
人の移動が活発化するに伴い、外国人旅行客も大きく増えています。一方で、災害時のインバウンド向け安全対策がまだ万全でない地域もあります。
安定した地方誘客には、旅行客の安心・安全に対する対策が欠かせません。「地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業」は、観光客を含めた非常時対応機能強化に活用できる制度です。
今回は地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業の詳細や申請方法をまとめました。
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この記事の目次
地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業とは?
地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業は、以下の3つの事業から成る制度です。
1.地域における観光危機管理計画の策定補助 |
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訪日外国人旅行者を含めた観光客に対する、災害時の対応方針等の計画策定を支援 |
2.観光施設等の避難所機能・多言語対応機能の強化 |
観光施設等における非常用電源装置や多言語対応AED等の整備、多言語機能の強化等の環境整備を支援 |
3.医療機関の訪日外国人患者受入機能の強化 |
医療機関へのキャッシュレス決済の導入、医療機関内の多言語化等の環境整備を支援 |
地方誘客促進に向けて、訪日外国人旅行者が日本各地を安全・安心に楽しめる旅行環境整備を進めることを目的としています。
補助金の対象者・補助内容と要件
本制度には、以下の4つの補助メニューが設定されています。補助メニュー |
1.災害時の観光施設等における避難所機能の強化 |
2.災害時の観光施設等における多言語対応機能の強化 |
3.訪日外国人患者受入機能の強化 |
4.災害時等における観光危機管理の強化 |
そのほか、対象となる事業者や地域などの要件があります。ここでは補助の内容や、各要件を見ていきましょう。
補助メニューと対象
補助メニューとそれぞれの対象は、以下のとおりです。
1.災害時の観光施設等における避難所機能の強化 2.災害時の観光施設等における多言語対応機能の強化 |
■対象者 ・観光案内所や観光施設等を設置または管理する者 ・店舗・事業所等を運営する者 |
■補助対象 訪日外国人旅行者が毎年一定数訪れている(またはそう推定される)、以下の施設等 ・神社、寺院、教会 ・城跡、城郭、宮殿 ・庭園、公園 ・動植物園、水族館 ・博物館、美術館 ・テーマ公園、テーマ施設 ・外国人観光案内所 ・道の駅、みなとオアシス等 ・その他 |
3.訪日外国人患者受入機能の強化 |
■対象者 病院・診療所等を設置、管理する者 |
■補助対象 訪日外国人旅行者が毎年一定数訪れている(またはそう推定される)、以下の施設等 ・神社、寺院、教会 ・城跡、城郭、宮殿 ・庭園、公園 ・動植物園、水族館 ・博物館、美術館 ・テーマ公園、テーマ施設 ・外国人観光案内所 ・道の駅、みなとオアシス等 ・その他 |
4.災害時等における観光危機管理の強化 |
■対象者 地方公共団体 |
■補助対象 以下の経費 ・観光危機管理計画の策定 ・観光危機管理計画に基づく訓練 ・その他 |
補助対象事業者や施設等は、以下の図も参照してください。
出典:観光庁 地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業
ただし、同一の事業計画で他の補助金・助成金の交付を受けている場合は対象外です。なお国からの補助とは別に、都道府県等自治体からの補助金等を受けることは可能です。
また地方公共団体が事業主体となる場合には、地方財政措置が適用されます。
【外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリストとは】
「訪日外国人患者受入機能の強化」では、「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」に登録している(または見込みがある)医療機関のみが対象となります。このリストは厚生労働省と観光庁が連携して一元化し、年に2回(6月、12月)更新を行うものです。
リストへ掲載する医療機関は、各都道府県が選出しています。掲載を希望する医療機関は、各都道府県の衛生主管(局)に問い合わせてください。
【立地要件】
補助の対象となるには、以下のいずれかの立地要件に該当する必要があります。
■訪日外国人旅行者の受入れに関し一定の体制を整えている地域 |
■訪日外国人旅行者の誘致等、観光振興に意欲を有する地域 なお、以下の地域における事業について優先的に採択されます。 ・「非常時における外国人旅行者の安全・安心の確保に向けた指針」に基づき観光危機管理計画を策定した地域 ・「地域防災計画」等において訪日外国人旅行者の避難計画等を定めた地域 ・日本政府観光局により、上位に認定されている(またはその見込みがある)観光案内所を補助対象とする事業 |
補助対象経費・補助率
各補助メニューの対象経費は、以下のとおりです。
1.災害時の観光施設等における避難所機能の強化 |
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避難所機能の強化のための整備に要する経費 |
2.災害時の観光施設等における多言語対応強化 |
多言語対応機能強化のための整備に要する経費 |
3.訪日外国人患者受入機能強化 |
訪日外国人患者受入機能強化のための整備に要する経費 |
4.災害時等における観光危機管理の強化 |
災害時等における観光危機管理の強化のために要する経費 |
なお補助率は1/2です。ただし「4.災害時等における観光危機管理の強化」の上限は500万円です。
また、以下の経費は対象外です。
■土地の取得に要する経費
■故障、老朽化等の修理修繕
■代替更新経費
■消耗品
■保険料
■ランニングコストやレンタル・リース契約に関する経費
■人件費等の事業実施後の設備維持、運営に関する費用
申請方法とスケジュール
ひとつの補助対象施設等につき、事業計画書の提出は1件のみとなります。複数の補助対象施設等について応募を希望する場合は、補助対象施設等ごとに事業計画書を作成してください。
また事業計画書も事業ごとの作成が必要です。
そのほか、応募の流れとスケジュールを確認しましょう。
申請の流れ
申請は、各地方運輸局に行います。全体の流れは以下のとおりです。
①事業計画提出
②審査結果通知
③交付申請書提出
④事業開始
⑤事業完了後、完了実績報告書提出
⑥支払請求書提出
事業スキームは、以下の図も参照してください。
出典:観光庁 地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業
【必要な書類】
申請時に必要な主な書類は、以下のとおりです。
①事業計画書
②補助対象経費の算出基礎となる見積書などの資料
③地方公共団体等の補助(予定)額等を確認できる資料等
④その他計画を審査する上で参考となる書類
書類等の提出は、原則として電子データで行います。電子メールにて、指定のファイル形式で送付してください。
なお事業計画書の様式には指定があります。ホームページ等からダウンロードして使用してください。
応募期間
応募期間は以下のとおりです。
令和7(2025年)年2月7日(金) ~ 9月26日(金)17時【必着】
期間中は毎月末が応募〆切日です。原則として、応募した月の翌月末を目処に審査結果が伝えられます。
なお予算がなくなり次第、募集は終了となります。
まとめ
地方誘客促進に向けたインバウンド安全・安心対策推進事業は、増加する訪日外国人旅行者の安全・安心な旅行環境を整備するための補助金制度です。観光施設の避難所機能強化や多言語対応の充実、医療機関の受入体制整備など、災害時の対応強化を支援します。
補助率は1/2で、観光案内所や寺社仏閣、美術館などの観光施設、医療機関、地方公共団体などが対象です。
だれにとっても安心・安全な環境整備は、観光客だけでなく、住む人にとっても暮らしの支えとなります。安定した観光客誘致と地域の安全性向上に向けて、ぜひ活用してほしい制度です。