「ものづくり補助金」は、中小企業や小規模事業者の設備投資や新たな取り組みを支援する制度として長年活用されてきました。
2026年度(令和8年度)に向けては、制度の再編が予定されており、新事業進出も対象に含めた形で新たな補助金へ統合される方針が示されています。制度の枠組みや補助内容については、これまでの流れを踏まえつつ見直しが進められています。
本記事では、ものづくり補助金の全体像をわかりやすくご紹介します。制度の目的や対象、要件、活用イメージまで一通り理解できる内容で解説しますので、「ものづくり補助金」とは何かを理解するためにお役立てください。
関連記事
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
・【ものづくり補助金2025】グローバル枠とは?申請要件と対象経費を解説
・ものづくり補助金は個人事業主でも申請可能!?採択のポイントとは
この記事の目次
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者等が行う新たな製品・サービスの開発や、生産性向上につながる設備投資を支援する補助金制度です。機械装置やシステムの導入を中心に、事業の付加価値を高める取り組みが対象となっており、多くの事業者にとって身近な補助金の一つです。
ものづくり補助金は、その呼び方から、製造業を対象とする補助金とイメージされがちですが、幅広い業種を対象としています。
ものづくり補助金の目的や位置付け
ものづくり補助金の目的は、中小企業や小規模事業者の生産性向上や売上拡大による経済活性化です。
具体的には、中小企業等が直面する、今後複数年にわたる制度変更等に対応できるよう、生産性向上に資する製品・サービスの開発や海外需要開拓に対する設備投資を支援するための制度といえます。
近年は、支援の内容から、技術革新や付加価値向上を伴う投資を支援する制度として位置付けられています。
ものづくり補助金の歴史
ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者等に長年利用されてきた補助金です。その歴史は、2012年(平成24年補正予算)における制度開始から現在2026年の第23次公募に至ります。そのなかで、社会情勢等を踏まえた細かい内容の変更や対象業種の拡大、名称変更など、適宜見直しが行われてきました。ものづくり補助金の今後【2026年度以降】
ものづくり補助金は、2026年度に大きく変わることが見込まれています。それは、これまで別制度であった「新事業進出補助金」と統合されるためです。
「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」は、異なる補助金ですが、それぞれの目的などを考慮したうえて再構成される予定です。
新事業進出補助金とは
新事業進出補助金とは、既存事業の枠組みにとらわれず、新たな市場や高付加価値事業への進出に必要な設備投資を支援する制度です。
新事業進出補助金は、新型コロナウイルスからの再構築を目的として実施された「事業再構築補助金」(令和7年3月終了)における新市場進出支援の流れを汲んだかたちの制度といえます。
新事業進出補助金の補助額は最大9,000万円を上限としており、その規模の大きさも特徴のひとつです。
関連記事:新事業進出補助金【2026年】第3回公募スケジュール・実際の活用事例も紹介
ものづくり補助金の概要
ものづくり補助金は、年度や公募回などによって制度内容の見直しや対象拡大などを行ってきました。現在は、2026年2月6日から23次公募を開始しています。
以下は、23次公募の概要です。
| 補助対象事業枠 | ・製品・サービス高付加価値化枠 ・グローバル枠 |
| 補助額や補助率 | 【製品・サービス高付加価値化枠】 補助額:最大2,500 万円 補助率:最大2/3 【グローバル枠】 補助額:最大3,000 万円 補助率:最大2/3 ※特別措置あり |
| 補助対象者 | 中小企業や小規模事業者など |
| 要件 | ・共通の基本要件4項目 ・グローバル枠の追加要件3項目 |
| 補助対象経費 | 【必須】機械装置・システム構築費 ・技術導入費 ・専門家経費 ・運搬費 ・クラウドサービス利用費 ・原材料費 ・外注費 ・知的財産権等関連経費など ※その他、グローバル枠のみとなる対象経費あり |
| 申請スケジュール | 公募期間:2026年2月6日~5月8日17:00厳守 |
さらに、23次公募について「公募要領」をもとに、補助額、対象、要件などの詳細内容をご紹介します。
補助対象事業枠
ものづくり補助金の事業枠には、以下の2種類があります。
- 製品・サービス高付加価値化枠
- グローバル枠
それぞれの事業枠について、詳しい内容をご紹介します。
【製品・サービス高付加価値化枠】
「製品・サービス高付加価値化枠」は、新しい製品やサービスを開発するために必要な機械やシステムの導入費用を支援する補助枠です。
