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キャリアアップ助成金は誰がもらえる?対象事業主の要件とコース別の対象労働者を解説【2026年・令和8年度】

公開日:2024/10/17 更新日:2026/7/13
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「キャリアアップ助成金は、結局誰がもらえるのか」。制度名はよく知られている一方で、この基本的な疑問を持つ方は少なくありません。従業員から「正社員になったら助成金が出るんですよね?」と聞かれて、返答に迷った人事担当者の方もいるのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、キャリアアップ助成金の支給対象は、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に取り組んだ「事業主」です。労働者本人に直接支給される給付金ではありません。

ただし、事業主であれば誰でももらえるわけでもなく、事業主側の要件と、取り組みの対象となる労働者側の要件の両方を満たして初めて支給されます。とくに令和7年度以降は「重点支援対象者」の区分が導入され、同じ正社員化でも対象者によって支給額が大きく変わるようになりました。

本記事では、厚生労働省の令和8年度版パンフレット・Q&Aにもとづき、対象となる事業主の要件、コース別の対象労働者の要件、そして見落としがちな「対象外になるケース」の3点に分けて解説します。自社の従業員が対象になるかどうか、申請前のチェックにご活用ください。

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キャリアアップ助成金とは?【2026年・令和8年】全コースの支給額と対象事業者を解説

この記事の目次

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そもそもキャリアアップ助成金は「誰が」もらえる制度?

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する厚生労働省の制度です。

「誰がもらえるのか」を整理すると、次のようになります。

立場助成金を受け取れる?
事業主(企業・法人・個人事業主)受け取れる(要件を満たした場合)
労働者本人受け取れない(直接の支給はなし)

労働者本人への直接支給はありませんが、たとえば正社員化コースでは転換後に賃金を3%以上増額することが支給要件となっているため、取り組みを通じて労働者の処遇が改善される仕組みになっています。

対象となる事業主は、民間企業に限りません。公益法人、NPO法人、医療法人、社会福祉法人なども、要件を満たせば申請できます。それでは、その要件を具体的に見ていきましょう。

対象となる事業主の要件

キャリアアップ助成金を受給できるのは、次の要件をすべて満たす事業主です。

・雇用保険の適用事業所の事業主であること
・事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置していること
・「キャリアアップ計画」を作成し、取り組み実施日の前日までに管轄労働局長へ届け出ていること
・対象労働者の労働条件や賃金の支払い状況等を明らかにする書類(賃金台帳・出勤簿など)を整備していること
・計画期間内に、計画にもとづくキャリアアップの取り組みを実施すること

とくに注意したいのが、キャリアアップ計画の届出のタイミングです。以前は労働局長の「認定」を受ける仕組みでしたが、現在は「届出」制に変わり、手続き自体は簡素化されました。

その一方で、提出が取り組みの実施日以降になった場合は、その時点で支給対象外となります。正社員転換や賃金規定の改定を先に実施してしまい、計画書の提出が間に合わなかった——という不支給は典型的な失敗パターンです。転換等のスケジュールが決まったら、まず計画書の提出日から逆算しましょう。

また、要件を満たしていても、次に該当する事業主は支給対象外です。

【支給対象外となる場合】
・保険年度の労働保険料を滞納している
・過去1年間に労働関係法令の重大な違反がある
・風俗営業等・接客業務受託営業を行っている
・暴力団または暴力団員と関わりがある
・支給申請日または支給決定日の時点で倒産している
・支給申請時または支給決定時に、雇用保険適用事業所の事業主でない

全6コースの助成対象となる取り組み【2026年度】

キャリアアップ助成金は「正社員化支援」と「処遇改善支援」の2つの柱に分かれ、2026年度(令和8年度)は次の6コースが設けられています。

分類コース助成対象となる取り組み
正社員化支援正社員化コース有期雇用労働者等の正社員転換、派遣労働者の直接雇用
(転換後3%以上の賃上げが要件)
正社員化支援障害者正社員化コース障害のある有期雇用労働者等の正社員転換
(令和8年度から高次脳機能障害者が対象に追加)
処遇改善支援賃金規定等改定コース有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定
(3・4・5・6%以上の4区分)
処遇改善支援賃金規定等共通化コース正規雇用労働者と共通の賃金規定・賃金テーブルを新たに作成・適用
処遇改善支援賞与・退職金制度導入コース有期雇用労働者等を対象とする賞与または退職金制度を新設し、支給または積立てを実施
処遇改善支援短時間労働者労働時間延長支援コース短時間労働者を新たに社会保険に加入させ、週所定労働時間の延長等を実施
(令和7年7月新設)

