物価高騰が続くなか、生活保護制度をめぐって重要な動きが相次いでいます。2026年10月から生活扶助の特例加算が世帯人員1人当たり月2,500円へ再増額されるほか、最高裁判決を踏まえた過去の基準引き下げ分の追加給付についても、現在生活保護を受給していない世帯の申出受付が2026年8月1日から令和9年(2027年)7月31日まで開始されました。厚生労働省が2026年7月17日に正式発表した情報です。
厚生労働省の被保護者調査によると、生活保護受給者は緩やかな減少傾向が続き、2026年2月時点で約198万人(1,977,156人、前年同月比1.1%減)と報告されています。しかし物価高で家計はひっ迫が続いており、今回の特例加算増額と追加給付は「今受給している方」「かつて受給していた方」の双方に直接影響する重要な制度改定です。特に追加給付は、対象が全国で約300万世帯にのぼると見込まれており、過去に受給していた方も申出により給付を受けられます。
この記事では、2025年10月からの特例加算増額(月1,500円)、2026年10月からの再増額(月2,500円)、最高裁判決を踏まえた追加給付の申出受付期間・対象・金額、生活扶助の計算方法までを、最新情報をもとにわかりやすく解説します。
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この記事の目次
2026年10月から生活扶助の特例加算が月2,500円に増額
2026年度の生活保護費に関して、2026年10月から特例加算がさらに1,000円引き上げられ、世帯人員1人当たり月額2,500円となる方針が決まっています。2025年12月24日に上野賢一郎厚生労働大臣と片山さつき財務大臣による2026年度予算案の閣僚折衝で決定された内容で、長引く物価高騰への対応として、2023年度から実施されている特例加算をさらに拡大する措置です。
生活保護は8種類の扶助で構成されており、特に多くの方が受給しているのが「生活扶助」です。生活扶助では、食費や水道光熱費など日常生活を送るために必要な費用を支給します。
特例加算の3段階引き上げ経緯
特例加算は物価高への対応として2023年度から始まり、3段階で引き上げられてきました。以下、世帯人員1人当たりの金額を時系列で整理します。
・2023年度・2024年度:月額1,000円の特例加算
・2025年10月〜2026年9月:500円上乗せで月額1,500円に
・2026年10月〜:さらに1,000円上乗せで月額2,500円に増額
※入院患者・介護施設入所者は現行の月額1,000円のまま据え置き
※2027年度以降の取扱いは、社会経済情勢を踏まえて改めて検討
今回の特例加算は、令和7年度・令和8年度の2年間の臨時的・特例的措置として始まりました。さらに2026年10月からの1,000円増額は、2026年10月から1年間(令和8年度後半)の措置となります。特例加算しても従前の基準額を下回る世帯については、引き続き旧基準額が保障されるため、生活扶助基準額が下がる世帯は発生しません。
特例加算の対象となる人・据え置きになる人
新しい月額2,500円の特例加算は、現金支給の生活扶助を受けている人、つまり自宅で生活している生活保護受給者が対象です。一方、病院に入院している人や介護施設に入所している方など、食事や光熱費が現物給付されているケースでは、特例加算は現行の1人当たり月1,000円のまま据え置かれます。
なお、2023年度の生活保護事業費は約3兆6,000億円規模であり、今回の1,000円上乗せ分も全額を国と地方の公費で賄います。
最高裁判決を踏まえた追加給付とは?2026年8月1日から過去受給者の申出受付開始
特例加算の増額とは別に、過去の基準引き下げに関する追加給付についても、大きな動きがありました。現在生活保護を受給していない世帯(保護廃止・停止世帯)の申出受付期間が、2026年8月1日から2027年7月31日までと正式に決定されました。厚生労働省が2026年7月17日に発表した情報です。2025年6月27日の最高裁判決を踏まえた措置で、現在受給中の方はすでに2026年3月から順次追加給付が始まっており、過去に受給していた世帯も申出により給付を受けられます。最高裁判決から追加給付が決まった経緯
