デジタル化・AI導入補助金は、デジタルツールの導入により業務の効率化や課題解決を目指す事業者に最適な補助金です。これまで「IT導入補助金」として実施されていましたが、2026年度以降は制度名を変更して引き継がれています。
2026年9月2日には3次締切分の交付決定が公表され、全体の採択率は44.0%(申請5,913者に対し交付決定2,601者)という結果でした。申請件数は高止まりする一方、採択率は1次・2次より低い水準です。
本記事では、デジタル化・AI導入補助金の概要や、旧IT導入補助金からの変更点、最新の採択率について詳しく解説します。補助金を活用して業務効率化や生産性向上を目指したい方は、ぜひ参考にしてください。
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・デジタル化・AI導入補助金の通常枠を徹底解説!インボイス枠との違いとは
・デジタル化・AI導入補助金は個人事業主も申請できる!申請条件と手順 注意点も解説
・【2026年】デジタル化・AI導入補助金で2回目以降の申請要件が追加
この記事の目次
デジタル化・AI導入補助金とは
デジタル化・AI導入補助金とは、中小企業等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDXの推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツールの導入を支援する制度です。
補助額は1者あたり最大450万円 で、補助率は類型や事業者の規模によって異なります。基本的な補助率は1/2ですが、小規模事業者は賃上げ等一定の要件を満たすことで4/5まで引き上げることが可能です。
本補助金を利用する際は、事前に登録された「支援事業者」を通じて、対象となるツールを導入する必要があります。任意の事業者やツールを自由に選ぶ仕様ではない点に注意しましょう。
通常枠の申請は、デジタル化・AI導入補助金2026の交付申請期間中、1法人・1個人事業主あたり1申請のみです。ただし、同時にインボイス枠やセキュリティ対策推進枠への申請は可能です。
また、IT導入補助金2025の通常枠等で交付決定を受けた事業者は、交付決定日から12カ月以内は通常枠で申請できない点に注意が必要です。
IT導入補助金はどうなった?廃止された?
IT導入補助金は廃止されたわけではなく、2026年度(令和8年度)から「デジタル化・AI導入補助金」に名称を変えて継続しています。「IT導入補助金2026」を探している方は、本記事で解説しているデジタル化・AI導入補助金2026が該当します。
制度の骨格は旧IT導入補助金と同じです。中小企業・小規模事業者が対象であること、事前登録されたIT導入支援事業者を通じてITツールを導入すること、通常枠・インボイス枠・セキュリティ対策推進枠・複数者連携枠という枠構成、補助上限450万円といった基本設計は引き継がれています。
| 項目 | IT導入補助金2025 | デジタル化・AI導入補助金2026 |
|---|---|---|
| 制度の位置づけ | 旧名称 | 2026年度から名称変更して継続 |
| 対象者 | 中小企業・小規模事業者等 | 同じ |
| 申請方法 | IT導入支援事業者経由 | 同じ |
| 申請枠 | 通常枠 インボイス枠 セキュリティ対策推進枠 複数社連携IT導入枠 | 通常枠 インボイス枠 セキュリティ対策推進枠 複数者連携デジタル化・AI導入枠 |
| 補助上限 | 最大450万円 | 最大450万円 |
| AIツールの扱い | 明確な区分なし | AI機能付きツールを明記・絞り込み可能 |
| 2回目以降の申請 | 特別な要件なし | 賃上げ要件を含む3年間の事業計画が必要 |
名称変更とあわせて、AI機能を持つツールの明確化や、2回目以降の申請者に対する賃上げ要件の追加といった変更が加わっています。
詳しくはこちら:【2026年】デジタル化・AI導入補助金で2回目以降の申請要件が追加
なお、IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、今回の申請で減点措置の対象となります。また、IT導入補助金2025の通常枠等で交付決定を受けた場合、交付決定日から12カ月以内は通常枠に申請できません。過去に採択された経験のある方は、この点を確認してから準備を進めましょう。
さらに2027年度(令和9年度)には、中小企業省力化投資補助金と統合して「省力化・デジタル化・AI投資補助金」へ再編される方針が示されています。旧IT導入補助金の流れをくむ単独の制度として申請できるのは、2026年度が最後となる可能性があります。
2027年度は「省力化・デジタル化・AI投資補助金」へ再編の方針
