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人材開発支援助成金とは?最大でいくらもらえる?

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現代の少子高齢化により労働力人口は縮小の一途をたどり、企業にとって人材の確保が一層困難になっています。この状況下で重要なのは、従業員の労働生産性をいかに向上させるかという課題です。その解決策の一つとして注目されているのが、労働者のスキルアップを目的とした研修に対して厚生労働省から提供される「人材開発支援助成金」です。この記事では、この制度の具体的な内容や申請の手順について詳しく説明していきます。

この記事の目次

人材開発支援助成金とは?

人材開発支援助成金とは、従業員に対して職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための訓練等を受講する事業主を支援するための助成制度となります。

机上研修(OFF-JT)や実施研修(OJT)等を通して人材育成に励む事業主などへ、研修における経費や研修期間中の賃金の一部を助成することにより人材育成を支援する制度です。
大きく6つのコースに分かれています。

  1. 人材育成支援コース
  2. 教育訓練休暇等付与コース
  3. 建設労働者認定訓練コース
  4. 建設労働者技能実習コース
  5. 人への投資促進コース
  6. 事業展開等リスキリング支援コース
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人材開発支援助成金 1事業者あたり年度でいくらもらえる?

各コースの支給額について、1事業者あたり年度で最大いくらもらえるかを以下に示します。

人材育成支援コース 1年度中に受給できる助成額は1000万円まで
教育訓練休暇等付与コース 定額30万円(賃金要件・資格等手当要件を満たす場合は36万円)
建設労働者認定訓練コース 1事業所への1年度の建設労働者認定訓練コースに係る賃金助成および賃金向上助成・資格等手当助成の支給額の合計は1000万円が上限
建設労働者技能実習コース 1事業所への1年度の建設労働者技能実習コースに係る経費助成、賃金助成、および賃金向上助成・資格等手当助成の支給額の合計は500万円が上限
人への投資促進コース 1年度中に受給できる助成額は、成長分野等人材訓練を除き人への投資促進コースで2500万円まで、そのうち自発的職業能力開発訓練は300万円まで。また、成長分野等人材訓練は1000万円が上限
事業展開等リスキリング支援コース 1年度中に受給できる助成額は1億円まで

人材開発支援助成金とキャリアアップ助成金の違いとは

「人材開発支援助成金」と「キャリアアップ助成金」は、言葉の微妙な意味合いが似ていることから間違われることも少なくありません。しかし、2つの支援制度は以下の点が異なります。

対象者 支援目的
人材開発支援助成金 被保険者(有期契約労働者等以外)、または有期契約労働者等 労働者のキャリア全体を通じて、段階的で組織的なスキルアップを推進する
キャリアアップ助成金 有期雇用労働者等(契約社員・パート・派遣社員など) 非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進する
人材開発支援助成金のコース種類

人材開発支援助成金の種類と各コース内容について

人材開発支援助成金は6つの支援コースに分かれており、コースごとに助成内容や対象が異なります。

それぞれのコースの内容について紹介していきます。

人材開発支援助成金 人材育成支援コース

職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練を幅広く助成することで、企業内における人材育成を促進することを目的としています。職務に関連した10時間以上の訓練などが対象になります。

人材育成支援コースの対象

・事業主
・事業主団体等

人材育成支援コースの対象訓練

①10時間以上のOFF-JT
②中核人材を育てるために実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた6ヶ月以上の訓練
③有期契約労働者等の正社員転換を目的として実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた2ヶ月以上の訓練

人材育成支援コースの助成金額

以下、対象訓練ごとの助成額をまとめました。

なお、<>内は、訓練後に労働者に毎月決まって支払われる賃金が5%以上上がった場合や、訓練修了後に資格手当を支払うことで賃金が3%以上増えた場合に加算されます。

【賃金助成】
1人1時間あたり760円<200円>〔中小企業以外380円<100円>〕

【経費助成】
対象訓練①の場合
・正規雇用労働者 実費相当額の45%<15%>〔中小企業以外30%<15%>〕
・非正規雇用労働者 実費相当額の60%<15%>
・正社員化した場合 実費相当額の70%<30%>

