中小企業省力化補助金(省力化補助金)では、制度の運用が改善され、個別発注形式の「一般型」が新たに登場しました。従来のカタログ注文型は「使いたいけれど活用しきれない」—そんな声もあったことから、この変更を待ち望んでいた方も多いのではないでしょうか。
さらに一般型では、補助上限額が従来の1500万円から最大1億円へと大幅に引き上げられ、より柔軟で大規模な設備投資が可能になります。本記事では、「一般型」の概要や「カタログ注文型」との違いについて解説します。
一般型 【第6回公募】公募開始:2026年3月13日
申請受付開始:2026年4月中旬(予定)
申請締切:2026年5月中旬(予定)
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・中小企業省力化投資補助金とは
・省力化投資補助金(一般型)第4回の採択結果が公開!採択率と活用事例を紹介
・中小企業省力化投資補助金の採択事例5選!一般型の傾向と評価のポイントは
この記事の目次
中小企業省力化投資補助金とは
省力化投資補助金は、中小企業の人手不足を解消し、生産性向上と売上拡大を図るための補助金です。企業の付加価値向上や賃上げの実現を目指し、IoT・ロボット等の省力化技術を活用した汎用製品の導入費用を補助します。
これまでの省力化補助金は「カタログ注文型」のみでしたが、カタログに登録されている製品数が限られているため、業種や事業内容によっては最適な設備を選択できないケースもあります。そのため、省力化投資支援の運用改善策として、企業の現場環境や事業内容に応じた設備導入を可能にする「一般型」が新たに追加されました。
省力化投資補助金の全体像については、以下の記事でも詳しく解説しています。
合わせて読みたい:中小企業省力化投資補助金とは
中小企業省力化投資補助金 一般型とは
省力化投資補助金の一般型は、従来の「カタログ注文型」とは異なり、個別の現場や事業内容に応じて柔軟に設備・システムを導入できます。
一例として、業務プロセスの自動化・高度化、ロボットを活用した生産工程の改善、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、幅広い取り組みに対応しています。製品の選択肢に縛られることなく、自社の課題や目的に沿った多様な設備投資を行える制度です。
●通信販売事業の物流・出荷業務の自動化
通信販売事業において、オンラインショッピングの顧客増加と購買量の拡大に対応するため、省力化投資補助金を活用し、自動梱包機および倉庫管理システムをオーダーメイドで開発・導入
●自動車関連部品製造の検査自動化
自動車関連部品製造事業において、微細な部品の検査を効率化するため、省力化投資補助金を活用し、最新のデジタルカメラやAI技術を搭載した自動外観検査装置を現場にあわせた形で導入
一般型の要件
省力化投資補助金の一般型では、以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定する必要があります。
| 基本要件 |
|---|
| ① 労働生産性の年平均成長率が+4.0%以上増加 |
| ② 1人当たり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における 最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上、または給与支給総額の 年平均成長率+2.0%以上増加 ※両方の目標値を策定した上で、少なくともいずれか一方を達成することが必要 |
| ③ 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準 |
| ④ 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)の基本要件を全て満たす3~5 年の事業計画 に取り組むこと。 |
上記④については、交付申請時までに、「両立支援のひろば」に次世代育成支援対策推進法に基づく有効な一般事業主行動計画を公表することが必要です。 掲載には2週間程度かかるため、早めの準備が必要です。
また、上記の他、以下の「大幅な賃金引き上げの特例要件」の全てを満たすことで、補助上限額が引き上げられます。
②事業場内最低賃金を事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準とすること
補助上限額・補助率
省力化投資補助金の一般型の補助額は労働者の人数によって異なり、詳しくは以下のとおりです。
| 従業員数 | 補助上限額 |
|---|---|
