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不正受給したらどうなる?助成金・補助金申請前に確認すべき項目とは?

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残念なことですが、新型コロナ対策の「持続化給付金」、「雇用調整助成金」などの不正受給が全国で発覚しています。国税局職員までもが不正受給に手を染めていた「持続化給付金」は、令和4年5月26日時点で給付金を不正に受給した者として1218者が認定され、不正受給の総額は12億2557万3000円に上ります。
参考:持続化給付金の不正受給者の認定及び公表について

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給付金や助成金は、会社が儲けるための制度ではありません。たとえば助成金は、従業員の処遇改善や社員教育、その費用を補助するための報奨金として使われています。助成金の財源は、会社が国に支払う「雇用保険料」から出ていて、要件を満たせば基本的に受給可能です。

助成金制度は、現在の社会情勢に反映して支給要件の緩和や、助成率の引き上げなどを行うことで制度拡充が進められてきています。代表的なところでは、コロナ禍における「雇用調整助成金」があげられます。

要件が緩和され、受給し易くなるのはとても良いことですが、それと同時に虚偽の申請を行うなど、不正受給問題が出てきてしまっているのも事実です。今回は、雇用関係の助成金を例にあげて不正受給がどのようなものかを見ていきたいと思います。

この記事の目次

不正受給とは?


「不正受給」とは、もともと存在しなかった書類や、実態と異なる書類を作成して提出を行い、助成金を受けようした場合のことを言います。つまり、故意に偽って助成金を受給することを不正受給と言います。

ここで注意して頂きたいのは、助成金が実際に支給されたかどうかは問われないという点です。「申請をするだけでも不正受給」になるので、安易な気持ちで助成金の手続きを行わないようにして下さい。

不正受給をしたらどうなるの?



2019年4月から助成金の不正受給が厳罰化されました。厳罰化の主な内容は
・不正受給額の20%に相当する額を追加で納付する
・不支給期間が3年から5年に延長され、不支給対象者も拡大
・助成金の申請サポートを行なった社会保険労務士等も罰則の対象
となっています。これらをふまえ不正受給をしたらどうなるのかみていきましょう。

(1)事業所名が公表される

都道府県労働局では、次の内容を公表しています。
・事業主の名称、代表者氏名
・事業所の名称、所在地、概要
・不正受給の金額、内容
・社会保険労務士または代理人や教育訓練を行う者が不正に関与していた場合、それらの者の名称や所在地等

(2)全額返還に加え、延滞金と不正受給額の20%に相当する額が請求される

不正受給であることが判明した場合は、受給した助成金の全額返還が必要です。また支給申請中の助成金は不支給となります。これまでは、元本と延滞金のみが請求されていましたが、厳罰化以降、受給した助成金のほか、違約金として20%相当額、年3%に相当する延滞金を追加で返還することになりました。

(3)刑事告発の可能性

詐欺、脅迫、収賄罪法など、特に悪質な場合には刑事告発が行われます。

(4)5年間の支給停止

不正受給してから5年間は、雇用保険料を財源とした全ての助成金を受けられません。また不正受給に関わった役員等が他の企業でも役員等となっている場合には、その企業も5年間助成金の支給停止になります。

(5)社会保険労務士または代理人等も罰則対象になる

これまでは助成金の返還は申請した事業主のみ行っていましたが、厳罰化により不正受給に関与した社会保険労務士及び代理人、職業訓練実施者も連帯債務者として返還請求されます。また不正に関与した社会保険労務士等は5年間助成金の申請ができなくなります。

助成金申請の審査が厳しくなってきています!


近年では、助成金申請とは直接関係ない部分でも、ハローワークや労働局の調査が厳しくなってきています。審査時にはチェックされることがなかったとしても、後から調査が入ることもあるため、前提として正しい労務管理、帳簿の運用を行ってください。

以下(1)~(6)については、申請前に一度確認しておきましょう。
(1)雇用保険加入の事業主であるか
(2)社会保険・労働保険への加入をしているか
(3)賃金が最低賃金を下回っていないか
(4)時間外手当が支払われているか
(5)休業手当の支払い状況に矛盾がないか 
(6)出勤簿・賃金台帳等の裏付けとなる関係書類があるか など

参照:会計検査院 雇用保険の雇用調整助成金に係る事業所訪問調査の実施について
参照:厚生労働省 雇用関係助成金支給要件

また助成金の受給後の話になりますが、助成金を受給すると会計検査院の実地検査を受ける可能性があります。検査のためにではなく、常に適正な会計処理を行うようにしてください。
会計監査院とは?
会計検査院は、国の収入支出の決算、政府関係機関・独立行政法人等の会計、国が補助金等の財政援助を与えているものの会計などの検査を行う、憲法上の独立した機関のことです。
参考:会計検査院HP

「より多くの助成金を貰える」など、甘い言葉にご用心!


