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生活保護の生活扶助とは?計算方法・特例加算・受給の流れを解説

公開日:2025/1/8 更新日:2026/4/14
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物価の高騰が続く中、2025年10月から生活保護における生活扶助の特例加算額がさらに増額されました。食費や光熱費の負担が増す一方、生活保護受給者の実人員数は緩やかな減少傾向が続いており、厚生労働省の2026年2月の調査では約198万人(前年同月比1.2%減)と報告されています。

本記事では、2025年10月からの特例加算増額の内容や計算方法、生活保護制度の概要について、最新情報をもとにわかりやすく解説します。

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この記事の目次

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生活扶助の特例加算額が月1,000円から1,500円に

2025年10月から、生活保護における生活扶助の特例加算額が増額されました。長引く物価高騰に対して、生活保護世帯の家計を支援するための措置です。

生活保護は8種類の扶助で構成されており、特に多くの方が受給しているのが「生活扶助」です。生活扶助では、食費や水道光熱費など日常生活を送るために必要な費用を支給します。

今回の変更により、生活扶助における特例加算額が月額1,000円から1,500円へと500円増額されました。

特例加算の経緯:
2023年度・2024年度:月額1,000円の特例加算を実施
2025年度(10月〜)・2026年度:さらに500円上乗せし月額1,500円に増額
※ただし、入院患者・介護施設入所者については現行の月額1,000円の加算額を維持
※2027年度以降は社会経済情勢を踏まえ、改めて検討

今回の特例加算は、令和7年度・令和8年度の2年間の臨時的・特例的措置です。2027年3月31日までは生活扶助基準額が下がる世帯はないと国から明示されています。

生活保護制度とは

生活保護は、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立を支援するための制度です。厚生労働省の被保護者調査によると、2026年2月時点の生活保護の被保護実人員数は約198万人(前年同月比1.2%減)、被保護実世帯数は約164万世帯(同0.4%減)となっています。

生活保護は誰でも受けられるわけではなく、以下のような状態の方が対象となります。

活用できる資産がない人不動産や預貯金、自動車など、生活のためにすぐに活用できる資産を持っていない
十分な収入がない人働けない場合、または働いていても必要な生活費を十分に得られない
社会保障制度を活用しても生活が困難な人年金や手当など、他の社会保障制度を利用しても、なお生活費が不足している

ただし、上記の状態であっても、特別な事情があれば資産保有が認められる場合もあります。生活保護の受給を検討している場合は、まずは地域を管轄する福祉事務所に相談してみることが大切です。

生活保護の条件

生活保護は、条件を満たす世帯を支援する制度です。世帯内のすべての資産や収入、労働能力などを最低限度の生活を維持するために活用することが前提となります。また、親族など扶養義務者から援助や他の手当を受けられる場合は、生活保護よりもそちらを優先しなければなりません。

1.活用できるものをすべて利用することが前提

資産の活用預貯金や、使われていない土地や家屋がある場合、それらを売却して生活費に充てることが求められます。
能力の活用働ける方は、その能力に応じて働き、収入を得る努力が必要です。
他制度の活用年金や手当など、他の制度で受けられる給付は優先的に活用してください。
扶養義務者からの援助親族などから援助が受けられる場合は、まずその支援を受ける必要があります。なお、2021年の改正により、10年以上音信不通の場合やDV・虐待を受けていた場合など、扶養照会が省略されるケースが明確化されました。

2.そのうえで、保護の適用基準と照らし合わせる

世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。

このように、生活保護は資産や能力、他の支援を最大限活用したうえで、なお生活が難しい場合に適用される「最後のセーフティネット」です。申請前に、これらの条件を確認することが重要です。

生活保護の種類や内容

生活保護は、8種類の扶助で構成されています。

生活を営む上で生じる費用扶助の種類支給内容
日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)生活扶助基準額は、(1)食費等の個人的費用、(2)光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出。特定の世帯には加算があります(母子加算等)
アパート等の家賃住宅扶助定められた範囲内で実費を支給
義務教育を受けるために必要な学用品費教育扶助定められた基準額を支給
医療サービスの費用医療扶助費用は直接医療機関へ支払(本人負担なし)
介護サービスの費用介護扶助費用は直接介護事業者へ支払(本人負担なし)
出産費用出産扶助定められた範囲内で実費を支給
就労に必要な技能の修得等にかかる費用生業扶助定められた範囲内で実費を支給
葬祭費用葬祭扶助定められた範囲内で実費を支給

特に「生活扶助」は多くの方が受給しますが、計算方法が複雑です。今回の特例加算も含めて、確認してみましょう。

生活扶助の計算に用いる内容

生活扶助は複雑な方法で算出されます。まずは生活扶助基準額を算出し、該当する加算額を追加します。そのため、人によって計算に用いる内容が異なる点を理解しておきましょう。

生活扶助の計算で根本になるのは生活扶助基準額です。具体的な計算に用いるのは、「地域の等級」と「基準額(第一類・第二類)」、「逓減率」の3要素です。

地域の等級とは

生活扶助は、該当する地域の等級を用いて計算されます。地域によって最低限必要な金額が異なるためです。地域の等級は全6等級で、東京などの都心部になるほど等級が高く、地方になるほど低くなります。