| 5人以下 | 750万円(1,000万円) |
| 従業員数6〜20人 | 1,500万円(2,000万円) |
| 従業員数21~50人 | 3,000万円(4,000万円) |
| 従業員数51~100人 | 5,000万円(6,500万円) |
| 従業員数101人以上 | 8,000万円(1億円) |
| 区分 | 補助率 |
|---|---|
| 中小企業 | 1/2(2/3) |
| 小規模企業者・小規模事業者・再生事業者 | 2/3 |
※特定非営利活動法人および社会福祉法人については、従業員数が20人以下の場合、補助率が2/3となります。
第5回公募より補助率区分が変更され、第6回においても従来のような「1,500万円超」の低い補助率区分はありません。
大幅な賃金引き上げ特例要件を満たす場合、()内の上限額と補助率となります。補助対象となる経費は、主に以下のものです。
以下の事業は補助対象外となりますのでご注意ください。
- 他の補助金・助成制度との補助対象経費の重複がある事業
- 公的医療保険・介護保険の診療報酬・介護報酬と重複する事業
- 顧客向けアプリ・サービス提供用システム・販売目的のソフトウェア開発など、自社の省力化ではなく商品・サービス開発に該当する事業
- 汎用設備・パッケージソフトをそのまま単品導入する事業(オーダーメイド性がない場合)
- 事務局が遂行困難と判断した事業(極端に開発期間の短いシステム構築等)
要件を達成できなかった場合は返還が必要
補助金を受けた事業者は、設定された基本要件を達成できなかった場合、補助金の返還が求められます。
■基本要件②を達成できなかった場合、達成率に応じて補助金の一部を返還
■基本要件③を達成できなかった場合、「補助金額 ÷ 計画年数」に相当する金額を返還
ただし、以下のいずれかの条件を満たす場合、補助金の返還が免除されます。
(基本要件②の場合)
以下の両方を満たす場合に免除:
(1) 付加価値額が増加していないこと
(2) 企業全体として事業計画期間の過半数が営業利益赤字であること
または天災等、事業者の責めに帰さない不可抗力の理由がある場合
事業計画策定のポイント
本補助金を活用するには、事業計画の内容が重要な審査基準となります。事業計画を策定するポイントを、事前に確認しましょう。
・事業計画上の投資回収期間を根拠資料とともに提出する
・補助事業により、3~5年の事業計画期間内に、設備投資前と比較して付加価値額が増加する事業計画を策定する
・人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備等の導入等を行う事業計画を策定する
オーダーメイド設備の解釈が緩和され、従来の補助金よりも使い勝手が良くなりました。汎用設備であっても事業者の導入環境に応じて周辺機器や機能をカスタマイズする場合や、複数の汎用設備を組み合わせて高い省力化効果を生み出す場合は、「オーダーメイド設備」とみなして申請が可能です。単品のカタログ導入では対象外となるケースでも、現場に合わせた最適化を行うことで一般型の対象となります。
なお、カタログに掲載されている製品については、原則カタログ注文型での申請が必要です。ただし、カタログに掲載されている製品をそのまま導入するのではなく、事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数や搭載する機能等が変わる場合、また省力化に資する汎用設備を複数組み合わせることでより高い省力化効果や付加価値を生み出す場合であれば、本事業の対象となります。
補助事業実施期間について
補助事業実施期間は交付決定日から18か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から20か月後の日まで)です。補助事業実施期間内に、発注・納入・検収・支払等の全ての事業の手続きを完了し、実績報告書を提出しなければなりません。
実績報告について
補助事業完了後は、30日以内または完了期限日のいずれか早い日までに実績報告が必要です。
実績報告の手引きは随時更新されており、最新版(2025年11月13日改訂)では提出書類に関する注意点や補足説明が追加されています。詳細は公式サイトの最新の手引きをご確認ください。
▶実績報告の手引き:交付決定を受け、補助金の交付対象となった補助事業者が、実績報告にあたり留意すべき事項、準備しなければいけない資料等についてまとめたもの。
スケジュールと申請の流れ
一般型のスケジュールは以下のとおりです。
| 回 | 公募開始日 | 申請受付開始日 | 公募締切日 | 採択発表日 |
|---|---|---|---|---|
