「eラーニングを導入したいが費用対効果に自信がない」「デジタル人材を育てたいが研修費用の負担が重い」――そんな悩みを持つ人事・研修担当者に活用してほしいのが、人材開発支援助成金の「人への投資促進コース」です。サブスクリプション型の定額制研修は経費の60%、大学院や高度デジタル人材の訓練は75%と、訓練形態に応じて幅広い費用が助成される制度で、DX投資と人材投資を同時に加速できる仕組みとして注目されています。
本コースは令和4年度に創設された5年間の期間限定助成で、令和8年度(2026年度)が最終年度となる見込みです。さらに令和8年に入ってからも、4月8日・5月14日・8月3日と3度の改正が入り、長期教育訓練休暇制度への「新規採用助成」「職務代行助成」新設、「受講料等の価格設定に関する疎明書」の提出義務化など、実務上の変更点が続いています。本記事では、令和8年8月3日版パンフレットをもとに、5つのメニューの助成額・要件・改正点・申請フローまでを整理して解説します。
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この記事の目次
人への投資促進コースとは?令和8年度が最終年度の5メニュー制度
人への投資促進コースは、企業のDX推進と人材育成を強力に支援するため、令和4年度から令和8年度までの5年間の期間限定助成として、人材開発支援助成金の中に新設されたコースです。国民からのアイデア募集を経て設計された制度で、「デジタル人材の育成」「労働者の自発的な学び直しの支援」「柔軟な訓練形態の助成対象化」という3つの柱で構成されています。
コースは以下の5つのメニューからなり、企業の課題や育成方針に応じて自由に組み合わせて活用できます。
| メニュー | 概要 |
|---|---|
| 定額制訓練(サブスクリプション) | eラーニング等の定額受け放題型の研修サービスの費用を助成 |
| 高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練 | ITSS/DSS-Pレベル3・4の訓練や大学院での訓練を高率助成 |
| 情報技術分野認定実習併用職業訓練 | IT分野未経験者へのOFF-JT+OJT訓練を助成 |
| 自発的職業能力開発訓練 | 労働者が自発的に受講した訓練の費用を事業主が負担した際に助成 |
| 長期教育訓練休暇等制度 | 教育訓練のための長期休暇や短時間勤務制度を導入した際に助成 |
助成上限額は、成長分野等人材訓練を除く4メニュー合計で1事業所1年度あたり2,500万円、成長分野等人材訓練は別枠で最大1,000万円です。本コースは令和8年度末までの時限措置で、令和9年度の概算要求では別のコース体系への再編案が示されています。現行の助成率で活用したい企業は、令和8年度中の計画届提出を実務上のリミットとして押さえておきましょう。
令和8年度(2026年度)の重要改正4点
人への投資促進コースは令和8年度に入ってから4つの改正が実施されています。いずれも申請実務に直結する変更のため、既に活用中の企業も内容を確認してください。
| 改正日 | 改正内容 |
|---|---|
| 令和8年4月8日 | 長期教育訓練休暇制度に「新規採用助成」「職務代行助成」を新設(中小企業のみ) |
| 令和8年4月8日 | 申請事業主と密接な関係にある者への支払いを経費助成の対象外に |
| 令和8年5月14日 | 支給申請時に「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」の提出を必須化 |
| 令和8年8月3日 | eラーニング訓練実施結果報告書(様式第8-3号)の改正、不正受給の公表に関する特例を新設 |
新規採用助成・職務代行助成の金額は長期教育訓練休暇等制度の項で、疎明書と改正様式の扱いは申請の流れの項でそれぞれ解説しています。
令和9年度(2027年度)の見通し
本コースは令和8年度末までの時限措置ですが、令和8年8月末に公表された令和9年度概算要求では、人材開発支援助成金全体の要求額が602億円(前年度当初539億円)に増額され、コース体系を「訓練実施コース」と「休暇制度導入コース」に再編する案が示されました。人への投資促進コースの名称は資料に見当たらず、現行メニューは次のように引き継がれる見込みです。| 現行メニュー | 令和9年度概算要求での位置づけ(案) |