2027年度(令和9年度)は、「デジタル化・AI導入補助金」と「中小企業省力化投資補助金」が一本化され、「省力化・デジタル化・AI投資補助金」として募集される見通しです。
日本経済新聞の報道によると、経済産業省は2027年度予算の概算要求で、「省力化・デジタル化・AI投資補助金」「小規模事業者持続化補助金」「M&A・事業承継補助金」の3事業に、合計4,435億円を要求する方針です。
ただし、現時点では概算要求の段階であり、統合後の補助率や補助上限、申請枠、公募時期などは明らかになっていません。また、4,435億円は3事業を合わせた要求額であり、「省力化・デジタル化・AI投資補助金」単独の予算額ではありません。
2026年度のデジタル化・AI導入補助金は、現在の制度内容に基づいて公募されています。2027年度の制度については、経済産業省や中小企業庁から正式な情報が公表され次第、本記事でも更新します。
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対象になるITツール・AIツールの例
デジタル化・AI導入補助金で導入できるのは、IT導入支援事業者が事務局に登録し、審査を通過したITツールのみです。市販のソフトウェアでも未登録なら対象外なので、導入したいツールが決まったら公式サイトのITツール検索で登録状況を確認しましょう。申請枠ごとの対象ツールの例は以下のとおりです。| 申請枠 | 対象になるツール・サービスの例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通常枠 | CRM・SFA、予約管理、ECサイト構築、請求書発行、在庫管理、受発注、クラウド会計、勤怠・給与・労務管理、電子契約、グループウェア、ERP、電子カルテ、飲食店向けオーダーシステム、施工管理、RPA、BIツール、業務チャット(Slackなど) | 「汎用・自動化・分析ツール」のみでは申請不可。他の業務プロセスのツールと組み合わせが必要 |
| インボイス枠 (インボイス対応類型) | ソフトウェア:クラウド会計(freeeなど)、請求書・受発注管理、POSレジソフト、決済サービス ハードウェア:パソコン、タブレット、プリンター、POSレジ、券売機、キャッシュドロワ | ハードウェア単体は対象外。インボイス対応ソフトウェアとセットで導入する |
| セキュリティ対策推進枠 | IPA「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載サービス(UTM・EDRなどの製品に監視・相談窓口・駆けつけ支援・簡易サイバー保険がパッケージ化されたもの) | リスト掲載サービス以外は対象外 |
| AI機能付きツール (各枠共通) | 生成AI搭載チャットボット・FAQ自動応答、AI-OCR、AI議事録・文字起こし、需要予測・在庫最適化、生成AIによる文書作成・要約機能を備えた業務システム | 生成AIなら自動的に対象になるわけではなく、IT導入支援事業者が「AI機能を有するツール」として登録したものに限る。 |
各枠の補助率・補助額や具体的な対象ツールについては、以下の記事で詳しく解説しています。
導入したいツールが対象かどうかは、公式サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索」でツール名やカテゴリ、AI機能の有無から絞り込めます。
参考:デジタル化・AI導入補助金 ITツール・IT導入支援事業者検索を確認する
デジタル化・AI導入補助金の5つの申請枠
デジタル化・AI導入補助金では、目的に応じて以下の5つの申請枠が用意されています。
| ・通常枠 ・インボイス枠(インボイス対応類型) インボイス枠(電子取引類型) ・セキュリティ対策推進枠 ・複数者連携デジタル化・AI導入枠 |
通常枠
通常枠は、デジタル化・AI導入補助金の基本的な申請枠で、生産性向上のためのITツールの導入を補助します。ソフトウェアやサービスの導入費用が対象となり、クラウド利用料については最大2年間分まで補助が可能です。
また、導入時に必要な関連費用やクラウド利用費も補助対象になります。詳しい補助率と補助額は、以下のとおりです。
| 業務プロセス数 | 補助額 |
|---|---|
| 1プロセス以上 | 5万円~150万円未満 |
| 4プロセス以上 | 150万円~450万円以下 |
| 補助率1/2 ※令和6年10月から令和7年9月の間で3か月以上、令和7年度改定後の最低賃金未満で雇用していた従業数が全体の30%以上なら2/3以内 | |
| 【業務プロセス名】 |
|---|
| ●顧客対応・販売支援 ●決済・債権債務・資金回収管理 ●供給・在庫・物流 ●会計・財務・経営 ●総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務 ●その他業種固有のプロセス ●汎用・自動化・分析ツール |
