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キャリアアップ助成金とは?【2026年・令和8年】全コースの支給額と対象事業者を解説

公開日:2019/11/14 更新日:2026/4/16
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キャリアアップ助成金とは、厚生労働省が提供する助成金制度です。有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者を対象に、彼らの労働意欲や能力の向上を支援し、企業における優秀な人材の確保を促進することを目的としています。

本記事では、複数に分かれているコースの内容や助成額、事前に必要な手続きなどをご紹介します。2026年度(令和8年度)の変更点についても解説するので、助成金を活用して社員のキャリアアップを図りたい企業の方は、ぜひ最後までお読みください。

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キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは、パートやアルバイトといった有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者と呼ばれる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成する制度です。

本制度には複数のコースが用意されており大きく"正社員化を支援するもの"と"処遇改善を支援するもの"とわかれます。


※「社会保険適用時処遇改善コース」は2026年3月31日をもって暫定措置が終了しました。年収の壁への対応としての機能は、「短時間労働者労働時間延長支援コース」(令和7年7月新設)に引き継がれています。

キャリアアップ助成金の中心となる「正社員化コース」

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の待遇改善やキャリア形成を目的とした制度で、複数のコースが設けられています。なかでも広く利用されているのが「正社員化コース」です。アルバイトやパートタイム、有期雇用の従業員を正社員へ転換する取り組みを支援し、人材の確保や定着率の向上につなげることができます。

少子高齢化により生産年齢人口が減少する中、従業員の意欲や能力を高め、生産性を向上させることは企業にとって大きな課題です。正社員化コースは、その解決策の一つとして注目されています。

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キャリアアップ助成金 2026年度(令和8年度)の変更点

2026年度(令和8年度)のキャリアアップ助成金では、以下の変更が行われています。

変更点・コース詳細
社会保険適用時処遇改善コースの終了2026年3月31日で暫定措置が終了。経過措置により、終了日前に実施された取組に係る支給申請は引き続き可能
短時間労働者労働時間延長支援コースのリニューアル旧社会保険適用時処遇改善コースの「労働時間延長メニュー」の要件・助成額を見直し、2年目の取組に対する追加助成も新設。小規模企業事業主区分(常時30人以下)を導入し、最大50万円に拡充
障害者正社員化コースの対象拡大新たに「高次脳機能障害者」が対象に追加

また、前年度から引き続き実施されている主な変更点は以下のとおりです。

変更点・コース詳細
正社員化コースの区分と助成額の変更「有期→正規」「無期→正規」の区分が廃止、「重点支援対象者」区分の導入
賃金規定等改定コースの拡充支給区分が従来の2区分→4区分に細分化、助成額が拡充
正社員化コースの対象範囲が変更新規学卒者で雇入れから1年を経過していない者は支給対象外に
各コース共通キャリアアップ計画書の事前認定が必要なく、「届け出のみ」に簡素化

過去に申請したことがある事業者の方は、上記の変更点を踏まえて手続きを進めましょう。

キャリアアップ助成金の対象となる中小企業事業主の範囲

キャリアアップ助成金は、コースによって対象となる事業者の要件が異なります。キャリアアップ助成金の受給要件については、まず以下の中小企業事業主であることとなっています。

資本金の額・出資の総額常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む)5,000万円以下または50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種3億円以下300人以下

資本金もしくは常時雇用している従業員の数により判定しています。またこの常時雇用されている従業員、労働者の数は2か月以上雇用されている人数になります。

なお、短時間労働者労働時間延長支援コースでは、常時雇用する労働者の数が30人以下の「小規模企業事業主」の区分が設けられており、より手厚い助成を受けることができます。

キャリアアップ助成金の支給対象となる事業主の要件

キャリアアップ助成金の申請対象となる事業主の要件は、以下のとおりです。

  • 雇用保険適用事業所の事業主
  • 雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている事業主
  • 雇用保険適用事業所ごとに対象労働者に対してキャリアアップ計画を作成し管轄労働局長に提出した事業主であること
  • 対象労働者に対する労働条件、賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備していること
  • キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