|---|---|
| 高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練 | 特定訓練「中核人材」へ再編。経費60%(大企業45%)の案で、現行75%から引き下げの可能性 |
| 長期教育訓練休暇等制度 | 休暇制度導入コースで継続。新規雇用助成・職務代行助成も維持の案 |
| 定額制訓練・自発的職業能力開発訓練 | 要求資料上で個別のメニューとして確認できず、扱いは未確定 |
いずれも要求段階で、確定は12月末の政府予算案と令和9年3月前後のパンフレット公表を待つ必要があります。現行の助成率で使いたい企業は、令和8年度内の計画届提出を前提に準備しましょう。
参考:厚生労働省「令和9年度概算要求の概要(人材開発統括官)」
5つのメニューの助成率と助成額
人への投資促進コースの5メニューは、それぞれ助成率・助成上限額・対象訓練の要件が異なります。以下、令和8年8月3日版パンフレットをもとに整理します。
定額制訓練(サブスクリプション型eラーニング)
定額制訓練は、労働時間中に実施されるサブスクリプション型の研修サービスの経費を助成するメニューです。受け放題型のeラーニングが典型で、正規社員・非正規社員を問わず対象になります。
| 事業規模 | 経費助成率 | 賃金要件等を満たす場合 |
|---|---|---|
| 中小企業 | 60% | 75% |
| 大企業 | 45% | 60% |
加算の条件は、訓練終了日の翌日から1年以内に賃金を5%以上増加させる「賃金要件」、または就業規則等に規定した資格等手当を支払って賃金を3%以上増加させる「資格等手当要件」のいずれかです。定額制訓練は経費助成のみで、賃金助成はありません。
【対象経費と対象外経費】
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 対象になる経費 | 定額制サービスの基本料金、初期設定費用、アカウント料、管理者ID付与料、修了証発行料などサービス利用に付随する費用 |
| 対象にならない経費 | 受講に使用する端末・通信機器の費用、自社向けコンテンツの制作費、申請事業主と密接な関係にある者への支払い【要確認】 |
【対象労働者の要件:1人あたり10時間以上の修了】
対象労働者ごとに、標準学習時間10時間以上の訓練を修了していることが要件です。以前は受講者全員の合計が10時間以上あれば訓練全体が対象でしたが、【要確認:令和8年4月8日/令和6年10月】の改正で1人あたり10時間以上に強化されました。受講を業務命令として位置づけ、LMS(学習管理システム)で個人ごとの修了状況を追える運用にしておくことが、不支給を防ぐ最大のポイントです。10時間に届かなかった社員の分は支給対象外になります。
【契約期間と計画届のタイミング】
定額制訓練では「契約期間の初日」が訓練開始日にあたります。計画届は契約期間の初日から起算して6か月前から1か月前までに提出する必要があります。年度をまたぐ契約でも、契約期間全体を1つの訓練実施期間として扱います。すでに契約中のサービスについては、計画届を提出した日から1か月後を契約期間の初日とみなし、そこから契約最終日までの日数の割合に応じた額が助成される取り扱いがあります【要確認:本コースでの適用条件】。
【受講回数の上限】
定額制訓練と自発的職業能力開発訓練(定額制サービスによる訓練)は、事業展開等リスキリング支援コースの定額制サービスによる訓練と合算して、1労働者につき1年度3回までです。
高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練
高度デジタル人材訓練・成長分野等人材訓練は、5メニューの中で最も助成率が高いメニューです。DX推進や成長分野でのイノベーションを担う人材を育成する場合に活用でき、ITSS(ITスキル標準)またはDSS-P(DX推進スキル標準)レベル3・4に該当する訓練や、国内外の大学院での訓練が対象になります。
