取扱いますが、実際のプロジェクトを実施する上で他の企業等が携わることを妨げるものではありません。
対象者と対象要件
対象者の主な要件は、以下のとおりです。
| 主な要件 |
| ■中小企業者または特定非営利活動法人・一般財団法人・一般社団法人のいずれかに該当すること |
| ■基準日(令和7年6月1日)時点で、次のいずれかに該当すること ・以下の要件を全て満たしている a. 引き続き1年以上事業を営んでいる者 b. 東京都内に登記簿上の本店または支店があること(個人の場合、東京都内に開業届出があること) ・都内で創業後継続して事業活動を行い、引き続く事業期間が1年に満たない者 |
| ■次の全てに該当すること ・公社、国、都道府県、区市町村等から補助を受けていないこと、あるいは、過去に受けていないこと ・都および公社に対する賃料・使用料等の債務の支払いや、事業税等の滞納がないこと ・過去に補助や助成事業等に関して、不正等の事故を起こしていないこと ・補助事業の継続性について不確実な状況が存在しないこと ・暴力団関係者または風俗営業者等でないこと ・その他、公的資金の補助先として適切でないと判断されるものではないこと |
なお本補助事業の同一年度の申請は、一企業につき一申請までです。
3つの区分
ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業では、テーマごとに以下の区分が設けられています。
| 補助対象者 |
| ゼロエミッション区分(区分A) |
| 大学発ベンチャー区分(区分B) |
| 一般区分(区分C) |
それぞれの主な要件を、みていきましょう。
【ゼロエミッション区分(A)】
以下の「技術キーワード」のいずれかに資する技術開発テーマであること
- 再生可能エネルギーの基幹エネルギー化
- ゼロエミッションビルの拡大
- ゼロエミッションモビリティの推進
- 水素エネルギーの普及拡大
- サーキュラーエコノミーへの移行
- フロン対策
- 気候変動適応策の推進
なお開発する技術が、該当項目の未来像の達成に寄与する内容であることが必要です。
【大学発ベンチャー区分(B)】
- 大学で達成された研究成果に基づく特許や新たな技術・ビジネス手法を事業化する目的で新規に設立した企業
- 設立5年以内に大学と共同研究を行った企業
- 既存事業を維持・発展させるため、設立5年以内に大学から技術移転等を受けた企業
- 設立にあたり、大学や大学VCが出資した企業または大学の技術移転機関等が関与した企業
革新的な製品等に関する技術開発であることが必要です。
【一般区分(C)】
「A ゼロエミッション区分」「B 大学発ベンチャー区分」の項目のいずれにも該当しないものが対象となります。
補助対象とならないケース
以下の場合は、補助の対象外です。
| 補助対象とならないケース |
| 開発・改良前および開発・改良後の製品等の主要な部分が申請者による開発でない事業 |
| 市場での販売(事業化)を行わない事業 |
| 開発・改良の全部または大部分を委託している事業 |
| 機械装置の導入や運転資金の獲得等、本事業による事業化以外を目的とする事業 |
| 本事業で開発・改良した成果物(試作品)自体の販売を目的としている事業 |
| 最終ユーザーとして特定の顧客(法人・個人)を対象とするも |
| 公序良俗に反するなど、事業の内容について適切ではないと判断される事業 |
そのほか、補助金を交付することが不適切と判断される事業は対象となりません。
補助率・補助額と補助対象経費
本事業では、「事業会社等からの出資等」の金額が「補助対象外経費も含めた総事業費」の1/4以上を満たしていることが要件のひとつです。総事業費とは、以下のように計算します。
総事業費=(補助対象経費+補助対象外経費)
ただし、都による交付額は区分ごとに補助率が設定されています。総事業費に補助対象外経費が含まれる場合、交付額は減額される仕組みです。

出典:ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業 令和7年度 募集要項
区分別の補助率と上限額
区分ごとの補助率と上限額は、以下のとおりです。
| ■ゼロエミッション枠 | ■大学発ベンチャー・一般枠 | ||
| 補助率 | 2/3 | 補助率 | 1/2 |
| 補助限度額 | 10億円 | 補助限度額 | 3億円 |
| 補助下限額 | 3億円 | 補助下限額 | 1億円 |
| 支援期間 | 最長3年 | 支援期間 | 最長2年 |
ただし年度毎の補助限度額は、「ゼロエミッション枠」が初年度4億円・次年度以降3億円、「大学発ベンチャー・一般枠」が1億5,000万円です。
補助対象経費
補助対象経費は、以下のとおりです。
- 原材料・副資材費
- 外注・委託費
- 直接人件費
- 不動産賃借料・光熱水費
- 設備導入費
- 産業財産権出願費
- 展示会等参加費
- イベント開催費
- 広報ツール製作費
- 広告掲載費
製品等の事業化に要する開発・改良・実証実験経費、販路開拓経費が対象となります。
申請スケジュール
申請期間は以下のとおりです。
| 申請期間 | 令和7年6月12日(木)~11月14日(金) |
| 申請書類受領期間 | 令和7年11月5日(水)~11月14日(金) |
申請には事前の予約が必要です。予約は令和7年6月12日(木)から11月4日(火)までの平日(9時~17時、土日・祝日を除く)に受け付けています。
申請は面談形式で、以下のいずれかの方法で行われます。
- 対面方式:申請当日にすべての申請様式を持参
- オンライン方式:申請様式を前日までに発送
申請期間は11月中まで設けられていますが、申請間際の申し込みでは応募に間に合わない可能性が高いため、早めに予約のうえ、計画的に申請準備を進めてください。
まとめ
ゼロエミッション東京の実現等に向けたイノベーション促進事業を活用するには、事業会社との連携体制構築と、総事業費の1/4以上の出資確保が必要となります。また申請時は予約が必要なので、はやめに準備を進めていきましょう。
予算的な余裕の少ない企業にとって、技術や新たな製品等の開発は、負担を伴います。一方で社会にとって、新たなイノベーションが生まれることは、大きなメリットとなります。環境への負荷を減らし社会的なニーズを満たす製品等の開発は、都内の中小企業やスタートアップだけでなく、社会全体に利益をもたらすのです。
事業の詳細は、公式サイトをご確認ください。
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