2026年も全国的に危険な暑さが見込まれるなか、屋外や高温環境下で働く高年齢労働者の熱中症リスクが年々深刻になっています。
「職場の暑さ対策に使える補助金はないか」「空調服やスポットクーラーの導入費用を抑えたい」とお考えの中小企業の経営者の方も多いのではないでしょうか。こうしたニーズに応えるのが、厚生労働省の「エイジフレンドリー補助金」です。
令和8年度(2026年度)からは、熱中症対策に特化した「熱中症対策コース」が独立したコースとして新設されました。
この記事では、2026年版の熱中症対策コースの概要、補助対象となる機器、申請方法、令和7年度からの変更点までをわかりやすく解説します。
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この記事の目次
猛暑が常態化する中、高年齢労働者の安全が課題に
近年の夏は全国的に厳しい暑さが続いており、2025年8月5日には群馬県伊勢崎市で41.8度を記録し、日本の観測史上最高気温を更新しました。こうした異常な高温環境は、屋外作業や工場内の高温作業エリアで働く労働者にとって極めて深刻なリスクとなり、短時間のうちに熱中症を発症するケースも少なくありません。
なかでも、加齢により体温調節機能が低下する60歳以上の高年齢労働者は、特に重症化リスクが高いとされています。猛暑が常態化するなか、暑さ対策・猛暑対策として職場環境を整備することは、企業にとって避けて通れない課題といえるでしょう。
熱中症対策に使える補助金「エイジフレンドリー補助金 熱中症対策コース」とは
「熱中症対策 補助金」「暑さ対策 補助金」を探している事業者の方にまずご検討いただきたいのが、厚生労働省のエイジフレンドリー補助金です。高年齢労働者の労働災害防止に向けた取り組みを支援する制度で、令和8年度(2026年度)からは熱中症対策に特化した「熱中症対策コース」が独立して設けられました。
熱中症対策コースは、暑熱な環境による熱中症予防対策として、高年齢労働者の身体機能の低下を補う装置・機器の導入費用を補助する制度です。補助率は2分の1、上限額は100万円(消費税を除く)と、中小企業にとって心強い支援内容となっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施主体 | 厚生労働省 一般社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会 |
| 補助率 | 2分の1 |
| 補助上限額 | 100万円(消費税を除く) |
| 対象事業者 | ・中小企業事業者 ・1年以上事業を実施していること ・役員を除き、自社の労災保険適用の高年齢労働者(60歳以上)が常時1名以上就労していること |
| 補助対象 | 暑熱な環境による熱中症予防対策として身体機能の低下を補う装置・装備の導入に要する経費 |
| 申請受付期間 | 令和8年5月20日(水)~10月31日(土) ※予算終了次第締切 |
| 申請方法 | 郵送またはJグランツ(電子申請) |
補助対象となる機器・設備
熱中症対策コースでは、熱中症の予防や早期察知に役立つ機器・システムが補助対象となります。令和8年度のリーフレットに記載されている主な対象は以下のとおりです。
①体表面を冷やすための装備・設備
②効率的な身体冷却のための機器
③健康状態の把握・管理のための機器
①体表面を冷やすための装備・設備

屋外作業や高温作業場において、労働者の体温上昇を抑えるための冷却機器が対象です。
・電動ファン付き作業服(空調服)など、体温を下げる機能のある服や装備
・作業場または休憩場所に設置する移動式のスポットクーラー(熱排気を屋外等へ逃がせる構造で、標準使用期間が5年以上のもの)
「空調服 補助金 2026」と検索される電動ファン付き作業服も、体表面の冷却を行う装備として補助対象に位置づけられています。
②効率的な身体冷却のための機器

・アイススラリーまたは保冷剤を冷やすための専用の冷凍ストッカー(アイススラリーまたは保冷剤を保冷できる機器で、最大400Lまで)
健康状態の把握・管理のための機器

・ウェアラブルデバイス(通信機能により集中的な管理ができ、深部体温を推定できる機能を有するもの)
