政府は、大学や国立研究開発法人と企業との共同研究を拡大するため、各種施策を通じて産学官連携の促進に取り組んでいます。その一環として実施されているのが、Go-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)です。本事業は、中小企業者等が大学・公設試等と連携して行う研究開発および、その成果の事業化に向けた取組を、最長3年間支援する制度です。
今回は、令和8年度公募に関する事前予告と、過去の公募情報をもとに、Go-Tech事業の対象者や補助の申請方法などについて紹介します。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する
この記事の目次
旧サポイン事業・サビサポ事業からGo-Tech事業へ
Go-Tech事業は、令和4年度より旧「サポイン事業(戦略的基盤技術高度化支援事業)」および旧「サビサポ事業(商業・サービス競争力強化連携支援事業)」が統合されて誕生した制度です。前身のサポイン事業は2007年度に開始され、これまでに2,273億円を超える支援実績を持ちます。 長年にわたって中小企業の研究開発を支えてきた信頼性の高い事業といえます。
Go-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)とは
Go-Tech事業は、中小企業等が成長を目的として産学官連携で行う研究開発・試作品開発および販路開拓への取り組みを支援するものです。最大3年間の支援を受けることができます。ただし、生産を目的とした設備備品の導入等は補助されません。申請対象者
本事業は、中小企業者等を中心とした共同体が申請対象者です。単独での申請はできません。共同体は、少なくとも以下の①②を含む2者以上で構成する必要があります。
| 区分 | 区分名 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 研究等実施機関(間接補助事業者) 主たる研究等実施機関 |
本事業において中核的に研究開発等を実施する中小企業者等 |
| 研究等実施機関(間接補助事業者) 従たる研究等実施機関 |
主たる研究等実施機関の取組を補完する研究開発等を行う研究者が所属する機関 | |
| ② | 事業管理機関(補助事業者) | |
| ③ | アドバイザー |
通常枠にて申請する場合、従たる研究等実施機関またはアドバイザーに大学・公設試等の参画が必須です。なお、総括研究代表者もしくは副総括研究代表者のいずれかは、主たる研究等実施機関の研究員でなくてはなりません。アドバイザーを除く構成員は日本国内に本社を置き、事業を営み、研究開発等を行う必要があります。
申請対象事業
「中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化等に関する指針」を踏まえ、ものづくり基盤技術およびサービスの高度化に向けて、中小企業が大学・公設試等と連携して行う研究開発等が対象です。
申請対象となる研究開発は、「中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化等に関する指針(高度化指針)」に基づくものに限られます。対象となるのは、精密加工や情報処理、立体造形などの「12の特定ものづくり基盤技術」や、AI・IoT等の先端技術を活用した高度なサービス開発です。研究開発を伴わない販路開拓のみの事業は対象外となります。
【補助事業期間】
申請が認められると、2年度または3年度の間、継続して補助を受けることができます。
補助金額
補助金額の詳細は、以下のとおりです。
単年度あたり… 4500 万円以下
2年度の合計…7500 万円以下
3年度の合計…9750 万円以下
【出資獲得枠】
単年度あたり…1億円以下
2年度の合計…2億円以下
3年度の合計…3億円以下
いずれの枠も、中小企業者等が受け取る補助金額が補助金総額の2/3以上であることが必要です。
また、補助率は以下のとおりです。
①中小企業者等…2/3以内
②大学・公設試等…定額
補助対象経費
補助の対象となるのは、本事業の経費として明確に区分できる経費のうち、以下のものです。
1.設備備品費(機械装置備品費、土木・建設工事費、保守・改造修理費、外注費)
2.消耗品費
②人件費・謝金
1.人件費(研究員費、管理員費、補助員雇上費)
2.謝金
③旅費
④その他
1.外注費
2.印刷製本費(報告書作成費)
3.運搬費
4.クラウドサービス利用費
5.その他(技術導入費、通訳・翻訳費、知的財産権関連経費、マーケティング調査費(海外における展示会等事業費も含む)、賃貸借費、その他)
⑤委託費
⑥間接経費
なお、以下のものは経費として認められません。
・補助金交付決定日よりも前に発注、購入、契約、または事業期間終了後に納品、検収等を実施したもの
・販売を目的とした製品、商品等の生産に係る経費
・事務所等にかかる家賃、保証金、敷金、仲介手数料、光熱水費
・電話代、インターネット利用料金等の通信費
・商品券等の金券
・文房具などの事務用品等の消耗品代、雑誌購読料、新聞代、団体等の会費
・飲食、奢侈、娯楽、接待等の費用
・不動産の購入費