参考:「お住まいの地域の級地を確認」

基準額と逓減率

生活扶助には、第一類と第二類の基準額があります。地域等級によって分類された第一類の基準額は、逓減率を適用して算出します。

第一類:食費や被服費年齢によって金額が変動
第二類:光熱費世帯人数によって金額が変動
逓減率(ていげんりつ)次第に減る割合。世帯人数に応じて単純に金額が増えないようにするため第一類に適用

逓減率は、たとえば3人家族の場合に「単身者3人分の合計」で計算されることのないよう、1人あたりの金額を調整するための要素です。

生活扶助の計算方法

生活扶助は、地域の等級と基準額、逓減率を用いて計算されます。

生活扶助基準 =(生活扶助基準額(第一類)×逓減率)+ 生活扶助基準額(第二類)+ 特例加算 + 経過的加算

大切なのは、第一類と第二類を正しく用いて算出し、さらに特例加算・経過的加算を加算することです。

具体的な基準額の計算

生活扶助基準額(第一類)と逓減率、生活扶助基準額(第二類)は以下のとおりです。

【生活扶助基準額(第一類)】

年齢基準額 1級地-1基準額 1級地-2基準額 2級地-1基準額 2級地-2基準額 3級地-1基準額 3級地-2
0-244,58043,24041,46039,68039,23037,000
3-544,58043,24041,46039,68039,23037,000
6-1146,46045,06043,20041,35040,88038,560
12-1749,27047,79045,82043,85043,36040,900
18-1946,93045,52043,64041,76041,29038,950
20-4046,93045,52043,64041,76041,29038,950
41-5946,93045,52043,64041,76041,29038,950
60-6446,93045,52043,64041,76041,29038,950
65-6946,46045,06043,20041,35040,88038,560
70-7446,46045,06043,20041,35040,88038,560
75-39,89038,69037,10035,50035,10033,110

【逓減率】

世帯人数1人2人3人4人5人6人
1.000.870.750.660.590.58

【生活扶助基準額(第二類)】

人員基準額 1級地-1基準額 1級地-2基準額 2級地-1基準額 2級地-2基準額 3級地-1基準額 3級地-2
1人27,79027,79027,79027,79027,79027,790
2人38,06038,06038,06038,06038,06038,060
3人44,73044,73044,73044,73044,73044,730
4人48,90048,90048,90048,90048,90048,900
5人49,18049,18049,18049,18049,18049,180

※冬期は冬期加算を追加計上

第一類の生活扶助基準では、各居宅世帯員分を合計し、世帯人員に応じた逓減率を乗じます。さらに算出した生活扶助基準に、今回ご紹介した特例加算(月1,500円)や経過的加算を追加します。

なお、今回の基準改定では特例加算が1,000円から1,500円に増額される一方で、経過的加算も変更になっています。経過的加算は年齢や世帯人数等によって異なるため、世帯によっては差し引き後の増額分が500円未満になるケースもあります(入院患者・介護施設入所者は現行の1,000円加算のままで変わりません)。

また、世帯に該当者がいる場合は、必要に応じた加算額(母子家庭世帯や児童を養育する場合の加算額など)も加算します。

生活扶助基準額(東京23区の場合の参考例)
・3人世帯(33歳・29歳・4歳):約16万4,860円
・高齢者単身世帯(68歳):約7万7,980円
・高齢者夫婦世帯(68歳・65歳):約12万2,460円
・母子世帯(30歳・4歳・2歳):約19万6,220円
(※いずれも2023年10月1日時点の基準額。児童養育加算等を含む。令和7年10月以降は特例加算1,500円が上乗せ)

なお、生活保護費は、収入と最低生活費を比較した上で、収入が最低生活費に満たない場合に差額分を保護費として支給します。年金や児童扶養手当などの収入がある場合は、最低生活費からその収入を差し引いた額が支給額となります。

生活保護を受給する流れ

生活保護を受給するまでの流れは、以下のとおりです。

1.事前相談 → 2.保護の申請 → 3.保護費の受給

1.事前相談

まずは生活保護について、地域を管轄する福祉事務所の担当課に相談しましょう。生活保護を受給するか迷っている方や、受給対象になるかわからない場合も相談できます。申請を強制されることはなく、まず気軽に相談することが大切です。

2.保護の申請

生活保護の申請を行います。福祉事務所に「申請書」を提出します。

申請書に記載する主な内容
氏名・住所または居所・保護を受けようとする理由・資産及び収入の状況・その他保護の要否、種類、程度および方法を決定するために必要な事項等(世帯の収入・資産等の状況がわかる資料を提出する場合もある)

申請書を提出できない特別な事情があれば、申請書がなくても申請することは可能です。

生活保護を申請したら、保護決定までに担当者側が以下の内容を調査します。

  • 生活状況等の把握
  • 資産調査
  • 扶養義務者による扶養可否の調査
  • 収入などの調査
  • 就労可能性の調査

生活保護の受給にあたっては、申請書の提出だけでなく、さまざまな点が調査されます。申請から保護開始の決定まで、原則として14日以内(特別な事情がある場合は30日以内)に通知されます。

3.保護費の受給

生活保護支給が決定した場合は、保護費が支給されます。生活保護の期間中は、収入状況を毎月申告します。また、福祉事務所のケースワーカーによる年数回の訪問調査、就労の可能性がある方には助言や指導が行われます。

生活保護・生活扶助に関するよくある質問

2025年10月からの特例加算はいくらになった?