対象訓練②の場合
実費相当額の45%<15%>〔中小企業以外30%<15%>〕

対象訓練③の場合
・非正規雇用労働者 実費相当額の60%<15%>
・正社員化した場合 実費相当額の70%<30%>

【OJT実施(定額)助成】
対象訓練②の場合
1人1訓練あたり20万円<5万円>〔中小企業以外11万円<3万円>〕

対象訓練③の場合
1人1訓練あたり10万円<3万円>〔中小企業以外9万円<3万円>〕

賃金要件・資格等手当要件を満たした場合の提出期限

すべての対象労働者に対して、要件を満たす賃金又は資格等手当を3か月間継続して支払った日の翌日から起算して5か月以内に、割増分を支給申請


人材開発支援助成金 教育訓練休暇等付与コース

労働者の自発的な職業能力開発の機会の確保を促進することを目指し、有給の教育訓練休暇制度を導入・実施した事業主に対して助成します。

教育訓練休暇等付与コースの対象

・事業主

教育訓練休暇等付与コースの助成内容

・有給教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得して訓練を受けた場合に助成

教育訓練休暇等付与コースの助成金額

【定額助成】 30万円<6万円>
※<>内は、訓練後に労働者に毎月決まって支払われる賃金が5%以上上がった場合や、訓練修了後に資格手当を支払うことで賃金が3%以上増えた場合に加算

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人材開発支援助成金 建設労働者認定訓練コース

建設労働者の技能を高めることを目的として、中小建設事業主等が認定訓練を実施したり、建設労働者にその訓練を受講させたりすると、助成が受けられる制度です。

建設労働者認定訓練コースの対象

・中小建設事業主
・中小建設事業主団体(経費助成のみ)

建設労働者認定訓練コースの助成内容

・能開法による認定訓練を実施または雇用する建設労働者に有給で受講させる場合に助成

建設労働者認定訓練コースの助成金額

支給額
経費助成 広域団体認定訓練助成金の支給または認定訓練助成事業費補助金における助成対象経費の1/6
賃金助成 認定訓練を受講した建設労働者1人1日あたり3,800円 <1,000円>

※<>内は賃金要件・資格等手当要件を満たした場合の割増分

賃金要件・資格等手当要件を満たした場合の提出期限

算定対象とする建設労働者の全てに対して、賃金要件・資格等手当要件を満たす毎月決まって支払われる賃金または資格等手当を支払った日の翌日から起算して5ヶ月以内に、割増分を支給申請

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人材開発支援助成金 建設労働者技能実習コース

雇用する建設労働者に有給で技能の向上のための実習を受講させた建設事業主または建設事業主団体に対して助成するもので、中小建設事業主とそれ以外とで、助成内容が異なります。

建設労働者技能実習コースの対象

・中小建設事業主、中小建設事業主団体(※支給対象:男性・女性労働者)
・中小以外の建設事業主、中小以外の建設事業主団体(※支給対象:女性労働者のみ)

建設労働者技能実習コースの助成内容

・安衛法による教習、技能講習、特別教育
・能開法による技能検定試験のための事前講習
・建設業法による登録基幹技能者講習 等

建設労働者技能実習コースの助成金額

【経費助成(建設事業主)】
(20人以下の中小建設事業主) 支給対象費用の3/4
(21人以上の中小建設事業主) 35歳未満:支給対象費用の7/10、35歳以上:支給対象費用の9/20
(中小建設事業主以外の建設事業主) 支給対象費用の3/5

【経費助成(建設事業主) 賃金向上助成・資格等手当助成】
支給対象費用の<3/20>
【経費助成(建設事業主団体)】
(中小建設事業主団体) 支給対象費用の4/5
(中小建設事業主団体以外の建設事業主団体) 支給対象費用の2/3
【賃金助成】(最長20日間)
(20人以下の中小建設事業主) 1人あたり日額8,550円(9,405円(※))
(21人以上の中小建設事業主) 1人あたり日額7,600円(8,360円(※))
(※)建設キャリアアップシステム技能者情報登録者の場合