雇用保険適用の事業所であるということが一番のポイントですが、同時にキャリアアップ管理者の設置とそれに対しての計画および計画の実行の有無が大切になってきます。

キャリアアップ助成金の対象となる労働者

キャリアアップ助成金は正規雇用ではない労働者が対象です。一方で、正規雇用を条件とした雇用で雇い入れられた労働者や、過去3年間に正規・無期雇用されていた労働者、事業主や役員の親族(3親等以内)等は対象外となります。

キャリアアップ助成金のコースごとの違い

通年で利用できるキャリアアップ助成金は毎年4月に内容が変更され、コース追加や適用範囲の拡充などが行われることが多くあります。2026年度(令和8年度)は以下の6つのコースに分かれています。

区分コース
正社員化支援正社員化コース
障害者正社員化コース
処遇改善支援賃金規定等改定コース
賃金規定等共通化コース
賞与・退職金制度導入コース
短時間労働者労働時間延長支援コース

それぞれの主なコース内容と、対象者をわかりやすくまとめました。

正社員化コース

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、有期雇用や無期雇用の労働者、派遣社員などの非正規雇用者を正社員に転換するか、直接雇用する事業主を支援するための制度です。

支給条件として、正社員に転換した後に賃金を3%以上引き上げることが求められます。なお、新規学卒者については、雇い入れられた日から起算して1年未満のものについては、支給対象者から除外されます。

詳しい助成額は、以下の表のとおりです。

企業規模対象者支給額
中小企業重点支援対象者有期雇用→正規雇用:80万円(40万円×2期)
無期雇用→正規雇用:40万円(20万円×2期)
上記以外有期雇用→正規雇用:40万円(40万円×1期)
無期雇用→正規雇用:20万円(20万円×1期)
大企業重点支援対象者有期雇用→正規雇用:60万円(30万円×2期)
無期雇用→正規雇用:30万円(15万円×2期)
上記以外有期雇用→正規雇用:30万円(30万円×1期)
無期雇用→正規雇用:15万円(15万円×1期)

重点支援対象者とは、以下のいずれかに該当する有期雇用労働者が該当します。

①雇用期間が3年以上の有期雇用労働者
②雇用期間が3年未満 かつ、以下の両条件を満たす者(不安定雇用者)
 ・過去5年間の正規雇用期間が1年以下
 ・過去1年間、正規雇用の経験がない
③以下のいずれかに該当する者
 ・派遣労働者
 ・母子家庭の母等または父子家庭の父
 ・人材開発支援助成金に係る特定の訓練を修了した者

※雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者については無期雇用労働者として扱われます。

なお、正社員転換制度等を新たに規定した事業者は、以下の加算を受けられます。

■正社員転換等制度を新たに規定し、当該区分に転換等した場合に加算
→1事業所当たり20万円(大企業15万円)
■多様な正社員制度を新たに規定し、当該区分に転換等した場合に加算
→1事業所当たり40万円(大企業30万円)

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障害者正社員化コース

キャリアアップ助成金の障害者正社員化コースは、障害を持つ有期雇用の労働者を正規雇用(勤務地限定正社員、職務限定正社員、短時間正社員を含む)に転換した事業主を支援するコースです。

具体的には、障害者の長期的な職場定着を目指し、有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員形態を含む)や無期雇用労働者へ転換する、または無期雇用労働者を正規雇用労働者へ転換する場合に助成金が支給されます。

2026年度(令和8年度)からは、新たに「高次脳機能障害者」が対象に追加されました。

詳しい助成額は、以下の表のとおりです。

企業規模対象者支給額
中小企業重度身体障害者
重度知的障害者
精神障害者
有期雇用→正規雇用:120万円(60万円×2期)
有期雇用→無期雇用:60万円(30万円×2期)
無期雇用→正規雇用:60万円(30万円×2期)
重度以外の身体障害者
重度以外の知的障害者
発達障害者
難病患者
高次脳機能障害と診断された者【新規】
有期雇用→正規雇用:90万円(45万円×2期)
有期雇用→無期雇用:45万円(22.5万円×2期)
無期雇用→正規雇用:45万円(22.5万円×2期)
大企業重度身体障害者
重度知的障害者
精神障害者
有期雇用→正規雇用:90万円(45万円×2期)
有期雇用→無期雇用:45万円(22.5万円×2期)
無期雇用→正規雇用:45万円(22.5万円×2期)
重度以外の身体障害者
重度以外の知的障害者
発達障害者
難病患者
高次脳機能障害と診断された者【新規】
有期雇用→正規雇用:67.5万円(33.5万円×2期)
有期雇用→無期雇用:33万円(16.5万円×2期)
無期雇用→正規雇用:33万円(16.5万円×2期)