| 訓練種別 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 高度デジタル人材訓練 経費助成率 | 75% | 60% |
| 高度デジタル人材訓練 賃金助成額 | 1,000円/時 | 500円/時 |
| 成長分野等人材訓練 経費助成率 | 75% | 75% |
| 成長分野等人材訓練 賃金助成額 | 1,000円/時(国内大学院のみ) | 1,000円/時(国内大学院のみ) |
高度デジタル人材訓練を活用するには、主たる事業が「情報通信業」であり、事業適応計画(情報技術事業適応)の認定を受けていることが要件です。海外の大学院により実施される成長分野等人材訓練は、日本の学士以上に相当する学位を取得した従業員のみが対象となります。成長分野等人材訓練の助成上限は最大1,000万円で、他メニューの2,500万円枠とは別枠で活用できます。
情報技術分野認定実習併用職業訓練
情報技術分野認定実習併用職業訓練は、IT分野未経験の若手を即戦力化するためのOFF-JTとOJTを組み合わせた訓練メニューです。主たる事業が「情報通信業」で、15歳以上45歳未満の労働者が対象となります。
| 助成の種類 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 60%(+15%) | 45%(+15%) |
| 賃金助成額 | 800円/時(+200円/時) | 400円/時(+100円/時) |
| OJT実施助成 | 20万円(+5万円) | 11万円(+3万円) |
原則として対面訓練(通学制または同時双方向型の通信訓練)が対象で、eラーニング単体や通信制単体は対象外です。ただし大臣認定訓練と一連の内容として組み合わせる場合はeラーニング・通信制も対象になります。新規学卒予定者以外に本メニューを適用する場合、キャリアコンサルタント等によるジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングの実施が必要です。
自発的職業能力開発訓練
自発的職業能力開発訓練は、労働者が自ら選んで受講した訓練費用の一部を事業主が負担した場合に助成するメニューです。就業規則等に「自発的職業能力開発経費負担制度」を規定し、事業主が訓練対象経費の2分の1以上を負担することが要件になります。
| 助成の種類 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 45%(+15%) | 45%(+15%) |
対象訓練は通学制・同時双方向型の通信訓練・eラーニング・通信制のいずれかで、eラーニング・通信制の場合は1コースあたり標準学習時間10時間以上または標準学習期間1か月以上の訓練が対象です。助成上限額は本メニュー単独で1事業所1年度あたり300万円までとなります。
長期教育訓練休暇等制度
長期教育訓練休暇等制度は、労働者が働きながら訓練を受講できるよう、有給・無給の長期休暇や短時間勤務制度を整備した事業主に対する助成メニューです。制度を新たに導入する場合の「制度導入助成」と、休暇取得者に対する「賃金助成」、令和8年4月8日から新設された「新規採用助成」「職務代行助成」の4種類が用意されています。
| 助成の種類 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 制度導入助成(長期教育訓練休暇制度) | 20万円(+4万円) | 20万円(+4万円) |
| 賃金助成(有給休暇の場合) | 1,000円/時 | 800円/時(+200円/時) |
| 新規採用助成【★令和8年4月8日新設】 | 27万円~67万5,000円 | ー |
| 職務代行助成【★令和8年4月8日新設】 | 職務代行手当の75%(月上限16万円) | ー |
| 制度導入助成(教育訓練短時間勤務等制度) | 20万円(+4万円) | 20万円(+4万円) |
賃金助成の対象時間数は1人あたり中小企業1,600時間・大企業1,200時間が上限で、対象人数の制限はありません。制度導入助成は1事業主あたり1回限りの支給です。詳しくは教育訓練休暇等付与コースの記事でも解説しています。
対象となる事業主と労働者の要件
対象となる事業主の主な要件