通常枠では、上記の業務プロセスを保有するソフトウェアを、1種類以上選んで申請します。選択したプロセス数が1プロセス以上なら補助額は5万円~150万円未満、4プロセス以上なら150万円~450万円以下となります。
ただし、「汎用・自動化・分析ツール」のみの申請はできないため、他のプロセスと組み合わせて申請が必要です。
▼合わせて読みたい:デジタル化・AI導入補助金の通常枠を徹底解説!インボイス枠との違いとは
インボイス枠
インボイス枠は、インボイス制度への対応を支援する枠です。「インボイス対応類型」と「電子取引類型」の2種類があり、それぞれ対象となる事業者が異なります。
インボイス対応類型
インボイス対応類型は、インボイス制度に対応したITツールの導入に特化しており、会計や受発注、決済ソフトの導入を支援します。PCやタブレット、レジ、発券機といったハードウェアの導入費用も対象になるため、中小企業者が業務のデジタル化を進める際に活用しやすい類型です。
詳しい補助率と補助額は、以下のとおりです。
| 項目 | 補助額 | 補助率 |
|---|---|---|
| ソフトウェア購入費・導入関連費 | ~50万円 | 3/4以内 (小規模事業者は4/5以内) |
| ~350万円 ※会計・受発注・決済のうち2機能以上選択が必要 | 2/3以内 | |
| パソコン・タブレット等 | ~10万円 | 1/2以内 |
| レジ・券売機 | ~20万円 | 1/2以内 |
ソフトウェア購入費・導入関連費の補助率は2/3以内ですが、50万円以下の部分に関しては3/4以内、さらに小規模事業者であれば4/5以内まで引き上がります。ただし、パソコンやレジ等のハードウェアに関しては、補助率が1/2以内となり、上限額も下がります。
なお、ハードウェアのみの購入はできないため、ITツール等のソフトウェアと合わせて購入が必要です。
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電子取引類型
電子取引類型は、発注側の企業がインボイス制度に対応したITツールを導入し、その取引相手である中小企業や小規模事業者等に、同じツールを無償で提供する場合に対象となります。
詳しい補助率と補助額は、以下のとおりです。
| 補助対象経費 | 補助率 | 補助額 |
|---|---|---|
| クラウド利用費 ※サブスクリプション販売形式等の場合は最大2年分 | ・中小企業・小規模事業者等:2/3以内 ・その他の事業者等:1/2以内 | 下限なし~350万円 |
中小企業や小規模事業者は2/3以内、その他の事業者は1/2以内となります。サブスクリプション販売形式等の場合は、最大2年分が補助対象です。なお、電子取引類型は1次~3次締切分まで申請が0件で、交付決定も出ていません。
セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスの導入に対応した申請枠です。補助率と補助額については以下のとおりです。
| 補助率 | 1/2以内 ※小規模事業者は2/3以内 |
|---|---|
| 補助額 | 5万円~150万円 |
対象サービスの最大2年分の利用料が補助対象となり、補助率は1/2以内、小規模事業者は2/3以内となります。補助額は5万円を下限として、最大150万円まで補助を受けられます。
詳しくはこちら:サイバーセキュリティお助け隊サービスとは?中小企業向けに内容・料金・補助金・導入手順を解説
複数者連携デジタル化・AI導入枠
複数者連携デジタル化・AI導入枠は、10者以上の中小企業や小規模事業者が連携して、インボイス制度への対応やキャッシュレス決済の導入を行う取り組みなどを支援します。この枠では導入だけでなく、活用を進めるための事務経費や専門家による支援費用も補助対象となります。
詳しい補助率と補助額については以下のとおりです。

出典:デジタル化・AI導入補助金 複数者連携デジタル化・AI導入枠
基盤導入経費と消費動向分析経費の補助額は、グループ構成員の人数によって異なりますが、最大3,000万円が上限となります。ソフトウェア導入費用の50万円以下の部分に関しては補助率が高く、小規模事業者は4/5以内、その他の事業者は3/4以内に設定されています。
また、その他経費として、「基盤導入経費」と「消費動向分析経費」を合計した金額の10%に補助率(2/3)をかけた額、もしくは200万円のうち、小さいほうの金額が上限として補助されます。
いくらもらえる?導入例別の補助額シミュレーション
補助額は「補助対象経費×補助率」で計算し、申請枠ごとの上限を超えた分は自己負担になります。ここでは公式サイトの「補助金シミュレーター」を使って、導入例別に補助額を試算しました。同じ値を入力すれば読者も再現できるので、自社の見積額に置き換えて試してみてください。
導入例別の試算結果