なお、補助対象となるのは「屋外作業等」で使用する機器です。「屋外作業等」とは、屋外もしくは労働安全衛生規則第606条の温湿度調整を行ってもなお室温31度または湿球黒球温度(WBGT)28度を超える屋内作業場での作業をいいます。工場内の炉の近くなど、空間全体での温湿度調整が難しい高温作業場もこれに含まれます。
令和7年度からの主な変更点
令和8年度のエイジフレンドリー補助金は、制度内容が大きく見直されました。熱中症対策に関わる主な変更点は以下のとおりです。
【熱中症対策が独立コースに】
令和7年度までは「職場環境改善コース(熱中症予防対策プラン)」という位置づけでしたが、令和8年度からは「熱中症対策コース」として独立したコースになりました。職場の暑さ対策に取り組む事業者にとって、より使いやすい制度になっています。
【Jグランツ(電子申請)に対応】
従来の郵送に加えて、電子申請システム「Jグランツ」での申請が可能になりました。
【冷凍ストッカーの仕様が変更】
令和7年度は「マイナス20度程度のもの」と温度が指定されていましたが、令和8年度は「アイススラリーまたは保冷剤を保冷できる機器」と表記が変わり、保冷剤の保冷も明記されました。最大容量は引き続き400Lまでです。
申請時に気をつけたいポイントと注意事項
補助金を活用する際には、いくつかのルールと留意点があります。要件を満たしていても、手続きに不備があると補助対象外になる場合があるため、以下のポイントを事前に確認しておくことが大切です。
交付決定前に発注・購入した場合は補助対象外
もっとも注意が必要なのは、交付決定通知を受け取る前に機器を発注・購入・施工してしまうと、補助金の対象外になるという点です。申請を提出しただけでは補助対象にはならず、交付決定通知の到着後に着手する必要があります。また、取組がすべて完了する前に代金を支払う「前払い」も補助対象外となります。
暑熱環境であることの証明が必要

屋内作業の場合、補助対象となるには室温31度またはWBGT28度を超えていることを客観的に説明できる資料が必要です。例えば「炉があるため空間全体の冷却が困難」などの作業環境の特性を説明する必要があります。
高年齢労働者が実際に使用する設備であること
補助対象となるのは、60歳以上の労働者が使用する機器や装備です。例えば電動ファン付き作業服は、対象労働者の人数分までしか補助されません。
保冷剤・ドリンク類は対象外
誤解しやすい点ですが、アイススラリーやスポーツドリンク、保冷剤そのものは補助対象外です。あくまで「冷却を支える装置(冷凍ストッカーや服)」の導入に限られます。
猛暑手当・酷暑手当は補助金とは別もの
「猛暑手当」「酷暑手当」という言葉を耳にする機会も増えましたが、これらはエイジフレンドリー補助金とは性質が異なります。猛暑手当・酷暑手当は、企業が暑熱環境で働く従業員に対して任意で支給する賃金の一種であり、国から支給される補助金ではありません。
一方、本記事で紹介している熱中症対策コースは、設備・機器の導入費用を国が補助する制度です。手当の支給は法律上の義務ではありませんが、設備導入による職場環境の改善は、こうした補助金を活用することで費用を抑えながら進められます。混同されやすい点ですので、自社が「手当による対応」と「設備導入による対応」のどちらを検討しているのかを整理したうえで、制度を使い分けるとよいでしょう。
熱中症対策コースの申請の流れ
熱中症対策コースは、専門家総合対策コースのような2段階申請ではなく、1段階の申請で完結します。申請から補助金の受け取りまでの流れは、おおまかに以下のステップで進みます。なお、申請から交付決定までは概ね2か月程度を要するため、時間に余裕をもって準備を進めることが大切です。
①導入する機器の検討と見積もりの取得
まずは、自社の職場でどのような熱中症対策が必要かを整理し、導入したい機器(空調服、移動式スポットクーラー、冷凍ストッカー、ウェアラブルデバイスなど)を検討します。対象となる高年齢労働者が実際に使用するものであること、補助対象の要件を満たすことを確認したうえで、販売業者から見積書を取得します。この段階では見積書を取得するだけにとどめ、発注・購入はまだ行いません。
②交付申請書類の提出