人への投資促進コース全メニュー共通で、以下すべての要件を満たす事業主が対象となります。
- 雇用保険適用事業所の事業主である
- 労働組合等の意見を参考に事業内職業能力開発計画・職業訓練実施計画届を作成し、計画内容を従業員に周知している
- 職業能力開発推進者を選任している
- 職業訓練実施計画届提出日前日の6か月前から支給申請書提出日までの間に、雇用する被保険者を事業主都合により解雇していない
- 同期間中の退職勧奨・事業縮小・賃金大幅低下等による離職者が雇用保険被保険者数の6%を超えていない(3人以下は除く)
- 訓練期間中も対象労働者に賃金を適正に支払っている
- 審査に必要な書類を整備し5年間保存している
- 労働局長の実地調査等の審査に協力する
中小企業と大企業では助成率・助成額が異なります。中小企業の定義は以下の通りです。
| 主な事業 | 資本金または出資の総額 | 常時雇用する労働者数 |
|---|---|---|
| 小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
なお、過去1年間の人材開発支援助成金の訓練で、受講者の離職率が訓練後6か月以内に50%以上となったケースが2回以上ある事業主、支給申請日の前日から過去1年間に労働関係法令の違反を行った事業主、過去5年以内に不正受給等があった事業主は申請できません。
また、令和8年4月8日以降に提出する計画届からは、申請事業主と密接な関係にある者(代表者等、雇用する者、代表者等の配偶者や3親等以内の親族、親会社・子会社の代表者等など)との間で発生した講師謝金、施設借上費、教材費、受講料は経費助成の対象になりません。グループ会社の研修部門に定額制サービスやeラーニングを委託しているケースは注意が必要です。
対象となる労働者の要件
助成対象となる労働者は、以下すべての要件を満たす必要があります。
- 助成金を受けようとする事業所で雇用保険の被保険者であること
- 訓練実施期間中、雇用保険の被保険者であること
- 「対象労働者一覧」に記載され、事業所が労働局に提出していること
- 通学制・同時双方向型通信訓練の場合は8割以上受講していること
- eラーニング・通信制・海外大学院の場合は訓練期間中に訓練を修了していること
- 定額制サービスによる訓練の場合は、対象労働者1人あたり標準学習時間10時間以上の訓練を修了していること
労働者が訓練期間中に自己都合退職した場合でも、実施形態ごとの基準を満たしていれば、経費助成については実際に事業主が負担した額を対象として支給を受けられます。
定額制訓練と都度申し込み型研修、費用対効果はどちらが高い?
定額制訓練と都度申し込み型(個別受講)の研修のどちらが費用対効果が高いかは、受講者数と1人あたり受講コース数で判断できます。
たとえば年間契約料42万円のeラーニング(40名分・受け放題)を導入した場合、経費助成率45%で18万9,000円が助成され、実質負担は約23万円です。1名あたりの実質負担は約5,800円で、都度申し込みで1講座1万円のコースを1人1コース受講させるより割安になります。一方、受講者が数名かつ受講コースが年1〜2本にとどまる場合は、必要な講座だけを都度申し込みする方が総額を抑えられるケースもあります。
判断の目安として、「複数部署・複数階層に体系的に学ばせたい」場合は定額制訓練、「特定の資格取得や専門分野を狙う」場合は高度デジタル人材訓練や情報技術分野認定実習併用職業訓練という組み合わせが実務上の定石になっています。
中小企業での活用例
【活用例1】サブスクリプション型の研修サービスで営業職40名を育成
営業職40名を対象に、新入社員から管理職までの幅広い層に対応した営業職向けeラーニング(年間契約料42万円、1〜50名対応・月3.5万円×12か月)を導入した中小企業の事例です。経費助成率45%で18万9,000円の助成を受けられました。管理職候補が資格取得と実務スキルを両立して身につけたことで、社外向けにも高度な人材配置をアピールできるようになった、といった効果が期待できます。
【活用例2】IT未経験の中途採用者をSEに育成