| 導入例 | 申請枠 | シミュレーターへの入力値 | 補助額(試算) |
|---|---|---|---|
| ①クラウド会計ソフト (2年分の利用料) | インボイス枠 | ソフトウェア1,500,000円 | 中小企業:【約105万円】 小規模事業者:【約108万円】 |
| ②POSレジ+会計ソフト | インボイス枠 | ソフトウェア800,000円 POSレジ300,000円 タブレット150,000円 | 中小企業:【約81万円】 小規模事業者:【約84万円】 |
| ③基幹システム (会計・人事労務・在庫・顧客管理) | 通常枠 (4プロセス) | 6,000,000円 | 補助率1/2:【300万円】 最低賃金要件あり(2/3):【400万円】 |
| ④大型システム投資 | 通常枠 (4プロセス) | 10,000,000円 | 【450万円】(上限に到達) |
※公式「補助金シミュレーター」による試算値。千円未満は切り捨てで、実際の補助額は交付決定・確定検査で決まります。
①は、インボイス枠の補助率が補助額50万円以下の部分で3/4(小規模事業者は4/5)、それを超える部分で2/3という2段階になっているため、同じ150万円でも事業者規模で補助額が変わります。ただし補助額が50万円を超えるには「会計・受発注・決済」のうち2機能以上の導入が条件で、会計機能のみの場合は上限50万円です。
②は、ソフトウェアとハードウェアで補助率と上限が別々に計算されます。POSレジは1/2で上限20万円、タブレットは1/2で上限10万円のため、ハードウェアを高額にしても補助額はあまり伸びません。
③は、4プロセス以上を含むことで補助額の上限が450万円に広がる例です。同じ600万円でも1〜3プロセスのソフトウェアなら上限は150万円未満で頭打ちになるため、プロセス数の確認が補助額を左右します。
補助額が上限450万円になるのはどんなケース?
上限450万円が適用されるのは、通常枠で4プロセス以上のソフトウェアを導入する場合のみです。補助率1/2なら経費900万円、2/3なら経費675万円で上限に達し、それ以上の投資は全額自己負担になります。④のように1,000万円の投資では、補助額450万円に対して自己負担が550万円です。
インボイス枠はソフトウェア350万円+ハードウェアが上限、セキュリティ対策推進枠は150万円が上限で、いずれも450万円には届きません。「最大450万円」という数字は、あくまで通常枠の4プロセス以上に限った話だと理解しておきましょう。
デジタル化・AI導入補助金を申請できる対象者
デジタル化・AI導入補助金の対象となるのは、以下の要件に該当する事業者です。
【中小企業】
| 業種分類・組織形態 | 資本金 | 従業員数 |
|---|---|---|
| ①製造業建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| ②卸売業 | 1億円 | 100人以下 |
| ③サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| ④小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| ⑤ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ・チューブ製造業・工業用ベルト製造業を除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
| ⑥ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
| ⑦旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
| ⑧その他の業種(上記以外) | 3億円以下 | 300人以下 |
| ⑨医療法人、社会福祉法人 | ― | 300人以下 |
| ⑩学校法人 | ― | 300人以下 |
| ⑪商工会・都道府県商工会連合会および商工会議所 | ― | 100人以下 |
| ⑫中小企業支援法第2条第1項第4号に規定する中小企業団体 | ― | ①~⑧の主たる業種に記載の従業員規模 |
| ⑬特別の法律によって設立された組合またはその連合会 | ― | ①~⑧の主たる業種に記載の従業員規模 |
| ⑭財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益) | ― | ①~⑧の主たる業種に記載の従業員規模 |
| ⑮特定非営利法人 | ― | ①~⑧の主たる業種に記載の従業員規模 |
【個人事業主】
| 業種・組織形態 | 従業員数 |
|---|---|
| ①商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く) | 5人以下 |