2013年(平成25年)から2015年(平成27年)にかけて、生活保護費のうち生活扶助費(生活費分)に対して平均約6.5%の引き下げが行われました。この引き下げの違法性を問う集団訴訟「いのちのとりで裁判」が全国で起こされ、2025年6月27日の最高裁判決で「デフレ調整に係る厚生労働大臣の判断の過程及び手続には過誤、欠落があった」と判示されました。
この判決を受け、国は新たな基準を設定し、裁判の原告かどうかにかかわらず、当時の基準との差額分を支給する方針を決定。差額の算定基準は、平成25年に引き下げられた水準(▲4.78%)と国が新たに定めた水準(▲2.49%)との差額分(追加給付率)となります。追加給付率は具体的には、平成25年8月〜平成26年3月が+0.8%、平成26年4月〜平成27年3月が+1.6%、平成27年4月以降が+2.4%です。
追加給付の対象となる世帯
追加給付の対象は、過去に生活保護を受給していたことがある広範な世帯です。現在生活保護を受けていない世帯も、当時受給していれば対象になり得ます。全国で対象は約300万世帯と見込まれています。
| 追加給付の対象者 | |
|---|---|
| 原則対象 | 平成25年8月〜平成30年9月に生活保護を受給したことがある全ての世帯 |
| 追加対象 | 平成30年10月〜令和8年3月に、入院患者日用品費・障害者加算・期末一時扶助等が算定されていた世帯 |
| 対象範囲 | 現在保護停止中の世帯や保護廃止済みの世帯も対象 |
| 注意点 | 亡くなられた本人分は対象外。ただし、当時の世帯員が存命であれば、その方の分は対象になり得る |
追加給付額の目安
給付額は世帯類型と受給期間によって大きく異なります。厚生労働省が示している主な提示例は以下のとおりです。
| 追加給付額の目安(厚生労働省提示例) | |||
|---|---|---|---|
| 世帯類型 | 8か月受給 | 1年間受給 | 3年間受給 |
| 60代単身(加算なし) | 約4,000円 | 約12,000円 | 約65,000円 |
| 70代夫婦(加算なし) | 約7,000円 | 約21,000円 | 約111,000円 |
| 40代単身(令和2年8月から) | 約300円 | 約300円 | 約1,000円 |
上記はあくまで目安であり、実際の給付額と異なる可能性があります。平成25年8月から令和8年3月までの全期間受給していた場合は、より高額になる見込みです。
【最新】追加給付の申出受付期間と方法
現在生活保護を受給していない世帯(保護廃止・停止世帯)の申出受付は、2026年8月1日から2027年7月31日までの1年間と定められました。申出先は、当時生活保護を受けていた自治体です。
・受付期間:令和8年(2026年)8月1日〜令和9年(2027年)7月31日
・申出先:当時生活保護を受けていた自治体
・受付方法:多くの自治体で、開庁日(平日)に受付。自治体によっては電子申請・郵送・窓口の複数窓口を用意
※申出期限を過ぎると原則として給付を受けられなくなるため、早めの手続きが重要です
現在の状況によって手続きは大きく3パターンに分かれます。過去の受給状況に応じて確認しましょう。
| 追加給付の手続き区分 | |
|---|---|
| ①現在受給中の世帯(同じ自治体で当時から継続) | 原則申出不要。受給中の自治体が当時の記録に基づき職権で決定・支給(2026年3月から順次実施中) |
| ②過去に別自治体で受給していた期間がある方 | その期間分については、当時の自治体への申出が必要 |
| ③現在は生活保護を受けていない世帯(過去に受給) | 申出が必要。受付期間は2026年8月1日〜2027年7月31日 |
追加給付相談センターへの問い合わせ
不明点があれば、厚生労働省が設置している「最高裁判決を踏まえた保護費の追加給付相談センター」に問い合わせが可能です。センターでは、追加給付の内容や対象となる世帯に関する一般的な問い合わせや、現在生活保護を受給していない世帯に対する申出手続きの案内等を行っています。
・電話番号(フリーダイヤル):0120-179-445
・受付時間:平日 9:00〜17:00
・8〜10月は土日祝日も受付(申出受付開始期間中の臨時対応)
・ウェブサイト:https://tsuikakyufu-sodancenter.mhlw.go.jp/
生活保護制度とは?どんな人が受給できる?
