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キャリアアップ助成金とは?わかりやすく解説【全コース支給額比較表付き】

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キャリアアップ助成金とは、有期契約労働者や短時間労働者、派遣労働者などの正社員ではない労働者の労働意欲や能力を向上させ、優秀な人材確保を目的とした厚生労働省の助成金です。

長引くコロナからの経営回復に向けて、雇用維持や人材確保などの必要性も高まっていく事が予想されますので、そのような時に活用できる助成金の1つがキャリアアップ助成金といえるでしょう。

コースが複数に分かれておりそれぞれの内容や助成額、事前に必要な手続き等などを今回まとめてご紹介してまいります。

▼キャリアアップ助成金の令和4年度変更点について、こちらの記事もご参照ください。

キャリアアップ助成金の令和4年度変更点まとめ

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この記事の目次

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは、一言でいうと「非正規雇用労働者」の正社員化、人材育成、処遇改善などの取組に対して助成される制度です。

最近は人手不足ということで、求人市場などでは求職者は売り手市場ともいわれていますが、実際採用する企業側としては、転職が徐々に当たり前になりつつある日本において、採用リスクを最低限にしながら優秀な人材を育成、確保していくためにこういった助成金制度を利用していきたいところです。

また雇用されている非正規労働者である、有期契約労働者(契約社員)、短時間労働者(パートタイマ―)、派遣労働者(派遣社員)などにとっても、働きなれている企業でのキャリアアップを目指すために、企業に活用してもらいたい助成金でもあります。

キャリアアップ助成金の7つのコース

通年で利用できるキャリアアップ助成金は毎年4月に内容が変更されコースが追加されていたり、適用範囲が拡充されたりなどしていますが、現在は7つのコースに分かれています。

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  • 短時間労働者労働時間延長コース

コースごとにおける助成金の目的は以下のようになっています。

コース名 目的
正社員化コース 非正規雇用労働者の正規雇用への転換または直接雇用
障害者正社員化コース 障害のある非正規雇用労働者を正規雇用労働者等へ転換
賃金規定等改定コース 非正規雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し2%以上増額
賃金規定等共通化コース 非正規雇用労働者等と正規雇用労働者等との共通の賃金規定等を新たに規定・適用
賞与・退職金制度導入コース 非正規雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を導入し支給または積立てを実施
選択的適用拡大導入時処遇改善コース 非正規雇用労働者の社会保険の適用拡大や基本給の増額
短時間労働者労働時間延長コース 非正規雇用労働者における労働時間の延長と社会保険適用

キャリアアップ助成金の受給要件

キャリアアップ助成金の受給要件については、まず以下の中小企業事業主であることとなっています。

資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 または 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

資本金もしくは常時雇用している従業員の数により判定しています。またこの常時雇用されている従業員、労働者の数は2か月以上雇用されている人数になります。

その他に支給要件として全コース共通の要件がこちらです。

  • 雇用保険適用事業所の事業主
  • 雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている事業主
  • 雇用保険適用事業所ごとに対象労働者に対してキャリアアップ計画を作成し管轄労働局庁の受給資格の認定をうけた事業主であること
  • 対象労働者に対する労働条件、賃金の支払い状況等を明らかする書類を整備していること
  • キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

雇用保険適用の事業所であるということが一番のポイントですが、同時にキャリアアップ管理者の設置とそれに対しての計画および計画の実行の有無が大切になってきます。

キャリアアップ助成金の支給額および上限

キャリアアップ助成金のそれぞれのコースにおける支給額(障害者正社員化コース以外)は以下のようになっていますのでご確認ください。

>>>
キャリアアップ助成金コース名取り組み単位中小企業中小企業以外上限
通常生産性要件通常生産性要件
正社員化コース有期→正規1人当たり57万円72万円42万7,500円54万円1年度1事業所あたりの支給 申請上限人数は20人
有期→無期28万5,000円36万円21万3,750円27万円
無期→正規28万5,000円36万円21万3,750円27万円
賃金規定等改定コース(※1)1人~3人1事業所あたり9万5,000円12万円7万1,250円9万円1年度1事業所あたり100人、申請回数は1年度1回のみ
4人~6人19万円24万円14万2,500円18万円
7人~10人28万5,000円36万円19万円24万円
11人~100人1人あたり28,500円36,000円19,000円24,000円
賃金規定等改定コース(※2)1人~3人1事業所あたり47,500円60,000円33,250円42,000円
4人~6人95,000円12万円71,250円90,000円
7人~10人14万2,500円18万円95,000円12万円
11人~100人1人あたり14,250円18,000円9,500円12,000円
賃金規定等共通化コース賃金既定の共通化1事業所あたり57万円72万円42万7,500円54万円1事業所当たり1回のみ
1人あたり20,000円24,000円15,000円18,000円上限20人まで
諸手当制度等共通化コース共通の諸手当制度の設置、または 「法定外の健康診断制度」の設置1事業所あたり38万円48万円28万5,000円36万円1事業所当たり1回のみ
1人あたり15,000円18,000円12,000円14,000円上限20人まで
1諸手当あたり16万円19万2,000円12万円14万4,000円上限4手当まで
労使合意に基づいた社会保険の適用拡大1事業所あたり19万円24万円14万2,500円18万円1事業所当たり1回のみ
2%以上3%未満1人あたり19,000円24,000円14,000円18,000円支給申請上限人数45人まで
3%以上5%未満 29,000円36,000円22,000円22,000円
5%以上7%未満47,000円60,000円36,000円45,000円
7%以上10%未満 66,000円83,000円50,000円63,000円
10%以上14%未満94,000円11万9,000円71,000円89,000円
14%以上 13万2,000円16万6,000円99,000円12万5,000円
対象者の生産性向上を図る取組1事業所あたり10万円-75,000円-1事業所当たり1回のみ
短時間労働者労働時間延長コース5時間以上延長+社会保険1人あたり22万5,000円28万4,000円16万9,000円21万3,000円1年度1事業所あたりの支給 申請上限人数は45人
1時間以上2時間未満+保険45,000円57,000円34,000円43,000円
2時間以上3時間未満+保険90,000円11万4,000円68,000円86,000円
3時間以上4時間未満+保険13万5,000円 17万円10万1,000円12万8,000円
4時間以上5時間未満+保険18万円22万7,000円13万5,000円17万円