| ②サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
| ③製造業その他 | 20人以下 |
ほとんどの申請枠は、中小企業・小規模事業者が対象です。ただし、インボイス枠の電子取引類型では、大企業も対象となります 。
申請要件について
労働生産性向上の計画要件
申請者は、交付申請時点の翌事業年度以降3年間の事業計画を策定し、以下の労働生産性向上目標を達成する必要があります。
・1年後に労働生産性を3%以上向上させること(過去にIT導入補助金2023~2025の通常枠等で交付決定を受けた事業者は4%以上)
・事業計画期間において、労働生産性の年平均成長率を3%以上とすること(同上の事業者は4%以上)
・労働生産性の計算式:(営業利益+人件費+減価償却費)÷ 年間の事業者当たり総労働時間
賃上げ目標未達時の補助金返還ルール
事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合、返還率は未達の年度によって段階的に異なります。
1年度目で未達なら全額返還、2年度目なら2/3、3年度目なら1/3が返還対象となります。
ただし、付加価値額増加率が年平均1.5%に達しない場合や、天災等やむを得ない理由がある場合は返還免除となります。
デジタル化・AI導入補助金の審査と加点要件・減点措置
デジタル化・AI導入補助金では、まず申請要件を満たしているかどうか、書類に不備がないかなど、申請内容に対して審査が行われます。その上で、申請枠ごとの特性に応じて、事業面や政策面から内容が評価されます。
また、申請枠ごとに以下の要件を満たすことで、一定程度の加点を受けることが可能です。
| 加点項目 | 通常枠 | インボイス枠 (インボイス対応類型) | インボイス枠 (電子取引類型) | セキュリティ対策推進枠 |
|---|---|---|---|---|
| 地域未来投資促進法の 地域経済牽引事業計画 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 地域未来牽引企業 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| クラウドを利用した ITツール導入の検討 | ◯ | |||
| インボイス対応 ITツール導入の検討 | ◯ | |||
| デジタル化 セカンドオピニオン (第3回公募から新設) | ◯ | |||
| 賃上げの事業計画の策定、 従業員への表明、事業計画の達成 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 最低賃金に関する状況 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| SECURITY ACTIONの「★★二つ星」の宣言 | ◯ | |||
| 国の推進する セキュリティサービスを選定している | ◯ | ◯ | ||
| 「デジwith」で 「IT戦略ナビwith」を行っている | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 健康経営優良法人2026 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| くるみん・えるぼし認定 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 成長加速マッチングサービス | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
【通常枠・加点項目】
通常枠において、以下の加点項目が公募要領に明記されています。
| ・中小機構「省力化ナビ」を活用し、生産性向上の知見を確認していること ・交付申請の直近月における事業場内最低賃金を、令和7年7月の事業場内最低賃金+63円以上の水準にしていること(追加の加点措置) |
上記のうち、省力化ナビを活用する場合、申請する各公募回の締め切りまでに省力化ナビの活用ステップ1~4を実施し、解決策のPDFをダウンロードする必要があります。
【デジタル化セカンドオピニオン】
2026年6月の第3次締切分から、通常枠の新たな加点措置として「デジタル化セカンドオピニオン」が新設されました。IT導入支援事業者以外の第三者(中小企業診断士やITコーディネータ等の「確認者」)とオンライン面談を行い、自社のデジタル化計画についてアドバイスを受ける制度で、面談を実施した申請者は加点対象となります。
加点を受けるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
・経営者(代表取締役・個人事業主本人)が面談に出席すること
