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社会保険加入拡大で最大747万円!キャリアアップ助成金「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」について

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契約社員、パート、派遣社員といった方々のキャリアアップを促進する取り組みを行うと、申請できる助成金があります。「キャリアアップ助成金」とは、非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善などに取り組む事業主を対象にした助成金です。

人材開発支援助成金とは?最大でいくらもらえる?

取り組み内容により助成金のコースが7つに分かれており、そのうちの一つである「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」では、有期契約労働者を社会保険に加入し、基本給を増額した場合、1人あたり最大で16万6000円(生産性の向上が認められ、基本給の増額割合14%の場合)が支給されます。支給申請上限人数は45人までで、支給額は最大で747万円になります。このコースは2020年3月31日までの暫定措置ということですので、社会保険加入拡大をお考えの方に活用していただきたい助成金です。

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今回はそんな「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」についてご紹介します。

この記事の目次

1、「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」とは

従業員500人以下の企業が、労使合意に基づき社会保険適用の拡大をして、パートなどの有期契約労働者を新たに保険加入させて、基本給を増額した場合に助成されるコースです。なお、社会保険に加入したことで、手取りが減少することを防ぐため、基本給の増額が求められています。

このコースは社会保険加入対象でない労働者が社会保険に加入するのを後押しするための助成ですがあらためて社会保険について言及したいと思います。

社会保険とは

年金保険、健康保険、雇用保険、労災保険、介護保険などをまとめて「社会保険」といいます。これらの保険は、通院・入院、老後の生活保障、失業時の生活保障など、私たちの生活を支えるために役立つもので、保険料は被保険者と事業主で負担し、事業主が取りまとめて納付しています。


出典:業務の教科書https://www.biznavi.jp/corporation/998

社会保険に加入するメリット

働く人にとっては、将来もらえる年金が増えること、健康保険の給付(傷病手当、出産手当金)が充実すること、会社が保険料を半分負担してくれることなどがメリットとしてあげられます。

事業主にとっては、いかがでしょうか。安心して働いてもらえる基盤をつくることで、人材の確保、働く人の意欲向上につながることがメリットとして考えられますね。

社会保険 加入対象者とは

これまで厚生年金保険・健康保険(以下、「社会保険」といいます)の適用範囲は、平成28年9月30日までは、所定労働時間が週30時間以上の方や、1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務を行う正社員の3/4以上である方が対象でしたが、平成28年10月1日から従業員501人以上の会社で週20時間以上働く方などにも加入対象が広がりました。(※1)さらに、平成29年4月から従業員500人以下の会社で働く方も労使で合意(※2)すれば会社単位で社会保険に加入できるようになり、近年対象者が拡大しています。

(※1)平成28年10月1日から、以下すべてを満たす方も加入対象となります。
①所定労働時間が「週20時間以上」
②月額賃金8.8万円以上
③勤務期間1年以上見込み
④学生以外
⑤従業員規模501人以上の企業

(※2)労使の合意とは、従業員の1/2以上と事業主が社会保険に加入することについて合意し、事業主が所轄の年金事務所等へ申し出ることをいいます。

つまり、上記(※1)の①~④の要件にあてはまり、かつ従業員500人以下の事業所のため保険加入対象外だった方も、平成29年から労使の合意があれば会社単位で社会保険に加入できるようになりました。

このような方たちが、社会保険に加入する際に使えるのがこのキャリアアップ助成金の一つである「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」です。

出典:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201607/2.html

2、このコースの対象者は?

社会保険はどのようなもので、誰が加入できるのか、労使合意による適用拡大とは、などの情報が理解できたところで、本コースの対象者についてみてみましょう。

次の①から⑤までのすべてに該当する労働者が対象です。
①支給対象事業主に雇用される有期契約労働者等であること。
②措置の該当日の前日(以下「措置該当日」という。)から起算して過去3か月以上の期  間継続して有期契約労働者等として雇用されていた者であること。
③措置該当日の前日から起算して過去3か月間、社会保険の適用要件を満たしていなかっ  た者であること。
④労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を実施した事業所の事業主または取締役の  3親等以内の親族以外の者であること。
⑤ 支給申請日において離職していない者であること。

出典:キャリアアップ助成金のご案内P.54
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000527143.pdf

対象者は、社会保険の適用拡大実施日の前日から起算して、過去3か月以上有期契約労働者等として雇用されていて社会保険の適用要件を満たしていなかった方、かつ事業主または取締役の親族以外で、支給申請日に離職していない方となります。

3、対象となる事業主は?