※1.すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた場合
※2.一部の賃金規定等を2%以上増額改定した場合

選択的適用拡大導入時処遇改善コースにおいては、令和4年の9月30日までの時限措置となっている状況です。また短時間労働者労働時間延長コースにおいても令和4年の9月30日まで上限人数が緩和されている状況です。

【(参考)各コース内容】

  1. 正社員化コース
  2. 賃金規定等改定コース
  3. 賃金規定等共通化コース
  4. 選択的適用拡大導入時処遇改善コース
  5. 短時間労働者労働時間延長コース

キャリアアップ助成金の支給までの流れ


  • キャリアアップ計画の作成
  • 労働局・ハローワークへの提出・許可をもらう
  • 就業規則等の変更および周知
  • 転換後半年間の賃金の支払い
  • 支給申請

キャリアアップ助成金の支給までの大まかな流れとして、まずキャリアアップ計画の作成を行い、担当労働局もしくはハローワークへに計画を提出します。

その後、正社員化コースかそれ以外でフローが多少異なりますが、正社員化コースの場合は就業規則等の改定を転換規定がない場合に行います。その後、就業規則等に基づき正規雇用へと転換し、半年の賃金を支払います。(※正社員化後に3%以上の賃金増額がある必要があります。)

半年後に支給申請を労働局に行い審査され支給が行われます。

処遇等の改善関連の他コースは、規定の取組を行い半年間の賃金の支払いが行われた後に支給申請を行います。

キャリアアップ助成金における注意点

それぞれのコースにおいて、さまざまな要件がありますが、以下の点に注意しなければ不支給となるので注意しておきましょう。


  • 実地調査等への協力:支給決定後に帳簿等の確認を求める場合があります。
  • 提出書類の差し替えや訂正はできません
  • 申請書類に疑義がある場合に該当地区労働局長が指定した期日までに書類の追加提出・補正
  • 不正受給があった事業者は5年以内は助成金は受給できません
  • 不正が発覚した場合には助成金を返還、なお受給日の翌日から返還終了までの期間の延滞金および返還額の20%が違約金として課せられます
  • 審査に時間がかかる場合があります
  • 支給決定後5年間保存している必要があります。
  • 2つのコースの要件を満たしていたとしても1つしか支給されないことがあります

といった注意事項がございますので注意してください。特に不正受給に関しての罰則は厳しく、延滞料金や違約金だけでなく、申請代理人にもその返還の連帯責務が科せられます。

キャリアアップ助成金の支給に必要な計画とは?

申請に必要なキャリアアップ計画を作成するにあたり重要になってくるのが、「有期契約者等のキャリアアップに関するガイドライン」に沿って計画を作成するという点です

キャリアアップ計画を作成するにあたって重要な点として


  • 雇用保険適用事業所ごとに作成
  • 3年以上5年以内の計画期間の設定
  • キャリアアップ管理者の設置
  • 計画対象者、目標、期間、目標達成のための取組
  • すべての労働者の代表者の意見

以上の5つがあります。

【キャリアアップ計画の記入例】

出典:キャリアアップ助成金のご案内

キャリアアップ計画の作成のために、6つの項目を検討しておきましょう。

  1. 1.計画期間
  2. 2.計画期間中に講じる措置の項目(申請する対象コース)
  3. 3.対象者(申請コースごとに記載)
  4. 4.目標(申請コースごとに記載)
  5. 5.目標を達成するための具体的な取組(申請コースごとに記載)
  6. 6.計画全体の流れ(申請コースごとに記載)

以上がキャリアアップ助成金の大まかな計画の作成方法になります。

キャリアアップ助成金と人材開発支援助成金の違いについて

キャリアアップ助成金という名前のため、対象者のキャリアアップを助成するためのものとして人材開発支援助成金とも混同されることがありますが、大きく違う点は、以下のように対象者の雇用形態が異なる点です。

・キャリアアップ助成金 → 非正規雇用労働者
・人材開発支援助成金 → 正規雇用労働者

両方の助成金を利用して会社全体で労働者のキャリアアップを図る事業計画をすすめれば、効率的に生産性を高めることができ、事業の活性化につながるのではないでしょうか。

助成金は、きちんと要件を満たしていれば、経済産業省系の補助金のように審査にかけられて落とされる、というようなことはないのが特徴です。労働者が安心して働くことのできる環境整備のためにも、雇用に関する助成金を活用してみてはいかがでしょうか。

ご不明な点など、補助金ポータルまでお気軽にお問い合わせください。

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