・面談中は申請者・確認者双方のカメラを有効(オン)にすること
・面談は事務局により自動録画されるため、録画に同意すること
・所定のシステム経由で面談を実施すること(IT導入支援事業者の同席は不可)
・交付申請時点までに面談を完了していること
面談前に「デジタル経営ビジョン」(現状課題・導入するITツールの目的・導入前後のスケジュール・体制整備・経営者の関わり方など)を作成しておく必要があります。予約から面談実施まで日数がかかり、締切間際は混み合うため、余裕を持って準備を進めましょう。
【複数者連携デジタル化・AI導入枠 加点項目】
| ・数社・地域の生産性の向上のためにより新規性のある取り組み ・本事業を通じて得られた知見やノウハウ、データマーケティングの手法などを地域で普及啓発し、地域の生産性の向上に繋げる取り組み ・本事業を通じて得られたデータを可能な範囲でオープン化し、地域の課題解決に繋げていく取り組み ・地域の自治体、金融機関、公共機関、ITベンダー、観光団体、医療、介護、福祉、教育、防災、防犯関係者などと連携し、地域課題の解決を目指す取り組み ・本事業を実施する以前に、デジタル化の取組を実施しており、既存の取組と合わせて本事業を行うことで、事業の加速化を図る取り組み |
加点項目の中の賃上げ要件に関して知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
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減点措置
以下に該当する場合は、審査上の減点措置が講じられます。
・デジタル化・AI導入補助金2026のインボイス枠で申請中または交付決定済みの事業者(同一機能のITツールを導入する場合は更なる減点)
・IT導入補助金2024または2025で交付決定を受けたソフトウェアのプロセスと、今回導入するソフトウェアのプロセスが重複する場合(完全一致の場合は不採択)
・過去に賃金引上げ計画による加点を受けて採択されたにもかかわらず、要件を達成できなかった事業者
公募スケジュール
デジタル化・AI導入補助金のスケジュールは、現在第6次締切分まで公表されています。
| 公募開始 | 2026年(令和8年)2月27日 |
|---|---|
| 申請開始 | 2026年(令和8年)3月30日 |
各回の締切日は以下のとおりです。
| 区分 | 締切日 | 交付決定日 |
|---|---|---|
| 1次締切 | 5月12日(火) | 6月18日(木)(決定済) |
| 2次締切 | 6月15日(月) | 7月23日(木)(決定済) |
| 3次締切 | 7月21日(火) | 9月2日(水)(決定済) |
| 4次締切 | 8月25日(火) | 10月7日(水)(予定) |
| 5次締切 | 9月29日(火) | 11月9日(月)(予定) |
| 6次締切 | 10月30日(金) | 12月10日(木)(予定) |
各締切日の受付終了時刻は17:00です。公式サイトの事業スケジュールには7次締切分の区分も設けられており、日程が確定次第公表されます。
なお、複数者連携デジタル化・AI導入枠スケジュールのスケジュールは、以下のとおりです。
| 区分 | 締切日 | 交付決定日 |
|---|---|---|
| 1次締切 | 6月15日(月) | 7月23日(木)(決定済) |
| 2次締切 | 8月25日(火) | 10月7日(水)(予定) |
| 3次締切 | 10月30日(金) | 12月10日(木)(予定) |
詳しくはこちら:デジタル化・AI導入補助金の公募スケジュール一覧
デジタル化・AI導入補助金の申請の流れ

デジタル化・AI導入補助金を申請する主な流れは以下のとおりです。
| フロー | 詳細 |
|---|---|
| ①公募要領等確認 | 公式サイトや公募要領等を見て、導入したいツールがどの申請枠に該当するか確認 |
| ②GビズIDの取得、SECURITY ACTION | ・GビズIDプライムアカウントの作成 ・SECURITY ACTIONの「一つ星」又は「二つ星」いずれかに宣言 |
| ③IT事業者の選定、ITツールの選定 | 導入したいITツールと申請枠に応じて、公式サイトでIT事業者を選定 |
| ④交付申請 | ③で探した支援事業者を通じて交付申請をする |
| ⑤交付決定 | 交付決定通知が届く |
| ⑥ITツールの発注・契約・支払い | ITツールの発注・契約・支払いをして、補助事業を実施 |
| ⑦事業実績報告 | 補助事業が完了したら、申請マイページより実績報告をする |
| ⑧補助金額の確認・承認 | 通知メールを確認し、期日までに確定検査結果の承認をする |
| ⑨事業実施効果報告 | 補助金受け取り後、あらかじめ決められた期間中に事業実施後の効果報告をする |