ここでいう「革新的な開発」とは、単に新しいモノを作るだけでなく、お客様に新たな価値や体験を提供することを目的とした取り組みを指します。たとえば、自社の技術を活かして、これまでにない製品や、より便利なサービスを生み出すことなどが該当します。
ただし、次のようなケースは補助対象外となるため注意が必要です。
- 機械やシステムを導入するだけで、新しい製品やサービスの開発が伴っていない場合
- すでに同業他社(特に同じ地域内)で一般的に普及している製品・サービスをまねたような開発
■製品・サービス高付加価値化枠 補助上限 750万円~2500万円 補助率 中小企業1/2、小規模・再生2/3 対象経費 機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費
つまり、「自社独自の強みを活かしたチャレンジ」が求められており、単なる設備更新や、流行の後追いだけでは補助の対象にならないという点を理解しておくことが大切です。
【グローバル枠】
「グローバル枠」は、海外展開を通じて日本国内のビジネスの生産性を高める企業を応援するための補助制度です。
海外での販路開拓や投資、外国人観光客への対応など、グローバルな取り組みを行う中小企業に対して、必要な設備導入やシステム投資などを支援します。
| ■グローバル枠 | |
|---|---|
| 補助上限 | 3000万円 |
| 補助率 | 中小企業1/2、小規模2/3 |
| 対象経費 | 機械装置・システム構築費(必須)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費(グローバル枠のうち、海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ)海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費 |
対象となる取り組みとして
- 海外への直接投資に関する事業
- 海外市場開拓(輸出)に関する事業
- インバウンド対応に関する事業
- 海外企業との共同で行う事業
となっています。
なお、2024年(令和6年)度に設置されていた「省力化(オーダーメイド)枠」は、廃止されました。現在は、「中小企業省力化投資補助事業」にて、オーダーメイド形式も対象となる支援型が実施されていることから、そちらへシフトしたものとみられます。
補助額や補助率
ものづくり補助金23次公募における補助上限額や補助率は、以下のとおりです。
| 事業枠 | 補助上限額 | 補助率 |
| 製品・サービス高付加価値化枠 | 従業員数 1~5 人 750 万円 6~20 人 1,000 万円 21~50 人 1,500 万円 51 人以上 2,500 万円 | 中小企業:1/2 小規模企業・小規模事業者及び再生事業者:2/3 |
| グローバル枠 | 3,000 万円 | 中小企業:1/2 小規模企業・小規模事業者:2/3 |
※いずれの事業枠も、補助下限額は100万円
【特別措置】
ものづくり補助金では、賃金引き上げの取組みを行った事業者に対して、特別措置として補助額の上乗せをしています。
特別措置は、以下の2種類です。
| 大幅な賃上げへの特例 | 大幅な賃上げを行った場合、従業員規模に応じて補助上限額を100万円~1,000万円上乗せ 【補助上限額】 従業員数 1~5 人:最大 100 万円引上げ 6~20 人 :最大 250 万円引上げ 21~50 人:最大 1,000 万円引上げ 51 人以上 :最大 1,000 万円引上げ |
| 最低賃金引き上げへの特例 | 所定の賃金水準の事業者が最低賃金の引上げに取り組む場合、補助率を引上げ 【補助率】 1/2→2/3へ引上げ |
補助対象者
ものづくり補助金の補助対象者は、以下の3点をすべて満たす事業者等です。
| 1 | 日本国内に補助事業の実施場所がある |
| 2 | 常時使用する従業員が1名以上いる |
| 3 | 以下のいずれかに該当する 中小企業者 小規模企業者・小規模事業者 特定事業者の一部 特定非営利活動法人 社会福祉法人 |
【補助対象外の事業者】
ものづくり補助金には、対象外となる事業者もいます。
以下は、対象外となる事業者の一例です。
- 過去(指定年度等)の「ものづくり補助金」において、交付決定を受けたが指定書類を未提出の事業者
- 申請締切日を起点にして、過去3 年間に2回、本補助金の交付決定を受けた事業者
- みなし大企業
対象外となる事業者の詳細については、公募要領に詳細が規定されているので、ご確認ください。
補助の要件
ものづくり補助金の要件には、共通の基本要件とグローバル枠に対する追加要件があります。
【基本要件】
共通の要件は、以下、基本要件①~③を全て満たす補助事業の終了後、3~5 年の事業計画を策定することです。また、従業員21名以上いる事業者は、④の要件も満たす必要があります。