なお、短時間労働者の社会保険加入を支援していた「社会保険適用時処遇改善コース」は、令和7年度末(2026年3月31日)をもって暫定措置が終了しました。「年収の壁」への対応は「短時間労働者労働時間延長支援コース」に引き継がれています。古い情報をもとに同コースでの申請を検討していた場合はご注意ください。

また、令和8年4月8日には、正社員化コースに「情報公表加算」が新設されました。正規雇用への転換制度や転換実績を自社ウェブサイトまたは職場情報総合サイト「しょくばらぼ」に公表した場合、1事業所あたり20万円(大企業は15万円)が加算されます。

▼各コースの支給額の詳細は、こちらの記事で一覧比較できます。
キャリアアップ助成金とは?【2026年・令和8年】全コースの支給額と対象事業者を解説

キャリアアップ助成金とは?【2026年・令和8年】全コースの支給額と対象事業者を解説

コース別 対象となる労働者の要件

事業主要件を満たしていても、取り組みの対象となる労働者が要件を満たしていなければ支給されません。実務でもっとも確認に手間がかかるのがこの部分です。

まず前提として、キャリアアップ助成金の対象となるのは、次のいわゆる非正規雇用労働者です。

区分定義
有期雇用労働者期間の定めのある労働契約を締結している労働者
短時間労働者1週間の所定労働時間が通常の労働者より短い労働者
派遣労働者派遣元と労働契約を結び、派遣先で就業する労働者
無期雇用労働者期間の定めのない労働契約だが、正規雇用労働者(勤務地限定・職務限定・短時間正社員を含む)以外の労働者

注意点として、雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者は、制度上「無期雇用労働者」とみなされます。たとえば勤続6年の契約社員を正社員に転換する場合、有期→正規(中小企業40万円)ではなく無期→正規(同20万円)の区分が適用されます。

長く勤めているパート・契約社員の転換を検討する際は、まず勤続年数を確認してください。

正社員化コースの対象労働者

活用されることの多い正社員化コースの対象労働者は、次のいずれかに該当する労働者が対象です。

・賃金の額または計算方法が正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等の適用を、通算6か月以上受けて雇用されている有期雇用労働者または無期雇用労働者
・同一の派遣先の組織単位で、6か月以上継続して派遣就業している有期または無期雇用の派遣労働者
・有期実習型訓練(人材開発支援助成金の対象訓練)を修了し、正規雇用労働者と異なる雇用区分で6か月以上雇用されている有期雇用労働者等

支給額を左右する「重点支援対象者」とは

令和7年度から、正社員化コースの支給額は対象労働者が「重点支援対象者」に該当するかどうかで区分されており、令和8年度も継続しています。重点支援対象者に該当すれば2期制でより手厚い助成(中小企業で有期→正規の場合最大80万円)を受けられ、該当しない場合は1期分のみ(同40万円)となります。

重点支援対象者とは、次のa~cのいずれかに該当する労働者です。

区分要件
a雇い入れから3年以上継続して就業している有期雇用労働者
b雇い入れから3年未満で、次の両方に該当する有期雇用労働者
・雇い入れの日の前日から起算して、過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下
・雇い入れの日の前日から起算して、過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない
c派遣労働者、母子家庭の母等または父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者

bに該当するかどうかの確認には、対象労働者本人が記載する申立書(様式第3号別添様式1-5)が必要です。過去の職歴にかかわる内容のため、転換を打診する段階で早めに本人へ確認しておくとスムーズです。

処遇改善支援の各コースの対象労働者

処遇改善支援の4コースは、いずれも「取り組みの前から一定期間雇用され、取り組み後も6か月以上継続して雇用されていること」が共通の骨格です。コースごとのポイントは次のとおりです。