2025年10月から、生活扶助の特例加算額が月額1,000円から1,500円へと500円増額されました。2023年度・2024年度に実施されていた月額1,000円の特例加算に、さらに500円が上乗せされたかたちです。この措置は令和7年度・令和8年度の2年間の時限的なものです。なお、入院患者・介護施設入所者については現行の月額1,000円の加算額が維持されます。

特例加算は2027年度以降も続くの?

今回の特例加算(月額1,500円)は、令和7年度・令和8年度(2025年度・2026年度)の2年間の時限的措置です。2027年度(令和9年度)以降については、社会経済情勢の動向を踏まえ、国が改めて検討するとされています。物価上昇が続く場合は再度加算が行われる可能性もありますが、恒久的な制度ではない点に注意が必要です。

生活保護の受給者数はどのくらい?

厚生労働省の被保護者調査(2026年2月公表分)によると、2025年11月時点の生活保護の被保護実人員数は約198万人(前年同月比1.2%減)、被保護実世帯数は約164万世帯(同0.4%減)です。高齢者世帯が約90万世帯と最も多く、受給者全体の過半数を占めています。

生活保護を申請できる条件は?

主な条件は、①活用できる資産がない(土地・預貯金等を生活費に充てた後)、②十分な収入がない(働けない、または収入が最低生活費を下回る)、③他の社会保障(年金・手当等)を利用してもなお生活費が不足している、の3点です。これらをすべて満たしたうえで、世帯の収入が最低生活費を下回る場合に保護が適用されます。

貯金があると生活保護は受けられない?

一般的に、生活費に充てられる預貯金があれば先にそちらを使うことが求められます。ただし、多少の貯金があっても申請を拒否されるわけではなく、保護費との差額調整で対応される場合もあります。「貯金があるから申請できない」と思い込まずに、まずは福祉事務所に相談することをおすすめします。

持ち家があっても生活保護は受けられる?

必ずしも持ち家を手放さなければならないわけではありません。築年数が古く資産価値が低い場合(数百万円以下が目安)で住宅ローンを完済しているケースでは、持ち家に住みながら受給できる場合があります。「住み続けてもらった方が住宅扶助を出す必要がない」という行政上の判断もあります。個別の状況については福祉事務所にご相談ください。

扶養照会(家族への連絡)は必ずされる?

扶養照会は必須ではありません。2021年の厚生労働省の改正により、10年以上音信不通の場合・DV・虐待を受けていた場合・申請者が照会を強く拒否する場合などは、扶養照会を省略できることが明確化されました。「家族に知られたくない」という不安がある場合は、福祉事務所の担当者に事情を伝えて相談してみましょう。

生活保護の申請から受給開始まで何日かかる?

申請から保護開始の可否通知まで、原則として14日以内(特別な調査が必要な場合は30日以内)とされています。受給が決定した場合、保護費は申請日にさかのぼって支給されます。申請月は日割り計算されるため、できるだけ早期に申請することが重要です。

生活保護を受けながら働くことはできる?

働くことは可能です。収入が発生した場合は毎月の申告が必要ですが、一定額の「勤労控除」が認められているため、すべての収入が保護費から差し引かれるわけではありません。就労による収入が最低生活費を超えた場合に保護が廃止となります。自立を促進する観点から、就労支援を積極的に行っている福祉事務所も増えています。

医療費はどうなる?生活保護を受けると保険証はなくなる?

生活保護の受給が始まると、国民健康保険からは脱退する形になります。ただし、医療費は「医療扶助」として福祉事務所が指定する医療機関での診療費が全額負担されます(窓口での自己負担ゼロ)。介護サービスも「介護扶助」として自己負担なしで利用できます。なお、受診の際は医療券(または調剤券)が必要なため、事前に福祉事務所への連絡が必要です。


まとめ

生活保護制度は、生活に困窮する方々の最低限度の生活を保障し、自立を支援する重要な制度です。2025年10月からの特例加算増額(月額1,000円→1,500円)は、長引く物価高騰への対応として、受給者の生活を支える一助となることが期待されています。

一方、今回の増額と同時に経過的加算も変更されているため、世帯の構成によっては実質的な増額幅が500円未満になるケースもあります。自身の世帯の保護費の変化については、担当ケースワーカーに確認することをおすすめします。

生活に困窮している方は「申請できないかもしれない」と思い込まずに、まずは地域の福祉事務所に相談してみることが大切です。

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