事業主が労使合意に基づき社会保険の適用拡大を実施する必要があるのは前述のとおりですが、その他にどのような要件があるのかみてみましょう。キャリアアップ助成金の全コース共通要件と当該コースの要件があります。

キャリアアップ助成金(全コース共通)事業主要件
○ 雇用保険適用事業所の事業主であること
○ 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
○ 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労  働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
○ 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書  類を整備している事業主であること
○ キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

出典:キャリアアップ助成金のご案内P.4
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000527143.pdf

キャリアアップ管理者とは、有期契約労働者等のキャリアアップに取り組む者として必要な知識および経験を有していると認められる者のことで、事業所ごとに1名配置します。キャリアアップ計画とは有期契約労働者等のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため、今後のおおまかな取り組みイメージ(対象者、目標、期間、目標達成のために事業主が行う取り組み)をあらかじめ記載するものです。

「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」事業主要件
次の①から⑦までのすべてに該当する事業主であること。
① 労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を実施した事業主であること。
② ①の措置該当日において、新たに社会保険の被保険者となった全ての有期契約労働者等の基本給を増額し、かつ、定額で支給されている諸手当を減額していない事業主であること。
③ ①の措置該当日において、新たに社会保険の被保険者となった全ての有期契約労働者等の基本給について、①の措置を講ずる前の基本給と比べて一定の割合(3%以上)で増額する措置を講じた事業主であること。
④ 有期契約労働者等を措置適用後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して基本給の増額後6か月分の賃金を支給した事業主であること。
⑤ 措置該当日以降の期間について、当該労働者を雇用保険および社会保険の被保険者として適用させている事業主であること。
⑥ 上記②実施後に、社会保険加入状況および基本給を明確にした雇用契約書等を作成および交付している事業主であること。
⑦ 生産性要件を満たした場合の支給額の適用を受ける場合にあっては、当該生産性要件を満たした事業主であること。

出典:キャリアアップ助成金のご案内P.55
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000527143.pdf

事業主は、社会保険の適用拡大を実施するだけでなく、有期契約労働者全員の基本給を3%以上増額し、それを6か月間支給していることが必要です。またその方たちを雇用保険および社会保険の被保険者として加入させ、社会保険加入状況や基本給を明確にした雇用契約書等を作成し交付していることも求められます。

4、受給額


出典:キャリアアップ助成金のご案内P.54
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000527143.pdf

受給額は基本給の増額割合に応じて異なります。また、中小企業か、生産性の向上が認められるかどうかでも変わってきます。たとえば対象労働者1人当たりの支給額は、増額割合が3%以上5%未満ですと、2万9000円(生産性の向上が認められると3万6000円)、増額が14%以上ですと13万2000円(生産性向上だと16万6000円)のようになっています。1事業所当たり1回のみの受給で支給申請上限人数は45人まで、最大747万円の助成金が支給されます。なお、複数の対象者間で基本給の増額割合が異なる場合は、最も低い割合の区分の支給額が適用されますのでご注意ください。

5、申請時の提出書類

コース内容の理解が深まってきたところで、申請に必要な書類を確認しましょう。
提出書類は以下の通りです。全コース共通様式と、コースの提出書類、それに添付する書類となります。様式は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

(1) 様式第3号 キャリアアップ助成金支給申請書

(2) 様式第4号 事業所確認票

(3) 様式第3号 別添様式6 選択的適用拡大導入時処遇改善コース内訳

(4) 支給要件確認申立書(共通要領様式 第1号)

(5) 支払方法・受取人住所届

(6) 管轄労働局長の認定を受けたキャリアアップ計画書(写)

(7) 対象労働者の基本給の増額前および増額後の雇用契約書等

(8) 対象労働者の労働基準法第108条に定め賃金台帳または船員法第58条の2に定める報酬支払簿
※基本給の増額前3か月分(基本給の増額の適用を受けた日の前日から3か月前の日までの賃金に係る分)および増額後6か月分(当該適用を受けた日から6か月を経過する日までの賃金に係る分)

(9) 対象労働者の出勤状況・出退勤時刻を確認するための書類(出勤簿など)
※基本給の増額前3か月分および増額後の6か月分

(10) 任意特定適用事業所該当通知書

(11) 中小企業事業主である場合、中小企業事業主であることを確認できる書類

(12) 生産性要件に係る支給申請の場合の添付書類

(3) 様式第3号 別添様式6 選択的適用拡大導入時処遇改善コース内訳の記入例


出典:キャリアアップ助成金のご案内P.71
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000527143.pdf

6、支給申請期間および申請の流れ


最後に申請の流れについて確認しておきましょう。5つのステップがあります。

(1) キャリアアップ計画の作成・提出(社会保険の適用拡大措置により、有期契約労働者等を被保険者とし、基本給の増額をする日までに提出)
雇用保険適用事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、労働組合等の意見をきいて「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局長の認定を受けてください。

(2) 労使合意に基づき社会保険の適用拡大、基本給の増額を実施
基本給の増額の際に、社会保険加入状況および基本給を明確にした「労働条件通知書」または「雇用契約書」を交付します。

(3) 増額後の基本給に基づき6か月分の賃金を支給
賃金には時間外手当等も含みます。

(4) 助成金支給申請
増額後6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して、2か月以内に支給申請してください。

(5) 支給決定

まとめ

キャリアアップ助成金の「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」は、労使の合意に基づき社会保険の適用拡大を行い、新たに被保険者となった方の基本給を増額した事業主が対象となる助成金でした。基本給の増額割合に応じて、最大で1人あたり16万6000円が支給されます。なお、このコースは2020年3月31日までの暫定措置ということですので、社会保険適用拡大をお考えの方は活用をおすすめいたします。

非正規雇用労働者の処遇改善に取り組み、労働者の意欲向上を目指してみよう、とお考えの事業者の皆さま、キャリアアップ助成金を活用して労働環境整備に取り組んでみませんか。ご不明な点など、補助金ポータルまでお気軽にお問い合わせください

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