| ①付加価値額の増加 | 付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率を3%以上増加させること |
| ②賃金の増加 | 従業員1人あたりの給与総支給額を年平均成長率3.5%以上増加させること |
| ③事業所内最低賃金水準 | 事業所の最低賃金を、事業を実施する都道府県の最低賃金より30円以上上げること |
| ④従業員の仕事・子育て両立支援 | 次世代育成支援対策推進法に規定する「一般事業主行動計画」を策定・公表すること ※従業員21名以上の場合 |
②賃金増加要件や③事業所内最低賃金水準要件が目標未達成の場合、補助金の返還義務もあるためご注意ください。
【グローバル枠に対する追加要件】
グローバル枠の場合、基本要件以外に追加の要件が定められており、以下①~③までの3つの要件をすべて満たさなければなりません。
| ①グローバル要件4つのうちいずれかを満たすこと 【グローバル要件】 海外への直接投資に関する事業 海外市場開拓に関する事業 インバウンド対応に関する事業 海外企業と共同で行う事業 |
| ②海外事業に関する実現可能性調査をすること |
| ③社内に海外事業の専門人材がいる又は海外事業における外部専門家と連携すること |
補助対象経費
ものづくり補助金では、単価50万円以上の機械装置・システム構築費の設備投資が必須です。
そのほかの補助対象経費は以下のとおりです。
・運搬費
・技術導入費
・知的財産権等関連経費
・外注費
・専門家経費
・クラウドサービス利用費
・原材料費
以下、グローバル枠のうち海外市場開拓(輸出)に関する事業で対象となる経費
・海外旅
・通訳・翻訳費
・広告宣伝・販売促進費
前提として、単価50万円以上の機械装置・システム構築費の設備投資が必須である点を理解しておきましょう。
また、公募要領には「対象外の経費」も規定されています。申請内容から対象外経費に該当すると判断された場合や、採択決定後に判明した場合であっても補助対象外となってしまうため、ご注意ください。
スケジュール
ものづくり補助金23次公募における全体的なスケジュールは以下のとおりです。
| 公募開始 | 2026年2月6日 |
| 電子申請受付開始 | 2026年4月3日17:00 |
| 申請締切 | 2026年5月8日17:00厳守 |
| 採択発表 | 2026年8月上旬頃予定 |
主なスケジュールとして採択発表がされ次第、順次交付申請や交付決定などに進みます。
注意点として、申請締切直前は多くの申請が行われる点です。申請が集中することで、締切までに間に合わない可能性もあるため、余裕をもった手続きを意識しましょう。
申請方法
申請は「電子申請システム」で行います。申請の際は、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必須であり、アカウント発行には一定期間が必要になるため、ご注意ください。事前準備として、GビズIDの取得は早めに行いましょう。
ものづくり補助金の活用イメージ
ものづくり補助金について解説しましたが、概要や募集要項に記載された内容だけでは具体的なイメージがつきにくいと感じる事業者も少なくないでしょう。
ここでは、ものづくり補助金の「グッドプラクティス集」で紹介されている、ものづくり補助金の活用例をご紹介します。
洋菓子の製造を一部自動化
洋菓子を製造するある企業では、製造工程の自動化に向けた設備投資を計画し、ものづくり補助金を活用しました。製造工程における生産性向上を目指し、大型ミキサーや自動整列機などを設置。その結果、製造時間の減少や省人化等に成功しました。
精密部品の加工において設備投資
精密部品の加工を行うある企業は、ものづくり補助金を活用し、生産効率の向上に向けて最新鋭の設備投資や人材配置の変革等を実施。その結果、従来比で付加価値10%増大や支損金などのカットにも成功しました。
ズボンの専門メーカーによる新製品開発
ズボンの専門メーカーであるある企業では、ものづくり補助金を活用し、新たな工場に設置する自動裁断機など、新規装置を導入しました。その結果、人手で行ってきた作業の効率化が進み、古い機械と比較して3割効率性を高めたということです。
ものづくり補助金の採択結果
ものづくり補助金は、公募の回ごとに申請数・採択数・採択率が発表されていますが、採択率には回を重ねるごとに大きな変動が見られます。
たとえば、初回(1次公募/2020年4月発表)では採択率が62.4%と比較的高めでしたが、その後の回では徐々に低下傾向が見られ、4次公募の一般型では31.1%まで下がる場面もありました。その後は回によって40~60%台と上下しつつも、近年は50%前後を推移しています。
直近の21次公募(2026年1月23日発表)では、一般型に相当する「製品・サービス高付加価値化枠」で34.8%と前回に引き続き厳しい結果となっています。
| 締切回 | 採択発表日 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