| 第4回 | 令和7年9月19日 | 令和7年11月4日 | 令和7年11月27日 | 令和8年3月6日 |
| 第5回 | 令和7年12月19日 | 令和8年2月2日 | 令和8年2月27日 | 令和8年6月上旬(予定) |
| 第6回 | 令和8年3月13日 | 令和8年4月中旬(予定) | 令和8年5月中旬(予定) | 後日お知らせ |
公募は年間3~4回程度を予定しており、スケジュールが確定した公募回から順次公表されています。今後の予定については、随時更新される情報をご確認ください。
※第7回以降のスケジュールは確定次第、公式サイトにて公表されます。
合わせて読みたい:
省力化投資補助金(一般型)第4回の採択結果が公開!採択率と活用事例を紹介
【申請の流れ】
申請手続きは、以下のステップで行います。
【申請前にご確認ください:申請できない事業者】
以下に該当する場合は本補助金への申請ができません。事前に必ずご確認ください。
・現在、応募申請中または交付申請中の事業者
・交付決定を受けているが補助金の支払いが未完了の事業者(第1〜5回含む)
・応募締切日時点で「ものづくり補助金」または「事業再構築補助金」の交付決定を受け、補助金支払いが未完了の事業者
・過去3年間に「ものづくり補助金」または「事業再構築補助金」の交付決定を合計2回以上受けた事業者
| 1.GビズIDプライムアカウントの取得 補助金申請は電子申請で行われるため、GビズIDプライムアカウントが必要です。未取得の場合は、GビズID公式サイトから取得してください。 2.事業計画書の作成および機械装置・システム等の選定 応募時に必要な事業計画書を作成します。また、人手不足解消に効果があるデジタル技術等を活用した専用設備を選定します。 3.応募申請 電子申請システムを通じて応募申請を行います。申請者自身が内容を理解し、確認の上で申請してください。採択結果が出るまでに約3か月程度かかります。 なお、第6回公募ではソフトウェア投資やシステム開発案件については口頭審査の対象となりやすいことが明示されています。事業内容を申請者本人が詳細に説明できるよう準備しておきましょう。 4.相見積もりおよび事業者選定 採択後、交付申請手続きの際には、発注先の選定にあたり、価格の妥当性を証明するために、原則として2者以上から同一条件で見積書を取得する必要があります。 5.交付申請 電子申請システムを通じて交付申請を行います。申請者自身が内容を理解し、確認の上で申請してください。 |
必要書類について
以下の様式が公式ページよりダウンロードすることができますので、申請前に事前に準備しておくことをおすすめします。
・役員名簿
・株主・出資者名簿
・事業実施場所リスト
・大幅な賃上げに取り組むための事業計画書
・最低賃金引き上げにかかる要件確認書
・他の助成制度の利用実績確認書
・金融機関確認書
・労働者名簿
・事業計画書
なお、第5回より導入され、第6回でも継続して適用されています、審査項目(政策面)の「米国の追加関税措置により大きな影響を受ける事業者であるか」があります。
これに伴い、申請書類も「追加関税を受ける事業者用」と「受けない事業者用」に分かれているため、自社の状況に合わせた様式を選択する必要があります。
関税の影響を省力化投資で軽減できる場合は、審査で考慮されることが明記されています。
第6回からの変更点3項目
①投資回収期間の算出式の変更(重要)
第5回:投資額 ÷(削減工数 × 人件費単価 + 増加した付加価値額)
第6回:投資額 ÷(削減工数 × 年間稼働日数 × 人件費単価 + 増加した付加価値額)
年間稼働日数が算出式に追加されたため、申請時には削減工数・年間稼働日数・人件費単価の根拠資料が必要になります。
②「省力化ナビ」が加点要件として新設
本事業の加点要件となっている「省力化ナビ」は2026年3月26日にサービス開始予定です。
省力化ナビへの登録・活用が第6回からの新加点項目となります。
③加点・減点制度の整備
第6回では加点制度が拡張され、減点制度も追加されました。同一テーマの設備投資が短期間に集中した場合、流行的な投資と判断されると減点される可能性があります。
また事業継続力強化計画については、認定取得だけでなく計画の実施状況も加点条件に加わりました。
一般型とカタログ注文型の違い
省力化投資補助金には、一般型とカタログ注文型の2種類が用意されていますが、それぞれ以下のような違いがあります。
■カタログ注文型は、カタログに掲載された汎用製品の購入を支援する制度です。あらかじめ登録された製品から選択するため、手続きが簡単で導入しやすいのがメリットです。