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賃金規定等改定コース

キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースは、非正規社員の賃金規定を見直し、その結果3%以上の昇給を実施した事業主が対象となる制度です。この助成金は、1年度1事業所当たり上限100人まで支給されます。

助成の対象となる労働者は、賃金規定の増額改定日の前日から遡って3か月以上働いており、かつ増額改定後も6か月以上継続して雇用されている有期雇用労働者です。詳しい助成額は、以下の表のとおりです。

昇給率中小企業大企業
3%以上4%未満4万円2.6万円
4%以上5%未満5万円3.3万円
5%以上6%未満6.5万円4.3万円
6%以上7万円4.6万円

また、以下の要件を満たすと、1事業所当たり1回のみ加算を受けられます。

■職務評価の手法の活用により賃金規定等を増額改定した場合
→20万円(大企業15万円)

■有期雇用労働者等に適用される昇給制度を新たに規定した場合
→20万円(大企業15万円)

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賃金規定等共通化コース

キャリアアップ助成金の賃金規定等共通化コースは、正社員と同様の職務に基づく賃金テーブルを導入し、全ての非正規社員に新しい賃金規定を適用する事業主を対象に支給されます。

対象となるのは、賃金規定や賃金テーブルの共通化が行われた日の前日から3か月以上前から雇用され、共通化後も6か月以上継続して雇用されている有期雇用労働者です。詳しい助成額は、以下の表のとおりです。

企業規模支給額
中小企業60万円
大企業45万円

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賞与・退職金制度導入コース

キャリアアップ助成金の賞与・退職金制度導入コースは、非正規社員に賞与や退職金を新たに導入する事業主を支援するためのものです。この支援は、一事業所につき一度のみ提供されます。

対象となる労働者は、賞与や退職金制度が新設される前の日から起算して3か月以上働いており、制度導入後も6か月以上継続して雇用されている有期雇用労働者です。詳しい助成額は、以下の表のとおりです。

制度賞与又は退職金制度いずれかを導入賞与及び退職金制度を同時に導入
中小企業40万円56.8万円
大企業30万円42.6万円

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短時間労働者労働時間延長支援コース

短時間労働者労働時間延長支援コースは、令和7年7月に新設されたコースです。いわゆる「年収の壁」に対応した制度で、2026年3月末で終了した「社会保険適用時処遇改善コース」の労働時間延長メニューの機能を引き継ぎつつ、要件や助成額が見直されています。

短時間で働く方の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険に加入させるとともに、収入増加の取り組みを行った事業主に対して助成金を交付します。

本コースでは「1年目の取組」と「2年目の取組」の2段階の支援が設けられています。

■1年目の取組(第1期)
週所定労働時間を延長し、新たに社会保険の被保険者とする取り組みです。詳しい助成額は以下のとおりです。

要件助成額(1人あたり)
週所定労働時間の延長賃金の増額小規模企業中小企業大企業
5時間以上50万円40万円30万円
4時間以上5時間未満5%以上
3時間以上4時間未満10%以上
2時間以上3時間未満15%以上

■2年目の取組(第2期)
1年目の取組後、さらなる所定労働時間の延長や賃金の増加等を図る取り組みです。以下のいずれかの措置を講じた場合に追加で助成金を受け取れます。