エイジフレンドリー補助金事務センターのホームページから申請書類の様式をダウンロードし、必要事項を記入します。申請書類には、どの機器をどこに導入するかといった実施計画や、ステップ1で取得した経費の見積もり等を添付します。屋内作業場で申請する場合は、室温31度または湿球黒球温度(WBGT)28度を超えることを客観的に説明できる資料も必要です。書類が整ったら、郵送またはJグランツ(電子申請)で提出します。
③審査・交付決定
提出された書類をもとに、事務センターが審査を行います。高年齢労働者の雇用状況や対策の計画内容が審査され、効果が期待できると認められたものについて交付決定が行われます。すべての申請者に補助金が交付されるわけではない点に注意が必要です。審査を経て、交付決定通知が事業者に届きます。
④機器の発注・導入
交付決定通知を受け取ってから、はじめて機器の発注・購入・設置を行います。交付決定日より前に発注・購入していた場合は補助対象外となるため、必ず交付決定後に着手してください。また、取組がすべて完了する前に代金を支払う「前払い」も補助対象外です。
⑤支払請求書類の提出
機器の導入がすべて完了し、業者への支払いを済ませたら、支払請求書類を事務センターに提出します。提出の際は、交付申請のとおりに実施したことを証明する書類(領収書や設置状況がわかる写真など)を添付します。
⑥補助金額の確定・受け取り
提出された支払請求書類が確認され、補助金額が確定すると、補助金が事業者に支払われます。これで一連の手続きが完了します。
申請書類の具体的な様式や記入方法、添付書類の詳細については、申請先であるエイジフレンドリー補助金事務センターのホームページでご確認ください。
申請受付期間と提出方法
令和8年度の申請受付期間は、令和8年5月20日(水)から10月31日(土)までです。予算上限に達した場合、受付期間中でも申請が締め切られる可能性があります。導入を検討している場合は、なるべく早めの準備がおすすめです。
申請方法は、郵送またはJグランツ(電子申請)の2通りです。申請書類は「エイジフレンドリー補助金事務センター」の公式サイトから様式をダウンロードしてください。なお、支払請求書の受付期限は令和9年1月31日(当日消印有効)となっています。
よくある質問
熱中症対策コースで空調服は補助対象になりますか?
電動ファン付き作業服(空調服)は、体温を下げる機能のある服や装備として熱中症対策コースの補助対象に位置づけられています。ただし補助対象となるのは60歳以上の高年齢労働者の人数分までです。屋外作業や高温作業場での使用が前提となります。
エアコンの設置は熱中症対策コースの補助対象ですか?
令和8年度のリーフレットで補助対象として明記されているのは、移動式のスポットクーラー(熱排気を屋外等へ逃がせるもの、標準使用期間5年以上)です。固定式エアコンの設置については明示的な記載がないため、導入を検討する際はエイジフレンドリー補助金事務センターにご確認ください。
猛暑手当とエイジフレンドリー補助金は何が違いますか?
猛暑手当・酷暑手当は、企業が従業員に任意で支給する賃金の一種で、国の補助金ではありません。一方、エイジフレンドリー補助金の熱中症対策コースは、空調服やスポットクーラーなどの設備・機器の導入費用を国が補助する制度です。性質が異なるため、混同しないよう注意が必要です。
まとめ
近年の夏は、これまでに経験したことのないような厳しい暑さが続いています。特に屋外や高温の作業場で働く60歳以上の高年齢労働者にとって、熱中症は深刻な労働災害となり得ます。
厚生労働省が実施するエイジフレンドリー補助金「熱中症対策コース」は、こうしたリスクに対処するため、空調服やスポットクーラーなどの熱中症予防機器の導入費用を支援する制度です。令和8年度からは独立コースとなり、Jグランツでの電子申請にも対応するなど、より活用しやすくなりました。
補助率2分の1、交付決定前の購入は対象外など、押さえておくべきルールもあるため、申請前には制度の詳細をよく確認してください。補助制度を上手に活用し、命と健康を守る職場づくりを進めていきましょう。
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