生活保護は、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立を支援するための制度です。厚生労働省の被保護者調査によると、2026年2月時点の生活保護の被保護実人員数は1,977,156人(前年同月比1.1%減)、被保護実世帯数は1,641,614世帯(同0.3%減)となっています。高齢者世帯が約90万世帯と最も多く、受給世帯全体の過半数を占めています。
生活保護は誰でも受けられるわけではなく、以下のような状態の方が対象となります。
| 活用できる資産がない人 | 不動産や預貯金、自動車など、生活のためにすぐに活用できる資産を持っていない |
| 十分な収入がない人 | 働けない場合、または働いていても必要な生活費を十分に得られない |
| 社会保障制度を活用しても生活が困難な人 | 年金や手当など、他の社会保障制度を利用しても、なお生活費が不足している |
ただし、上記の状態であっても、特別な事情があれば資産保有が認められる場合もあります。生活保護の受給を検討している場合は、まずは地域を管轄する福祉事務所に相談してみることが大切です。
生活保護の受給には「4つの活用」が必要
生活保護は、条件を満たす世帯を支援する制度です。世帯内のすべての資産や収入、労働能力などを最低限度の生活を維持するために活用することが前提となります。また、親族など扶養義務者から援助や他の手当を受けられる場合は、生活保護よりもそちらを優先しなければなりません。
1.活用できるものをすべて利用することが前提
| 資産の活用 | 預貯金や、使われていない土地や家屋がある場合、それらを売却して生活費に充てることが求められる |
| 能力の活用 | 働ける方は、その能力に応じて働き、収入を得る努力が必要 |
| 他制度の活用 | 年金や手当など、他の制度で受けられる給付は優先的に活用する |
| 扶養義務者からの援助 | 親族などから援助が受けられる場合は、まずその支援を受ける必要がある。ただし、2021年の改正で10年以上音信不通の場合やDV・虐待を受けていた場合など、扶養照会が省略されるケースが明確化された |
2.そのうえで、保護の適用基準と照らし合わせる
世帯の収入と、厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に保護が適用されます。
このように、生活保護は資産や能力、他の支援を最大限活用したうえで、なお生活が難しい場合に適用される「最後のセーフティネット」です。申請前に、これらの条件を確認することが重要です。
生活保護の8種類の扶助と支給内容
生活保護は、生活費・住居費・医療費など、生活に必要な費用を8種類の扶助で支給する仕組みです。それぞれ支給される内容や金額の決まり方が異なります。
| 生活を営む上で生じる費用 | 扶助の種類 | 支給内容 |
| 日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等) | 生活扶助 | 基準額は、(1)食費等の個人的費用、(2)光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出。特定の世帯には加算あり(母子加算等) |
| アパート等の家賃 | 住宅扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
| 義務教育を受けるために必要な学用品費 | 教育扶助 | 定められた基準額を支給 |
| 医療サービスの費用 | 医療扶助 | 費用は直接医療機関へ支払(本人負担なし) |
| 介護サービスの費用 | 介護扶助 | 費用は直接介護事業者へ支払(本人負担なし) |
| 出産費用 | 出産扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
| 就労に必要な技能の修得等にかかる費用 | 生業扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
| 葬祭費用 | 葬祭扶助 | 定められた範囲内で実費を支給 |
特に「生活扶助」は多くの方が受給しますが、計算方法が複雑です。今回の特例加算も含めて、次章から詳しく確認していきます。
生活扶助の金額はいくら?計算方法をわかりやすく解説
生活扶助の基準額は、地域の等級・世帯構成・年齢によって細かく決まります。まず生活扶助基準額を算出し、該当する加算額を追加する2ステップ構成です。ここでは、計算に用いる3つの要素と、実際の金額目安を紹介します。
生活扶助基準額の計算式
生活扶助は、地域の等級と基準額、逓減率を用いて計算されます。特例加算と経過的加算も、この基準額に上乗せする形で加算されます。
生活扶助基準 =(生活扶助基準額(第一類)× 逓減率)+ 生活扶助基準額(第二類)+ 特例加算(世帯人員1人当たり)+ 経過的加算
