中小企業や個人事業主、中堅企業等の成長を後押しする「事業再構築補助金」の最終公募が、2025年1月10日から始まりました。新市場進出や事業転換、国内回帰など、大胆な事業再構築に挑戦する企業を支援してきたこの補助金も、今回の第13回公募をもって最終回となります。
短い公募期間の中で採択を目指すには、綿密な準備が求められます。本記事では、補助金の概要や変更点、申請時に押さえておきたいポイントについて解説します。
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この記事の目次
事業再構築補助金 第13回公募期間とスケジュール
事業再構築補助金の第13回公募では、2025年1月10日から3月26日までが公募期間として設定されています。ただし、申請受付開始日については現在調整中です。
公募期間とスケジュール | |
公募期間 | 2025年1月10日~3月26日18:00まで ※申請受付開始日は調整中 |
採択発表 | 2025年6月下旬~7月上旬を予定 |
事業再構築補助金 第13回公募のポイント
以下、申請におけるポイントを簡潔に整理しました。
変更点
まず、制度の変更についてです。
■事前着⼿届出制度の廃止
第13回公募では、事前着手はいかなる理由があっても一切認められなくなりました。これにより、交付決定を受けた日付以降に契約(発注)を行い、補助事業実施期間内に支払いを完了したもののみ、補助対象経費となります。
申請時に押さえておきたい点
なお、これまで通り、適用される内容としては「収益納付」や、「過剰投資抑制」に関する項目があります。
※収益納付とは?
補助金を活用した成果の事業化、または知的財産権の譲渡や実施権の設定、その他成果の供与によって収益が得られた場合、受領した補助金額を上限として収益納付を行う必要があります。ただし、事業化状況等報告の該当年度において、決算が赤字である場合には納付が免除されます。
※過剰投資の抑制とは?
過剰投資の抑制は、事業再構築補助金の書面審査項目の一つです。特定の時期に、同じようなテーマや設備への申請が集中した場合、それが一時的な流行による過剰な投資を誘発している可能性があると判断されることがあります。このような場合には、通常の審査に加えて、追加の審査が行われます。
もし申請内容が過剰投資と判断された場合、大幅な減点対象となります。そのため、申請の際には市場の需要や事業の持続性をしっかりと分析し、無理のない計画を立てることが重要です。
対象となる事業類型
次に事業類型をみていきます。
第13回公募では、「コロナ回復加速化枠(通常類型)」と「サプライチェーン強靭化枠」の公募は行われず、以下の3つの類型が対象になります(同一法人・事業者での各事業類型への応募は、1回の公募につき1申請に限ります)。
成長分野進出枠(通常類型)
項目 | 要件 |
概要 | ポストコロナに対応した、成長分野への大胆な事業再構築にこれから取り組 む事業者や、国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の事業者が取り組む事業再構築を支援 |
補助額 | 【従業員数 20 人以下】100 万円~1500 万円(2000 万円) 【従業員数 21~50 人】100 万円~3000 万円(4000 万円) 【従業員数 51~100 人】100 万円~4000 万円(5000 万円) 【従業員数 101 人以上】100 万円~6000 万円(7000 万円) ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合。廃業を伴う場合には、廃業費を最大2000万円上乗せ |
補助率 | 中小企業者等 1/2(2/3) 中堅企業等 1/3(1/2) ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費、廃業費 |
補助事業期間 | 交付決定日~12か月以内(補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで) |
成長分野進出枠(GX進出類型)
事業再構築補助金で一度交付決定を受けた事業者は、原則再度申請することはできませんが、「成長分野進出枠(GX進出類型)」に関しては、一定の条件を満たす場合に限り、既に補助金交付候補者として採択されている、または交付決定を受けている事業者においても申請が可能です。
項目 | 要件 |
概要 | ポストコロナに対応した、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組をこれから行う事業者の事業再構築を支援 |
補助額 | 中小企業者等 【従業員数 20 人以下】100 万円~3000 万円(4000 万円) 【従業員数 21~50 人】100 万円~5000 万円(6000 万円) 【従業員数 51~100 人】100 万円~7000 万円(8000 万円) 【従業員数 101 人以上】100 万円~8000 万円(1億円) 中堅企業等 100 万円~1 億円(1.5 億円) ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
補助率 | 中小企業者等 1/2(2/3) 中堅企業等 1/3(1/2) ※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合 |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
補助事業期間 | 交付決定日~14か月以内(補助金交付候補者の採択発表日から16か月後の日まで) |
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
項目 | 要件 |
概要 | コロナ禍が終息した今、最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の事業再構築を支援 |
補助額 | 【従業員数 5 人以下】100 万円~500 万円 【従業員数6~20 人】100 万円~1000 万円 【従業員数 21 人以上】100 万円~1500 万円 |
補助率 | 中小企業者等 3/4(一部 2/3) 中堅企業等 2/3(一部 1/2) |
補助対象経費 | 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費 |
補助事業期間 | 交付決定日~12か月以内(補助金交付候補者の採択発表日から14か月後の日まで) |
規模拡⼤・⼤幅賃上げへの⽀援(上乗せ措置)
規模拡⼤・⼤幅賃上げへの⽀援として、「卒業促進上乗せ措置」と「中⻑期⼤規模賃⾦引上促進上乗せ措置」が実施されます。
これは、成長分野進出枠またはコロナ回復加速化枠に申請する事業者が、追加で申請することが可能な措置です。ただし、両方の上乗せに申請することはできません。
また、上乗せ措置の補助対象経費は、成⻑分野進出枠またはコロナ回復加速化枠のものと明確に分ける必要があります。
卒業促進上乗せ措置
項目 | 要件 |
概要 | 各事業類型の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せ支援 |
補助額・補助対象経費 | 各事業類型に準じる |
補助率 | 中小企業者等 1/2 中堅企業等 1/3 |
補助事業期間 | 交付決定日~各事業類型の事業計画期間終了まで |
中長期大規模賃金引上促進上乗せ措置
項目 | 要件 |
概要 | 各事業類型の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援 |
補助額 | 100 万円~3000 万円 |
補助率 | 中小企業者等 1/2 中堅企業等 1/3 |
補助対象経費 | 各事業類型の補助対象経費に準じる |
補助事業期間 | 交付決定日~各事業類型の事業計画期間終了まで |
必須要件
事業再構築補助金では、事業類型ごとの補助対象要件に加えて、共通要件を設けています。全枠共通の必須要件は、以下のとおりです。
新市場進出や事業転換、業種転換など、事業再構築指針で定められた類型に該当する取り組みが必要です。※第13回公募では「国内回帰」や「地域サプライチェーン強靱化」は対象外。
2.事業計画を⾦融機関等や認定経営⾰新等⽀援機関と策定し、確認を受けていること
金融機関から資金提供を受ける場合は、その金融機関による事業計画の確認を受ける必要があります。自己資金のみの場合は、認定支援機関の確認で要件を満たします。
3.補助事業終了後3〜5年で付加価値額の年平均成⻑率3~4%(事業類型により異なる)以上増加、
または 従業員⼀⼈当たり付加価値額の年平均成⻑率3~4%(事業類型により異なる)以上増加
補助事業終了後3~5年で上記いずれかの成長目標を達成することが求められます。
まとめ
事業再構築補助金の第13回公募は、公募要領の発表と同時に実施が告知され、申請締め切りまで約2か月と準備期間が短いです。事業計画書の作成には時間がかかるため、認定経営革新等支援機関への相談など、早めに準備を開始しましょう!
参考:事業再構築補助金
参考:事業再構築補助金公募要領(第13回)