書類申請の場合、発行までに1週間程度かかります。マイナンバーカードがあれば、最短で即日アカウント発行可能なオンライン申請も利用可能です。
IT導入支援事業者の探し方と「招待」の仕組み
デジタル化・AI導入補助金は、申請者が単独で申請する制度ではありません。事務局に登録されたIT導入支援事業者と共同で申請する仕組みで、申請の入口となる「申請マイページ」も支援事業者からの招待がないと開設できません。ツール選びより先に支援事業者を決めないと申請が始まらない、という点を押さえておきましょう。
招待から申請までの流れは次のとおりです。
・支援事業者が事務局のシステムから申請者を招待し、招待メールが届く
・申請者がメール内のURLから申請マイページを開設し、GビズIDプライムでログインする
・申請者が基本情報・財務情報・事業計画を入力し、支援事業者がITツール情報・導入費用を入力する
・申請者が内容を確認し、宣誓のうえ交付申請を提出する
申請者側と支援事業者側で入力項目が分かれているため、どちらか一方だけでは完了しません。締切間際は支援事業者側の作業が混み合うので、招待は早めに受けておくのが安全です。
支援事業者は、公式サイトの「ITツール・IT導入支援事業者検索」で探せます。導入したいツールが決まっていればツール名で検索して取扱事業者を確認し、ツールから決めたい場合は業務プロセスや業種、AI機能の有無で絞り込みます。すでに取引のあるベンダーや会計ソフトの販売代理店が登録されていることも多いので、まず現在の取引先に確認するのも近道です。
なお、選ぶ際は以下の3点に注意してください。
・交付申請の提出後は支援事業者を変更できない。対応スピードや相性に不安があれば、招待を受ける前に見極める
・採択後も実績報告・効果報告で数年にわたり関わるため、申請実績と継続サポートの体制を確認する
支援事業者探しに迷った場合は、補助金ポータルから申請サポートに対応する事業者に相談することもできます。
デジタル化・AI導入補助金の採択率
デジタル化・AI導入補助金2026の直近の採択結果(3次締切分・2026年9月2日公表)は、通常枠が42.19%、インボイス枠(インボイス対応類型)が44.73%、セキュリティ対策推進枠が72.22%でした。全体では申請5,913者に対して交付決定2,601者、採択率は43.99%です。
- 通常枠42.19%
- インボイス枠 44.73%
- セキュリティ対策推進枠72.22%
| 申請枠 | 申請者数 | 交付決定数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 1,913 | 807 | 42.19% |
| インボイス枠 (インボイス対応類型) | 3,982 | 1,781 | 44.73% |
| インボイス枠 (電子取引類型) | 0 | 0 | ー |
| セキュリティ 対策推進枠 | 18 | 13 | 72.22% |
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 交付決定事業者一覧(2026年9月2日更新)
通常枠は1次から3回連続で採択率が40%台前半にとどまり、半数以上が不採択となっています。加点項目の取得や事業計画の具体性がこれまで以上に求められるため、申請前に減点要因と加点項目を確認しておきましょう。
1次〜3次の採択率の推移や枠別の分析、不採択・減点の条件、次回で採択されるための対策はこちらの記事で詳しく解説しています。
▼あわせて読みたい:デジタル化・AI導入補助金の採択率は?1〜3次の推移と対策
よくある質問
最後に、デジタル化・AI導入補助金に関するよくある質問を紹介します。個人事業主は活用できる?
個人事業主も対象です。旧IT導入補助金に続き、デジタル化・AI導入補助金2026でも個人事業主が申請できます。すでに公募要領が公開され、2026年3月30日から交付申請の受付が始まっています。小規模事業者の目安は、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)で従業員5人以下、宿泊業・娯楽業や製造業その他で20人以下です。
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採択率はどれくらい?
直近の3次締切分(2026年9月2日交付決定)の採択率は全体で43.99%、申請5,913者に対して交付決定2,601者でした。枠別では通常枠42.19%、インボイス枠(インボイス対応類型)44.73%、セキュリティ対策推進枠72.22%です。全体の推移は1次46.3%、2次51.5%、3次44.0%となっており、通常枠は3回連続で40%台前半にとどまっています。
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いつから申請できる?