最近では、「助成金の受給手続きに詳しい、より高額な助成金を受けられる方法を知っている」と主張する一部の経営コンサルタント等が、雇用関係の助成金申請に関して、事業主に対して不正受給にあたる助言をする例が発生しています。どのような内容か事例を確認しましょう。

(1)事例1 領収書水増し発行


事業主Aは、助成金申請にあたり、「事業所内保育施設建設にかかった費用の領収書コピー」が必要でした。助成金申請手続きに詳しいという外部の者から「他の事業主は、みんなこのように賢くやっている」との助言を受けて、建設会社へ依頼し、実際に支払った金額よりも高額な額面の領収書を発行してもらい、本来受給できる金額より多額の助成金の支給を受けますが、後日、会計検査院の調査において不正受給の事実が明らかになりました。

(2)事例2 架空書類作成


事業主Bは、助成金申請にあたり、「対象労働者の出勤簿の写し」の提出が必要でした。
しかし、もともと出勤簿を作成していなかったため、助成金申請手続きに詳しいという外部の者が出勤簿を作成しその写しを添付書類として支給申請をしてしまいましたが、後日、記載内容が実際の出勤状況と相違していることが明らかになってしまいました。
参考:厚生労働省 実態と異なる書類等を作成して助成金を受給しようとすることは犯罪です

不正受給の現状

コロナ関連の給付金などにおいて、不正受給の調査が経済産業省より行われており、以下の給付金や支援金の不正受給が報告されています。
・持続化給付金
・家賃支援給付金
・一時支援金

持続化給付金を不正に受給した者として、令和3年3月15日以降、1673者が認定され令和5年1月5日時点で不正受給総額は16億9282万6130円となっております。また不正受給者の1309者は、不正受給金額(総額13億2302万4600円)に加え、20%の加算金及び年率3%の延滞金の全額を国庫に納付済みとなっているようです。

家賃給付金を不正に受給した者として、令和3年1月25日以降、81者が認定され令和4年12月8日時点で、不正受給総額は2億2659万3600円となっております。またそのうち48者は、不正受給金額(総額1億2383万2230円)に加え、20%の加算金及び年率3%の延滞金の全額を国庫に納付済みとなっているようです。

一時支援金を不正に受給した者として、令和4年12月26日以降、1者を認定され令和5年1月5日時点、不正受給総額は300,000円となっております。

手続きでわからないことは、まず労働局へ相談しよう!


上記の他にも、
・休業日に業務を行っていたにもかかわらず休業を実施したと偽る
・実際には雇用していないにもかかわらず雇用していたことにする
・実際には実施しなかった社員研修を実施したかのように装う
・無期雇用の契約書を有期雇用に勝手に書き換える
などの事例もあります。

「申請に必要な書類を作っていない」「紛失してしまった」など、支給申請で不明な点がある場合は、支給申請先の都道府県労働局雇用均等室へ相談ができます。
相談については、専門相談員が無料で丁寧な説明をしてくれるため、ちょっとした疑問でも問い合せをしてみるのもいいかもしれません。

まとめ


いかがでしたか?
「少しくらい、書類を書きかえても大丈夫だろう」「このくらいの辻褄合わせなら、気付かないだろう」と言った、ほんの軽い気持ちが、取り返しのつかない事態になってしまう可能性があります。特に、不正受給により事業所名が公表されてしまうと、取引先や金融機関などへの社会的信用にも影響が出てきてしまいます。

また、助成金の支給にあたっては基本的に半年から1年と取り組みから受け取るまでに比較的長い期間がかかります。これは、支給された申請を順番に処理しているからだけではなく、厳正な審査を行い、細かいチェックを行っているためです。助成金申請において、ゲームで言うところの「裏技」は存在しません。不明な点がある場合には、管轄の労働局への問い合わせてみるなど多少の時間はかかりますが、一つ一つ丁寧に進め、理解した上で申請を行うことが大切です。

助成金ありきで申請するのではなく、どのような会社にしていきたいのかという方向性を決めた上で、活用できそうな助成金を見つけてみてください。

参考:厚生労働省福岡労働局 不正受給防止リーフレット

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