|---|---|---|---|---|
| 1次 | 2020年4月28日 | 2,287 | 1,429 | 62.4% |
| 2次 | 2020年6月30日 | 5,721 | 3,267 | 57.1% |
| 3次 | 2020年9月25日 | 6,923 | 2,637 | 38.0% |
| 4次 一般型 | 2021年2月18日 | 10,041 | 3,132 | 31.1% |
| 4次 グローバル展開型 | 2021年2月18日 | 271 | 46 | 16.9% |
| 5次 一般型 | 2021年3月31日 | 5,139 | 2,291 | 44.5% |
| 5次 グローバル展開型 | 2021年3月31日 | 160 | 46 | 28.7% |
| 6次 一般型 | 2021年6月29日 | 4,875 | 2,326 | 47.7% |
| 6次 グローバル展開型 | 2021年6月29日 | 105 | 36 | 34.2% |
| 7次 一般型 | 2021年9月27日 | 5,414 | 2,729 | 50.4% |
| 7次 グローバル展開型 | 2021年9月27日 | 93 | 39 | 41.9% |
| 8次 一般型 | 2022年1月12日 | 4,584 | 2,753 | 60.0% |
| 8次 グローバル展開型 | 2022年1月12日 | 69 | 27 | 39.1% |
| 9次 一般型 | 2022年3月25日 | 3,552 | 2,223 | 62.5% |
| 9次 グローバル展開型 | 2022年3月25日 | 61 | 24 | 39.3% |
| 10次 一般型 | 2022年7月15日 | 4,224 | 2,584 | 61.1% |
| 10次 グローバル展開型 | 2022年7月15日 | 70 | 28 | 40.0% |
| 11次 一般型 | 2022年10月20日 | 4,668 | 2,786 | 59.6% |
| 11次 グローバル展開型 | 2022年10月20日 | 76 | 31 | 40.7% |
| 12次 一般型 | 2022年12月16日 | 3,200 | 1,885 | 58.9% |
| 12次 グローバル展開型 | 2022年12月16日 | 56 | 22 | 39.2% |
| 13次 一般型 | 2023年2月20日 | 3,261 | 1,903 | 58.3% |
| 13次 グローバル展開型 | 2023年2月20日 | 61 | 24 | 39.3% |
| 14次 | 2023年6月23日 | 4,865 | 2,470 | 50.7% |
| 15次 | 2023年9月29日 | 5,694 | 2,861 | 50.2% |
| 16次 | 2024年1月19日 | 5,608 | 2,738 | 48.8% |
| 17次 | 2024年5月20日 | 629 | 185 | 29.4% |
| 18次 省力化枠 | 2024年6月25日 | 599 | 204 | 34.0% |
| 18次 高付加価値化枠(通常類型) | 2024年6月25日 | 3,591 | 1,384 | 38.5% |
| 18次 高付加価値化枠(成長分野進出類型) | 2024年6月25日 | 1,424 | 443 | 31.1% |
| 18次 グローバル枠 | 2024年6月25日 | 163 | 39 | 23.9% |
| 19次 高付加価値化枠 | 2025年7月28日 | 5,025 | 1,623 | 32.3% |
| 19次 グローバル枠 | 2025年7月28日 | 311 | 75 | 24.1% |
| 20次 高付加価値化枠 | 2025年10月27日 | 2,276 | 784 | 34.45% |
| 20次 グローバル枠 | 2025年10月27日 | 177 | 41 | 23.16% |
| 21次 製品・サービス高付加価値化枠 | 2026年1月23日 | 1,767 | 615 | 34.8% |
| 21次 グローバル枠 | 2026年1月23日 | 105 | 23 | 21.9% |
※2026年2月時点における公表分
出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金総合サイト「採択結果」
まとめ
本記事は、ものづくり補助金について解説しました。
2026年度のものづくり補助金は、「新事業進出補助金」と統合される方針が示されています。2026年3月時点では、第23次公募が実施されています。23次公募の申請を検討している事業者はもちろん、2026年度における統合後の補助金を検討している事業者も、ぜひ制度の概要理解にお役立てください。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する