大切なのは、第一類と第二類を正しく用いて算出し、さらに特例加算・経過的加算を加算することです。特例加算は世帯人員1人当たりの金額であり、たとえば3人世帯であれば1人当たり月2,500円×3人=月7,500円が加算される計算となります(2026年10月以降の在宅受給者の場合)。
地域の等級(1級地〜3級地)とは
生活扶助は、該当する地域の等級を用いて計算されます。地域によって最低限必要な金額が異なるためです。地域の等級は全6等級で、東京などの都心部になるほど等級が高く、地方になるほど低くなります。
第一類・第二類の基準額と逓減率
生活扶助には、第一類と第二類の基準額があります。地域等級によって分類された第一類の基準額は、逓減率を適用して算出します。
| 第一類:食費や被服費 | 年齢によって金額が変動 |
| 第二類:光熱費 | 世帯人数によって金額が変動 |
| 逓減率(ていげんりつ) | 次第に減る割合。世帯人数に応じて単純に金額が増えないよう第一類に適用 |
逓減率は、たとえば3人家族の場合に「単身者3人分の合計」で計算されることのないよう、1人あたりの金額を調整するための要素です。
基準額の具体的な数字(令和7年4月時点)
生活扶助基準額(第一類)と逓減率、生活扶助基準額(第二類)は以下のとおりです(厚生労働省資料の令和7年4月時点の数値)。令和7年10月以降は世帯人員1人当たり月1,500円、令和8年(2026年)10月以降は1人当たり月2,500円の特例加算が上乗せされます。
【生活扶助基準額(第一類)】
| 年齢 | 基準額 1級地-1 | 基準額 1級地-2 | 基準額 2級地-1 | 基準額 2級地-2 | 基準額 3級地-1 | 基準額 3級地-2 |
| 0-2 | 44,580 | 43,240 | 41,460 | 39,680 | 39,230 | 37,000 |
| 3-5 | 44,580 | 43,240 | 41,460 | 39,680 | 39,230 | 37,000 |
| 6-11 | 46,460 | 45,060 | 43,200 | 41,350 | 40,880 | 38,560 |
| 12-17 | 49,270 | 47,790 | 45,820 | 43,850 | 43,360 | 40,900 |
| 18-19 | 46,930 | 45,520 | 43,640 | 41,760 | 41,290 | 38,950 |
| 20-40 | 46,930 | 45,520 | 43,640 | 41,760 | 41,290 | 38,950 |
| 41-59 | 46,930 | 45,520 | 43,640 | 41,760 | 41,290 | 38,950 |
| 60-64 | 46,930 | 45,520 | 43,640 | 41,760 | 41,290 | 38,950 |
| 65-69 | 46,460 | 45,060 | 43,200 | 41,350 | 40,880 | 38,560 |
| 70-74 | 46,460 | 45,060 | 43,200 | 41,350 | 40,880 | 38,560 |
| 75- | 39,890 | 38,690 | 37,100 | 35,500 | 35,100 | 33,110 |
【逓減率】
| 世帯人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人 |
| 率 | 1.00 | 0.87 | 0.75 | 0.66 | 0.59 | 0.58 |
【生活扶助基準額(第二類)】
| 人員 | 基準額 1級地-1 | 基準額 1級地-2 | 基準額 2級地-1 | 基準額 2級地-2 | 基準額 3級地-1 | 基準額 3級地-2 |
| 1人 | 27,790 | 27,790 | 27,790 | 27,790 | 27,790 | 27,790 |
| 2人 | 38,060 | 38,060 | 38,060 | 38,060 | 38,060 | 38,060 |
| 3人 | 44,730 | 44,730 | 44,730 | 44,730 | 44,730 | 44,730 |
| 4人 | 48,900 | 48,900 | 48,900 | 48,900 | 48,900 | 48,900 |
| 5人 | 49,180 | 49,180 | 49,180 | 49,180 | 49,180 | 49,180 |
冬期は冬期加算を追加計上します。第一類の生活扶助基準では、各居宅世帯員分を合計し、世帯人員に応じた逓減率を乗じます。さらに算出した生活扶助基準に、今回ご紹介した特例加算(2025年10月〜2026年9月:1人当たり月1,500円/2026年10月〜:1人当たり月2,500円)や経過的加算を追加します。
なお、特例加算と同時に経過的加算も変更になっているため、世帯によっては差し引き後の増額分が500円未満になるケースもあります(入院患者・介護施設入所者は現行の月1,000円のままで変わりません)。
加算の種類(母子加算・児童養育加算など)