IT未経験の中途採用者にプログラミング講座(OFF-JT時間800時間、訓練経費70万円)とOJT(200時間)、ITSSレベル2相当の資格試験受験(経費5万円)を組み合わせて実施した事例です。経費助成として45万円(60%)、賃金助成として60万8,000円(760円/時)、OJT実施助成として20万円が支給され、合計約125万円の助成を受けながら未経験者を一人前のSEに育成できました。
人への投資促進コースの申請の流れ
申請は「計画届提出 → 訓練実施 → 支給申請」の3ステップで進めます。長期教育訓練休暇等制度以外の4メニュー共通の流れは以下の通りです。
| ステップ | タイミング | 主な内容 |
|---|---|---|
| Step0:事前準備 | 随時 | 職業能力開発推進者の選任、事業内職業能力開発計画の策定・周知 |
| Step1:計画提出 | 訓練開始の6か月前〜1か月前 | 職業訓練実施計画届・対象労働者一覧・訓練カリキュラム等を管轄労働局に提出 |
| Step2:訓練実施 | 計画に沿って実施 | 「職業訓練実施計画」に基づき訓練を実施 |
| Step3:支給申請 | 訓練修了日の翌日から2か月以内 | 支給申請書・OFF-JT実施状況報告書・出勤簿・賃金台帳・修了証等を提出 |
定額制訓練の場合はStep1のタイミングが「定額制サービスの契約期間の初日から起算して6か月前〜1か月前」に、長期教育訓練休暇等制度の場合はStep3のタイミングが「制度の最終適用日(教育訓練短時間勤務等制度の場合は最初の適用日)の翌日から2か月以内」に読み替えられます。令和8年5月14日以降の支給申請では「受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)」の添付が必須のため、忘れずに準備してください。
また、令和7年4月1日以降に計画届を提出し、令和8年8月3日以降に支給申請する場合は、eラーニング訓練実施結果報告書(様式第8-3号)を8月3日改正版に差し替える必要があります。厚生労働省ホームページの最新様式をダウンロードして使用してください。あわせて8月3日以降の支給申請からは、不正が認められた場合、労働局の調査前に自主申告していなければ支給決定前でも原則として事業主名が公表される特例が設けられています。
各メニューの詳細な書類様式は、厚生労働省・人材開発支援助成金公式ページから令和8年8月3日版パンフレットをダウンロードして確認できます。
人への投資促進コースに関するよくある質問
最後に、人への投資促進コースに関するよくある質問と回答を紹介します。
人への投資促進コースはいつまで使えますか?
人への投資促進コースは令和4年度から令和8年度までの5年間の期間限定助成として実施されており、令和8年度(2026年度)が最終年度となる予定です。令和9年度以降の継続は現時点で未定のため、活用予定がある企業は令和8年度中の計画届提出・訓練実施を実務上のリミットとして押さえておくことをおすすめします。
1事業所あたりの助成上限額はいくらですか?
1事業所1年度あたり、成長分野等人材訓練を除く4メニュー合計で2,500万円までです。ただし自発的職業能力開発訓練はこのうち300万円までが上限となります。成長分野等人材訓練は別枠で最大1,000万円まで活用可能です。
どんなeラーニングでも助成対象になりますか?
なりません。職務に関連した訓練であることが前提で、趣味・教養目的の講座は対象外です。定額制訓練では対象労働者1人あたり標準学習時間10時間以上の訓練修了、自発的職業能力開発訓練では1コースあたり標準学習時間10時間以上または標準学習期間1か月以上が条件です。情報技術分野認定実習併用職業訓練は原則対面訓練が対象のため、eラーニング単体では利用できません。
令和8年4月8日改正で追加された「新規採用助成」「職務代行助成」とは何ですか?
長期教育訓練休暇の取得者が発生した中小企業に対し、代替要員確保にかかる費用を助成する新設メニューです。新規採用助成は代替要員を新規雇用または派遣受入した場合に休暇取得日数に応じて27万円〜67万5,000円、職務代行助成は既存社員に業務を代替させて手当を支払った場合に職務代行手当の75%(月上限16万円)が支給されます。いずれも中小企業のみが対象です。
「受講料等の価格設定に関する疎明書」とは何ですか?
