店舗のランニングコストを少しでも下げたいと考えたときに、電気代の削減という考えは皆さん一度はお持ちになったことがあるのではないでしょうか。しかし、電気代を抑えるために店舗の電気をすべてLEDに変更する場合、工事代や電球代が高くて手元にキャッシュが残らないのは不安で二の足を踏んでいる方が多くいらっしゃいます。
照明設備を整えるのに、買取ではなく、リースという方法もあるのはご存知でしょうか。今回はLED照明のリース契約について調べてみました。
この記事の目次
LED導入においてリースを利用するメリット
多額の初期費用が不要なことです。月々のリース料のみで設備を導入できるため、手元の資金を運転資金へ有効活用することが可能です。やはりキャッシュアウトを極力遅くすることで、キャッシュフローを安定させることが可能となってきます。
また、月額料金が一定のため、ランニングコストが把握しやすくなります。その結果、事業計画書なども比較的経費を含んだものを作成することができるようになります。
さらに設備の使用予定期間にあわせてリース期間を設定することができるため、建物における契約期限が決められている店舗に対しての導入としても柔軟に対応することが可能となります。契約期間を長くすると、リースの料率が下がるので、毎月の支払いを抑えることも可能です。
リースを使ったLED照明切り替えのデメリット
導入費用が総額で高くなるという点です。LEDリース契約期間は5年が平均的ですが、リース会社やメーカーによっては10年以上の契約もあり、リース料金には、手数料や保険料、固定資産税などが含まれているため、支払い総額は一括で購入するよりも割高となります。
たとえば一括購入であれば20万円でおさまるところが、リースの場合は総額で20万円を超えることになるのです。
リースした物件の保守・修繕義務はユーザーにありますので、使用中の故障や破損などはユーザーが負担します。LEDの蛍光灯は導入に工事が必要なのですがその後、通常に戻すなどの工事が発生した場合もユーザー負担となる点もデメリットとしてあげられます。ほかに、リースする物件の所有権はリース会社にあるため、リース期間終了後も使用を希望する場合は再リース料が発生します。基本的に中途解約は認められておらず、もし解約できるとしてもユーザー買取になったり違約金が発生したりします。
リースと買取どっちがお得
支払い総額で考えると、リース料金には、リース会社の手数料や保険料、固定資産税などが含まれているため、買取のほうがお得といえます。仮の数値で、どのタイミングでコストが入れ替わるか下記の条件でシミュレーションしてみました。
- 一括購入条件
- LED照明40W(1本4,000円)×50本
- 工事代金:80,000円
- リース契約条件
- 工事費込み:同照明1本150円/月×50本
- 5か年契約(途中解約違約金発生)
キャッシュフローという観点から、二つの初期導入費用を比較
【全額一括購入の場合の初期導入費用】
LED照明代金:4000円×50本=200,000円
工事代金:80,000円
合計:280,000円
【リースの場合の初期導入費用】
リース費用:150円×50本=7,500円
合計:7,500円
となります。リースであれば圧倒的に初期投資を抑えてLED照明に切り替えることができます。新規店舗などの場合、長期プランでの減価償却的な考えで導入したとしても現時点でのキャッシュをコスト削減のために利用するのはリスクが伴います。まずはリースなどで余裕をみて導入を検討してみてはいかがでしょうか。
総額的な費用という観点から5年後の合計導入費用を比較
【全額一括購入の場合の5年間合計費用】
LED照明代金:4000円×50本=200,000円
工事代金:80,000円
合計:280,000円
と変わらずに利用することができます。
【リース購入の場合の5年間合計費用】
リース費用:(150円×50本×60か月=450,000円
合計:450,000円
となりますので合計で比較すると2倍近く費用が掛かっていることがわかります。ちなみにここの想定費用の場合、2年3か月でリースが一括購入時における費用を超える形となります。
買取導入時 | リース利用導入時 | |
初期支払い金額 | 280,000円 | 7,500円 |
リース費用(5年) | 0円 | 450,000円 |
5年目以降の支払い | 0円 | 再リース、もしくは リース物件の変更。 リース料金発生。 |
リースでも申請可能なLED照明導入時に利用できる補助金とは
リース契約でも、省エネ設備導入関連の補助金を申請することができます。たとえば、「電力需要の低減に資する設備投資支援事業費補助金」(省電力補助金)では、使用するエネルギーが電気のみの設備の場合申請できますので、LED照明はこれにあたります。Ⅱ.設備単位の公募要領にリースについての記載があります。
(2) リースを利用する場合
- リースを利用する場合は、設備使用者とリース事業者等は共同申請を行い、リース事業者は1申請につき1社とする。
- リース料から補助金相当分が減額されていることを証明できる書類(補助金の有無で各々、リース料の基本金額、資金コスト(調達金利根拠)、手数料、保険料、税金等を明示する書類)を提示すること。
- 同一事業において、設備使用者による設備購入とリース事業者による設備購入を併用し
ないこと。- リース契約として共同申請する場合であっても、リース契約内容が、残価設定付リース契
約及び割賦契約と判断される場合は対象外とする。- 補助対象設備を処分制限期間、使用することを前提とした契約であること。
なお、処分制限期間を下回る契約期間であっても、再リースの規約がある場合は対象とす
る。参照:https://sii.or.jp/shodenryoku31/uploads/shodenryoku_setsubitani_kouboyoryo_190517.pdf
注目するポイントは、 リースを利用する場合は、設備使用者とリース事業者等の共同申請となる点です。リース会社が補助金申請をサポートしてくれます。採択を保障するものではありませんが、共同申請者として一連の申請業務を手伝ってくれます。
気をつけなくてはならないのは、リースで申請する場合は、設備購入との併用はできない点です。また譲渡権つきリースは補助金対象外となりますのでご注意ください。
そのほかに、省エネ性能に優れた低炭素機器のリースでの導入時には、エコリース促進事業補助金制度が利用できます。これは地球温暖化対策を目的として、一定の基準を満たす、再生可能エネルギー設備や業務用設備などの幅広い分野の低炭素機器をリースで導入した際に、リース料総額の2~5%(岩手県、宮城県、または福島県に係るリース契約は10%)を補助する補助金制度です。LED照明設備も対象になります。補助金申請は環境省から指定を受けた指定リース事業者が行うため、設備使用者は補助金申請の手続きは必要ありません。中小企業、個人事業主等が利用できる補助金です。
まとめ
今回は、LED導入の費用を抑える方法のひとつとして、リース契約について調べてみました。導入時の負担を減らすことを重要視するか、長期的にみて負担が少ないことを目指すかによって、リースを選択するかどうか決まってきそうです。リースは長期的な出費になりますので、しっかりした経営計画のもとでのご検討をおすすめいたします。リース契約で申請が可能な補助金もございますので、できる限りの導入コスト削減を希望される場合は、補助金を活用してみてはいかがでしょうか。