世帯に該当者がいる場合は、必要に応じた加算額も追加されます。主な加算は以下のとおりです。
- 母子加算:1級地で児童1人あたり月18,800円、2人なら23,600円など(地域・人数で変動)
- 児童養育加算:18歳未満の児童1人につき全国一律で月10,190円
- その他、妊産婦加算・障害者加算・在宅患者加算等
・3人世帯(33歳・29歳・4歳):約16万4,860円
・高齢者単身世帯(68歳):約7万7,980円
・高齢者夫婦世帯(68歳・65歳):約12万2,460円
・母子世帯(30歳・4歳・2歳):約19万6,220円
(※いずれも2023年10月1日時点の基準額。児童養育加算等を含む。令和7年10月以降は世帯人員1人当たり月1,500円、令和8年10月以降はさらに1,000円上乗せで合計1人当たり月2,500円の特例加算が上乗せ)
なお、生活保護費は、収入と最低生活費を比較したうえで、収入が最低生活費に満たない場合に差額分を保護費として支給します。年金や児童扶養手当などの収入がある場合は、最低生活費からその収入を差し引いた額が支給額となります。
生活保護を受給するまでの流れ
生活保護を受給するまでの流れは、大きく3ステップです。申請から保護開始の決定まで、原則として14日以内(特別な事情がある場合は30日以内)に通知されます。
1.事前相談(福祉事務所への相談)
まずは生活保護について、地域を管轄する福祉事務所の担当課に相談しましょう。生活保護を受給するか迷っている方や、受給対象になるかわからない場合も相談できます。申請を強制されることはなく、まず気軽に相談することが大切です。
2.保護の申請と調査
生活保護の申請を行います。福祉事務所に「申請書」を提出します。
| 申請書に記載する主な内容 |
|---|
| 氏名・住所または居所・保護を受けようとする理由・資産及び収入の状況・その他保護の要否、種類、程度および方法を決定するために必要な事項等(世帯の収入・資産等の状況がわかる資料を提出する場合もある) |
申請書を提出できない特別な事情があれば、申請書がなくても申請は可能です。生活保護を申請したら、保護決定までに担当者側が以下の内容を調査します。
- 生活状況等の把握
- 資産調査
- 扶養義務者による扶養可否の調査
- 収入などの調査
- 就労可能性の調査
生活保護の受給にあたっては、申請書の提出だけでなく、さまざまな点が調査されます。
3.保護費の受給と受給後の申告
生活保護支給が決定した場合は、保護費が支給されます。生活保護の期間中は、収入状況を毎月申告します。また、福祉事務所のケースワーカーによる年数回の訪問調査、就労の可能性がある方には助言や指導が行われます。
生活保護・生活扶助に関するよくある質問
生活保護と特例加算・追加給付に関するよくある質問を10問まとめました。追加給付の申出受付はいつからいつまで?
現在生活保護を受給していない世帯(保護廃止・停止世帯)の申出受付期間は、令和8年(2026年)8月1日から令和9年(2027年)7月31日までの1年間です。厚生労働省が2026年7月17日に正式発表しました。申出先は、当時生活保護を受けていた自治体です。多くの自治体では平日開庁日の受付ですが、自治体によっては電子申請・郵送・窓口の複数窓口を用意しています。この期間を過ぎると原則として追加給付を受けられなくなるため、早めの手続きが重要です。なお、現在受給中の方は原則申出不要で、受給中の自治体が2026年3月から順次職権で決定・支給しています。
2026年10月から特例加算はいくらになる?
2026年10月から、特例加算が現行の世帯人員1人当たり月額1,500円からさらに1,000円引き上げられ、1人当たり月額2,500円となる方針が決定しています。これは2025年12月24日の閣僚折衝で決まった2026年度予算案の内容です。対象は自宅で生活している生活保護受給者(現金支給の生活扶助を受けている人)で、入院患者や介護施設入所者は現行の1人当たり月1,000円のまま据え置かれます。なお、特例加算は世帯員1人につき算定されるため、たとえば3人世帯では1人当たり月2,500円×3人で世帯合計月7,500円の加算となります。
最高裁判決を踏まえた追加給付とは何?対象者は?
2013年から実施された生活扶助基準の引き下げに関する2025年6月27日の最高裁判決を受け、国が新たな基準を設定し、当時の基準との差額分を支給する措置です。告示は2026年3月1日から適用され、現在受給中の方への追加給付は同月から順次開始されています。対象は、原則として平成25年8月〜平成30年9月に生活保護を受給したことがある全ての世帯です。加えて、平成30年10月〜令和8年3月に入院患者日用品費・障害者加算・期末一時扶助等が算定されていた世帯も対象になります。現在保護停止中・保護廃止済みの世帯も対象で、全国で対象は約300万世帯と見込まれています。亡くなられた本人分は対象外ですが、当時の世帯員が存命であれば、その方の分は対象になり得ます。
追加給付の金額はどのくらい?計算方法は?