  • 週所定労働時間を2時間以上延長
  • 基本給を5%以上増額
  • 昇給、賞与又は退職金制度のいずれかを新たに適用

小規模企業中小企業大企業
25万円20万円15万円

2年目の取組まで実施した場合、小規模企業では1人あたり最大75万円(50万円+25万円)の受給が可能です。

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キャリアアップ助成金【2026年度】の支給額 一覧

キャリアアップ助成金のそれぞれのコースにおける支給額と加算額は以下のようになっています。

コース名支給額(1人あたり)
正社員化コース【重点支援対象者】①有期→正規:80万円(大企業:60万円)
②無期→正規:40万円(大企業:30万円)
【重点支援対象者以外】①有期→正規:40万円(大企業:30万円)
②無期→正規:20万円(大企業:15万円)
【加算措置】・正社員転換等制度を新たに規定し、当該区分に転換等した場合に加算:1事業所当たり20万円(15万円)
・多様な正社員制度を新たに規定し、当該区分に転換等した場合に加算:1事業所当たり40万円(30万円)
障害者正社員化コース①有期→正規:90万円(67.5万円)
②有期→無期:45万円(33万円)
③無期→正規:45万円(33万円)
※重度障害者の場合は、①120万円(90万円)、②・③60万円(45万円)
※高次脳機能障害者が新たに対象に追加
賃金規定等改定コース①賃金を3%以上4%未満増額改定:4万円(2.6万円)
②4%以上5%未満増額:5万円(3.3万円)
③5%以上6%未満増額:6.5万円(4.3万円)
④6%以上増額:7万円(4.6万円)
【加算措置】・「職務評価」の活用により実施:1事業所当たり20万円(15万円)
・有期雇用労働者の昇給制度を新たに設けた場合:1事業所当たり20万円(15万円)
賃金規定等共通化コース1事業所当たり:60万円(45万円)
賞与・退職金制度導入コース1事業所当たり:40万円(30万円)
【加算措置】同時に導入した場合
1事業所当たり:16.8万円(12.6万円)
短時間労働者労働時間延長支援コース【1年目の取組】①小規模企業:50万円 ②中小企業:40万円 ③大企業:30万円
【2年目の取組】①小規模企業:25万円 ②中小企業:20万円 ③大企業:15万円

※( )内は大企業の金額です。

キャリアアップ助成金の支給までの流れ


出典:キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)


  • キャリアアップ計画の作成
  • 労働局・ハローワークへの提出
  • 就業規則等の変更および周知
  • 転換後6か月間の賃金の支払い
  • 支給申請

キャリアアップ助成金の支給までの大まかな流れとして、まずキャリアアップ計画の作成を行い、担当労働局もしくはハローワークへに計画を提出します。

なお、令和7年度からキャリアアップ計画書は事前認定が不要となり、「届け出のみ」に簡素化されています。

その後、正社員化コースかそれ以外でフローが多少異なりますが、正社員化コースでは、まず就業規則等の改定を転換規定がない場合に行います。その後、就業規則等に基づき正規雇用へと転換し、半年の賃金を支払います。半年後に支給申請を労働局に行い審査され支給が行われます。

処遇改善支援に関するコースの場合は、規定の取組を行い、半年間の賃金の支払いを行った後に支給申請を行います。

なお、キャリアアップ計画書の提出および支給申請は、紙の届出に加え、「雇用関係助成金ポータル」を通じた電子申請にも対応しています。

キャリアアップ助成金を活用して正社員化する場合の例


出典:キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)


【活用例】
①非正規雇用労働者として雇用する
②雇用開始から6か月以上経過後、就業規則(または労働協約その他これに準ずるものに規定した制度)に基づき、正社員化する(新規学卒者を除く)
③正社員へ登用後、6か月以上の期間継続して雇用し、正社員化後6か月分の賃金を支給する。(正社員化後の6か月の賃金を、正社員化前6か月間の賃金より3%以上増額させる)
④1期目の申請期間
⑤正社員としてさらに6か月雇用
⑥2期目の申請期間

キャリアアップ助成金の申請方法

支給申請のタイミングですが、申請はいつでも行えるわけではありません。取組後6か月の賃金を支払った日の翌日から起算して2か月以内に行う必要があります。

申請期間内に、支給申請書および添付書類を事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に提出して行います。窓口への持参、郵送、電子申請の3つの方法があります。支給申請書の記入方法についてご不明な点は、都道府県労働局にお問い合わせください。

【都道府県労働局一覧】

出典:キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)

キャリアアップ助成金の支給に必要な計画とは?