【賃金助成 賃金向上助成・資格等手当助成】
(20人以下の中小建設事業主) 支給対象1人あたり日額<2,000円>
(21人以上の中小建設事業主) 支給対象1人あたり日額<1,750円>

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人材開発支援助成金 人への投資促進コース

高度なデジタルスキルやIT能力の育成を目指す訓練や、定額制サービス(サブスクリプション)による訓練を実施した場合などに助成する制度です。さらに、長期の教育休暇をとりながら訓練を受ける労働者も対象となります。

人への投資促進コースの対象

・事業主

人への投資促進コースの対象訓練

①(1)高度デジタル人材の育成のための訓練
(2)大学院での訓練
②OFF-JT+OJTを組み合わせた6ヶ月以上の訓練(IT分野関連の訓練)
③定額制訓練(サブスクリプション型の研修サービス)による訓練
④労働者の自発的な訓練費用を事業主が負担する訓練
⑤長期教育訓練休暇等制度の導入等

人への投資促進コースの助成金額

訓練区分 経費助成 賃金助成(1人1時間あたり)
OJT実施助成(1人1コースあたり)
定額制訓練 60%〔45%〕
<75%〔60%〕>
自発的職業能力開発訓練 45%
<60%>
高度デジタル人材訓練 75%〔60%〕 960円〔480円〕
成長分野等人材訓練 75% 国内大学院
960円
情報技術分野認定実習併用職業訓練 60%〔45%〕
<75%〔60%〕>
760円〔380円〕
<960円〔480円〕>
20万円〔11万円〕
25万円〔14万円〕
長期教育訓練休暇制度 制度導入経費20万円
<24万円>
1人1時間あたり960円〔760円〕
<200円>
教育訓練短時間勤務等制度 制度導入経費20万円
<24万円>

※〔 〕内は中小企業以外の場合、< >内は賃金要件・資格等手当要件助成が適用された場合です。

経費助成の支給限度額は、実訓練時間数に応じて以下のようになります。

訓練区分
100時間未満 100時間~200時間未満 200時間以上 大学(一年度あたり) 大学院(一年度あたり)
自発的職業能力開発訓練 7万円 15万円 20万円 60万円 国内60万円
海外200万円
高度デジタル人材訓練 30万円
〔20万円〕
40万円
〔25万円〕
50万円
〔30万円〕
150万円
〔100万円〕
成長分野等人材訓練 国内150万円
海外500万円
情報技術分野認定実習併用職業訓練 15万円
〔10万円〕
30万円
〔20万円〕
50万円
〔30万円〕

※〔 〕内は中小企業以外の場合

賃金要件・資格等手当要件を満たした場合の提出期限

すべての対象労働者に対して、要件を満たす賃金または資格等手当を3か月間継続して支払った日の翌日から起算して5か月以内に、割増分を支給申請

人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース

新しい事業展開や新分野への進出に必要な知識や技能を習得する訓練を受ける際に助成する制度です。このコースは、事業の変化に伴う人材のスキルアップを支援し、企業内の人材育成を強化することを目的としています。

事業展開等リスキリング支援コースの対象

・事業主

事業展開等リスキリング支援コースの対象訓練

・事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識および技能の習得をさせるための訓練
・事業展開は行わないが、企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション(DX)化やグリーン・カーボンニュートラル化を進める場合に、関連業務に従事させるうえで必要となる専門的な知識および技能の習得をさせるための訓練

