キャリアアップ助成金 正社員化コース 支給要件と助成額を解説

公開日:2021/4/23 更新日:2026/4/9

キャリアアップ助成金の正社員化コースは、契約社員やパート・派遣社員といった非正規雇用の労働者を正社員に転換した事業主に対して支給される、厚労省の助成金制度です。中小企業であれば1人あたり最大80万円を受け取れるため、人材の定着や採用強化を図りたい企業にとって活用しやすい制度です。

令和8年度(2026年度)は支給要件や助成額に大きな変更はありませんが、新たに「情報公表加算」が受けられるようになります。本記事では、正社員化コースの支給要件や助成額をわかりやすく解説します。

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キャリアアップ助成金とは?【2026年・令和8年】全コースの支給額と対象事業者を解説

この記事の目次

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キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは?

「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して金銭面での支援を行う制度です。

支給額は企業規模と雇用形態によって異なりますが、中小企業で母子家庭の母等の「重点支援対象者」を正社員化した場合、最大80万円の支援を受けられます。なお、申請する際は、事前にキャリアアップ管理者の選定と、キャリアアップ計画の作成・提出が求められます。

2026年度の変更点

正社員化コースでは2026年度以降、「情報公表加算」が追加されました。正社員への転換に関する所定の情報を、自社のホームページまたは職場情報総合サイト「しょくばらぼ」で公表した場合、1事業所あたり最大20万円の加算を受けられます。

変更点・コース詳細加算額
正社員化コース非正規雇用労働者の情報開示加算1事業所当たり20万円(大企業15万円)

これまでは「正社員転換等制度を新たに規定した場合」「多様な正社員制度を新たに規定した場合」の2つの加算を受けられましたが、さらに所定の情報開示をすることでも新たな加算を受けられるようになっています。

助成対象となる事業主

キャリアアップ助成金の対象となるのは、以下のすべての要件を満たす事業主です。

■雇用保険適用事業所である
■雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている
■雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長に提出した
■実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる
■キャリアアップ計画期間内に計画に記載した正社員化・処遇改善に取り組んだ(支給申請時点で各コースに定めるすべての支給要件を満たしていること)

ただし上記に該当しても、暴力団や風俗に関連する事業者や、労働保険料を納入していない事業者は、補助を受けることができません。

なお、助成金の額は企業の規模によって異なります。本制度の「中小企業事業主」の範囲となるのは以下に該当する事業者です。

業種該当事業者
小売業(飲食店を含む)資本金5,000万円以下又は従業員50人以下
サービス業資本金5,000万円以下又は従業員100人以下
卸売業資本金1億円以下又は従業員100人以下
その他の業種資本金3億円以下又は従業員300人以下

2026年度の正社員化コースの助成額

2026年度の正社員化コースの助成額は、以下の表のとおりです。

企業規模対象者支給額
中小企業重点支援対象者有期雇用→正規雇用:80万円(40万円×2期)
無期雇用→正規雇用:40万円(20万円×2期)
上記以外有期雇用→正規雇用:40万円(40万円×1期)
無期雇用→正規雇用:20万円(20万円×1期)
大企業重点支援対象者有期雇用→正規雇用:60万円(30万円×2期)
無期雇用→正規雇用:30万円(15万円×2期)
上記以外有期雇用→正規雇用:30万円(30万円×1期)
無期雇用→正規雇用:15万円(15万円×1期)

正社員化コースの助成額は、「重点支援対象者」とそれ以外の区分によって、支給額が異なります。また、有期雇用→正規雇用の場合、2回に分けて申請し合計で最大80万円(大企業なら最大60万円)の交付を受ける形となります。

なお、本制度の重点支援対象者とは、以下の①~③のいずれかに当てはまる労働者を指します。

①雇用期間が3年以上
②雇用期間が3年未満 かつ、以下の両条件を満たす者
・過去5年間の正規雇用期間が1年以下
・過去1年間、正規雇用の経験がない
③派遣労働者、母子家庭の母等または父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者