申請に必要なキャリアアップ計画を作成するにあたり重要になってくるのが、「有期契約者等のキャリアアップに関するガイドライン」に沿って計画を作成するという点です

キャリアアップ計画を作成するにあたって重要な点として、以下の5つがあります。

雇用保険適用事業所ごとに作成
3年以上5年以内の計画期間の設定
キャリアアップ管理者の設置
計画対象者、目標、期間、目標達成のための取組
すべての労働者の代表者の意見

【キャリアアップ計画の記入例】

出典:キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)

キャリアアップ計画の作成のために、6つの項目を検討しておきましょう。

①計画期間
②計画期間中に講じる措置の項目(申請する対象コース)
③対象者(申請コースごとに記載)
④目標(申請コースごとに記載)
⑤目標を達成するための具体的な取組(申請コースごとに記載)
⑥計画全体の流れ(申請コースごとに記載)

以上がキャリアアップ計画の大まかな作成方法になります。

キャリアアップ計画書は、取り組みを開始する前営業日までに必ず管轄の労働局またはハローワークに提出する必要があります。休日や祝日が直前にある場合は、余裕を持って準備を進めておきましょう。

また、計画に沿った取り組みを進める中で内容を変更した場合には、速やかに「キャリアアップ計画変更届」を提出しなければなりません。変更届を提出せずに内容を変えてしまうと、支給の対象外となる可能性があるため注意が必要です。

キャリアアップ助成金申請時の注意点

キャリアアップ助成金の申請にはいくつかの重要なポイントがあるため、まとめて確認しましょう。まず、正社員化や賃金アップなどの措置を行う前には、事前にキャリアアップ計画の策定が必要です。また、これらの措置を対象とする労働者を明確にするために、就業規則にルールをしっかりと記載することが求められます。

助成金の申請は、施策実施後6か月分の賃金が支払われた翌日から2か月以内に行う必要があり、この期間以外は申請ができません。また、一度提出した申請に対する訂正は認められていないため、賃金アップの割合など、提出内容に誤りがないよう十分注意が必要です。

さらに、実際に助成金が支給されるまでの時間は状況にもよりますが、おおむね1年程度を見込む必要があります。これらの点を事前に理解し、適切に準備を進めるようにしましょう。

キャリアアップ助成金が支給されないケースとは?

助成金の申請にあたり、以下のような「不正受給防止のための留意事項」がありますので確認しておきましょう。


  • 支給決定後に帳簿等の確認を求める場合があります。調査に協力しない場合、不支給決定となります。
  • 不正受給を防止する観点から、事業主の都合などによる提出書類の差し替えや訂正はできません。
  • 申請書に不備がある場合、追加書類や補正が求められます。指定期日までに提出がなければ不支給となります。
  • 不正受給があった事業者は5年以内は助成金は受給できません。
  • 不正が発覚した場合には助成金の返還が求められます。また、受給日の翌日から返還終了までの期間に年3%の延滞金が付されることに加え、返還額の20%が違約金として課せられます
  • 支給決定後5年間保存している必要があります。

助成金は、不正行為、協力不足、または書類の不備がある場合には支給されません。特に不正受給に関しての罰則は厳しく、延滞料金や違約金だけでなく、申請代理人にもその返還の連帯責務が科せられます。

キャリアアップ助成金と人材開発支援助成金の違いについて

キャリアアップ助成金という名前のため、対象者のキャリアアップを助成する人材開発支援助成金と混同されることがありますが、この2つは異なる制度です。

キャリアアップ助成金は、主に正規雇用労働者以外の者を対象としており、有期契約労働者や無期雇用労働者(正規雇用以外の者)が対象です。一方で人材開発支援助成金は、雇用保険の被保険者(長期労働者で週の労働時間が20時間以上の者)を対象にしており、有期契約労働者や正規雇用労働者などの区別なく適用されます。

両方の助成金を利用して会社全体で労働者のキャリアアップを図る事業計画をすすめれば、効率的に生産性を高めることができ、事業の活性化につながるのではないでしょうか。

助成金は、きちんと要件を満たしていれば、経済産業省系の補助金のように審査にかけられて落とされる、というようなことはないのが特徴です。労働者が安心して働くことのできる環境整備のためにも、雇用に関する助成金を活用してみてはいかがでしょうか。

キャリアアップ助成金に関するよくある質問

最後に、キャリアアップ助成金に関するよくある質問を紹介します。

キャリアアップ助成金は誰がもらえる?