事業展開等リスキリング支援コースの助成金額

経費助成
実費相当額の75%〔中小企業以外60%〕

賃金助成
1人1時間あたり960円〔中小企業以外480円〕

人材開発支援助成金の申請フロー

人材開発支援助成金を申請する流れは各コースによって申請フローが異なります。基本的な手続きの流れは以下のとおりです。

基本的な申請手続きの流れ

・都道府県労働局へ訓練計画の提出
・訓練等の実施
・労働局へ支給申請の提出:訓練終了後2か月以内
・審査後、助成金の受給

人材開発支援助成金のデメリット

人材開発支援助成金は、国から支援金をもらって企業内における人材の育成のための研修を行うことができる反面デメリットも存在します。

  • 研修終了後に助成金交付の有無が決定される
  • 研修により一時的に人手不足に陥る
  • 申請手続きが煩雑であり期間が限られている

以上の3点が人材開発支援助成金におけるデメリットではないでしょうか。

まず一つ目の助成金交付が、研修終了後に決定されるという点ですが、研修終了後に申請し支給審査の上で支給・不支給の通知が来るという点です。

つまり、お金をかけて研修を行ったとしても不支給にもなるリスクがあるということです。

さらにOff-JTは、企業の事業活動と区別して業務の遂行の過程外で行われる訓練のため期間中一時的に人手不足に陥る可能性も含んでいます。計画的にスケジュールをしなければ本業自体に支障をきたす場合があるので注意が必要です。

そして3つめのデメリットとして挙げられることとして、支給申請が煩雑であるという点です。

ジョブカードの提出や訓練計画の提出、受講者の評価、そして支給申請書類の提出など煩雑な資料作成となり、さらに訓練終了後の翌日から起算して2か月以内に申請をしなければならないというルールがあります。

この複雑なプロセスを考えると、自力での助成金申請はリスクが大きいといえるでしょう。失敗しない申請をするためにもまずは専門家へご相談してみることをお勧めします。

人材開発支援助成金におけるこれまでの変更点

人材開発支援助成金は、2016年にキャリア形成促進助成金という名称でした。その後、支援のコース内容が見直され今にいたります。

【令和5年度より生産性要件は廃止され、賃金要件および資格等手当要件が新設】
令和4年度までは、生産性を向上させた事業主に対して助成額の加算を行っていましたが、令和5年度から、企業が付加価値を向上させ、それを労働者の賃金上げに反映させることを奨励するため、新たな助成の加算制度が導入されました。具体的には「賃金要件」や「資格等手当要件」のいずれかを満たす企業は、訓練経費に加えて最大15%の追加助成が受けられるようになりました。

【令和5年4月1日から、人材開発支援助成金を利用しやすくするための制度の見直しが行われました】
・特定訓練コース、一般訓練コース、特別育成訓練コースの3つを統合して、新たに「人材育成支援コース」を設けました。これにより、令和5年4月からの申請が簡素化され、より利用しやすくなりました。

・人への投資促進コースでは、情報技術分野の実習を有期契約労働者も含む雇用保険加入者に拡大しました。また、高度デジタル人材の訓練に「マナビDX」の中で「ITSS+」および「DX推進スキル標準」のレベル4または3の講座を新たに追加しました。

・計画届の提出手続きが変更されました。以前は新たな訓練を実施する際、コースによっては「訓練実施計画変更届」を提出する必要がありましたが、令和5年度から、訓練を新たに実施する場合は「職業訓練実施計画届」を都度提出する形になりました。

まとめ

人材開発支援助成金は、人材育成に励む事業主などへ、研修における経費や研修期間中の賃金の一部を助成することにより人材育成を支援する制度です。申請する際には幾つか注意点もあるため、不明点があれば確認の上、申請をするようにしてください。是非制度を上手く活用し、個人の成長、会社の成長にも繋げてみてください。

e-ラーニングやサブスクリプション型の研修サービスなどが助成対象に追加された点は、近年時間や場所を限らずに学べる機会が増えてきたこともあり、ニーズに沿った変更といえるでしょう。さまざまな成長のチャンスを得られるよう、人材開発支援助成金をうまく活用してみてはいかがでしょうか。

公式ページ:人材開発支援助成金|厚生労働省

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