デジタル化・AI導入補助金2026は、2026年2月27日に公募が開始され、交付申請の受付は2026年3月30日から始まっています。締切は通年でおおむね1〜2か月に1回のペースで設定されており、現在は第6次締切(10月30日)まで公表されています。予算上限に達した枠から早期終了する可能性があるため、導入したいツールが決まり次第、早めにIT導入支援事業者と準備を進めるのがおすすめです。
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パソコンの購入に使える?
インボイス枠(インボイス対応類型)では、パソコンやPOSレジ等のハードウェア類に対応しています。補助対象とするためには、インボイス制度対応のためのソフトウェアとあわせて導入し、設定された要件を満たす必要があります。パソコン単体での購入は補助対象にならない点に注意しましょう。
個人(事業を営んでいない人)がパソコンを買うのに使える?
使えません。デジタル化・AI導入補助金の対象は中小企業・小規模事業者と、事業を営んでいる個人事業主に限られ、事業を行っていない個人は申請できません。また、対象となる事業者であってもパソコン単体の購入は補助対象外で、インボイス枠(インボイス対応類型)でインボイス制度対応のソフトウェアとあわせて導入する場合のみ対象になります。
タブレット端末は補助対象になる?
タブレット端末も、インボイス枠(インボイス対応類型)でハードウェアとして補助対象になります。補助率は1/2以内、補助額は10万円までが上限で、パソコンと同様にインボイス制度対応のソフトウェアとあわせて導入することが条件です。タブレット単体での購入は対象外です。
生成AIツールは補助対象になる?
生成AIを活用したシステムなども、2026年度から補助対象として明確化されています。ただし、生成AIツールであれば自動的に対象になるわけではなく、IT導入支援事業者がAI機能を有するツールとして登録・申請したものが対象です。導入を検討している生成AIツールやAIツールが登録されているかは、公式サイトのITツール検索で確認しましょう。
対象となるツール・ソフトを知りたい。
デジタル化・AI導入補助金の対象ツールは、公式サイトのITツール・IT導入支援事業者検索で確認できます。事前に事務局の審査を受けて公開されたツールのみが対象で、AI機能付きツールの絞り込みにも対応しています。公式サイト:ITツール・IT導入支援事業者検索
実際の活用事例を知りたい。
デジタル化・AI導入補助金の実際の活用事例は、公式サイトで公開されています。参考:ITツール活用事例
東京都など自治体独自のAI補助金はある?
国のデジタル化・AI導入補助金とは別に、東京都をはじめ各都道府県や市区町村がAI導入・DX推進を独自に支援する補助金・助成金を実施しているケースがあります。国の制度との併用可否や補助率は制度ごとに異なるため、事業所所在地の自治体や商工会議所の情報もあわせて確認しましょう。補助金ポータルの補助金検索から地域を指定して探せます。
GビズIDとは?
複数の行政サービスを1つのアカウントで利用できる認証システムで、経済産業省および中小企業庁が利用を推奨しています。デジタル化・AI導入補助金2026の交付申請においては、「GビズIDプライム」アカウント(ID・パスワード等)が必要となります。
セキュリティアクションとは?
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する、中小企業・小規模事業者等が自ら情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。デジタル化・AI導入補助金2026の交付申請においては、「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を行うことが各申請類型の申請要件となります。
サイバーセキュリティお助け隊サービスとは?
中小企業のサイバーセキュリティ対策を支援する相談窓口や異常の監視、事案発生時の初動対応(駆けつけ支援等)、簡易サイバー保険などをワンパッケージで提供するサービスです。IPAが公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービスが、セキュリティ対策推進枠の補助対象ツールとなります。
まとめ
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業等がITツールを導入し、業務効率化や生産性向上を図る際のコスト負担を軽減するだけでなく、導入後の活用定着も支援する制度へと進化しています。
一方で、2026年9月2日に公表された3次締切分の採択率は全体で44.0%と、2次締切分の51.5%から低下しました。通常枠は3回連続で40%台前半にとどまっており、加点項目の取得と事業計画の具体性が採否を分けます。
残る締切は5次(9月29日)と6次(10月30日)です。GビズIDプライムの取得やSECURITY ACTIONの宣言、デジタル化セカンドオピニオンの面談予約には日数がかかるため、最新情報をチェックしながら早めに準備を進めましょう。
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