キャリアアップ助成金を受け取れるのは従業員本人ではなく、非正規雇用労働者(有期・短時間・派遣など)の正社員化や処遇改善に取り組んだ事業主です。対象となるのは、たとえば有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者などのキャリアアップにつながる取組を行った企業です。

個人事業主も使える?

キャリアアップ助成金の受給要件は、雇用保険適用事業所であること、キャリアアップ管理者の設置、キャリアアップ計画の作成などで、これらを満たせば個人事業主も活用が可能です。個人事業主の場合も、申請は書類審査により行われ、実地調査が行われることもあります。

書類が不備だとどうなる?

支給申請書の申請書類に不備がある場合、不受理または不支給となります。公式サイトのパンフレット等に記入例が提示されているので、よく確認して作成しましょう。

申請するタイミングは?

コースによって異なりますが、多くのコースでは要件を満たした日の翌日から起算して2か月以内に申請書類を提出します。また、事前にキャリアアップ計画書を策定し、提出が必要です。

社会保険適用時処遇改善コースは令和8年度も利用できる?

社会保険適用時処遇改善コースは2026年3月31日をもって暫定措置が終了しました。ただし、終了日前に取組を実施した場合は、経過措置により引き続き支給申請が可能です。年収の壁への対応としては、「短時間労働者労働時間延長支援コース」が新設されていますので、そちらの活用をご検討ください。

短時間労働者労働時間延長支援コースの「小規模企業事業主」とは?

常時雇用する労働者の数が30人以下の事業主を指します。小規模企業事業主は、中小企業事業主よりも手厚い助成額が設定されており、1年目の取組で最大50万円、2年目の取組で最大25万円、合計最大75万円の助成を受けることができます。

重点支援対象者とは?

正社員化コースにおける重点支援対象者とは、①雇用期間が3年以上の有期雇用労働者、②雇用期間3年未満で過去5年間の正規雇用期間が1年以下かつ過去1年間正規雇用の経験がない者(不安定雇用者)、③派遣労働者・母子家庭の母等・人材開発支援助成金の特定訓練修了者のいずれかに該当する労働者です。重点支援対象者は2期制で助成額が手厚くなります。

キャリアアップ計画書は事前認定が必要?

令和7年度から、キャリアアップ計画書の事前認定は不要となり、「届け出のみ」に簡素化されました。ただし、取り組みを開始する前営業日までに管轄の労働局またはハローワークに提出する必要がある点は変わりません。

電子申請はできる?

はい、キャリアアップ計画書の提出および支給申請ともに、「雇用関係助成金ポータル」を通じた電子申請に対応しています。電子申請を利用する場合は、事前にGビズIDの取得が必要です。

障害者正社員化コースの令和8年度の変更点は?

令和8年度から、障害者正社員化コースの対象者に「高次脳機能障害者」が新たに追加されました。高次脳機能障害者は、重度以外の身体障害者等と同じ支給額区分が適用されます。

正社員化後の試用期間はどう扱われる?

正社員化コースおよび障害者正社員化コースにおいて、正規雇用労働者としての試用期間が適用された場合、原則として試用期間中は転換が完了したとは見なされません。試用期間終了日の翌日が転換日として取り扱われ、支給申請期間もそれに基づいて算出されます。


まとめ

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の待遇を改善し、企業の成長を後押しする重要な制度です。特に「正社員化コース」は多くの企業にとって活用しやすく、人材確保や定着率向上に直結するメリットがあります。

2026年度(令和8年度)は、社会保険適用時処遇改善コースの終了に伴い6コース体制となりましたが、年収の壁への対応としては「短時間労働者労働時間延長支援コース」が機能を引き継いでいます。小規模企業では最大75万円の助成を受けられるなど、支援は引き続き手厚い内容となっています。

また、障害者正社員化コースでは高次脳機能障害者が新たに対象に加わるなど、対象範囲の拡大も図られています。

申請手続きには、キャリアアップ計画の策定や就業規則の改定など、計画的な準備が求められます。書類の不備や期限超過は不支給に直結するため、厚生労働省のパンフレットやQ&Aをよく確認し、必要であれば社労士などの専門家の活用も検討しましょう。

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