雇用された期間が通算5年を超える有期雇用労働者については、無期雇用労働者とみなされます。

加算額(1事業所あたり1回のみ)

正社員化コースでは、一定の要件を満たした場合、1事業者あたり1回のみ以下の加算を受けられます。

区分支給額(1事業所あたり)
正社員転換制度の規定に関する加算20万円(大企業15万円)
多様な正社員制度の規定に関する加算40万円(大企業30万円)
職場情報公表加算20万円(大企業15万円)

正社員転換制度の規定に関する加算

有期雇用労働者等を正規雇用労働者(多様な正社員を除く)へ転換する制度を就業規則等に新たに規定し、実際に転換を行った場合に加算されます。1事業所につき1回のみ、中小企業20万円・大企業15万円が上乗せされます。

多様な正社員制度の規定に関する加算

勤務地限定正社員・職務限定正社員・短時間正社員のいずれか1つ以上の制度を就業規則等に新たに規定し、実際に転換を行った場合に加算されます。①の正社員転換制度加算との重複受給も可能で、中小企業40万円・大企業30万円が上乗せされます。

キャリアアップ計画書に記載された同一のキャリアアップ期間中に、勤務地限定正社員制度、職務限定正社員制度または短時間正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換した事業者が対象です。

職場情報公表加算

正規雇用労働者等への転換に関する「所定の情報」を、自社ウェブサイトまたはしょくばらぼ(職場情報総合サイト)に公表した場合に加算されます。中小企業20万円・大企業15万円で、1事業所につき1回のみ適用されます。
「所定の情報」の主な内容は以下のとおりです。

・正社員転換実績(転換者数・割合等)
・非正規雇用労働者の賃金・処遇に関する情報
・非正規雇用労働者の割合
・非正規雇用労働者に対する教育訓練・研修の状況

対象となる労働者

本制度の対象となる労働者の要件は、以下のいずれかに該当する有期雇用労働者または無期雇用労働者です。

■支給対象事業主のもとで、正規雇用労働者と賃金額または賃金の計算方法が異なる雇用区分の就業規則等の適用を、通算6か月以上受けて雇用されている有期雇用労働者または無期雇用労働者
■6か月以上継続して、派遣先の事業所その他の派遣就業場所ごとの同一の組織単位における業務に従事している有期派遣労働者または無期派遣労働者
■支給対象事業主が実施した有期実習型訓練(人材開発支援助成金〔人材育成支援コース〕によるものに限る)を受講・修了し、支給対象事業主のもとで、正規雇用労働者等と賃金額または賃金の計算方法が異なる雇用区分の就業規則等の適用を通算6か月以上受けて雇用されている有期雇用労働者等(転換日までの雇用期間が通算6か月に満たない場合は、雇い入れ日から転換日まで就業規則等の適用を受けていること)

支給対象事業主に6か月以上継続して雇用されている非正規雇用労働者のうち、正規と異なる待遇で働いている有期・無期雇用労働者や、同一の職場で派遣として6か月以上勤務している方、または特定の訓練を修了した方などが該当します。この他、以下の要件を満たしている必要があります。

■正規雇用労働者として雇用することを約して雇い入れられた有期雇用労働者等でないこと
■正社員化の前日から過去3年以内に、当該事業主の事業所または資本的・経済的・組織的関連性からみて密接な関係の事業主において正規雇用労働者として雇用されたことがある者、請負もしくは委任の関係にあった者または取締役、社員、監査役、協同組合等の社団もしくは財団の役員であった者でないこと
■支給申請日において、有期雇用労働者または無期雇用労働者への転換が予定されていない者であること
■正社員化後の雇用形態に定年制が適用される場合、正社員化日から定年までの期間が1年以上である者であること