・税務申告、決算書作成等のために税理士、公認会計士等に支払う費用及び訴訟等のための弁護士費用
・収入印紙
・振込等手数料(代引手数料含む。ただし、振込手数料を両者の合意の上(覚書や請求書等の記載により明文化されていることが必要)で取引先が負担しており、取引価格の内数になっている場合は補助対象として計上することができます)
・公租公課
・還付制度のある海外付加価値税
・展示会等出展、本事業で購入した機械装置備品に係るものを除く各種保険料
・借入金、割賦販売等の支払利息及び遅延損害金
・補助事業計画書、交付申請書等の書類作成・送付に係る費用
・経済産業局等による検査、評価等への対応に係る費用
・PCや自動車など、汎用性があり、目的外使用になり得るもの
・原則として中古品の購入費
・上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
なお「競争的資金の間接経費の執行に係る共通指針」に定められた経費は、間接経費としての計上が可能です。
申請手続きについて
続いて、申請手続きについて確認しましょう。申請には事前にシステム登録が必要ですので、期間に余裕を持って手続きを始めてください。
【公募期間】
令和8年2月中旬〜令和8年4月17日(金)17時締切
【申請方法等】
申請書の提出は「e-Rad(府省共通研究開発管理システム)」上でのみ受け付けます。紙媒体による申請は受け付けていません。e-Radへの登録には数日を要することがあるため、余裕を持って手続きを開始してください。また、申請は事業管理機関が行う必要があります。
令和8年度公募における主な変更点
令和8年度公募では、以下の重要な制度変更が行われています。申請を検討している方は必ず確認してください。
- 従来の「出資獲得枠」は、「大型研究開発枠」へ改編されます。
- 令和8年度採択案件より、大学・公設試等の補助率は一律で定額となります。
- 令和8年度採択案件より、収益納付に関する規定は撤廃されます。
補助金交付候補者の採択想定件数(予定)
- 通常枠:120件程度
- 大型研究開発枠:5件程度
※本内容はいずれも現時点での見込みであり、今後の制度設計や予算の状況により、予告なく変更される場合があります。
審査基準と採択のポイント
Go-Tech事業の採択審査は、外部有識者等による採択審査委員会が行います。審査は主に「技術面」「事業化面」「政策面」の3項目で行われます。
技術面では国際競争力強化につながる研究開発であること・研究開発体制の適切性が評価されます。
事業化面では市場のニーズへの適合性・経済効果の期待度が、政策面では高度化指針との整合性が審査されます。
採択率を高めるために特に重視すべき点は以下のとおりです。
①技術的新規性・革新性(既存技術との明確な差別化)
②事業化の実現可能性(具体的な市場投入計画)
③政策目的との整合性(高度化指針への適合度)
④産学連携の実効性(役割分担の合理性とシナジー効果)
なお、令和6年度の公募では230件の申請に対し115件が採択されており、採択率は約50%でした。競争率を踏まえ、早期から申請書の質を高める準備が必要です。
採択事例:どんな研究開発が選ばれているか
実際の採択事例を知ることで、自社の取り組みが対象になるかどうかを判断しやすくなります。
過去の採択テーマには
「患者にも医師にも優しい手術器具のための異種金属接合技術の開発」
「食中毒リスクのない安心・安全かつ新鮮な刺身を提供するための革新的アニサキス殺虫装置の開発」
「養豚場の悩みを解決する3Dデータを活用した豚体重推定装置の開発」
などがあります。製造業を中心に、医療・食品・農業など幅広い分野で活用されています。
共同体パートナーの探し方
Go-Tech事業は単独申請が認められないため、連携先となる大学・公設試等の確保が採択の前提条件です。
経済産業省が運営する「Go-Techナビ」では、地域別・技術分野別に事業管理機関や研究機関を検索でき、各機関の支援実績件数・事業化実績件数も公開されています。
ツテがない状態からでも連携先候補を効率よく探せるため、申請を検討する段階から活用することをおすすめします。
まとめ
Go-Tech事業は、中小企業が単独では実現しにくい高度な研究開発に挑戦するための、国の手厚い支援制度です。最大3年間・最大9,750万円(通常枠)または3億円(大型研究開発枠)の補助を受けながら、大学・公設試等の知見と自社の技術を掛け合わせた事業化を目指せます。
令和8年度の申請締切は2026年4月17日(金)17時です。 e-Radへの登録や共同体の構成、提案書の作成には相応の準備期間が必要なため、できるだけ早めに動き出すことが重要です。
文部科学省の調査によると、民間企業との共同研究の実施件数と研究費受入額は増加し続けています。社会情勢の変化やグローバルな競争への対応を急務とする中小企業にとって、研究機関との連携は必要な研究費の捻出が大きな課題です。
一方で「研究成果の社会的還元」は、国立大学の使命のひとつです。研究機関と社会とのつながりは、どちらの側からも需要が高まっています。成長型中小企業等研究開発支援事業は、時代の要望に応える事業といえます。
企業の新たな発展を目指す中小企業にこそ、活用してほしい事業です。
▼▼▼日々配信中!無料メルマガ登録はこちら▼▼▼
メルマガ会員登録する