訓練コースの受講料が適正に設定されていることを事業主が説明するための書類(様式第28号)で、令和8年5月14日以降に支給申請を行う場合に提出が必須となりました。人への投資促進コースだけでなく人材育成支援コース・事業展開等リスキリング支援コースにも共通で適用されます。既に支給申請済みでも支給決定・不支給決定がなされていない案件は追加提出の対象となる場合があります。
定額制の研修と都度申し込み型の研修ではどちらが費用対効果が高いですか?
受講者数と1人あたり受講コース数によって変わります。複数部署・複数階層に体系的に学ばせたい場合は定額制訓練の方が1人あたり単価を大きく下げられ、費用対効果が高くなる傾向があります。一方、受講者が数名かつ受講コースが年1〜2本程度にとどまる場合は、都度申し込み型で必要な講座だけを受講させる方が総額を抑えられるケースもあります。
労働時間中に自席から定額制サービスの訓練を受けても対象になりますか?
対象になります。支給対象となる訓練は業務上義務づけられ、労働時間中に実施される必要があります。自席から受講する形態でも、業務命令として受講している実態があり、勤怠上も労働時間として管理されていれば助成対象となります。
定額制サービスと他の訓練を組み合わせて実施できますか?
組み合わせて実施することはできません。定額制訓練は、定額制サービスによる訓練のみで1つの計画として実施する必要があります。異なる内容の定額制サービスを複数活用したい場合は、それぞれ別々の計画届を提出することで対応可能です。
高度デジタル人材訓練を活用するにはどんな要件がありますか?
主たる事業が「情報通信業」であり、事業適応計画(情報技術事業適応)の認定を受けていることが要件です。訓練内容はITSS(ITスキル標準)またはDSS-P(DX推進スキル標準)レベル3・4に該当するものが対象で、資格試験費用も助成対象となります。中小企業の場合、経費助成率75%+賃金助成1,000円/時と、5メニュー中で最も高い助成率が適用されます。
受講者が訓練途中で退職した場合、助成金はどうなりますか?
自己都合退職の場合、実施形態ごとの基準を満たしていれば経費助成に限り実際に事業主が負担した額を対象として支給を受けられます。ただし、過去1年間に人材開発支援助成金の訓練で受講者の離職率が訓練後6か月以内に50%以上となったケースが2回以上ある事業主は、以降の申請ができなくなるため注意が必要です。
令和9年度以降も同じ助成が受けられますか?
現時点で令和9年度以降の継続は未定です。人への投資促進コースは政府の「人への投資」5年集中投資期間(1兆円規模)に連動した時限措置で、令和8年度末で終了する場合、現在の最大75%経費助成・1,000円/時賃金助成といった手厚い助成は受けられなくなる可能性があります。関連情報として、事業展開等リスキリング支援コースも同じく令和8年度が最終年度です。
まとめ
人への投資促進コースは、eラーニングによる定額制訓練から高度デジタル人材の大学院派遣まで、幅広い訓練形態を最大75%の経費助成+1,000円/時の賃金助成で支援する制度です。令和8年度が最終年度となる見込みで、令和8年4月8日の長期教育訓練休暇制度への「新規採用助成」「職務代行助成」新設、令和8年5月14日の「受講料等の価格設定に関する疎明書」提出義務化、令和8年8月3日のeラーニング様式変更と、実務に直結する改正が立て続けに入っています。
「研修費用がネックで人材育成に踏み切れない」「DX推進に必要なデジタル人材を育てたい」「休暇を使った学び直しを制度化したい」――こうした課題を抱える中小企業にとって、令和8年度は本コースを活用できる最後のチャンスとなる可能性が高い年度です。詳細な要件・様式は最新のパンフレット(令和8年8月3日版)で必ず確認のうえ、計画届の提出タイミングから逆算した準備を進めましょう。
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