対象となる要件に当てはまる場合でも、正社員化を行った適用事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族は対象外となります。また、離職者や定年を迎えた従業員、就労継続支援A型の事業所の利用者も対象外です。

主な支給要件

本制度の主な支給要件は、以下のとおりです。

■正社員への転換制度を就業規則または労働協約に規定していること
■規定に基づき、実際に有期雇用労働者等を正社員に転換していること
■上記により正社員化された労働者を、転換後6か月以上継続して雇用し、6か月分の賃金を支給していること
■第2期支給申請の場合は、正社員化後、12か月以上継続雇用し、正社員化後12か月分の賃金を支給していること
■転換後6か月間の賃金が、転換前6か月間と比較して3%以上増額されていること
■転換後、対象労働者を雇用保険の被保険者として適用させていること
■母子家庭の母等または父子家庭の父に係る支給額の適用を受ける場合は、転換日時点でその対象者を転換していること

補助を受けるためには、正社員化後6か月間の賃金を、正社員化前よりも3%増額する必要があります。また、正社員化した日の6か月前から1年を経過する日までの間に、雇用保険被保険者を事業主の都合により離職させている場合、対象外となります。

申請までの流れ

キャリアアップ助成金の申請方法は、以下の流れとなります。

①キャリアアップ管理者の選定
キャリアアップ計画の実施に掛かる責任者を選定します。資格要件等はありませんが、計画の実行に必要な知識や経験を有している必要があります。

②キャリアアップ計画の作成・提出
キャリアアップ計画を作成し、労働局・ハローワークに提出します。また、公式ページでは電子申請も可能です。

③就業規則等の改定
正社員化規定がない場合、規定を作成します。正社員への転換日の6か月以前から「正規雇用労働者と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を受けている必要があります。

④就業規則等に基づき従業員を正社員化する

⑤正社員化後6か月分の賃金の支払い
正社員化前6か月と比較して3%以上賃金の増額が必要です。

⑥支給申請
取組後6か月の賃金を支払った日の翌日から起算して、2か月以内の申請が必要です。

⑦支給決定の通知書が届く
通知書が交付され、助成金が振り込まれます。

申請書類は、キャリアアップ助成金の公式サイトよりダウンロードできます。

▼申請方法については、以下の記事も参考にしてください。
キャリアアップ助成金申請方法とポイント【失敗しない手順ガイド】

正社員化コースに関するよくある質問

最後に、正社員化コースを申請する際によくある質問を紹介します。

正社員転換後に「試用期間」を設けることはできる?

正社員待遇の適用の有無に関わらず、正社員転換後に試用期間を設けている場合は、当該期間は正社員と見なしません。試用期間中は非正規雇用(無期)と見なしますので、「有期→正規」の申請であったとしても、「無期→正規」の申請として受理、審査し、支給額を決定することとなります。(※正社員転換を希望する者の見極めは原則として転換前及び転換時に行い、外部採用時に設けるような試用期間は設けないことを推奨しております。)

新卒採用者(新規学卒者)はキャリアアップ助成金の対象になる?

新規学卒者で、事業主に雇い入れられた日から起算して1年未満の者は支給対象外となります。ただし、新規学卒者であっても、雇い入れから1年以上が経過した後に正社員転換を行った場合は支給対象になり得ます。

正社員の定義とは?

就業規則や労働協約に基づき、「賞与または退職金の制度」のいずれか1制度以上が設けられていること、かつ「昇給」の制度が正規雇用労働者に適用されていることが要件となります。


参考:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース以外)Q&A 目次

まとめ

今回は厚労省の雇用関係助成金「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」について紹介しました。

厚労省の雇用関係助成金は、一般的な補助金制度とは異なり、取り組みを適切に実施し要件を満たせば、事後の申請により受給できるのが大きな特徴です。

申請手順がやや複雑なので、申請サポートをご希望の方は、地域別に専門家を探せる「士業ポータル」もぜひご活用ください。

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