コース対象労働者の主な要件
賃金規定等改定コース増額改定日の前日から3か月以上前の日から、改定後6か月以上継続して雇用され、改定後の規定の適用により基本給が3%以上昇給していること。
改定前3か月から支給申請日までの間に、基本給や定額手当が合理的な理由なく減額されていないこと
賃金規定等共通化コース共通化の前日から3か月以上前の日から、共通化後6か月以上継続して雇用され、共通化された賃金規定等で正規雇用労働者と同等以上の区分に格付けされていること
賞与・退職金制度導入コース制度新設日の前日から3か月以上前の日から、新設後6か月以上継続して雇用され、初回の賞与支給または退職金積立て後6か月間、雇用保険被保険者であること
短時間労働者労働時間延長支援コース新たに社会保険(被用者保険)の被保険者となった短時間労働者で、週所定労働時間を5時間以上延長するか、2時間以上5時間未満の延長の場合は延長幅に応じた基本給の増額等を行うこと

これらに加えて、「事業主または取締役の3親等以内の親族でないこと」「支給申請日に離職していないこと」が全コース共通の要件です。

各コースの詳細な要件は、厚生労働省のキャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)で確認できます。

【注意】対象外になる代表的なケース

「対象だと思って取り組んだのに不支給だった」という事態を避けるため、実務でつまずきやすいケースを6つにまとめました。申請前のチェックリストとしてご活用ください。

①新規学卒者(雇い入れから1年未満)

学校卒業後すぐに就職した労働者は、雇い入れから1年未満の間、正社員化コースの対象外です。本来最初から正社員として雇用すべき新卒者を、助成金目的でいったん有期雇用とする運用を防ぐための措置です。

②最初から正社員化を約束して雇い入れた労働者

採用時に「6か月後に正社員にする」と約束して有期契約で雇い入れた場合は対象外です。求人票や雇用契約書の記載内容が審査で確認されます。

③過去3年以内に自社で正社員・役員等だった者

正社員転換日の前日から過去3年以内に、同じ事業主や密接な関係にある事業主(親会社・子会社・関連会社等)のもとで正規雇用労働者、請負・委任契約での就労者、役員だった者は対象外です。

④事業主・取締役の3親等以内の親族

配偶者や子、兄弟姉妹などの親族は、全コースで対象外です。

⑤キャリアアップ計画の届出が取り組み実施後だった場合

労働者側の要件をすべて満たしていても、計画書の提出が転換等の実施日以降であれば支給されません。取り組みの実施日の前日までの届出が必須です。

⑥就業規則の整備・運用に不備がある場合

正社員転換制度が就業規則等に規定され、その規定にもとづいて転換が行われたことが必要です。従業員10人未満で就業規則の作成義務がない事業所でも、助成金の申請には客観的に確認できる就業規則等の整備が求められます。就業規則の規定と賃金台帳・出勤簿の不整合は、不支給のもっとも多い原因のひとつです。

よくある質問

労働者本人も助成金を受け取れる?

受け取れません。キャリアアップ助成金は、取り組みを実施した事業主に支給される制度です。ただし正社員化コースでは転換後の賃金3%以上増額が支給要件となっているため、対象労働者の処遇改善は制度上担保されています。

パート・アルバイトも対象になる?

対象になります。有期契約のパート・アルバイトを正社員に転換する「正社員化コース」のほか、基本給を3%以上引き上げる「賃金規定等改定コース」、社会保険に新たに加入させる「短時間労働者労働時間延長支援コース」など、複数のコースで活用できます。

個人事業主でも申請できる?

雇用保険の適用事業所であれば、法人・個人事業主を問わず申請できます。逆に、雇用保険に加入している従業員がいない場合は対象外です。

1年度に何人まで申請できる?

正社員化コースは1年度1事業所あたり20名まで(重点支援対象者の2期目申請を除く)、賃金規定等改定コースは1年度1事業所あたり100名までです。


まとめ

キャリアアップ助成金の支給対象は事業主であり、受給には「事業主の要件」と「対象労働者の要件」の両方を満たす必要があります。令和8年度は、重点支援対象者への該当有無で正社員化コースの支給額が大きく変わるため、取り組み前の対象者確認が受給額を左右します。また、キャリアアップ計画書の「実施日前日までの届出」は、忘れると全額不支給に直結する最重要ポイントです。

自社の従業員が対象になるか判断に迷う場合や、就業規則の整備に不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。

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