給付額は受給期間や世帯類型によって異なります。厚生労働省の提示例では、60代単身(加算なし)で1年間受給していた場合は約12,000円、3年間受給で約65,000円、70代夫婦の3年間受給で約111,000円が目安です。計算の基礎となる追加給付率は、平成25年8月〜平成26年3月が+0.8%、平成26年4月〜平成27年3月が+1.6%、平成27年4月以降が+2.4%となっており、当時の受給額に対してこの率を上乗せした差額分が支給されます。実際の給付額は自治体が過去の記録に基づいて算定するため、詳細は当時受給していた自治体または厚生労働省の追加給付相談センター(フリーダイヤル0120-179-445)にご確認ください。
追加給付の申出はどこにすればよい?別の市に引っ越したケースは?
申出先は、当時生活保護を受けていた自治体です。過去に別の自治体で受給していた期間がある方は、その期間分について当時の自治体に申出が必要です。たとえば大阪市で受給していた後に東京都内に転居した方は、大阪市の申出窓口に申し出る必要があります。多くの自治体では2026年8月1日以降、専用の追加給付支給事務センターや窓口を開設して受付を行います。手続きの詳細や必要書類は自治体によって異なるため、当時受給していた自治体のホームページで確認するか、厚生労働省の追加給付相談センター(0120-179-445、平日9〜17時、8〜10月は土日祝も対応)に問い合わせるとスムーズです。
生活保護の受給者数はどのくらい?
厚生労働省の被保護者調査によると、2026年2月時点の生活保護の被保護実人員数は1,977,156人(前年同月比1.1%減)、被保護実世帯数は1,641,614世帯(同0.3%減)です。受給者数は緩やかな減少傾向が続いていますが、高齢者世帯が約90万世帯と最も多く、受給者全体の過半数を占めています。物価高騰の影響を受け、今後の受給世帯数は再び増加に転じる可能性も指摘されています。
生活保護を申請できる条件は?
主な条件は、①活用できる資産がない(土地・預貯金等を生活費に充てた後)、②十分な収入がない(働けない、または収入が最低生活費を下回る)、③他の社会保障(年金・手当等)を利用してもなお生活費が不足している、の3点です。これらをすべて満たしたうえで、世帯の収入が最低生活費を下回る場合に保護が適用されます。
貯金があると生活保護は受けられない?
一般的に、生活費に充てられる預貯金があれば先にそちらを使うことが求められます。ただし、多少の貯金があっても申請を拒否されるわけではなく、保護費との差額調整で対応される場合もあります。「貯金があるから申請できない」と思い込まずに、まずは福祉事務所に相談することをおすすめします。
持ち家があっても生活保護は受けられる?
必ずしも持ち家を手放さなければならないわけではありません。築年数が古く資産価値が低い場合(数百万円以下が目安)で住宅ローンを完済しているケースでは、持ち家に住みながら受給できる場合があります。「住み続けてもらった方が住宅扶助を出す必要がない」という行政上の判断もあります。個別の状況については福祉事務所にご相談ください。
扶養照会(家族への連絡)は必ずされる?
扶養照会は必須ではありません。2021年の厚生労働省の改正により、10年以上音信不通の場合・DV・虐待を受けていた場合・申請者が照会を強く拒否する場合などは、扶養照会を省略できることが明確化されました。「家族に知られたくない」という不安がある場合は、福祉事務所の担当者に事情を伝えて相談してみましょう。
まとめ
生活保護制度は、生活に困窮する方々の最低限度の生活を保障し、自立を支援する重要な制度です。長引く物価高騰への対応として、特例加算は2023年度の世帯人員1人当たり月1,000円から始まり、2025年10月には1人当たり月1,500円、そして2026年10月にはさらに1人当たり月2,500円へと、3段階で引き上げられる見通しとなっています。
加えて、2025年6月の最高裁判決を踏まえた追加給付についても、大きな進展がありました。現在生活保護を受給していない世帯(保護廃止・停止世帯)の申出受付が、2026年8月1日から2027年7月31日までの1年間に決定し、全国約300万世帯を対象とした過去分の差額支給が本格的に始まります。現在受給中の方は原則申出不要ですが、現在は受給していない過去受給者は期限内の申出が必要です。申出先は当時受給していた自治体となるため、引っ越し歴のある方は特に注意してください。
一方、特例加算と同時に経過的加算も変更されているため、世帯の構成によっては実質的な増額幅が額面通りにならないケースもあります。自身の世帯の保護費の変化については、担当ケースワーカーに確認することをおすすめします。生活に困窮している方は「申請できないかもしれない」と思い込まずに、まずは地域の福祉事務所に相談してみることが大切です。
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